笑う森

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刊行日 2024/05/30 | 掲載終了日 未設定

ハッシュタグ:#笑う森 #NetGalleyJP


内容紹介

「神森」と呼ばれる原生林で行方不明になった5歳児と、そこへ迷い込んだ4人の男女。

拭えない罪を背負う彼らの贖罪、そして真実。

人の愚かさと優しさと――

直木賞受賞作『海の見える理髪店』を超える感動。荻原ワールドの真骨頂といえる傑作長篇。

「神森」と呼ばれる原生林で行方不明になった5歳児と、そこへ迷い込んだ4人の男女。

拭えない罪を背負う彼らの贖罪、そして真実。

人の愚かさと優しさと――

直木賞受賞作『海の見える理髪店』を超える感動。荻原ワールドの真骨頂といえる傑作長篇。


出版社からの備考・コメント

【著者紹介】荻原浩 おぎわら・ひろし
1956(昭和31)年、埼玉県生れ。成城大学経済学部卒。広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。
1997(平成9)年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。
2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞を、2014年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞受賞を、2016年『海の見える理髪店』で直木三十五賞を受賞。
著作に『ハードボイルド・エッグ』『神様からひと言』『僕たちの戦争』『さよならバースディ』『あの日にドライブ』『押入れのちよ』『四度目の氷河期』『愛しの座敷わらし』『ちょいな人々』『オイアウエ漂流記』『砂の王国』『月の上の観覧車』『誰にも書ける一冊の本』『幸せになる百通りの方法』『家族写真』『冷蔵庫を抱きしめて』『金魚姫』『ギブ・ミー・ア・チャンス』など多数。

【著者紹介】荻原浩 おぎわら・ひろし
1956(昭和31)年、埼玉県生れ。成城大学経済学部卒。広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。
1997(平成9)年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。
2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞を、2014年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞受賞を、2016年『海の見える理髪店』で直木三十五賞を受賞。
著作に『ハードボ...


おすすめコメント

荻原浩の代表作は?と聞かれたら、なんと答えますか?

脱力系の探偵小説。いじめを扱ったサスペンス。若年性アルツハイマーに襲われたサラリーマン。味わい深い家族の物語。

そしてここに、新たな代表作をご紹介できることを、うれしく思います!

5歳の男の子が原生林で行方不明になるが、1週間後に無事に生還する。さして衰弱した様子もない。いったい1週間の間どうやって過ごしていたのか?本人に訊いても、発達障害のある5歳児からは満足な答えは得られない。少年の1週間を知るべく、叔父は森に足を踏み入れる……

と書くとミステリーのようですが、もちろん謎に包まれた部分はありつつも、徐々に明らかになる真実には、事情を抱えた4人の大人の、それぞれに必死の想いが隠されていました。人生にはじかれて、森にやってきた彼らが、迷子の少年と出会う。その時間は、少年が奇跡的に生き延びた1週間であり、惑える大人たちにとっても、人生を変えることになる時間でした。


人間に寄せるあたたかなまなざし。それこそが、荻原浩の最大の魅力ではないかと思います。そして本作はそれを存分に味わうことのできる作品です。じんわりと胸に広がるこの希望の物語を、ぜひお目通しいただければ幸いです。


荻原浩の代表作は?と聞かれたら、なんと答えますか?

脱力系の探偵小説。いじめを扱ったサスペンス。若年性アルツハイマーに襲われたサラリーマン。味わい深い家族の物語。

そしてここに、新たな代表作をご紹介できることを、うれしく思います!

5歳の男の子が原生林で行方不明になるが、1週間後に無事に生還する。さして衰弱した様子もない。いったい1週間の間どうやって過ごしていたのか?本人に訊いても、発達障害のある5歳児...


販促プラン

<書店さまへ>

ネットギャリーにご感想をアップしてくださった書店さま限定で、初回配本のご希望を承ります。

下に添付のFAX用紙にてご希望数をお送りください。

★★5/14(火)必着でお願いいたします★★

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★★5/14(火)必着でお願いいたします★★


出版情報

発行形態 ソフトカバー
ISBN 9784104689071
本体価格 ¥2,200 (JPY)
ページ数 464

閲覧オプション

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NetGalley会員レビュー

森で行方不明になった5歳児マヒト。1週間後、無事保護される。生還したマヒトは、森で何があったのか話そうとしないし、行方不明になる前と後では明らかにマヒトの様子が違う。不審に思う母岬と、マヒトのために、マヒトの叔父である冬也は森でマヒトに何があったのかを調べ始める。殺人犯、インチキユーチューバー、自殺願望者、組織からお金を盗んで逃げているヤクザ。森の中で遭遇する身勝手な大人たちは、マヒトとの交流によって、自分の中にある良心を目覚めさせる。森の中のことが少しづつ明らかになるにつれ、不可解なマヒトの言動の理由も解明される。5歳児が森で行方不明になったことに対するSNSなどでの誹謗中傷、それに対抗する術、マヒトに発達障害があることでの接し方など、理解を深める部分も多くありました。誰にでもある弱さゆえに誰でもが道を踏み外してしまう可能性があることも、そのストーリーから伝わってきます。深刻な場面も多いはずですが、読後はなんだか楽しい気分になりました。

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5歳の真人(まひと)は神森(かみもり)のコースで忽然と姿を消した。
これは彼が行方不明になっていた一週間の間の物語。

真人は時を同じくして様々な理由から森に迷い込んでいた4人の男女と
不思議な出会いを経験していた。4人の男女はわけありでそれぞれに
罪を犯していた。森の中で真人と出会った4人...


4つの罪と、良心、みんな問題をかかえて罪を犯した人たち。
真人はそれぞれの人からつかのまの親切を受けて...
4人の汚れた大人が5歳の少年と出会ったときいろんな感情が
わいてきて奇妙な行動に出る。


少年は4人との出会いで大きくかえられることになる。


仕事、家族、恋愛、お金、病気、現代社会の闇をくまなく描きつつも
未来に希望をもたせてくれる異色の物語.

SNSの怖さも存分に描かれている。SNSでの誹謗中傷はされた人の
人生をも変えてしまう。しっかりした証拠がない限り無責任に
だれかが言っていたからとか、みんなしている、などと言わないように
責任をもって発信することを徹底してもらいたいし、徹底したい。


ブログ、インスタ、Facebook、Xなど,発信する全ての人たちに
是非読んでもらいたい。

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小樹海の異名をもつ「神森」で男の子が消えた。
最低気温は摂氏2度まで下がる深い森で、水も食糧も持たないまま。
1週間後、1人でいるところをようやく保護されるが、男の子はASD(自閉スペクトラム症)で、どうやって生き延びたのか森でのできごとを聞き出すのは難しく…

事件当時、森の闇に潜んでいた大人たち。
もし男の子を助けてくれたんだとしても…訳アリに決まってる!
人殺し、嘘つきYouTuber、自殺願望者、ヤクザに追われる奴。
まさかこの人たちが!??
明かされていく森での1週間は、無事に帰ってきたのが信じられないほどハードだった…!
事件後の母子のまわりもいろいろありすぎて、思いがけない展開の連続。
やっぱり悪いことはできないな…
真人くんのかわいさに癒されつつ、読み終えました。
おもしろかったです!

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目の前に森での出来事が浮かぶ感じを持ちながら読ませて頂きました。
同じ時に同じ森の中で様々な物語が起きてそれぞれの物語に一人の少年が登場する。
合体樹を含め森全体が真人の様子を見守って助けてもらえるように導いているのかなと感じました。
それは真人が普通の人は少し違う部分があるからなのかもしれませんが何に対しても純粋だからなのかなと思いました。
色々経験をして考え方がこうちくされてしまうと純粋さも減ってしまうんだろうなと。
またSNSによって本来感じることない不快さを与えてしまうことが身近にもあるんだろうなと改めて感じました。
おそらく不快さを与えてしまう人も色々悩みを抱えている人が多いのかなとも思いました。
今この時も色々な人が色々な思いを持って色々な問題と対峙しているのかな。

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またまた素晴らしい作品をありがとうございます。一気読みでした。
クマがキーワードになり、どんどん真相が明らかになっていくストーリーに目が離せませんでした。
最後のバァーっと話し出す様子を見て、彼の中でたくさんの言葉や思いが溢れてくるシーンも親心として胸にくるものがありました。
皆それぞれに悩みを抱えていて、たまたま重なって色々な事が起きた一週間でしたが、子供を生かそうという優しさは皆持っていて世の中まだ捨てたもんじゃないなと思いました。

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様々な社会の問題を、凝縮したような小説。
とはいえ、暗くてどうしようもないような雰囲気は皆無。
もちろん、問題を抱えるそれぞれの人物たちの身勝手な思いには辟易したけれど。
ただ、物語が進むにつれ、真人くん行方不明時の謎が解けていき、皆それぞれちょっとした優しさがないわけではないことも分かっていく。
(あれを優しさと言っていいのか分からないけど、それがなければ、真人くんは別の状態で発見されたかもと思う。)

世の中捨てたものじゃない。そして誰でも生きる方向を少しだけ変更することは、できるかもしれないのだ。
そんなことを考えることができた小説だった。

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原生林「神森」で行方不明から1週間後に無事発見された5歳の真人。どうやって生き延びたのか。それは異なる目的で「神森」に入った4人と関わっていた。
会う事もなかった彼らの、真人を巡る壮大な物語を読み、書名の意味を感じて欲しい。

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風変わりな書名と、考えもしなかったオープニング。最初はミステリかと思った。行方不明だった1週間、真人がどのように過ごしてきたかを、呟きなどから探っていくという。確かに謎の7日間を解明する物語だった。でも、ミステリではなかった。互いを知らない4人の、真人の生と心を巡る壮大なバトンタッチの物語だった。

ASDである真人の、言葉に対する群を抜いた暗記力。ただ、聞き取りが不正確で意味まではわかっていない。「神森」で出会った4人との関わりを読み進めるうちに、その謎の言葉がカチッカチッとはまっていく様子に目を見張った。「くまさん」とは……「赤いマフラー」とは……「リュック」とは…… 真人の空白の1週間が、4方面からきっちりと埋まっていく様子には、読んでいて驚きしかなかった。

でもそれだけではない。真人に〈優しさ〉を見せていく事で、自分の内面を見つめ直していく4人。真人と関わることで運命が変わっていく4人の物語でもあった。

4人が互いに会う事もなく〈偶然に行っていく〉バトンタッチが、真人の体を保ち心さえも救った。でも、それだけでは4日間しか保たない。なら、5日目と6日目は? そう、〈真人の言ったことは全て真実〉だったのだ。真人にしかできないこと。真人だから呼び込めた運命。
そうして、この風変わりな書名『笑う森』の意味がやっとわかった。そうだったのか、よかったね、真人。本当によかったね。

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様々な事情や生きづらさを抱え、たまたま森に居合わせた大人たちによって、リレーをみているかのように迷子になった真人が描かれる。
困った大人たちばかりだが、真人を見る目はどの人も優しく、憎めない。普段なかなか理解されにくい、コミュニケーションが苦手な発達障害の子供の特性や、親の大変さなども丁寧に描かれた上で、ふっと物語の世界に連れていかれ、リアルとファンタジーのハザマを彷徨う読書だった。

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神森と呼ばれる原生林の中で母親とはぐれて行方不明になった5歳のASDの男の子、彼は1週間後に無事に発見される。晩秋の季節、男の子が夜の寒さと飢餓に耐えられるはずはなかった。男の子はどのようにして生き延びたのだろうか。彼が森を彷徨い続けた1週間に想像もできない出来事があったのだ。男の子が森の中で偶然にも順に出会ったのは、様々な境遇の4人の大人たち、不幸を嘆き葛藤を抱いて人生に絶望を抱く大人たちだった。男の子は彼らや彼女らのお陰で生き延びたのだが、同時に彼らや彼女らも男の子との出会いによって人生に何がしかの希望を見つける。ストーリーの展開の中で、森の魔力にまるで吸い込まれるように読み続けた作品でした。子供と見知らぬ大人の交流の中で心の温かさが感じられました。

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森で行方不明になった5才の真人。一週間後、捜索隊に無事保護されたが、誰かに食べ物を貰っていたようだ。自分の思いを言葉にするのが苦手な真人が答えたのは「くまさん」とだけ。
だんだん明らかになる少し滑稽で少し切ないドラマの数々。まるで人生を切り取ったようだ。物語ひとつずつでジグソーパズルを埋めて行き最後の「くまさん」で完成する。一枚の絵はみんな笑顔だ。

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発達障害の5歳児が森の中で1週間をすごして痩せもせず保護されるが、その1週間に何があったのか?というミステリ仕立ての作品。
まあ、いろいろな人物が森でいろいろなことをして男児と接触するわけだけれど、込み入った構成を頑張って描いたなぁという感想です。
「笑う森」というタイトルは私にはしっくりきませんでした。「絡み合う森」?「森のくまさん」?「くまの森」?「森の中」?
文章はさすがに読みやすくスムーズで、面白くなかったかというとそうでもないのですが、面白かったかというとそうでもなく、長かった、という印象もあります。ところどころ、エンタメ的には良いけれどご都合設定じゃないかと思われる部分がありました。
見方によっては、連作短編を区切らないで全部まとめて書いたような作品、とも思われます。がっつり短編としてそれぞれを小粒でぴりりと独立した作品に仕上げて、連作で繋げるという構成にしたほうが良かったかもしれません。

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発達障害を持った5歳の男の子が森で行方不明。1週間後に発見されたが、行方不明にしては体調も良く、行方不明前とは別人のようで。
そんな出だしから不穏な予感に怯えながら読んでいました。しかし、最後まで読み通すと一人の男の子が母と離れている間に体験した様々なことの影響で、成長する冒険を彼の叔父や母の目線で知っていく冒険譚だとわかります。
まあ、最後はちょっとびっくりと涙が混ざるかもしれませんが、ぜひ一度読んでみてください。

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「笑う」森、タイトルから不穏なものを感じながら読み始めました。
迷い込んだら抜け出せなくなる森「神森」、合体樹、その森でASDの5歳児が行方不明になるも、一週間後に無事発見された。
のっけからぐいぐい引き込まれます。森の中で「くま」さんに出会った! 
交際相手の死体を捨てに来た美那、ユーチューバーの戸村、ヤクザの谷島、中学校教諭の理実。
森に居合わせた人たちによって命を繋ぐことができた真人。
深刻な気配がいつの間にか薄まり、最後は笑顔になれる。
真人の記憶に形を変えながら「くま」が刷り込まれていく過程が面白かった。
母の岬さんのリングネーム「タスマニアンデビル黒川」、笑いのツボの押さえ方も荻原さんらしくて楽しめました。

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読むのを止められなかった、先が気になりすぎて。

人は、なんて汚くてきれいで、残酷で優しいのだろう。
一面ではないのだ、としみじみと思った。
殺人犯の女性にだって、
盗みを働いたやくざにだって、
自分勝手な教師にだって、
輝くものが存在しているのだ。
それが人間なのだろう。
そして、この中で語られる「熊」にやられた。

人間は愛おしい、そして恐ろしい。
いつまでも、心に残る作品だった。

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森というのは、神聖さを感じる半面、押しつぶされそうになる怖さもある。
その森で、5歳の真人が行方不明になる。

行方不明児のニュースは後を絶たない。
その度に、親への誹謗中傷もSNSで拡散される。
その心ないコメントは、普通に心配する人たちの心にも疑いの芽を植え付ける。

真人に関わった4人の男女。
生きづらさを感じ、一見困ったさんと言われる人たちにも見える。
だけど、
障害をもちながらも、生きる本能を見せつけてくる真人に、
本来の自分を取り戻していっているように見えた。
大人は子どもを守るべきだ。そしてそれは、大人も子どもから生きるべき道を教えられているのではないかと思う。

その時代で、起こってくる社会問題をどう受け止めるか、どう解決していかなければいけないか。
喜怒哀楽の名手、荻原浩ワールドが、
その道を照らしてくれている。

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ASD(自閉スペクトラム症)5歳の男の子が、行方不明に。

やつれた様子も大きな怪我もなく発見されホッとしたものの、深い原生林で過ごした空白の1週間の謎は深まるばかり。「くまさんが助けてくれた」というくまさんとは?

日常生活に戻った男の子の言動の様々な変化に気付く母親。SNSでの中傷も続き、義弟と共に男の子の足取りを辿り始める。無事に発見されるまでには数えきれない出会いの奇跡があった。

タイトルの意味は、最後のお楽しみ!

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ASDの子どもだからこそ、困難と奇跡が同時に意味を為している物語。母親の岬は強くて優しくて弱い素敵なひと。叔父の冬也もすごく温かい。良くも悪くも拓馬、真人に人生を変えられたなぁ。そして真人、可愛いし賢い。ラストの場面ではもう水が溢れまくりで…最後の言葉に泣けてしまう。そっか、そっか、そうだったんだね。

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原生林で行方不明になり、1週間後に無事生還したASD(自閉症)の5歳男児。「くまさん」に出会ったという息子の不可解な言動から、空白の1週間の謎を追い始めた岬と義弟の前に浮かび上がる、怪しい4人の男女。果たして「くまさん」とは誰なのか?人間の汚い欲望と、その奥に灯る優しさを、少年の冒険を通し描いた気付きの物語。

なぜ子供から目を離したのか?エスカレートしていく親への誹謗中傷などのSNS問題から、ASDへの理解不足から生じた問題など、リアルな社会問題が詰め込まれた作品。
ひとときも目を離さないなんて事はきっと不可能で、なら一人で連れて行くなという意見もまた正しくて…。ただの悪意やストレス発散の「的」にされた訳ではない誹謗中傷に、少しだけ同意してしまい、複雑な気持ちになった。善意という名の何かが暴走する恐ろしさを再認識させられた。

身勝手過ぎる大人たちへの苛立ちと、不穏なシーンへの恐怖に包まれながらも、場違いなまでに平和な真人と「くまさん」の掛け合いがひたすら微笑まく、面白かった。
序盤はあちこち話が飛んでるように感じて先が見えず、中盤ではピースが揃い始めるもなかなか嵌まらないもどかしさがあったが、最後にはこれでもかというくらいキレイに嵌まる音が聴こえ、スカッとした。

欲を言えば、こうなる(子供が何かの犠牲を払う)前のどこかで希望を見付けられる環境であってほしい。

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久々に読むとはいうものの、変わらずの作品力。
先は気になってしょうがないものの、
一つ一つの流れが終わった後には静があり
ドキドキ展開もあって読み応えもありつつ、
読み終えて、どっと疲れが押し寄せることもない。
一つのロードムービーみたいな感覚で楽しめる作品です。
自分にとっても身が引き締まるような誹謗中傷のシーン。
顔が見えない相手との会話に慣れてしまっている分、あまり辟易しない人もたくさんいると思うけど、一つ一つの言葉は泡みたいに消えるのではなく、根付いてその人に対して生やしていくことになることは読み手にもわかってほしいなと思いました。

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ASDの5歳児が森で行方不明に。疑われる母親。
捜索も縮小され、絶望視された1週間後、少年は無事に戻ってきた。
「クマさんといた」という少年。少年はどうやって過ごしていたのか。
少年に何があったのか知りたいと願う母親。その特性のため、気持ちを伝えられない少年。
そして、この二人をサポートする叔父。ミステリ-ではあるが、お互いへの温かい思いが感じられる。

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森で迷子になったASDの少年真人、5歳。
同じ頃森に居合わせた4人の訳ありの大人。それぞれが自分の都合を優先しつつも真人に手を貸すことで、図らずも自分の人生を見つめ直すことになる奇跡。
不明だった1週間の空白を埋めていく過程が色々なひとの視点で徐々に明らかになり、かつ不愉快な事柄に対してスッキリかたをつけるあたりは爽快!。
森で助けてくれた「くまさん」の正体に(その独白に)なんとも言えずため息。真人の母、岬のキャラもまた良き!。

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面白かったです。電子図書は苦手ですが、先が気になって一気読みしました。
ただ、実際に子どもが行方不明になった事件を思い出しながら、やはり
フィクションだから出来る力技かな…と気になる場面もありました。

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行方不明となった5歳児の真人はASD(自閉スペクトラム症)で、森でどう生き延びたのか詳しくは語らない。
日常に戻ってから発する言葉や歌に、きっと誰かの助けがあったはずと謎を追う。
その謎が4人の男女に結びつく面白さ!なるほど膝を打つ。
真人が話していたことは、間違いじゃなかったんだねとタイトルに込められた想いに気づいた。
事情がなんであれ、先ずは、こんな森の中で遭遇した子供をなんとかしてよとヤキモキさせられたり、真人と出会ったことで彼らが内なる自分と向き合っていけたことは、温かな気持ちにもなった。
SNSでの誹謗中傷、勝手な憶測でどれだけ人を傷つけているのか、発する言葉に対して心したい。

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森で行方不明になり、1週間後無事に戻ってきた5歳児の真人。1週間もの間、どうやって森で生き延びていたのか。その謎を追いかけていくのは、スリリングでスピード感があり、また、真人の可愛らしさも相まって、最初から最後まで引き込まれっぱなしでした。
発達障害の子どもを抱えたシングルマザーの大変さ、学級崩壊と教師、SNSでの誹謗中傷など、社会問題も盛り込まれているので、考えさせられる部分もあります。
ラストでええっ!?となりつつも、とても温かな気持ちになりました。
人にオススメしたくなる作品です。

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面白かったです!!
真人くんの失われた1週間の出来事が徐々に明かされていくなかでの、たくさんの「くまさん」との出会い。
ある日森の中で出会えるくまさんは思いのほか(?)いい人(?)ぞろいで(笑)
いい話を読めて嬉しかったです。
これはぜひオススメしたいです!!

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真人くんの人たらしの読み心地が良くて、次はどんな出会いがあるのかとワクワクしました。
スピーディな展開と、訳ありな大人の事情と少年の成長と言う組み合わせに引き込まれ、最初から最後まで全部面白くて、約450ページの長編でしたが、続きが気になり一気読みでした。

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すごく、すごく面白かった。
一気読みしてしまった。
萩原浩さんは「オロロ畑で捕まえて」を読んだことがあるが、最近は直木賞を獲った「海の見える理髪店」がずっと気になっていて文庫化したら買おうと思っていたが、コロナ禍で日本に帰れずタイミングを逃していた。次は夏に帰るので絶対買ってこようと思った。
このお話は森で迷子になってしまい1週間行方不明だった発達障害の男の子の大冒険の話で、あらすじからは全然想像つかなかった展開に心を奪われて読んでる途中から最近読書にハマり出した妹に薦めていた。
真人と「クマ」さんたちとの関わりが判明して行くにつれハラハラしたり、ホッとしたり、ええって思ったり心が忙しかった。すごく面白かったので友人にも薦めたいなと思った。

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小樹海と呼ばれる森で行方不明になった5歳の男児をめぐる、一週間プラスその後
真人くんが無事であったのは何よりだけど、物語の設定上のこととはいえ、訳ありであったとしても大人が酷すぎない?とちょっとモヤモヤ
と言いつつも、真相に至るまでの展開が気になり一気読みしました

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息子がASDということもあって、本作でどんな風に描かれるのか気になり読み始めた。
ある森に、様々な事情を抱えた人間が集まる。ふと立ち寄ったものもいれば、目的を持ってその場を訪れた者や、隠れるように姿を消した者も。
言葉でのコミュニケーションが苦手な子どもと、そこで出会った大人たちの物語。
根っからの悪人ではないけれど、罪を犯してしまった人たち。ユーモアに溢れて、ふっと笑ってしまうシーンもたくさんあるけれど、何かひとつボタンの掛け違いさえなかったら、この森を訪れることはなかったのになぁと、切なさも感じた。
人は愛を与えることで見返りがなくても幸せになるかもしれないけれど、与えられる愛のあたたかさは人を成長させるチカラがある。
森の怖さと対比して、愛の優しさが描かれている一冊。

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深い森で5歳の真人が行方不明になり、1週間後に無事保護された。発達障害のある真人からは深い森でどう生き延びたのか、誰と一緒にいたのかは語られない。母の岬は誹謗中傷の晒され、義弟の冬也は真人の足取りを辿り、4人の男女と出会っていたことを突き止める。4人の視点で語られる物語は罪と後悔だ。彼らにとっても真人との出会いは人生を変える転機となる。犯罪も絡み真人の生還は奇跡のようだが、彼の持つ生きる力がそれを引き寄せる。岬の苦労や辛さに胸が締め付けられるが、闘い方にスカッとした。荻原さんのユーモアは健在。

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森のくまさんが小さな子供を助けていたとは。SNSの恐さ、人間の怖さをまじまじとかんじました。
人はくまさん無くしては生きていけないのに、くまさんを攻撃してしまう。純粋な気持ちで生きることも大切なんだと思いました。

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ASD(発達障害)の5歳の児童、真人くんが神森という「小樹海」で行方不明になる。
真人くんは1週間後に無事発見される。彼は「クマさんが助けてくれた。」と言うのみ。
苦手だった食べ物が食べられるようになる、など母親と叔父はこの1週間で彼に何が起こったのか、誰が助けてくれたのかを探ることにした。

小だとしても樹海と言われるところに足を踏み入れる人は訳ありですよね。
そんな人たちと原生林にある合体樹を見に真人くんを連れていった母親をネットで執拗に叩くネット民と、神森での謎の1週間について荻原さん節でユーモアも交えつつ書かれていて寝不足でも読みすすめてしまいました。

真人くんは救われたのか救ったのか。子どもの力を、神秘を感じずにはいられませんでした。

現実の世界、森で児童が行方不明になり母親がネットで叩かれた話は記憶にも新しいです。
オリンピック関連でもネットで叩く人がいると知って驚くばかりです。

小説としても楽しめますし、ネットで呟くことを安易に思っている人には是非読んで欲しいです。

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数年前にキャンプに行った女の子が行方不明になった事件でも、目を離した母をsnsで攻撃する人がいたことを思い出しました。この作品の男の子はその間に偶然出会った人達に図らずも助けられて帰って来ましたが、匿名だからと攻撃される様子は読んでいて辛かったです。しかもそんなことしそうにないと思われる人に。人には多面性があり、表だけではわからないといつもいつも構えて付き合うのはしんどい。男の子が出会った人達もその表で疲れたり大変な目にあっていたのが、森の中で意思の疎通が難しいこの子どもと出会って出てきた素直な面が読み手には見えるというところが面白かったです。

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どんな方向に話が進むのかわからず、物語に翻弄された。
「藪の中」的な構成かと思ったら、
読者にだけ全貌がわかるタイプの物語でした。

関係する登場人物はみな、単純ないい人、悪い人ではなく、
キャラ描写に深みがあってよかったです。
逃亡者が好きだった。生き延びてほしかった。
ネットの誹謗中傷が裁かれるのは爽快だった。一歩間違えば私刑ですが。

「最後の1人」は、想像通りだったような、意表を突かれたような。

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森の中で行方不明になっていた少年が、
1週間ぶりに発見され、
家族がその軌跡を辿っていく物語。

調べていく中で、
込み入った事情を持つ4人が、
浮き彫りになっていく。

少年の視点から見る、
森で出逢ったその人々との交流が、
奇想天外なユーモアに溢れていて、
思わず笑ってしまいました。

そして、少年に翻弄される大人たちの心が、
少しずつ変化していく様子に、
ぐっと見入ってしまいます。

純粋無垢なほほえみに
包まれていくような、
群像劇。

小さな勇者の大冒険に、
心がほっこり温まりました。

ラストのやわらかな気持ちが溢れる一文が、
胸にじんわりと残っています。

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面白かった!
こんな遭難物語もあるんですね~。
なにがスゴイかって、読んでいて本当にありそうだと思ってしまいそうになりました。
偶然が重なる展開なのですが、その事実を紐解いていく過程が面白い。
遭難した子どもがとある事情により”信頼できない語り手”して機能しているのも巧い。
ひとつの遭難事件が複数の人間たちを一本の線にしていく。
最後まで読まないと分からない!物語の醍醐味を味合わせてくれました。

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真人が言った「クマさん」は、誰?あれ、まだいるの?もっと・・・?と、読み進めていくうちにどんどん引き込まれていきました。そして、解明していくたびに、いい人(世間的には悪い人がいましたが)に会えて良かったねえと思わされました。荻原さんの作品を久しぶりに読みましたが、心が温かくなる作品でした。

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