ノクツドウライオウ [靴ノ往来堂]
佐藤まどか
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刊行日 2023/04/30 | 掲載終了日 2024/05/31
ハッシュタグ:#ノクツドウライオウ靴ノ往来堂 #NetGalleyJP
内容紹介
第70回青少年読書感想文全国コンクール
課題図書 中学校の部
あなたの人生を変える魔法の靴店!
高いビルの間にちょこんとはさまっている小さな建物。
くすんだ色のレンガ造りのこの店は、築100年のオーダーメイド靴店「往来堂」だ。
店主は、靴職人の祖父。孫の夏希は、シューズデザイナーを夢見る中学生で祖父を尊敬していた。
ある日、店の後を継ぐはずの兄が突然いなくなり、店は危機的状況となった。
夏希は後を継ぐべきか悩める日々を過ごす。
そんな中、この店の土地を買い取りたいという土地開発会社の人たちが来た。祖父は、その内の1人の靴をみて足に合っていない靴を履いていると指摘する。その人は、どんな靴も合わないのであきらめていると話した。祖父が助言すると、その人は靴を注文することになった。
でき上がった靴を渡してまもなく、その人が来店して言った。
「まさか自分の人生が、たった一足の靴で変わるとは思いませんでした……」
これらのいきさつを見ていた夏希は、自分の向かう道をさだめていく。
シューズデザイナーを夢見る中学生をさわやかに描いた青春ドラマ!
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784751531389 |
本体価格 | ¥1,500 (JPY) |
ページ数 | 224 |
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NetGalley会員レビュー
オーダーメイドのいい靴は直しながらずっと履き続けることができるんだよということは理解できるけど、このままこの店を続けていけるかどうかは不安だなと夏希は感じています。自分は靴作りは好きだけど、マエストロのような立派な職人になれそうにないし、本当は跡継ぎのはずだったお兄ちゃんはどこかへ行ってしまったし。
店がある土地を買い取りたいとか、ビルを建てましょうという営業の人たちがやって来るけれど、マエストロは「絶対に売らない」と言い続けています。
職人の技術は学校で習うこともできるけど、やっぱりいい師匠につくことが大事なんですよね。そういう意味では、ここのマエストロはとっても素晴らしい人なんですけど、後継者問題は深刻です。
マエストロのようないい職人さんがいなくなってしまったら、すばらしい技術を後世に伝えることができなくなってしまいます。こういう仕事もあるのだと、子どもたちに見せていくこと、それも大人の役目であると感じました。
靴職人の祖父、マエストロの跡を継ぐはずだった兄が家を出て、夏希はその役割を自分が受け継ぐべきかどうかと考える。訪れる客や、土地の買収をしにやって来る者、見習い希望の少年。その一人ひとりに靴職人として真摯に向き合う祖父の姿を見ながら、オーダーメードシューズの良さや、人の喜ぶ顔に接し、自分の夢とは違うと思っていた家業にも魅力を感じ始める。見習いとして通ってくるようになってから、最初は苦手だったクラスメイトの宗太とも分かり合い、互いを補い合うような関係になる。人でも仕事でも、きちんと関わらないとその魅力は伝わらない。そのものと関わるきっかけがあったということは、やっぱり縁があるっていうことなのかも。マエストロの靴を履いた人々の喜びや、夏希のアイディアでシューズが生まれ変わる様子に胸が躍ります。家を出たお兄ちゃんの行方も気になります。お兄ちゃん編、読んでみたいです。
圧巻の読後感!心がグッと前に進み出すような力強さをもらいました。
主人公の夏希、見習い小僧の宗太、マエストロに店長。他にもたくさん!
出てくる人物が、みな生き生きとしています。
特に夏希と宗太の関係性は素敵でした。
暗い内容のシーンも、夏希の明るい口調のおかげで、重過ぎず、読みやすく、逆に元気をもらえました。
題名も面白く、何だろう?と、ワクワクしました。
また、靴を作り上げる為の面倒くさいほど細かい一つ一つの工程を、丁寧にこなしていく靴作りのシーンは、とても勉強になりました。
その作業は靴作りだけでなく、人生の色々な物事にも当てはめることができると思います。
真剣に物事と向き合う事の大切さを、そしてその事で、誰かを笑顔に出来る幸せを、改めて学ぶことができました。
学生時代に出会いたかったです。
とても面白かったです!
ありがとうございます。
中三の夏希の家は100年続く老舗の靴や「靴ノ往来堂」。
皮をイタリアから取り寄せ、全てをハンドメイドで仕上げる靴は、時間もお金もかかるので、注文はそれほど多くなく、経営は決して楽ではない。
五代目を継ぐはずだった夏希の兄は、マエストロ(祖父)について三年修業した後、突然家を出てしまい、後継者問題もある。
夏希は靴職人よりも靴のデザイナーになって、かわいらしいデザインを大量生産したいと思っている。
「後継者がいなければ、店はしめることになるか」という祖父のところに、いつも嫌味しか言わない夏希のクラスメイト宗太が見習いとしてやって来る。
まずタイトルが面白い。
外国の言葉かと思いきや、店の看板。
最近はあまり見かけないが、昔は横文字でも右から左へ読む看板があった。
それだけで、店が古くから続く老舗だとわかる。
外観は隣のガラス張りのビルの隣にちょこんと立つレンガ造りの三階建ての建物。
屋内は、ろうそくの明かりのようなライトに螺旋階段と、それこそイタリアの工房のような様子で、なんだか100年前にタイムスリップしたような気持ちになり、それだけで物語の中にひきこまれる。
頑固なマエストロ、使い込まれた道具や、マエストロが靴を作っている様子が、ありありと頭に浮かんだ。
店内では「おじいちゃん」と呼ばせない頑固なマエストロ、何十年もの付き合いのある顧客など、人物も魅力的。
「こんな高い靴なんてとんでもない」と言っていた人の気持ちがひっくり返る様が、爽快だった。
マエストロの作った靴を履いた人が喜ぶ姿を想像して、笑顔になった。
使い捨ての時代に一石を投じる物語だと思った。
夏希と宋太の後継者争いも楽しみ。
題名、アナグラム?と思って読み始めたけど違った。ここに4代続くオーダーメイド靴屋の矜持があるんだなあ。修行していたお兄ちゃんが出ていってしまったことを許せない夏希と靴作りに魅せられる同級生の宗太。2人の関係がだんだんかわってくるのも面白かったし、職人話が好きなので、靴作りの過程もワクワクしました。でもお兄ちゃん、どうするのかな〜と気になりました。
主人公は中学生だけど、高学年向き?
いつの間にか、使い捨てられるもの、安く手に入るものが便利で使いやすいという価値観が大手を振っている世の中になっている。
もちろんその利便性を享受している身としては、ついそちらを日々優先してしまうのであるが。
この本はオーダーメイドの靴を作り販売する小さなお店が舞台。
マエストロと呼ばれる靴職人のおじいちゃんの手先からは、個々の足が心地よく歩くことができる靴が生み出されていく。
合わない靴に足を押し込んで、歩き回る辛さは、パンプスで血豆を作りながら闊歩せざるを得なかった人にとってあまりに身近だ。
進路に悩む主人公は、「この靴に出会って世界がかわった、人生がかわった」という人たちを目の当たりにする。
お兄ちゃんが出ていったこの店。
後継者不足に悩むこの店。
複雑な工程を手作業で仕上げていく様は、世の中の流れに逆行しているかのよう。
それに、採寸時にお客さんに跪くマエストロの姿に、抵抗を感じていた主人公。
それらに対して、主人公がどう考えていくのか、が見どころだ。
自分以外の人たちの生き方に、目を向けていく主人公の成長ぶりが頼もしくもあり、まぶしくもある。
「まさか自分の人生が、たった一足の靴で変わるとは思いませんでした.......」
本の紹介のページのこの言葉にひかれて読み始めました。
オーダーメイド靴屋「往来堂」の店主はマエストロと呼ばれている。このマエストロの孫はシューズデザイナーを夢見る中学生の夏希。歳の離れた兄がいなくなり、夏希はこの店を継ぐか悩む日々を送る。
そんなとき注文したお客さんの一言が「まさか自分の人生が、たった一足の靴で変わるとは思いませんでした.......」という言葉です。
最近は安価な靴を使い捨てたり、ネットで注文する人も多いでしょう。それとは対極にあるオーダーメイドの靴は足形を取り木型を作り、好みの皮を切断し縫製したり、歩き方で靴を調整したりと時間がかかる靴です。
夏希のアイデアによりお客様のピンチを救います。
伝統を守ることもとても大切なことです。時代の変化とともに新しいことも取り入れながら、「往来堂」が続いていいくといいですね。
夏希のように夢がある中学生にも、将来についてまだ考えられないという中学生にもおすすめしたいです。そして今自分の履いている靴が本当に合っているのか考えてみて欲しいです。まだ成長期だからオーダーメイドの靴には早いかもしれませんが、靴屋さんで足のサイズを測ってもらいインソールを調整してもらうだけでも歩くのが楽しみになりますよ。
家業があるなしに関わらず、高校受験(中学受験)を前に、自分の将来の夢や仕事について考える子どもは多いと思う。
そんな子どもたちのモヤモヤした気持ちが素直に書かれていて、悩んでいる姿すら、すがすがしかった。
青春だな~。
大人の私は、夏希のおじいちゃんマエストロの生き方や仕事への考え方に共感できた。
大人になって、仕事をして思うことは、自分の仕事に対して、人が喜んでくれるのが、何よりもうれしいし、やりがいを感じるということだ。
家事でも、家族が喜んでくれればうれしい!
結局は仕事も含めて、生きていることって、だれかに喜んでもらえることを繰り返していくことなのかなと思う。
子どもたちには、人を笑顔にする(もちろん自分も笑顔になる)仕事を選ぶためにも、今いろんな経験をしてほしいなと思います。
「オーダーメイドの靴を作る靴職人」という、あまり接することのない世界が舞台だが、その職人の孫である中学生の目を通して身近な話として感じられることができた。
物語を読み進めていくと、単純にこの仕事や店を継いで欲しいという願いが芽生えた。中学生が読むとどのように感じるのか、とても興味深く思った。
誰にでもいろんな道があって、可能性があって、時には現実から目を背けてもいいことだってある…若い世代の子どもたちにぜひ読んでもらいたいと思った。
中学2年生にしては幼いのでは…などと思いながらすっかり物語に入り込み、夏希と一緒に怒ったり元気になったり楽しみました。オーダーメイドの靴職人の仕事が、道具や製法のこと、イタリアから取り寄せる革のこと、修行の道のりまで詳しく誤魔化しなく書かれていて、将来この仕事を目指そうという人が出そうです。結婚式用の靴のハプニングから宗太との関係が深まってゆく様子も、未来を感じさせる終わりもよかった。中学校図書館で購入しました。
オーダーメイドの靴職人のお店のおはなし。普段読むことのない職場は、ちょっと興味深々で楽しく読めた。祖父の仕事を尊敬しつつ、自分らしさも発揮したいと思っている主人公は、読者の年齢にピッタリ。背景には、サスティナブルや環境保護などもあり、読みやすさからも、中学生にぜひおすすめ。
読みやすくてよかったです。展開もスムーズで、テンポが良く、サクサク読み進められました。
お兄ちゃんのことについて言及がなかったのは、そこがメインではないからなのかもしれませんね。
宗太は、夏希からすれば嫌味なやつなのかもしれませんが(多分、あの年の子からみたら宗太は嫌味な子なのかも)、「これがしたい」に信念があり、決してへこたれることなく、ついていこうと思う様は、見習うところがあります。
進路小説としても、お仕事小説としても読める一冊だったと思います。
まず、タイトルの不思議さに本を見つめた。
そして「靴ノ往来堂」の読み方を見て、またタイトルを見る。この理由は本文にあるので、ここまでとするが、この図書は今年度の中学生の課題図書に選定されている。主人公も中学生の女の子。老舗靴屋の孫娘である。彼女の視点で物語は進んでいく。彼女が何を大切にしていて、何に疑問や怒り、悲しみを感じているかは、分かりやすく読めていく。そして、今まで感じていた想いが、この老舗靴屋の出来事とともに変わっていく様が読み取れる。多感な年頃のなかでの彼女の気づきを、そして彼女の奮闘ぶりをエールをおくりながら、読んでいけると思う。
それに加えて、靴について、靴作りについての細やかな描写も、それに興味がなくても楽しんで読んでいける。彼女の言葉で展開していく本は読後、元気をもらえる1冊だし、若い彼女らにエールをおくりたくなる。ジブンも何かを始めたくなる1冊!