もし、世界にわたしがいなかったら
ビクター・サントス 文 アンナ・フォルラティ 絵 金原瑞人 訳
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刊行日 2024/05/15 | 掲載終了日 2024/09/11
ハッシュタグ:#もし世界にわたしがいなかったら #NetGalleyJP
内容紹介
わたしは、ずいぶん長く生きてきた。
あなたが知っているだれよりも前から。
世界じゅうどこにでも、いろんな姿をした何千ものわたしがいる。
わたしはあなたを、つれていってあげられる。
過去へ、現在へ、未来へ。
わたしは、なんでしょう?
言葉が生まれて、人間社会は大きく変わりました。
人は成長とともに言葉をおぼえ、言葉によってものを考え、他者と交流します。
そしていま、世界で使われている7,000以上の言語のうち、少なくとも半分は、
2100年までになくなると考えられています。
本書はなぞときのようにストーリーが展開し、「わたし」がなにものであるかは、最後に明かされます。
言葉のもつ力やはたす役割、守ることの意味とは?
言葉についての哲学絵本。世界20言語で刊行。
おすすめコメント
★ユネスコ「先住民言語の国際の10年」公式絵本(2022~2032)
★ボローニャ国際児童図書展「新しいノンフィクション絵本」選定作品
* ドイツ・ミュンヘン国際児童図書館カタログ『ホワイト・レイブンズ2023』 選定作品
* 「dPICTUS 未刊絵本ショーケース」2022 年 選定作品
*イタリア・ボローニャ国際児童図書展「美と世界:新しいノンフィクション絵本」2023年 選定作品
* ユネスコ「先住民言語の国際の10年」(2022-2032年)の公式選定絵本
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784867060490 |
本体価格 | ¥1,800 (JPY) |
ページ数 | 42 |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
誰か一人のことでもなく、みんなすべてのことでもない。
私が誰かに伝える、私が何かを教えてもらう
そういう経験を人類はずっと繰り返してきたのだな。
何のためにあるのか、それを感じるまでもなく自然に接していて、
こんなに自然に接しているのに、分かり合えなかったりもする。
ことばがあってくれてよかった。ただそう思うことができます。
最後のオチがなかったら意味不明。だが、パチっとつながった瞬間、なるほどと腑に落ちた。これは大人向けの絵本だと思います。絵もなかなかいいし、言葉というものに対して色んな風に考えることができるのがいい。とても面白かった。
わたしは「言葉」そして言葉は「文化」
人間の歴史の中で、多くの言葉が消えてきた
日本でも、すでに失われた言葉がある
そしていま、各地の方言も徐々に姿を消しつつある
言葉とともに、文化も消えていってしまうという恐ろしい事実に目を向け、守るべきを守りたい
未来を生きる子どもたちに、もっと言葉を慈しむことを伝えていきたいと思った
もし、せかいにあなたがいなかったら、私はこの本と出会うことは出来ませんでした。
私よりもずいぶん長く生きているあなた。最初はひとりぼっちだけど今は世界中にいるあなた。
今日も私はあなたのおかげで、思いを伝えることができています。
優しい言葉とイラストで私たちがいつも触れる「わたし」について読んでいましたが、最後の読者へのメッセージは重く受け止めなくてはなりません。
どこかの土地で育まれてきた「わたし」がいなくなると、それは永遠に取り戻せなくなってしまいます。それは遠い場所の出来事ではなく日本においても言えることです。消えかけている多くの「わたし」がいることを知ることで、何気なくつかっている「わたし」をもっと大切に使いたいと思います。
「わたしは、ずいぶん長く生きてきた。あなたが知っているだれよりも前から。世界じゅうどこにでも、いろんな姿をした何千ものわたしがいる。わたしはあなたを、つれていってあげられる。過去へ、現在へ、未来へ。わたしは、なんでしょう?」
その問いの答えが知りたくて読んだ。私は一つの言語しか使えないけれど、もっと多く理解できればと思うことがある。言葉がその土地の文化もろとも失われていく現状に、私たちは何ができるのだろう。普段考えることのないテーマに少なからずショックを受けました。
言語の大切さを訴える大人向けの絵本です。
メッセージには共感するし、訴えることの意義もよくわかります。
ただ、少々、パワー不足かもしれません。
あとがきも大事だと思いますが、ユネスコからのメッセージは、趣旨がつかみづらい文章だと思います。
そして「先住民言語の国際の10年」という言葉は違和感があります。国連広報センターが公式サイトでそう書いているので仕方ないのだと思いますが、「(国際 先住民言語の10年)」などとしていただいたほうがわかりやすかったように思います(または注を付けて説明を補足)。
素敵な絵本でした。
ミステリアスにはじまり、なんだ、どういうこと? それっていったい?
そんな思いをかきたてられながら読み進めました。
そういう状況が起こっていて国連でも取り上げられていたとは、まったく知りませんでした。
指定図書、課題図書になってほしいですね。たくさんの方々に知ってもらいたい本でした。
金原先生の訳がすっと頭に入ってきました。さすがです!
ただ、表紙絵の感じはどうでしょうか? 不気味じゃないですか? 少しもったいないような気もしました。
ことばについての絵本。
絵の巧みさに目を奪われる。
このページにこの絵が!という驚きと納得。
ああこれ、バベルの塔ですよね?だからこのページに描かれているんですよね?
と、図らずも「ことばを使わない作者(絵)との会話」が生まれるのだ。
しかし、絵に描かれている文字の多彩さにも驚く。
しかもこれはほんの一部。そして失われつつあることばもある。
ことばが消えると、その文化も継承も消える。
言語の習得には時間と努力と日常の使用が必要。
この事実との齟齬をどう解決していったらことばは消えないのか。
そんなことを考えた一冊。時々開いて、そして考えたい。
当たり前のようにあると思って使っていることば。
この絵本に出会わなければことばの有難さを感じず日々過ごしてしまったでしょう。
子どもたちにぜひ読んでいただきたい絵本ですが、
親子で一緒に読んでいただきたい作品だと思いました。
図書館で多くの方に読んでいただきたい一冊です。
私が何者かが最後に分かるというストーリー。確かに言葉なくして人間の文明の発達はなかっただろう。コミュニケーションツールとしての言葉の役割、大切さが子どもにも理解できる絵本だと思います。金原さんの訳された作品は、ハズレなしだと常々思っています。
「ことば」自身に「わたし」という一人称を与えて、その歴史とこれからの憂慮と、失うわけにはいかない希望とを語らせる。
消えゆく言語はすなわち消えゆく文化であるという。世界中のことばの来し方行く末に思いを馳せるとき、人間がどれだけその恩恵に預かってきたかを理解できます。
わたし自身、本を読まない日はなく、ことばが大好きで、ことばがない世界など恐ろしくて生きていけない。伝えることの大切さ、受け取ることの豊穣さを真実感じ取りました。
西村書店さんらしく、絵がそれはもうすばらしかったです。
”わたし”とは何か、考えながら読み進めました。
最初は分からなくて、でも、アイヌの衣装を着た人を見て、もしかしたら・・・?と思いました。
何を書いてもネタバレになってしまうので、多くは語れませんが、気付きが多く深く考えさせられる1冊でした。
以前にもっと直接的に書かれている本を読んだことがあって、その時もとても考えさせられたのですが、本書のような遠くから核心に迫ってくるような表現もいいと思いました。
途中で「言葉」のことだなとわかりますが、
もし言葉がなかったらどうなっていただろうと考えます。
子供達に読み聞かせるにも考えさせながら読ませるといいなと思いました。
私は大学で言語学をとっていましたが、言葉とは文化や習慣を表したりしていて面白い。
私は今フランス語圏に住んでいますが、例えば「深い」という単語はフランス語でprofondと言うのですが、浅いと言う単語は存在しない、pas profond (深くない)が浅いという言葉で、英語でも浅いと言う言葉は存在するのに面白いなあと常々思っています。
「わたしは、ずいぶん長く、いきてきた」「わたしは、どこにでも、いる」「ネコのようにやわらかいー、アラスカの、冬のように、きびしいー」「最初、わたしは、ひとりだった」「またたく間に、消えて行く、わたしも、いる」そんな【わたし】は何者かと想像しながら読んだ。よむほどに【わたし】がわかるような?わからないような?世界には7164の【わたし】がいるのは驚いた!そんなに多かったとは。しかし、そのうちの半分は2100年までになくなると。ユネスコが2022年〜2032年を「先住民言語の国際の10年」とし、先住民の言語を保存するそう。私たちの先祖にもあたる人たちの【わたし】を大切にしないとな。