かなたのif
村上雅郁
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刊行日 2024/06/14 | 掲載終了日 2024/12/06
ハッシュタグ:#かなたのif #NetGalleyJP
内容紹介
そっか。虹のしずくは、ここにあったんだ。
友だちのいない香奈多と、友だちをなくした瑚子。中1の夏、ふたりは、秘密の場所で出会った。
瑚子がつむぐ夢渡りの黒いネコ、ドコカのお話。眠りの中で、いろいろな世界をおとずれるドコカは夢渡りのネコ。願いがかなう「虹のしずく」を探して、ひとりぼっちの誰かの前に現れる——香奈多はその物語を聞くなかで瑚子を知り、大切な友だちだと思うようになる。瑚子もまた香奈多と物語を分かち合う喜びを感じた。ある日、香奈多は信じがたい事実を同級生から突きつけられる。悩んだ末に、瑚子に会って自分の気持ちを伝えようとするが……。
物語をなぞるように重ねた「もしも」のはてで、ふたりが見つけた宝物とは――。
出版社からの備考・コメント
再公開にあたって、初版1刷下版後データを利用しております。カラー扉は含まれませんが、本文は購入できる本と同じ内容です。
***2024/10/7****
再公開にあたって、初版1刷下版後データを利用しております。カラー扉は含まれませんが、本文は購入できる本と同じ内容です。
おすすめコメント
ひとりぼっちが願うのは、だれかと、出会って、つながること。 心のそこから大切だと思える人と出会えたよろこび——『かなたのif』絶賛発売中!
***作者からのメッセージ***
今回、ひさしぶりの長編です。『かなたのif』……「if」とはなんなのか。「もしも」? いや、「インターフェース」? それとも……。
ファンタジーのような、SFのような、ひと夏のガール・ミーツ・ガール。夢と現実のあわいにゆれるこの物語をどうか、楽しんでいただけると幸いです。
販促プラン
****2024/10/7追加****
村上雅郁デビュー5周年特別企画『ショコラ・アソート あの子からの贈りもの』が24年12月6日発売。デビュー作『あの子の秘密』からこの夏発刊した『かなたのif』まで5作品に登場するサブキャラクターたち、それぞれのスピンオフをまとめた短編集。
短編5篇のうち、『かなたのif』のスピンオフ「バカナタの言うとおり」を現在、公開中!
https://www.netgalley.jp/catalog/book/482480
これを記念して、この夏発刊した『かなたのif』の下版後データを全ページ公開!
未読の方はぜひ、この機会に読んでみてください!
レビューもお寄せください。すべて作者の村上雅郁さんにお届けします。
↓終了しています(24/10/7)
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装画は人気イラストレーターげみさん。げみさんによるカバー絵の特製しおりを全員プレゼントいたします!
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書店陳列パネル、チラシなどに応援してくださるみなさまのお名前(希望名可)を掲載します。
ご希望の方は、「出版社へメッセージを届けたい方はこちら(非公開)」の欄に、「イフ応援団」と記し、掲載希望のお名前を書き添えてください。
【お願い】
頂戴しましたレビューは新刊販促のために、大事に使わせていただきます。書店向けパネル、チラシ、弊社SNSでの発信も予定しておりますので、ご理解ください。
*①〜③は、NetGalley登録メールアドレスを出版社に開示設定されている方が対象となります。プレゼントは国内在住の方への発送となりますのでご了承ください。
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784577052976 |
本体価格 | ¥1,500 (JPY) |
ページ数 | 320 |
閲覧オプション
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あるひと夏の物語。互いを大切に想う気持ちが世界さえも超えていく、更に人の生き方を読み手さえ引き込み共に考えさせていく、壮大な物語。
「空想はさ、自由だからさ」が心情の中学1年の香奈多。彼女が同様に生きる瑚子と図書館で出会ったのは、必然。〈かなた〉と〈ここ〉。名前の読みは離れているけど、心の底から大切と思い、真に結び付く者同士だから。そのやりとりの様を、表情を思い浮かべながら文字を追う。微笑みながら。
でも、2人には気付けない違和感が高まる。このまま続いて欲しいのに。とうとう、2人が〈共有〉していたこの世界が一気に崩壊する。世界のありようが、2年前に分岐した〈かなた〉と〈ここ〉という異なる世界に、2人を引き離す。何ということ。
互いの様子がわからないまま、悲しみに振り回される香奈多と瑚子。そして、ただ願うだけだったふたりが動き出す。再開の手立てを探し始める。交互に語られていくその様を、無言で応援していくしかない読み手の、なんと言うもどかしさ。
別々の道を辿る中でたどり着いた2人の気づきは同じものだった。人として大切なものは普遍だから。更に2人の生き様は、人間の可能性の、夢見る力の、そしてif〈もしも〉の力の賛歌へとなっていく。それにより、互いを互いのif〈イマジナリーフレンド〉とすることが、今までは惹かれ合う心が起こしてきたことが、今回は意志の力によって実現される。
天空に花火があがる中で、再会を果たした2人のやり取り。異なる経験を経た中でも同じ想いを伝え合う様には、ただ涙しかなかった。喜びと同時に別れの言葉だから。「自分はもういない。でも幸せだったから感謝している。だからこそこれからは、貴方が幸せになってほしい」。更に、相手に伝えたその方法まで同じ。『誰かと関係を築く』こと。
これから2人は、自ら人に歩み寄り新たな扉を開いていくだろう。このようなファンタジーでしか描けない、本当に大切な普遍なもの。それをしっかり受け取れた気がする。
最後に、ジェンダー問題や発達障害などを、人の多様性としてありのままに受け取れる、著者の温かな視線とそのスタンスに敬意を表します。
「君の話を聞かせてくれよ」で昨年のYAの話題をさらっていった村上先生の新作長編です。
身近な人を失った時、人はどうやって立ち直っていくのでしょうか。特にそれが子供に起きたとき、彼らは一体どうやって立ち直っていけば良いのでしょうか。
本作品はファンタジーやSF要素も交えながら、子供たちが深い悲しみから立ち上がるための方法を提示してくれています。また、児童文学に平行世界の視点を吹き込んでくれる新しい作品でもあると思いました。児童文学の中でも新しいジャンルの本を読んでみたい、SFの作品を読んでみたいけれども、どれを読んだらいいかわからないと言う子供さんがいたら、ぜひこの本を手に取っていただければと思います。
かけがえのない友達を思う気持ちが繋がったとき、奇跡が起きる。この本を読んで、「本当にそんなことがあるかもしれない」と思いました。そして、この2人のように奇跡が起こせなかったとしても、自分の大切な人が幸せに過ごしている世界があることを信じることができました。だからきっと、2人ともが存在している世界もあるはず。登場人物たちの心情や、言動からたくさんのメッセージが伝わってくるようです。猫の冒険のエピソード、どれか絵本とかになるといいな。
少女たちの美しい友情をあますことなく描きあげた大作。
心に効く読書体験でした!
いろんな感情があふれだしてきて、あれ?泣いてるの、俺?
って具合に自分でもビックリ。
この作品が巻き起こす共感の渦が今から想像できますよ。
主人公は2人の中学1年生。
それぞれに孤独を抱えていた彼女たちの
くすんだ日常が、刹那の出会いをきっかけに、
鮮やかなまでに変わっていきます。
心が踊り、よろこびにうち震えるような
語らいの末に2人が知ったのは、
思いがけない運命の巡り合わせでした。
切なる願いがかなっていく高揚感。
そして「まさか」がもたらす衝撃。
ぜんっぶ持っていかれました。
ラストでは満たされた幸福感と、
終幕のさびしさからくる喪失感が
ない交ぜになった気持ちのまま、
呆然となるしかありませんでした。
・・・・・スゴいのが来た。
”ひと夏のガール・ミーツ・ガール”
というフレーズに、苦手な話かも?と
懸念しましたが、誤解もいいところでしたね。
夢いっぱいのストーリー。
想像力に秘められた無限の可能性。
生きる力と踏み出す勇気をくれる主人公たち。
そんなまばゆい魅力に引き込まれ、
大人でも時間を忘れて夢中になれました!
これは辛さを抱える人ほど刺さると思います。
心のすき間を埋めてくれそうだから。
一方で、自分はポジティブと思う人にも
強烈に推したくなります。
もっともっとハッピーになれそうだから。
終盤で主人公の一人が立てた誓いは、
著者の決意表明そのものでもあると感じました。
ぜひとも、末永く
この作品のような素晴らしい物語を産み出して、
子どもたちの未来を明るく、やさしく照らしてください。
(対象年齢は10歳以上かな?)
挿画がげみさんとのことだったので読んでみました。香奈多と瑚子の不思議な経験を通して、2人だけでなく読者も忘れかけていた大切な感情に辿りつける展開がとても良かったです。女子同士の絆を描いた部分にも惹かれます。SF的要素に関しても説明がわかりやすく、SF初心者やちょっぴり不思議なお話が読みたい人にも向いている作品かなと思いました。ただ香奈多の設定がちょっぴり特殊で、読み慣れるまでに時間がかかりました。
「ガラス越しにくぐもる蝉しぐれが、冷房の効いた教室の空気をふるわせる」
冒頭の一文で物語に引き込まれました。
何度も「そうきたか!」と思いながら、香奈多と瑚子の物語を行ったり来たりさせてもらいました。
お互いを大切な友達と思えること、自分に味方がいると思えることが、どれだけ自分にパワーを与えてくれるのでしょう。
二人の想いあう気持ちに、読みながらホロリとしました。
祐実と香奈多、横田さんと瑚子のこれからも楽しみですね。
物語も素敵なのですが、村上さんの言葉や文章の美しさを感じてほしい!
授業中の教室の窓から夏空を見上げる「香奈多」と、放課後の教室で青空を見上げる「瑚子」空を見上げ雲を見ていたふたり。ふたりの心情が交互に語られ物語は進み秘密の場所でふたりは出会う。そこから始まるガールミーツガールの物語。
物語がとても優しく、言葉に心が洗われ宝物にしておきたい言葉や心に留めておきたい言葉をノートに書き写した。一番好きなのは遥香ちゃんの「パパが最後にくれたプレゼント」についての言葉だ。私が高校生くらいに読んだ(タイトルは忘れてしまったが)小説のなかにも同じような言葉が書かれていて、悲しいときいつもその言葉を思い返していた。でも遥香ちゃんがとてもすてきな人で、私は遥香ちゃんの言葉をこれから大切にしていきたいと思う。
この作品の感想をどう書いたらいいのか、この一週間とても悩み三回読み返した。読み返すたびに思うのは、どこか違和感を抱えるところもあるのに誰も取り残していかない物語であることの素晴らしさだ。人と出会い思いを伝えることにより、歩幅はそれぞれ違うけれど一歩進む力が与えてくれるようだった。
かなたのユニークさに個性だと言いながら、現実では大人たちの安心材料がほしくて何かと名前を付けたがる。だけど名前をつけないことにより、この物語をすんなりと受け止めることができた。
これは「かなたのif」の物語であり、「ここのif」の物語でもある。
そして読者が「虹のしずく」を探すとき「読者のif」の物語が始まり大切な人に出会うことができるのかもしれない。
小中学生だけでなく、大人にとっても宝物になる物語になるだろう。
爽やかなそれでいて含みのある筆致に期待を高められながら、読み進めることができました。
多様な視点を重視する村上氏の作ということで、最初から意図して記述されているであろう違和感に、いろいろな想定をめぐらせながらの読書となりました。そして、思っていた予想のさらに上をいく設定には驚きを禁じ得ませんでした。こういった物語は今までなかったのではないでしょうか。
ある障がい特性をそなえているであろう主人公への作者のまなざしの優しさと確かさにほっとしました。
物語を盛り上げるために、安易にひどい状況においこんでしまうという、いわゆるよくある展開をさけ、未来へへ、希望へとつながる展開に徹したところに児童文学作家としての誠実さ、志の確かさを強く感じました。
気になった点としては、家庭教師の彼があまりにも流ちょうに事柄を分析し、説明するところでしょうか。とはいえ、情報を整理し解説していくなんらかの手立てが必要であり、その点では無理のない存在であったともいえるのでしょう。
素晴らしい作品でした。読ませていただきありがとうございました。
物語の世界にとてつもなく魅了された。想像、夢、希望、熱い思いに震えた。どこかにあるかもしれない別の世界。その世界にわくわくした。二人の少女の世界が瑞々しく、切なく、あたたかく、これからの未来が大きく広がっていて、胸打たれる世界だった。二人ともそれぞれ自分自身に負を感じていることはあるけれど、出会いと経験を通し、助けられながらひとつひとつ決断し、成長する姿に心動かされた。そして丁寧にゆっくりと接してくれる家族や周りの人物は皆温かく、なんて素敵な世界なのだろう。
私たちは常に何かを選択をして生きている。そしてどれを選んだとしても、そのどの選択にも世界は存在する。どれが正解か不正解とか、損得があるかないかとか、そういうことではなく、ただどの世界も存在する。ただそれ。自分にとっての心動く選択は何か、自分にとって今大事なことは何かを気づかされる。たくさんたくさん想像して欲しい、希望を描いて欲しい、たくさん見て、聞いて、感じて、思って、考えて……そうすれば、きっと多くの世界が存在し、選択が広がる。
世界は広い、優しい、あたたかい、あなたの味方はあなたの中にも、そしてすぐそばにも、どこかにきっといるよと伝えたい物語。それは子どもだけでなく、大人にも、すべての人に伝えたいメッセージ。
序盤は違和感の連続で戸惑うこともあるでしょう。でも大丈夫、安心して(だけど注意深く)物語を堪能してください。
喪失を体験したからこそ、強く強く願うお互いの存在。なんと言っても香奈多のことがどんどん好きになっていくし、応援したくなりました。パズルがはめられていく後半は、『?、?!、!!』の繰り返しとなり、心地よい疾走感と共にページをめくる手が止まらなくなります。
なんて美しくて、きらめいていて、胸を深く深く打つ物語だろうー。『かけがえのない大切な存在』について考えさせられる、きみに寄り添う物語。
いつもひとりで想像の世界を楽しんでいる香奈多は、ある日、瑚子という同い年の子に出会って意気投合し、毎週金曜日に彼女に会うのが楽しみになりました。ドコカという夢渡りのネコの話や、願いが叶うという「虹のしずく」の話をしてくれる瑚子は、香奈多にとってかけがえのない大事な人になったのです。
瑚子のことが大好きでしょうがない香奈多は、クラスメートにも彼女の話をしたのですが、わかってもらえません。
このふたりのそれぞれの想いが交錯するストーリー展開がとても不思議で、どんどんページをめくってしまいました。
思い続けることの大事さ、悲しいときは悲しいと言う素直さ、誰かといるから楽しいと思う幸せ。
たとえ近くにいなくても、いつも心の中にあの人がいるということ、それが大事なのですね。
あれ?
あれれ?
二人の視点から同じ場面が語られるのに、なんか変・・・。
同じなのに、少しだけ同じじゃない。これは、まさか、作者の間違い?
そんなわけない。
じゃあ、自分の読み間違い?
そう思いつつ読み進めていくと、少しずつ薄紙がはがれるようにわかってくる。
当たり前だと思っていた世界の構造が、揺らぐ。
人の想いは、世界さえも動かすのだろうか。
ifにこめられた作者の気持ちが、痛いほどに伝わってくる作品だった。
序盤は、ちょっと戸惑うかもしれない。
しかし、軽い文章なので、読んでいける。
そして、中頃まできたところで、「ああ、そういうことか」と何が起こっていたかがわかる。
「何が起こっているのか」は興味深い仕掛けでワクワクさせられたけれど、この話の本筋は、この中盤以降にあるのだと思う。
少し寂しいような、切ないような話だけれど、多くの読者の心にぽっとあかりが灯ると思う。
空想好きでいつも一人ぼっちだったかなたと友達になったここも実は一人ぼっち。
かなたの気持ちの表し方がとても素直で受け取る側が難しい時もあるけれど、そこをとてもわかりやすく表現しありとても優しい気持ちになりました。
もしも…と思うことはたくさんあるけど、その解説も物語を通してわかりやすく説明されています。
わが娘と同じ年代の子供たちの物語の中に、少しの違和感を持ちつつ読み進めていくと、、、
「こういうことだったの・・・?!」
気づくと目のまえが滲んで、心がおおいに震えるのを感じました。
こんなのはじめて!
電車の中で読み始めましたが、後半は涙を止めることができず、
ひとりの時間に大切にそっと読み進めました。
これは読書ではありますが、デトックスのような、、、うーん、ちょっと違うなぁ、
自分という入れものを何かキラキラしたあたたかいもので満たしてもらうような
不思議な、そしてすてきな体験です。
最後は瑞々しい幸福感と、少しの喪失感を味わいながら、
どんなことがあっても生きていけると思える力を私もいただきました。
すごくすてきな物語でした。
夢渡り、という存在にやられました。
その夢渡りの黒ネコ、ドコカが香奈多と瑚子、ふたりの少女をつないでいるように思いました。
ドコカの物語を分かち合いながら、おたがいを深く知り、関係が深まります。
香奈多から見る瑚子、瑚子から見る香奈多が、少しズレがあり、それが前半の終わりにわかるしかけとなっています。
「夢渡り」が後半の鍵にもなり、この物語の輪郭がわかってきます。
あーこういった世界が私の現実にもあるんだ、と、読後感はあたたかな気持ちになりました。
もちろんクライマックスは涙があふれてきて、自分自身の気づかなかった心の傷が救われるような、そんな気持ちにもなりました。
想像することのすばらしさ、これからの可能性。
読書っていいなあ、と思いました。
おすすめの1冊!
村上さんの作品をこれまで読んできて、今回も楽しく読みました。クロネコの登場、そして最後の終わり方はこれまでの作品を思わせるところがあり、知ってると「むふふふ」となりました。主人公のひとり「香奈多」の一人称が「ぼく」なのも意図的なのでしょう。「ぼく」とココの関係がわかった時に、衝撃を受けますがそれもまだ物語の中盤。「もしも」の世界を行ったり来たりする展開に、わかりにくそうになりながらも、どちらの世界も違和感なく読み進めていけました。寂しく思うところもたくさんある物語だけれど、それ以上に、生きてて良かった、一緒に過ごせて良かった、と思わせてくれる作品でした。
読み始めは「夢と現実どちらが本当?」と混乱しましたが、次第にどちらでもいい、会えるだけでしあわせという極致に達します。
2人の少女だけに留まらず、周囲の人の心情も変えていく心温まる物語。
世界は違っても会えることはある。心からそう思いました!
どういうことなんだろう?
ページを戻りながら考えたり感じたり。
そして、主人公たちに寄り添っている自分に気づきます。
かなしいという気もちが起きるのはどうして?
それに対してのことばが、心に刺さります。
本を読み終わるのに、後ろ髪を引かれる内容でした。
まだこの世界とかかわっていたいと。
久しぶりの村上作品。今回はどんな物語で楽しませてくれるのか。物語は2人の少女のそれぞれの視点から進んでゆくのだが、読み始めてすぐに違和感を感じる。丁寧に丁寧に読むも『?』が消える事はないのだが、大きく展開してからは『なるほど』と何度もつぶやいてしまう。タイトルの『if』の意味にも、少女達の名前にも壮大で素敵な意味が込められている事に感動する。人を想う心が、想像力が大きな奇跡を起こす。何度も涙を流しながら読んで、読了後は心地良い余韻と、心が浄化されたような清々しさを感じた。
周りと合わせることが苦手でどうしても浮いてします香奈多(かなた)と内気だが空想力が強い湖子(ここ)。
ふとしたことで出会った二人は意気投合、何度も会ううちに仲良くなる。
規格外の行動をするかなたとここ、正反対の二人が紡ぐ友情を読むのがともて気持ちよかったです。
しかし、この出会いが実は作品世界の重要なファクターになっていることがわかると、読み方がガラッと変わってきます。
こういった展開は予想してなかったな~、巧い!
そのことについて徐々に理解を深めていく二人が出した答えがまた素晴らしく良かった。
ターゲットとしてはヤングアダルトなんですが、大人も全然読めます。
ぜひ親子で読んで、お互いの感じ方を話してみてほしいですね。
面白かったです!
物語の始まり、そして終わる場面でも真っ青な夏の青空をきりさく飛行機雲が印象的。本を閉じてまたはじまりの飛行機雲をみにもう一度読み直したくなった。これから飛行機雲をみるたびにこの本を思い出すのかもしれない。
無数に存在する可能世界。あるかもしれない世界。そのひとつひとつに、違うわたしとあなたがいる。その世界はお互いに交わることはないのだけれど、ひとつだけ方法がある。ちがう世界のあなたにあうすべが。想像すること、強く願うこと。心の底から大切に思う人にであえることは、さいわいだ。そのとおりだ。自分がかつて出会いそして今はもういない、大切な人のことを思い、胸をつかまれるように切なくて、そしてなつかしくなった。喪失を抱えつつ思うこと、願うこと、想像することのちから、著者の作品からはいつも感じとることができる気がする。
村上さんはイマジナリーフレンドを題材にした作品が印象的で今回もそういう感じなのかなと思ったら少し違う感じでした。
主人公は香奈多と瑚子。順番に語り手が変わる。時間軸が違う?同じ場所にいるはずなのにいない?見えてない?色々な疑問が浮かんできますが最後は胸に響く結末でした。
村上さんの作品の中で1番好きかもしれません。
「想像することは、別の世界にアクセスすること」
変わった言動で孤立しがちなカナタは中1。
そんな彼女の前にココと名乗る女の子が友だちになってほしいと現れる。
だが彼女は2年前に交通事故で亡くなっていた。
「かなしいのはいっしょにいられたことが幸せだったから。だからそのかなしいのはその人からの最後にくれたプレゼント」
この夏の必読書の一冊。
出だしからいつもより軽い筆致に怯みつつ、あのシリアスでシビアな世界観はどこに潜んだのかと構えた。中1の香奈多の超個性的な存在の裏にある悲しみのようなものが感じられるに従い、物語の世界に入ることができた。もうひとりの主人公瑚子が登場し、関わりが深まっていくのに、どこかすれ違うような掴みどころのない印象に戸惑う。読みながら一体ここはどこ?誰が誰なの?と気持ちが揺れた。ifの意味を知り、世界の構造を語られれば、そんな可能性が誰にもあるのか⁉︎と救われたような気がした。いつもそばにいる。大切な人は決して消えない。
不思議な空気感を漂わせる、とても優しい世界。
ファンタジーやSF的な要素もあるので、最初は「あれ…?」と戸惑いつつも、いつの間にかその優しい世界に入り込んでいました。
いろんな可能性毎に存在するたくさんの世界、普段は決して交わらないけれど、想いの強さからひと夏だけ、心の交流を通してしなやかに成長する姿に勇気をもらいました。
子供たちだけではなく、いろんな人におすすめしたい本です。
二人の女子中学生が出逢ったことで始まる物語。
二人とも友達がいなくて一人寂しく毎日を過ごしていたが偶然の出来事で仲良くなる。
このまま二人の親密な関係が進んでいくと思っていたらこんなお話になっていくのかとビックリ。
それぞれが大きな事件にあったり巻き込まれたりしてて、二人の気持ちがすごく分かる気がしました。
ファンタジーなのかと思うところもありますがとても心を締め付けられるお話で良かったです。
本のタイトルが最初はどういうことと思っていたけどそういうことなのねと読み終わって理解できた。
ちょっと個性的で周りとうまくやれない香奈多と、中一の夏に出会い友達となった瑚子。二人の視点が交互に描かれますが、読み進めていくと徐々に違和感が。でも、その先にとっても優しい想いが待っていました。人はこうして深い悲しみから立ち直っていくんですね。香奈多の個性を温かく受け止める母親の在り方も素敵で、同級生の佑実の成長も気持ち良かったです。誰もが無限の可能性のifを持ってることを思い出させてくれるひと夏の物語。YAですが大人が読んでも十分面白いと思います。げみさんの装画も素敵。
不思議なお話でした。読みながらずっと?はてなマークが頭に浮かんでいる状態で、予想していたifとちがったけど、ステキなifでした。
思春期の夏休みにはこんなことが起きてもおかしくはないと思える、夏にぴったりの不思議なお話。
私にもifがあると想像したら、生きるのが数倍楽しくなりそうです!
香奈多はどういう子なのかな?どうも一風変わった子らしい。家庭環境も、なんだか事情がありそう。気持ちの通じ合う友だち瑚子と出会った香奈多。読み進めるにつれて、二人の不思議なつながりと過去が明らかになっていく。
登場する二人の人物の交互に変わる視点で、少しずつ謎解きされつつ読み進める。ifとは何か?「自分」について深く考え、自分の大切な人について想いを馳せたくなる1冊でした。
深く、透明な、魂の邂逅。ひと夏のガール・ミーツ・ガール。これは、頭で読む物語ではありません。これは、心を澄ませて感じる物語。
どうか、この『かなたの if 』だけは、最後までまっすぐに読んでみてほしいのです。相手が話しているのに口を挟むことのないように、じっと耳を澄ませて読み進めてみてください。とても不思議で、えっ?あれ?ってなっちゃうストーリーを、どうか、そのまんまに。不安定を自分の知っているなにかに無理やり結びつけて、落ち着こうって焦らないでください。「不思議」と「不安定」に踏みとどまってみてください。
そして、そっと、香奈多ちゃんと、瑚子ちゃんのそばで、二人のふれあい、二人のことば、二人の心が、あなたの心へふりそそぐ、音や匂いや温度をそのまんまに受け止めてみてください。
やがて、頭が覚えた「えっ?」も、「あれっ?」も、じつは大した問題じゃなくなっているのに気づきます。大切なことは、頭でわかることじゃないみたい。だって、頭じゃ全然まだチンプンカンプンで分からないのに、ぎゅーぎゅー心が揺さぶられて、だーっと涙が溢れ出して、かーっと体が熱くなるんですもの・・・わたしは、今、間違いなく、香奈多ちゃんや瑚子ちゃんと過ごしてる。これは、現実なんだ。私にとっての現実なんだ。夢でも、幻でもない、現実が私を包んでいる・・・
映画を見ても、本を読んでも、頭で見て、頭で読むと知識にしかならない。でも、この物語を心で読むとき、それは、本物の自分の真実になる。
そんな豊かな可能世界を村上雅郁さんはくれました。遥香ちゃんの痛みも幸せも、佑実ちゃんの不器用な好きも。そして、二人が見つけた、いちばん大切な人間が生きる意味・虹のしずくも。これからを生きていく心構えも。全部。大切な私の真実。だってこんな心が響鳴してその熱は冷めないんだもの・・・
言い訳するのには頭が要ります。でも、今を生きるには心、夢を本気で見られる心が必要です。
「夢みることはほんとうのこと」、そして、どれだけの if をもてるかは、どれだけ人生を豊かに深くできるるかという事。素敵なプレゼント、ありがとうございました。
ひとりぼっちって実はありふれていて、そんなひとりぼっちの儚い願いもまた世界にはたくさんあふれている。でもそれは社会に消されてしまったり、自分で消してしまったり、それがあたりまえで、だから儚いのかもきれないけど、村上先生はしっかりとその儚い輪郭をつかんで抱きしめようとしている。いや抱きしめている。そんな作品だと思いました。今までの作品と同じようにこの作品にも村上先生の優しさが溢れてる。
それからやっぱり村上先生の作品の中の黒猫はかっこいい。今回も良かったです。
ラストのカメラワークのテンポも良かったです。
いつまでたっても、争いや差別はなくならないし、それに苦しむ人たちもいる。
日々、伝わってくる悲しいニュースに触れていると、そもそも、すべての人々が平穏を得られる世界を望むこと自体が無理なことだと諦めたくなる瞬間は、誰にも訪れうるものだと思います。けれど、よりよい未来をがくると信じ続けていれば、いつしか残酷な世界の在りようは形を変えるかもしれない。
ふたりに起きた奇跡を通して、悲しいニュースの先にいる人々のことを想像し、その痛みに共感すること、理想や希望を思い描くこと、信じることの大切さを訴えかけてくる作品だと思います。
読後は、このふたりが出会えて本当によかったと心から思いました。
少し違って少し似ている二人の可能世界。
お互いを必要とし強く会いたいと願った時に起こる奇跡と、最後に見つけた『虹のしずく』のありかに、心が暖かくなりました。
そして、これから先の二人の世界に佑実が彩りを添えてくれたらいいなと思いました。
『かなしいのは、いっしょにいられたことが幸せだったから。』とても素敵な言葉です。
作中に出てくるドコカの旅の話。
会いたい人に会うために夢渡りをするお話。
こんなふうに夢渡りができたら、私もあの人に会いに行けるかな?と思いながら読みました。
友達のいない香奈多と、人とうまく話せない瑚子。中1の夏休みに2人は出会った。瑚子が創作した夢渡りの黒ねこドコカの話に夢中になる香奈多。こうして、香奈多は瑚子を大切な友達だと思うようになる。ところが、あるとき香奈多は同じクラスの女子から、信じられないような事実を聞いてしまう。ここから物語は一気にこれまでとは違う、ミステリの様相を見せ始める。終盤、香奈多の家庭教師のみりんくんが解説する可能世界論(自分のいる世界とは別の世界が存在している)を聞いて初めて納得できた。物語全体が独特な世界感だった。読みたいと思いながら未読の「君の声を聞かせてくれよ」も、是非読んで見たい。
中1の夏に出会った二人のぼっちの少女。各視点から交互に紡がれる二人の世界には微妙なズレが生じていく。互いを必要とする二人がどう真実と向き合っていくのか、無限の可能性と優しさが詰まった青春SFファンタジー。
戻れない時をどう考えるか。かけがえのない大切な人を失った時や、何かを悔やんだ時。時は巻き戻せなくても、今生きてるココでやり直せる事がある。そういう無限の可能性を教えてくれる作品。
あの時に戻れたら、という後ろ向きなものではなく、前向きな「if」が少しずつ積み重なって出来た不思議な世界に魅力された。
私やあなたにもあるかも知れない「if」の世界、感度100%!
中学生で他の人とリズムが違う香奈多、他人との付き合いが得意ではない無口気味な瑚子が出会ったあの場所。「if」とは、イマジナリーフレンド?それとも?
瑚子が紡ぐ猫のドコカの物語の「虹のしずく」はどこにあるのだろうか。その虹のしずくを見つけた時、自分の中にある「世界」を知った二人。生きている場所は違うかもしれない。けれど、世界にある物語をそれぞれが生きていること知り、自分に出来ることがある希望と未来を知った。君を知らなかったらのif、一緒に過ごしたif、自分の考えていた空想をだれかと分かち合うよろこびのif、香奈多と瑚子のif、一人では無理でも二人ならきっと大丈夫!それぞれの可能性と未来を知った「ifの世界」だった。ドコカが繋ぐカナタとココの物語。
『りぼんちゃん』『あの子の秘密』から井上雅郁さんのファンです!
YA世代にステキな物語をありがとうございます!!
書店に平積みされていたら、
間違いなく手に取ってしまうような
美しい装丁に惹かれて。
児童書を読んで思うのは、
子ども向けの作品なはずなのに、
大人の自分が読んでも本当に
学ぶことが多いなということ。
たとえば、「あなたは実はもう
この世界にはいない人なんだよ」と
他者から言われたとする。
私は、どうやって自分が
"今ここで生きている存在"だということを
認識するんだろう。
悩んで悩んで、それでも答えは出ませんでした。
大切な人がそばにいて、
隣で笑っていてくれる。
それは全然当たり前なんかじゃなくて、
明日には消えてしまうかもしれない。
そばにいてくれる人たちを、
より一層大切にしたくなりました。
どのようにレビューを書いたらいいかとても迷いますが…ネタバレしたくないので、とにかくまず読んでみてほしいです。
現実を生きる苦しみ、喪失の悲しみ、そして、再度世界とつながる希望が村上先生のやさしくてあたたかく、そしてポップな文章で描かれた世界観をたくさんのこどもたちに味わってほしいと願います。
この夏休みの読書に、多くのこどもたちに手にとってもらいたいです。
ひとりぼっちでいることは悲しい。本当は誰かと一緒にいたい。そして出会った最高の友達。でもその友達はもういない。ー中学一年生の香奈多(かなた)が「秘密の場所」で出会った瑚子(ここ)。香奈多と同じ中学で同じクラスという瑚子を香奈多は知らないけど、瑚子は香奈多のことを「よく知ってる」という。話し出すととまらない香奈多の話を瑚子は優しく聞いてくれて、瑚子のネコがみる夢の話も香奈多は楽しそうに聞いてくれる。二人は友達になった。心の底から大切だと思える最高の友達に。
タイトルのifの意味は物語を読み進めるうちに明らかになってくる。ifがあるからこそ、人は強く生きていられる。ifがあるからこそ、人は相手を愛おしく思うことができる。ifがあるからこそ、人は相手を赦すことができる。今、ひとりぼっちで悩んでいる人へ。この物語はあなたに夢見ることの大切さを教え、前に進む勇気を与えるでしょう。
「if」という言葉に込められたいくつもの意味がこの物語の中では問い直されていく。あるときには「もし過去の出来事が今と違う形であったなら」という後悔とともに思い出される仮定として、あるときには自身の思いの逃避先としてのimagination friendに。そしてそれらを前向きにとらえて今を変えて行く言葉として。
主人公はおそらく多動性とか学習障害とか呼ばれる子なのだろう。集団の中のひとつの駒としての価値観から個としての存在価値に気付いていくのは成長過程の少女にとって本当はとっても難しいことなのかも知れない。そのことを想像の中でのパラレルな世界を開き、その中での真逆な結果や身近な人の思いに寄り添うということを通して、価値を解き明かすという何とも素敵なストーリーを読ませてくれる。本書に登場する家庭教師の大学生が語る理論が本当にあるのかは知らないが、たとえそれがSFであってもなかなか粋なお話ではないかと思う。
しかしながら何気なく話す大人の言葉が子どもたちにとって時には追いつめるものになっていることを改めて心にとめておこうと思わされた物語でもありました。ネーミングと言い、いろんな気づきをくれた著者の方にありがとうの一言をおくります。
二つの世界に生きる香奈多(かなた)と瑚子(ここ)。
香奈多が語るパートと、瑚子が語るパートが交互に出てきて物語が進んでいくが、どこかちぐはぐな印象を受ける。
展開するごとに、その謎が判明していくのだが、過去の話の伏線回収と、これからの二人の未来の話のどちらもが温かくてホッとした。
かなしいことがあっても、かなしいだけで終わらせない。そんな決意が二人の中に共通している。
それは香奈多のお母さんの言葉でもある。
そして互いの世界に生き続ける二人を繋げたのは一見、意地悪に見える佑実で。
「この世に友だちは一人もいない」と信じきっていた二人が、実は色んな人に見守られているという事実は、とても優しく、勇気づけられる。