死んだ山田と教室
金子玲介
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刊行日 2024/05/15 | 掲載終了日 2024/05/15
ハッシュタグ:#死んだ山田と教室 #NetGalleyJP
内容紹介
金原ひとみ、佐藤友哉絶賛!
// 受賞作の快進撃が⽌まらないメフィスト賞から、
また新しい 才能が⽣まれました //
2024年の⼤注⽬作は
死んだ⾼校⽣がスピーカーに憑依した話!?
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夏休みが終わる直前、⼭⽥が死んだ。
飲酒運転の⾞に轢かれたらしい。
⼭⽥は勉強が出来て、⾯⽩くて、誰にでも優しい、2年E組の⼈気者だった。2学期初⽇の教室は、悲しみに沈んでいた。担任の花浦が元気づけようとするが、⼭⽥を喪った⼼の痛みは、そう簡単には癒えない。
席替えを提案したタイミングで、スピーカーから⼭⽥の声が聞こえてきた……。
騒然となる教室。
死んだ⼭⽥の魂は、どうやらスピーカーに憑依してしまったらしい。今の⼭⽥に出来ることは、話すことと聞くことのみ。
〈俺、2年E組が⼤好きなんで〉
声だけになった⼭⽥と、2年E組の仲間たちの不思議な⽇々がはじまった――。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
【 関連リンクより〈PV動画〉〈試し読み〉を公開中!是非ご確認ください!】
〈PV動画〉https://www.youtube.com/watch?v=1jFenif7MFo
〈試し読み〉https://tree-novel.com/works/episode/bff89ce960ac9579dade2e7b7924a8f7.html
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■ 歴代メフィスト賞受賞者からの推薦コメント ■
[金原ひとみ]自分はなぜ生きているのか、自分はなぜ死なないのか、逡巡の中にいるすべての人へ。
私がずっとデビューを待ち望んでいた新人の、ユーモアと青臭さと残酷さと優しさが詰め込まれた快作です。
[佐藤友哉]「これは本格ではない」その罵倒を背負うミステリがついに誕生した。
[風森章羽]くだらないのに楽しい。けれど、ほろ苦くて切ない。青春とは、山田である!!
[柾木政宗]最強を最強と言い切れる山田こそが最強で最高。2年E組がうらやましくなりました。
[砥上裕將]こんな角度の切り口があったのかと驚かされ、こんな結末まであるのかと震えた!
[真下みこと]自分には経験がないはずの男子校での日々が、妙な生々しさで蘇ってきました。
[五十嵐律人]ダサくて、眩しくて、切なくて。青春の全てと感動のラストに、大満足の一作。
[潮谷 験]校舎に忘れてきた繊細な感情を拾い上げてくれるような物語でした。
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著者/金子玲介(かねこ・れいすけ)
1993年神奈川県生まれ。慶應義塾大学卒業。『死んだ山田と教室』で第65回メフィスト賞を受賞。
出版社からの備考・コメント
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ご協力の程、何卒宜しくお願いいたします。
★★★
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恐れ入りますが<講談社 出版営業局>まで直接お問合せをお願いいたします。
★★
出版情報
ISBN | 9784065348314 |
本体価格 | ¥1,800 (JPY) |
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死んだはずの山田の声が、教室のスピーカーから聞こえる。それだけ聞くと怖いけど、このストーリーでは全くそんなことはない。生前から山田はクラスのムードメーカーで、夏休みの終わりに事故で死んだ山田を悼んで沈み込んでいたクラスの空気は、スピーカーから山田の声が聞こえたのをきっかけに活気づく。男子特有のノリで、ばかばかしい普通の日常が描かれる傍ら、山田の復活にいろんな思いを感じているクラスメイト達が描かれる。終盤まで、この本がミステリーだということを忘れて、単純に青春や、命のはかなさについて思いを馳せながら読んでいましたが、終盤の和久津との会話に、これがミステリーだったことを思い出させられました。明かされる事実と和久津の想いに胸が痛みましたが、良い結末になってホッとしました。
クラスの人気者の山田が突然、飲酒運転の車に轢かれて亡くなってしまう。山田はバンド活動したり、モノマネをしたりと、男子高校の人気者だった。
そして3日後、山田は転生する、しかも教室のスピーカーとなって。
突然、教室のスピーカーから山田の声が聞こえてくる。しかもクラスの生徒と会話もできる。しかしスピーカーなので見ることはできない。あくまでもスピーカーのコーン紙を通してのコミュニケーションなので、音を出すか、音を聞くしかできない。なかなか上手い設定だ。
突然スピーカーが話し始めれば、知らない者は驚いてしまう。なので合言葉を決めて、その言葉で呼びかけたら山田が返答するということにする。その合言葉が脱力ものだ。
一応ミステリの仕立てになっているので、なんとなく謎解きっぽいオチはある。しかしそれはあまり本質ではない。
一人ぼっちで教室にいなければならない山田と2年E組のクラスメイトとの交流を描くちょっと変わった青春ものなのだ。
轢かれたのは夏休みが終わる直前、半年もすればみんなは3年生になって教室も変わってしまう。果たしてそれまでになんらかの結末が訪れるのか。
またバカバカしいファンタジーと言ってしまえばそうかもしれないが、男子校ならではの友情がけっこう楽しめる。
世の中は男子校とか女子校ではなく、徐々に共学にシフトして行っているようだ。それもダイバーシティの社会なので仕方ない。
だが、男子校には男子校の、女子校には女子校の独特な文化と伝統がある。この小説を読んでいると、そのあたり、残って行ってもいいのではとおせっかいにも感じてしまう。
そうすれば、こんな(いい意味で)バカっぽい小説だって生まれてくるわけだし。
世間では、転生もののラノベや漫画、アニメが流行っているらしい。若者の流行かと思っていたら、意外にもサラリーマンに人気だという。日々の繰り返しに飽きたサラリーマンが転生ものに触れて憧れるとはなかなか世知辛い時代になったものだ。
これまで人は転生して、時代を越え、場所を越え、あらゆるものを超越して色々なものになった。そして一方、刀剣乱舞で名刀が人になり戦ったように、色々なものが疑似化され、命を持った意外なものなんてのもある。
それらの延長線上にある世界線として考えるならば、人がスピーカーになってもいい。そんな気持ちになれる不思議な魅力のある一作だった。
そしてラストでは、意外にもちょっと涙目になってしまう。うーん、意外だ。
死んだ山田の魂が教室のスピーカーに憑依した、この設定だけでおもしろさ確定でした。
偏差値の高い男子高校だけれど、うろたえるあまり「プレートの幽霊」に思考がたどり着いたり、くすっと笑えるやり取りも楽しい。
けれど、だんだん見えてくるせつない事実…。
「うるさい無音」という表現には、痺れました。
第65回メフィスト賞受賞作。
この作品のPVを先に見ました。PVがまるで新作映画の予告編のようでこのままのキャストで映画化してほしいくらいです。読んでいると脳内で登場人物たちが生き生きと話し動き始めます。
夏休みが終わる直前、山田が死んだ。
悲しみに沈む2年E組の2学期初日。なぜか山田の声がスピーカーから聞こえてくる。山田はスピーカーに憑依しそれまでと変わらず同級生たちと話す。山田は2年E組が大好きなのだ。
不思議だけれどなぜかホラーでもオカルト要素は感じなくて、ただ男子校ならではのくだらなくておかしな日々が続いていく。その会話や行動がばかばかしくて笑いながら読んでいた。
しかし進級や進学で同級生たちは2年E組を離れていかなければならない。2年E組を離れていく同級生たちの思いも理解できるし、離れて変化する関係性や感情があるからこそ、誰一人悪くないと思えてくる。
PVを見ていなければ、山田に対してここまで感情移入したかは分からない。笑いながら読んでいるのにスピーカーのなかにいる山田の表情が忘れられなくて山田の一言で一気に急降下するし感情の波が押さえられなかった。
これはまさに青春の物語。楽しくて友達とくだらないことで笑いあって、将来に悩んでもがきながら過ごした高校時代が閉じ込められていた。今の高校生たちにだけでなく、大人たちにもぜひおすすめしたいです。
山田、出会ってくれてありがとう。
大絶賛!
男子高校生たちのくだらなくも愛すべき空気に満ち満ちた世界。ただどれだけ大切でどれだけかけがえのない時間にも終わりは来てしまう。それを知っている我々は、この物語を平静な心で読み切ることはできない。
もちろん女性でも現役高校生でも、とても楽しく読める傑作であることは間違いない。それでも、かつて男子高校生であった読者(それもある程度の年齢を重ねた者)への刺さり方には遠く及ばないと思う。世の中には女性にしか楽しめない作品もきっと多くあるだろう。だから許してほしい。これはきっとかつて男子だったことを噛み締める者のための物語だ。
面白かった!
前半の馬鹿馬鹿しくて楽しい青春と、徐々に悲しく苦しくなっていく後半部分、変わっていく気持ちや関係、貫かれる友情、全部が合わさって、なんかすごいものを読んだ!という感じでした。
すでに死んでいる山田は、いつ死ぬのか。
他人に受け入れられるための自分、自分が受け入れられる自分、本当の自分、偽物の自分など、この本を通じて、それこそ青春時代に考えてたこととまた向き合わさせられたように思います。
個人的には高校生のとき「山月記」を読んだときと似た気持ちを覚えました。
これは、「え、ミステリーなの?」と読後人によってはそんな声が聞こえるだろうし、「いや、これはある意味ミステリーだろう」という声も聞こえる。
山田という存在についてのミステリーであり、2年E組の個々のミステリーだろう。ただ、私としてはミステリーという名のブロマンスじゃないのか?と思う人々がいるんだけど、どうなんですかね?
そして、青春って人に見られたくない。けれど、他人は見てみたいそんなとびきり些細で本人にとっては重大なミステリーの塊だということを、山田は教えてくれている気がする。
交通事故で山田が死亡し喪失感に沈む2年E組の面々。空気をおおきく読み違えてる担任。そして、スピーカー山田の登場、そして、なんやかんやで受け入れる。冒頭からの一連の流れがあまりにも予想外&軽快すぎて度肝を抜かれる。
教室内での最強の配置とか、アホ全開の合言葉とか、でも、倫理観はちゃんと(うっすら?)あったりして、傍からみてても青春の空気感が楽しそうで、でも、流れる時間には逆らえないのが切なくて、青さと痛さの配分が絶妙でした。
土曜の夜にひとりラジオしてる山田の陽気で静かな孤独がたまらない。
まず会話や地の文のテンポが小気味良く、「こんな文章を持って読んでいたい」とページを捲るのが楽しくてだけどもったいなくて感じてしまった。
男子校のノリがこれでもかと詰まり、バカやってるんだけどそれは決して眉を顰めるものじゃなくて、あの頃だからこその盛り上がりが楽しかった。それでいて泣かせにくるとこもあって、すっかり物語に没入していました。
各話ごとに山田とクラスメイトのコミカルなやり取りがあり、ただただ過ぎていく不思議な日常は次第に「山田が死んでしまったこと」も絡めて進んでいく。そうして私が理解していったのは、人間は不変ではいられないということでした。
季節が巡り環境が変わっても普段通り山田と接したり、逆に距離を置いたりするクラスメイト。そこには優しいとかドライなんて単純な言葉を当て嵌められない、死んだ山田を相対することで芽生える彼らなりの成長の印がある。その青さにきゅっと胸を締め付けられました。
物語が進むと今度は『青春の消費期限』に思いを馳せるようになりました。
あの瞬間あの場所だからこそ生み出せていた、青春というフィルターを通した空気感がいかに貴重だったのか。無常にも日々が過ぎて大人になっていく二Eと少しずつ心を目減りさせていく山田の対比が、私を堪らない気持ちにさせました。
そして明らかとなる「なぜ山田は死んでしまったのか」や「スピーカーになってしまった理由」は確かな痛みを伴うものの、そこからの怒涛の掛け合いには熱く胸を震わせるものがありました。
変化球的ではあるものの、青春小説の傑作が誕生したのだと思います。
交通事故で山田が死んで3日めの教室。
気分転換に席替えをしようと言う、空気の読めない担任の提案に、いたたまれなくなって声をかけたのは…山田!!!?
山田、お前、スピーカーになっちゃったのか?
死んだ山田の声がスピーカーから聞こえてくるって、こわっ…!
…いや、山田と話せてみんなけっこう楽しそう?
みんなの会話を聞いてると、山田を中心にクラスの雰囲気がめちゃめちゃいいし、馬鹿げたやりとりは青春そのもの。
話すことしかできない山田のために、あれこれ考えてくれるみんなの気持ちが嬉しすぎて、やばい、泣きそう…。
でも、いったいこれ、どうなって終わる物語なんだ??
できるだけ見ないふりしてたいけど、山田の孤独を思うと辛すぎて、まだ確かに存在している友情に縋りたくなる。
でも誰かに縋ったとして、その先は?
ちゃんと生きて、ちゃんと終わりにできますように。
そんな普通のことを、
普通でありながら普段は考えないようにしていることを、願いたくなる。
青春の無邪気な楽しさを味わえるけど、絶対に、「面白かった〜」だけでは終われない作品!
夏休みの終わり、飲酒運転の車に轢かれて死んだはずの山田。
彼が憑依したのはクラスのスピーカー!?
皆の人気者だった山田がスピーカーとして復活したことでクラスメイトも大喜び。男子高校生らしい合言葉を使い、クラスメイト以外には内緒でスピーカーになった山田『スピ山』とのスクールライフを楽しむ。
しかし、この生活も長くは続かず……
はじめの明るいシーンから一転後半はシリアスな空気に。
どうして山田はクラスに戻ってきたのか。
いつ成仏するのか。
クラスに戻ってきて彼は幸せだったのか──。
はじめは登場人物の多さに戸惑いましたが、読み勧めていくうちに理解できるようになりました!
明るい場面もシリアスな場面もとても楽しく読めました。
山田のたとえツッコミが大好きです!
おもしろい! そしてちょっと泣かせるし、なんだこの本、この小説、今までなかった規格外のありえない、でも強く強く読者をひきつけるおそるべき小説でした。
これがオーディブルなんかになったら、どうなるんだろう。もう絶対に声に出して読みたいし、聞きたいですね。
それにしても、ああこうなっていくんだ、そうなんだあと、想像の軽く上をいく展開でした。
びっくり! そして感動! (まさかこの筆致で身震いさせられるとは。)
読ませていただきありがとうございました。本屋大賞をぜひ狙ってください!
男子高校生のわちゃわちゃに抱腹絶倒しつつ読み進めると、章を重ねるごとに違和感、苦しさ、寂しさを感じてくる。
それでも一気読みさせる勢いがあり、力強いラストに涙が止まらなかった。
誰もが少なからず抱えている生き辛さや孤独に寄り添い、それでも生きろと強く訴えかける物語だった。
死んだ山田の声が教室のスピーカーから聞こえてくる、だけ聞くとどんなファンタジーよ?って思うかもしれないけど、全くそんなことない。
男子校特有のノリが笑えるのに、親しい(親しかった)人間が死んだあとの時間の経過がよく表現されている。その明るさと死というダークなテーマが上手く合わさっていて、とても魅力的な作品だった。
私自身、同級生を自死で二人亡くしているので2Eの彼らの気持ちがとてもよくわかる。忘れているわけではないんだけどね……あの頃には戻れないんだよ
いやぁ超面白かった!会話のリズム感と展開のスピード感、今どきの男子高校生たちのド直球な青春が充満して溢れ出し、読み始めたらもう先が気になり過ぎて一気読み!その度肝を抜かれる設定と友情密度と、次第に現実味を帯びて来る展開のコントラストが見事!そしてラストの急転直下の余韻が凄い!車に轢かれ不慮の死を遂げた高2の山田が、悲しみに包まれた2-Eの教室に、突如声だけで復活する。喜んだクラスメイトたちは、その秘密の日常を再び楽しむのだが…。成長過程の若さや熱い思いと、それが過ぎゆく時には抗えない切なさが心に響く。イチオシの青春ミステリー!
山田を演じたPVも拝見しました。
一括りに青春って言ってもいろんなことがあったなぁ
なんてしみじみする懐かしさ。
席替えとか文化祭とか。
山田も死なずに一緒にやってたらどうなったのかな。
卒業まで上手く笑えていたかな。
少しは本当の自分を見せられる友達はできたかな。
最初はコメディーチックな展開でずっと行くのかな
と思いきやどんどんダークなオーラが出てきて
ぐいぐいと引き込まれました。
素で生きられる人って中々いないのはわかってて
どんどん殼みたいな人格を被せて人は強くなってくるものって思っているから
仕方がない事だけど切なくなったな
まず、タイトルの「死んだ山田」という部分に目が引っかかり、次に「スピーカーに憑依してしまった」という設定の面白さに感心して、どんな展開になるのか読んでみたくなりました。
前半は、高校生らしいノリの良い会話で描かれる楽しい世界。中盤からはそこに苦味が1滴2滴と加わりはじめ、その後に続く不安が忍び込みます。そして、少しずつ明かされる山田とクラスメイトたちの過去や本音にうなずきつつ、ラストがどうなるのか、ずっと気になっていました。
そのラストは、それまでのわたしの想像以上の作品でした。
全体的に会話で進む物語で、サクサク読めます。
死んだ山田が、教室のスピーカーに憑依した!?
そんなぶっとんだ設定とは裏腹に、前半は山田と同級生たちのくだらない話が延々と続いて、そのくだらなさにクスッと笑えてしまう。かつて高校生だった男子たちは、より楽しめるのではないだろうか。
「もっと2Eのみんなと一緒にいたかった」という山田の願いが、山田の魂をスピーカーに憑依させたのでは、という推測でみんな納得するのだが、後半は予想に反する出来事が起こり、「これはいったいどんな形で収束するんだろう…」と気になりすぎて、ページを繰る手が止まらなかった。
青春小説のようなノリの前半から、後半にかけて一気にミステリ風味が増してくる、そのギャップが快感!
ぜひかつて男子高校生だった人たちに読んでほしい。
すごく仲良しクラスの人気者・山田くんの突然の事故死。
みんなが悲しむ中、なぜかクラスのスピーカーに憑依?転生?して、クラスメイト達と会話ができる!
なんと斬新な設定!
男子高生の生き生きと交わすやり取りに、呆れたりクスッとなったりグッときたり…。
これってどういう結末になるの?と思いつつ読みすすめ…。
「青春」という言葉が心に切なく思い浮かぶ作品でした。
メフィスト賞受賞作の拝読は昨年の『ゴリラ裁判の日』に続いてですが、メフィスト賞がジャンルを問わず「面白ければ何でもアリ」をテーマとした新人賞ということで、今回の作品もどんな設定でどんな吹っ飛んだ内容なのか楽しみにしてました。
その期待に違わず夏休みの終わり頃に交通事故で亡くなった男子校2年E組の人気者山田が、2学期が始まって山田の死を悲しむ2Eの仲間たちにスピーカーから話しかける。
このとんでもない設定にビックリさせられたが、男子校あるあるの話や大人になっていく過程での悩みやジレンマが描かれており、最後には成長していく山田以外の同級生との考え方や生きている者独自の生活とのギャップが山田を苦しめる。
ただ一人中学校からの知り合いの阿久津によって山田の死の真相が語られていく最後の謎解きによって良質のミステリーである事も分かった。
事故で死んだ高2の山田が、クラスのスピーカに憑依し、会話をする。ギャグとホラーが混ざったような突拍子もない設定を、男子校特有のノリが更に超えてくる。音を通して見えないモノを感じ取っていく、青春と成長の葛藤を描いた友情物語。
男子校や高校生男子特有の愉快な会話がテンポ良く続く中で、特別に誇張した表現がないにも拘らず、不思議な事にちゃんと長い孤独も襲ってくる。独りだけクラスに取り残されたままの山田と、どんどん時が流れていく周りとの隔たりを、残酷なまでに自然に刻んでいる所に圧倒された。
ぎゅっと凝縮された激情がどこへ向かうのか。正解のない人生の道標を、不器用に照らし合う、心揺さぶる物語。
コンセプト通り「メフィスト賞」はいつも突き抜けて、斜め上を独走している、と改めて感じさせられる唯一無二のラストも最高だった。
なんだか斬新な設定だけど、男子高校生たちの下らないけど愛おしい会話が面白いなぁー…なんて思って読んでいたのに!時間の経過は残酷で、それぞれの思いがさらされ、どんどん引き込まれてしまった。和久津くんが罪に問われてしまうかなぁ、また山田くんと出会ってほしいけど。
確かに楽しくて、最強だった時間はあったはずだけど、戻らないし戻れない。でも私は覚えていたい。
山田よ、どんだけ愛されてんだよ。高校生の山田は交通事故で亡くなった。人気者の山田はみんなから愛されていた。ところが物語はここから始まる。なんと、なんと声だけ復活したのだ。教室のスピーカーから流れる声とクラスメイトが交流していく。しかもかなりの時が流れてだ。こんなのが好きな読み手はかなり多いと思う。ありそうでないパターンだ。楽しくバカバカしいだけではないのだ。こんな青春小説はいい。たまらなくいい。山田、ありがとう。
不思議な、でも心を打つ青春群像劇。「山田」がいる事でこんなに生き生きと青春を過ごしていく2年E組の皆。はじめは首を傾げ笑いながらよむが、次第に懐かしさと羨ましさの交互に表情が入れ替わる。山田の本音「ファイア山田のオールナイトニッポン」さえもが青春の叫び。〈クリスマスイブ=山田の誕生日〉、〈2年E組の教室と別れる終業式〉。さらに〈卒業式〉。甘く苦い青春が、「山田」を含めたみんなによって輝いていた。
一転して「山田」と和久津による後日談。それを噛み締めながら読む。「山田」の本音と和久津の願いのぶつかり合い。そしてわかったこと。「山田」の心は自分が思う〈空っぽ〉ではなかった。ぎっしりと詰まっていた。だから、みんなは充実していたんだ。だから、〈今の山田〉は辛いんだ。そうして二人は叫ぶ。青春の頃を超えて。
そしてその先には涙しかなかった。そう、「山田」は読む者に涙を残してくれた。ありがとう。
「山田」がもたらす、不思議な、でも熱く輝き、そして胸に突き刺さり、最後に叫んでいく、青春群像劇と人の生き方の新たな物語。
勉強ができて面白くて誰にでも優しい2年E組の人気者だった山田が、飲酒運転の車に轢かれて亡くなったことから始まる物語。
死んだクラスメイトが、人間でも動物でもなく教室のスピーカーに憑依するなんてぶっ飛びすぎ!さすがメフィスト賞、自由すぎる!
くだらないことを本気でやるのがまさに青春だし、死んでからも青春が続くなんて最高に面白いと思っていたのに、後半にかけての展開はとても切なく、時が過ぎていくことの残酷さを感じた。
個人的にはオールナイトニッポンの場面が特に好きだったので、オーディブルで聴いてみたい。
山田が死んだ。
夏休みの直前に、飲酒運転の車にひかれて。
でも山田は俺たち2Eのみんなと居続けた。
教室のスピーカーになって…
この本の3分の1位まではミステリー作品だということを全く匂わせず、ひたすらくだらないです。
男子校でのありそう、な会話。くだらないと言いながら笑っちゃいます。
山田の考えた最強の2年E組の席順の表は、登場人物たちの多いストーリーでとても助かりました。
山田は死んで身体はない。
山田を殺した運転手も懲役2年が確定している。
大好きな2年E組のみんなは進級し、卒業し、社会人になったけれど、山田は高校2年生のままだった…
じわじわと嫌な、そして死んだ人間がスピーカーになる設定なのにグイグイと現実に連れて行かれる感じがしました。
そしてラストには!
あーーーーーーーーーーーーー!
この本を読むことができて良かったです。ありがとうございました。
死んだ山田が教室のスピーカーに憑依⁉︎
え、どんな展開…⁉︎と気になって
リクエストさせていただきました
テンポ良い文章で綴られる、
男子高校生のおバカなわちゃわちゃ具合が楽しい♪
全然スマートじゃなくて、ちょっとダサくて
でも抜群にキュッと胸に迫る青春
するするっと読み進めるにつれて明らかになっていく
山田とクラスメイトの過去や抱える思い、
そして事故の真相…
高校二年生ってことは
三年生に進級するとクラス替えもあるし、
受験や卒業も控えているわけで…
そこはそう、温度差が生じてくるよねぇ
軽快な前半と現実味を帯びてくる後半の
コントラストが素晴らしい
アホらしくて切なくて苦い、サイコーな
作品でした
夏休みが終わる直前、交通事故で死んた2年E組の⼈気者だった彼の魂が教室のスピーカーに憑依する青春小説で、だけになった周囲をよく見ている人気者の山田とクラスの仲間達の不思議な日々は、一方で文化祭で学校外のバンド活動や中学時代のことなど、いいことばかりではない知られざる一面も明らかになっていったり、仲間たちが進級したり卒業したりする中で取り残される孤独にはハッとさせられましたが、そんな彼に最後まで寄り添い続けた和久津と迎える結末が印象的な物語になっていました。
不慮の事故で亡くなった男子高校生が「声」だけの姿(?)になってクラスメイトと過ごすという、
なかなか考え付かないような設定に引き込まれる。
偏差値はずば抜けて高いが、やることは結構アホっぽい今どきの?男子高校生たちが登場する。
男子校のわちゃわちゃした実情を覗き見たいという人には、望み通りの一冊と言えよう。
だが、首都圏に住む者ならおおよそこの高校のモデルがどこであるかは容易にわかるだろうし、
書かれている内容も何というか...内輪ウケの世界のようにも捉えられる。
この学校を卒業して系列大学へ進学した者たちの多くは大企業に勤め、国家公務員、政治家になる者もいる。
我が国の企業風土、政界の有り様もこの内輪ウケの空気が漂っているのではないだろうか?
著者は、それを読む者に問いかけているのかもしれない...?
ある日、クラスの人気者の山田が死んだ…高校生が事故死するって悲しい話のはずなのに、そんな山田がクラスのスピーカーに憑依して話し出す。何ともユニークな設定。男子校ならではのしょーもない会話と、10代ならではのパワーに笑いながら読んでいるが、ふとした瞬間に山田は死んじゃったんだな、山田はこの先どうなるんだろ?と考えてしまう。楽しかった高校生活も終わり、1人残された時どうするんだろうと心配になってしまう。山田が最後どうなるのか知りたい一心で一気に読んでしまう。唐突に始まり、唐突に終わる感じも良かった。
夏休みの終わり、クラスの人気者だった山田が死んだ。そして2Eのスピーカーに声だけが憑依した⁉︎真相は不明ながら2Eのみんなと会話はできる状態で山田の余生(?)が始まった。くだらないことこの上ない男子高校生の会話にちらちら混じる本音。青春を浪費するのも青春の特権。学年が上がり、みんなが卒業する際の温度差に山田の立ち位置が映る。読み終えてみれば、そうかタイトルが語っていたのかと納得できる。山田の孤独、山田の逡巡、山田の存在感。和久津との葛藤に胸衝かれ、こんな友情もありだと妙に腑に落ちた。
穂木高2年E組の中心的な生徒だった山田は夏休みに事故死する。2学期が始まり、E組のクラスメイトは至極落ち込んでいると、なんと教室のスピーカーから山田の声が。「二Eのみんなとずっと馬鹿やってたい」という山田の願いが彼の魂をスピーカーに憑依させたのか……。
死者がなにかの形で現世に残るという舞台設定、失われたはずの青春の「延長戦」を登場人物が謳歌するという冒頭の筋書き。そのどちらにも初め、感動の青春ストーリーとしての既視感を感じた。しかし、読み進めるなかでその感覚は覆される。
2Eのメンバーが進級しても、卒業しても、何度も春がやってきても山田の「成仏」というゴールは訪れない。さきほどの「感動の青春ストーリー」として見るならば、いつまでたっても物語の「オチ」がつかない状態だ。クラスメイトたちも、まさにそのような筋書きで「山田が2Eに残っている」という現象を捉えていたのだろうか。物語に飽いていくように、クラスメイトが抱いていた山田への情念(愛情、友情、悔恨、感謝……)は年を経るごとに、確実に削ぎ落ちていく。結局、山田がスピーカーに憑依していようとも、時間とともに山田の生も死も風化していってしまう。
私の先入観を見透かしているかのような、物語の転換に驚かされ、時間の経過の残酷さ、それでも風化しなかった一つの友情、「オチ」のつき方に驚かされた。
第65回メフィスト賞受賞作。
死んで声だけになった山田と同級生との不思議な日々。
男子校の悪ノリから少しずつ本音が混じってきてグイグイ読ませる。
終盤のシリアスな展開には胸打たれ、前半とのギャップに感情が忙しい。読んだ人と感想語りたくなる。
死んだ人のメッセージの伝え方?コミュニケーション?としては初めて見た斬新な方法でした。
笑って読みながらも、これ、どんな形で終わるのだろう・・・とずっと不安で、気になって・・・。
どうか成仏して!と願いながら読み進めました。(読み終わってからは、別の心配が・・・。)
教室の雰囲気は、懐かしい高校時代が鮮明に浮かび上がってくるようでした。バカなことを言い合って笑って、言い争いになってモヤモヤして、キラキラした青さで満ちています。
交通事故で死んだはずの山田が教室のスピーカーに憑依した。話すことと聞くことしかできない山田の霊と2Eのクラスメイトの交流は…。男子校でありそうなあれこれにくすっとしながらも、実は有名進学校の生徒である彼らがこの後どうなっていくかが想像できて、苦しくなる。切なくて愛しくて優しくてほろ苦い日々。完璧に見えた山田の素顔が少しずつ見え、2Eの友人たちも日々を重ね変わらずにはいられない。終盤明かされる真実と怒涛のラストにはうっかり息をするのを忘れた。メフィスト賞らしいとも思える心に長く残りそうな一冊だった。
金子玲介さん、初読みの作家さん、「死んだ山田と教室」という不可思議なタイトルに惹かれて読み始めました。
交通事故で死んだ山田君、高校の自分のクラスのスピーカーに生まれ変わった・・・様々な転生ものがありますが、無機物・スピーカーというが面白い。
スピーカーなのでクラスメイトと会話ができます。男子校らしいワイワイ感が楽しい序盤。クラスメイトの個性も良く伝わり楽しいです。
親の立場で読むと、なぜ家族のもとに帰ってくれないのか、と思いましたが、山田君の悲しむから、の言葉に男の子らしい優しさを感じるシーンもありました。ワイワイの前半から、悲しい後半に・・・ クラスが変わり、元クラスメイト達は山田君のもとを訪れなくなり、やがて卒業・・・ なんと前半と後半の対比、見事な描き方でした。出版社のPVも見ました。出版界の新しい切り口として面白かったです。おススメです。
山田が死んでスピーカーに取り憑いた。あのいいやつだった山田が。男子校ってこんなノリなんだろうか。声だけ残った山田と2年E組の面々との会話、テンポよすぎて最高!移り行く季節、学校行事の出来事、幕間として挟まる深夜のなんちゃってラジオ番組。愉快でおバカな男子校青春物語。いやいや、メフィスト賞受賞作ですもの、そんな単純なものではなかった!徐々に生徒たちの思惑や本心が見え隠れし、学年が変わり、各々が大人になって行くのだから、世知辛い真実や別れだって…。山田の死者としての生き様、ラストまで共にいたあいつ。こんな結末を迎えるとは、の衝撃のラストに泣きました。
設定から不思議な話をイメージしていましたが、実際は男子高校生たちの瑞々しい感情や時々悩みを感じさせられる王道な青春小説でした。とにかくユーモアしかない山田というキャラクターが凄く良い。正直読み終わりたくないほどでした。読めば読むほど彼の熱い性格に惹かれるし、個人的にはところどころで描かれる深夜ラジオのシーンが好きでした。またタイトルの伏線回収も見事。最後まで目が離せない熱量のある物語でした!
メフィスト賞は展開が面白く読みやすい作品が多いのが印象にあります。
飲酒運転の車に轢かれたクラスメイトの山田くんはクラスのスピーカーに憑依します。
最高のクラスにしたいと思っていた山田くんは最高の席替えを提案します。
2学年なので勿論進級もするわけで、お別れもあるということ。
人気者の山田くんの側面がどんどん顕になっていきます。中学のときの山田くんがどんなだったか、バンド活動してた山田くんのキャラがどんなだったか、、クラスメイト以外からはどう見えていたか、、。その後のクラスメイトとの関係性も結構リアルだと思いました。
みんなが卒業するときや自分が願えば、何かの要因があれば等、成仏する条件をうっすら考えながら読み進めましたが、だんだん様相がおかしくなってきたことに気付き、これってイヤミス?奇妙なやつ?と戸惑いながら読みました。
ラストはネタバレになってしまうので喋りませんが、ちょっと衝撃でした。映像化や舞台化にしても面白いかもしれないですね。
穂木高2Eのクラスメイトの山田が…夏休み中に車に轢かれて死んだー。ある日、まさかの事態が!スピーカーから山田の声?なぜだかわからない。3年に進級しても、あの時のクラスメイトが卒業しても…何年経とうが山田はそこにいた。人は成長し「あの頃」は過去になるのが常だ。しかし山田は高2のままそこにいる。途中はバカ話しで面白く感じたものの、この先の彼はどうなるのか?山田からのまさかの事実の告白とラストに…そういうことか!と。
山田の告白を受けて、彼もまた辛いな。
正直、前半が長いと思ったが、
それも読者を、山田のいる教室に連れていくための構成だったのでしょう。
山田の死の真相をめぐるミステリーになるのかな?と思ったら、
成仏できない山田と、距離感のさまざまな生徒たちの物語でした。
なんともいえない読後感。
クラスの人気者の山田が突然事故で死んでしまった。
クラス全体が山田の死を受け止めきれないでいた。
そんなとき、突然山田の声が教室のスピーカーから聞こえてきた。
死んだ山田が声だけとなってクラスメイトの前に現れた。
生前と同じようにクラスの人気者として過ごす山田。
そんな中開催された学校祭。
山田のクラスのカフェにやってきた山田の知人たち。
クラスメイトの知らない山田のことがあきらかになっていく。
第65回メフィスト賞を受賞した笑いと涙の異色青春小説の衝撃作ですね。男子高校の夏休み明けの教室に2年E組の人気者の交通事故で死んだ山田の声が突然にスピーカーから聞こえてきて教師も生徒もぶっ魂げる。正統派のミステリーではなく幻想ファンタジーですが面白みの果てに苦しさ苦さが待ち受けていて男子の友情、永遠に生きる事の苦悩が心に突き刺さりました。この結末には賛否両論あろうかと思いますが結局はこうなるしかないだろうなとも思えましたね。奇想天外な筋立てで読ませる著者は今後大いに期待できますね。
最初と最後で印象が大きく変わる作品でした。
ややお馬鹿な言動が多い男子高校生達のやりとりから始まるため、終始このノリが続くとしんどいなぁ、と思いましたが次第に読んでいてだんだん辛くなる展開へ変わり、流石メフィスト賞と言わざるを得ないと思いました。
高校生から大人へ変わり行く世代の思考の変化が悲しくも嬉しい、やや寂しいことを思いださせてくれる作品でした。
次回作もぜひ読みたいです。