死の前、「意識がはっきりする時間」の謎にせまる
「終末期明晰」から読み解く生と死とそのはざま
アレクサンダー・バティアーニ、訳:三輪 美矢子
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刊行日 2024/03/21 | 掲載終了日 2024/03/20
ハッシュタグ:#死の前意識がはっきりする時間の謎にせまる #NetGalleyJP
内容紹介
死の前、意識が明確になることがあるのはなぜ? 認知科学者が「終末期明晰」の謎に挑む。
亡くなる前、それまでまともに話すこともできなかった人が、家族や知人を認識し、思い出や感情を語り出す……生き生きと、まるで「昔のその人」が戻ってきたかのように。
本書は、「終末期明晰」と呼ばれるこの不思議な現象について、科学的な視点から説明を試みる本です。
目次
第Ⅰ部 「だれか」であることについて
第1章 「だれか」であり、「やがて死を迎える」ことについて
第2章 死と病、そして「わたしたちは何者か」をめぐる問い
第3章 自己の回復
第4章 ことの始まり
第Ⅱ部 終末期明晰
第5章 実態解明に向けて――パイロット調査とその影響
第6章 「話がしたい」――思わぬものを目撃した人々の孤独
第7章 網を投じる
第8章 目撃者の証言
第Ⅲ部 死ぬときの心、遍在する心
第9章 白いカラス
第10章 極限状態の心と脳
第11章 死ぬときの心
第12章 死の間際の知覚
第13章 死の間際の心と記憶と視覚
第14章 臨死体験と終末期明晰を関連づける
第15章 よりよく理解する
第Ⅳ部 人格、死、意味
第16章 保護された自己
第17章 なぜそれが重要なのか
■著者紹介
アレクサンダー・バティアーニ
ブダペスト、パズマニー・ペーテルカトリック大学の理論心理学および人格主義研究研究所(Research Institute for Theoretical Psychology and Personalist Studies)所長。ウィーンのヴィクトール・フランクル研究所所長。また、モスクワ精神分析研究所の客員教授として実存的心理療法を教える。著書・編書は15冊以上あり、学術的な著作は10か国語に翻訳されている。日本を含め、世界各地での講演経験も多数。現在はウィーンとハンガリーの地方の二拠点で暮らしている。
三輪美矢子
英日翻訳者。国際基督教大学教養学部卒業。訳書に、ジュリエット・ファント著『WHITE SPACE 仕事も人生もうまくいく空間時間術』、ジム・クウィック著『LIMITLESS 超加速学習』(以上、東洋経済新報社)、オリヴィア・リームス著『STRESS FREE ネガティブな感情を力に変える ケンブリッジ大学の研究者が明かす科学的に正しいシンプルな63のメソッド』(ポプラ社)などがある。
販促プラン
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出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784046067203 |
本体価格 | ¥2,300 (JPY) |
ページ数 | 368 |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
この本は第一章の冒頭で紹介されているように、人の意識や思考、認知症、死と死にゆくことといった、著者の研究テーマにまつわる物語である。
またそれに関連する現象や目撃した人々の証言が紹介されている。
そもそも死とは何だろうか。臨床的な死の三大兆候とは、心拍の停止、呼吸の停止、脳幹反射の停止である。
その死に至る数日前から数時間前に不明瞭な意思疏通しかできなかった人の意識が突然明瞭になる事例がある。私も看護師として臨床で「終末期明晰」が起きた場面に何度か立ち会った。新人のときに私が働いていた病院ではその現象について「死の3日前に歩く」といった言葉で表現されていた。死の三大兆候についてはもちろん学生時代に学ぶ。しかし最期の命が輝くその瞬間については大学では学ばなかった。
それはオカルトといった類いではない。そして死の間際に全員に訪れる訳でもない。長年抱いていた不思議な謎についてどう迫るのかとても興味深く読んだ。
まず「終末期明晰」という言葉を初めて知った。
そして臨床においては多くの人がその事例を経験しているということが書かれている。またこの現象を論文として発表したあと、目撃した人々から届いたエピソードも紹介されている。
死は一度しか経験することができない。当然その経験は語り継がれることはない。そのため本書では第三部で「臨死体験」をした人たちの証言をもとに、その体験談が紹介されている。それは走馬灯を見た体験ともいえるだろう。
死の間際で人間の心と記憶はいったいどう働くのかが語られ、臨死体験と終末期明晰が関連づけられていく。
私が働いていたとき「終末期明晰」という言葉もなく科学的な根拠を持っていなかったため、私は死の間際におこる不思議な現象としてしか捉えられていなかった。そのためご家族に十分に説明することができなかったという思いがある。
今後臨死体験や終末期明晰の研究がさらに進んでいくことに期待したい。
私自身が臨床で初めて「終末期明晰」といえる場面を目撃したときの驚きを今でも覚えている。家族として目撃したこともあるが、その最期の命の輝きは忘れられない思い出をくれた特別な時間である。
この本は一般読者に向けられ書かれたものであるので、医療的な知識がなくても読むことができる。死の間際にいったい何がおきるのかということに興味がある人にぜひ一読してほしい。
医学などの専門用語をほとんど使わずに、こんなに分かりやすく、科学的で専門的な調査の経緯や結果を説明してくれるなんて、著者と訳者の文章力に大いに感謝したい。
タイトルに惹かれて読み始めたものの、こんなに感動するものとは思わなかった。単なる調査過程の発表ではなく、「人間の生き方とは」という根本的なところから、考えさせられた。
また、研究調査の観点から、調査が行き詰まった時にはどんな観点から問題を見つめ直せば良いか、といったノウハウも書かれているので、勉強になった。
読み終わった今、しっかりと自分と他人のために、善いと思う選択と言動をしようと反省した。
そして一番の得たものは、死ぬことへの漠然とした不安が軽くなり、むしろ少し楽しみになってきたということ。自分が死ぬ最後の瞬間に、一体どんな世界が見えるのだろうか。それを決めるのは、これまでの、そしてこれからの自分の生き方次第。
これだけ科学が進歩しても、いまだに解明できないことはあります。そんな終末期明晰という現象の報告に、知的興奮が止まりません。神秘的とも言える事例には最初信じられない思いも抱きましたが、これだけ集まるとそこには何かがあるとしか思えなくなります。未だ見ぬ死後の世界も垣間見え、未知の領域を開拓していくスリリングさがたまらない一冊でした。
終末期明晰の話は少しびっくりでした。本書はとてもわかりやすくて読みやすい内容になっていす。なくなる前には、意識がアレでよくわかんなかった人が、どうして、家族や知人を認識し思い出話視野自分の気持ちを語ることができるののか。かなり不思議な現象だと感じました。
認知症や神経障害、重い病気や事故などで脳に障害を負った人たちが、死の直前に奇跡的に回復するという「終末期明晰(Terminal Lucidity)」。胡散臭いと思いながらページを開き、そこに書かれている内容に驚愕した。実に多くの信じがたい事例が挙げられている。試みにネットで検索してみるときちんとした論文が出てくる。
現在の科学では説明できない現象らしい。脳の機能はすべてが解明されたわけではないので、未知のなにかが隠されているのかもしれない。ただ、そこに魂だの神だのを持ち出されてしまうと、途端に引いてしまう。そして、すべての動物の中で人間だけに与えられた能力だという主張にも、素直にはうなずけない。
さらには臨死体験にまで話が及ぶと「やはりな」と眉に唾をつけたくなるが、あちらとの違いは第三者による観察だということだ。
真実はどうなのか。もちろん結論は出ないが、生と死を考えるよい機会となった。