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カナシミ水族館
心が泣き止む贈り物
夕瀬ひすい
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刊行日 2024/04/22 | 掲載終了日 2024/06/26
ハッシュタグ:#カナシミ水族館 #NetGalleyJP
内容紹介
悲しみの記憶が光る魚や生き物となって見える「カナシミ水族館」。
四人のスタッフが案内する、過去と向き合う一夜限りの優しい物語。
☆ ☆ ☆
【ゲラを読まれる方へ大切なお願い】
・校了前のデータを元に作成しています。刊行時には内容が異なる場合があります。
・レビューなどでのネタバレ行為はネットギャリーのみならず、外部サイトやSNS等の多くの方が目にする場でもお控えください。
・自分には合わない作品だった場合、今後のためにも建設的なご意見をよろしくお願いします。
※今作は作者のご厚意によって提供いただいた校了前の大切なゲラを公開をしています。
※今作にこれから出会うであろう多くの読者のためにも、ご理解の上、素敵なレビューによる応援とご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
☆ ☆ ☆
【内容紹介】
過去に夢を罵倒され、友人に裏切られた事で、これ以上悲しまないよう他人を避けて生きていた高校生の律。
ある夏の日、クラスメイトのあかりが手を差し伸べてくれたにも関わらず、拒絶してしまう。
人との接し方を見失い困惑していた夜、気が付くと律は謎の水槽の前に立っていた。
そこは「自分の悲しみが魚になる」という、不思議な水族館。
四人のスタッフに案内されながら出会う生き物たちは、優雅に泳ぎ、時折あたたかな光を放つ――。
あなたの美しい悲しみに触れる幻想的な場所「カナシミ水族館」へようこそ。
心の中の自分と真っ直ぐ向き合う、涙と友情のやさしい物語。
【目次】
1. 瑠璃色の亀裂音
2. 一万匹の舞踏会
3. オパールの遊び場
4. 揺蕩いの幻月
5. 哀染めの深層部
6. 海色の手紙
番外編 青雲の志
◆著者について
夕瀬ひすい(ゆうせ・ひすい)
2021年より、小説投稿サイトにて執筆を始める。
現実世界にファンタジー要素を盛り込んだ文芸や、ほっこりと落ち着く日常物語、少し切ない青春ストーリーなど得意ジャンルは幅広い。
本作『カナシミ水族館 心が泣き止む贈り物』にて書籍デビュー。
好きな魚は鮎。自然の中を歩く事が趣味。
◆イラストレーターについて
chooco(ちょこ)
2020年夏から活動を開始したフリーのイラストレーター。
コンセプトアート(MV/CDジャケット/キービジュアル)、背景デザイン、キャラクターデザインなど様々な方面で活躍。
出版社からの備考・コメント
◎拡材や新刊配本のお申込みにつきましては、
【マイクロマガジン社 販売営業部】までお問い合わせいただけますと幸いです。
件名に「ことのは文庫 4月新刊の注文」と明記の上、
「番線 or 番線情報」「書店名」「ご発注者様名」をご記載いただき
【hanbai-bceigyou@microgroup.co.jp】までメールにてご連絡くださいませ。
※受注状況によってはご希望数より調整が入る可能性がございます。予めご了承ください。
※価格は予価です。
◎こちらの新刊タイトルのお申し込み締め切りは2024年3月19日迄承っております。
おすすめコメント
◆幻想的且つ壮大な「カナシミ水族館」
海の生き物たちが水槽という区切りがない場所で時には光り、自由に泳ぎまわります。読後感はまるで貸し切りの水族館を堪能した様な気分になり、癒されること間違いなしです。
◆個性豊かな水族館のスタッフたち
見た目も性格も年齢も違う四人の個性豊かなスタッフが各章に一人ずつ登場し、水族館の魅力や悲しみとの向き合い方を教えてくれます。「悲しみ」という感情をどう受け取るか、なぜ悲しみという感情があるのかを考えさせてくれる作品です。
◆主人公の友情と成長物語
誰しも一度は人間関係に苦戦し、時には「面倒だ」と思うこともあると思います。そんな疲れた心にそっと寄り添い、人と関わることの楽しさと喜びも思い出させてくれる作品です。
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《特設サイト応援レビュー募集期間》
~2024年3月13日(水)午前10時
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出版情報
発行形態 | 文庫・新書 |
ISBN | 9784867165591 |
本体価格 | ¥710 (JPY) |
ページ数 | 256 |
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NetGalley会員レビュー
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悲しみが魚の形になる不思議なカナシミ水族館。そこを訪れることになる私は人間関係に傷ついていて、本当の友だちになりたいあかりちゃんに心を開けない……。彼女の悲しみの記憶の出来事には読んでいて涙が出そうでした。でも、悲しみと向き合ってキラキラしたものになるとき、今度はその美しさに涙が……。躍動感のあるイルカが泳ぐシーンには心が晴れやかになりました。チケットには秘密があって、その繋がりがまた素敵なのです。悲しみなんてフタをしてしまえばそれなりにやっていけるじゃない、と思ってしまいそうだけれど、大切にしたい人との関係はやっぱり真心で繋がっていたい。水族館を訪れたことで得られたものはとてもとても大きかったと思います。泣いた後にそっと背中を押してくれるお話でした。
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高校生の律は、過去に友人に裏切られ心を閉ざしている。
それでも声をかけてくれるクラスメイトのあかり。しかしあかりを拒絶し彼女の悲しげな顔を見てしまう。
そんな日の夜、律は「カナシミ水族館」に辿り着く。
人を拒絶する律の思いが切なくて、ハリネズミのような繊細さをまず感じた。水族館の生き物なら自分を守るために閉じ籠るウニや亀のようだ。
水族館を進むうちに様々な生き物や案内人に出会い、律は少しずつ自分の奥底にある思いと向き合っていく。
119頁から120頁の「謝られたら相手を許さないといけないじゃないですか。何をしても謝ったらそれで帳消しみたいな、そいういうのは都合がよすぎっていうか......」と言った律へのつつみさんの「(前略)重要なのは反省して同じ過ちを起こさないようにすることではないでしょうか。その意志を伝えるために、人は謝るんだと思います」という言葉が心に残った。
謝られたら相手を許さないといけないという言葉は他の小説でもよく目にする。ずるいからと言って謝らないのでは律は悲しみに留まっているだけだっただろう。しかし同じ過ちを繰り返さない意志を伝えるために謝る道があることを示してくれたつつみさんの言葉には強い意志と一歩進むことができる力が宿っているようだった。
水族館が好きなので目の前にいるような躍動感ある描写や、生き物たちの美しさがとても良かったです。律とともに深海に潜っていくように水族館の中を進むうちに、悲しみに向き合うということをじっくりと考えることができました。
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誰もがこんな思いに陥ってしまうことがある。「自分が世界で一番辛い。一番不孝」だと。誰からの声も悪意に満ちた嘘に聞こえて、誰とも視線を合わせられなくなってしまう。
だから、慮ってくれている人がいてもその想いに気づきもせず、目をそらし弾いてしまう。
17歳の律がまさにそうだった。
優しさや青春とか恋愛という言葉を嫌った。信じる、言葉をかける、心を許すなんて人との付き合い方を捨てた。そして心の周りに厚い壁を張り巡らせてしまった。でも、その壁の内側には〈悲しみの記憶〉が残っていて、〈人と交わりたいという、自分では認めたくない願い〉と共に、自らの心を鋭く切り裂き続けてる。
それは、まさに高校から大学時代の自分を見るかのよう。読みながら思わず歯を食いしばり、右の頬が引きつっていた。
彼女が巡る〈カナシミ水族館〉。そこは美しい。悲しみが美しい。それを眺め、スタッフ達とのやり取りをする中での、律の気持ちの変化。負から正、そして負、悟るように正となり、過去の現実にまた負へと落ちる。
人は悲しみを諦めの中で受け入れ成長していく。でも律には〈カナシミ水族館〉へと導いたあかりがいた。深い悲しみを経験するほど澄んだ心を持つと信じるあかりが。でも、あかりも自分の悲しみを乗り越えたわけではなかったとは。でも、律子に手を差し伸べ、カナシミ水族館へのチケットを渡した。それは、我々みなが持つこの悲しみと共に前に進む唯一の方法に気づいてもらいたいから。
それによる体験は律にとってだけでなく、同じ苦しみに陥っている読み手にとっても荒療治の読書体験かもしれない。
でも、だれもみんな悲しみを抱えてることがわかり、更にそれを分かち合える人がいることがわかるだけでも、前を向いて歩いていく道に気づけるはず。
だって、律やあかりを導いてくれた〈カナシミ水族館〉のスタッフだって、不安に駆られ悩み悲しむ、同じ〈人〉だったのだから。そんな彼らができたのだから、律だってできるはず。きっと。
律のように心の周りに壁をつくっている人、悲しみとの向き合い方に戸惑ってる人、彼女と一緒に〈カナシミ水族館〉を巡ってみよう。
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カナシミ水族館を読み進みながら、悲しみを思い出すとはとてもズキズキと痛みを感じました。
私にも、主人公と同じ側面があるので、同じように悲しみと向き合いました。
水族館で繰り広げられる、スタッフの見せる芸もとても美しく、魅せられました。
透明な碧色の世界に、自然と入りこみました。
年を重ねても、悲しみがあり、ズキズキと痛みます。
克服できたと思っても、ぶり返すこともある。
その度に、より純粋になり、強くなれる。
その人の持つ可能性を見せてもらいました。
とても美しく、大切なことがたくさん詰まったお話だと思います。
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たくさんの悲しみを経験し、乗り越えていくからこそ人は強くなれることを実感する良作。日々経験する悲しい出来事や話題で苦しい気持ちになった時に思い出したい物語でした。「悲しみ」で溢れる世の中だからこそ、今作のようなほのかに温かさを感じる物語が必要なんだと思います。水族館の描写がとても幻想的で、読者も律と一緒に館内を散策し、心が浄化されていくような感覚を味わえました。また巻末の番外編では本編で律の悲しみと向き合うための手助けをしてくれたスタッフたちのお茶目な一面を見ることができ、もっと彼らのことが好きになりました。
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自身の辛かった過去、その時感じた悲しみをもう味わいたくないが為に人との繋がりを避けてしまっている律。でも深く関わりたくはないけどあかりと友達にはなりたいと思っている矛盾した気持ちも抱えていて、そんな時に招かれたカナシミ水族館。今まで向き合うことをしてこなかった悲しみを水族館を通して見ていき少しずつ受け入れて昇華していく展開が良かった。
悲しみの気持ちで出来ている水族館が美しいのは「それだけ大事に思っていた証拠」だからだと思うととても温かい場所だなぁと感じました。
大事にしたい誰かをたった1度だけその場所に導けるチケットが繋いできた思いを想像するのもまた素敵だと思います。
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心が傷つき不安や悲しみでいっぱいになった時、水族館へのチケットは持っていなくても、心の中に棲む青く輝く美しい魚たちと共に強く歩んでいきたい。
『悲しみとは、誰かを大事にするためにある』
大切な人と自分を大事にする為に、悲しみと向き合いながらも立ち上がり前向く力をもらいました。
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「悲しみはあなたの敵ではありません。」この言葉にひかれて読みました。
似たような境遇になった事があるので自分と重ね合わせてしまい悲しい気持ちになりました。特に207ページが苦しかった。
でも、一話一話ハッとする言葉に助けられ悲しみと向き合いながら前に進む気持ちを持てました。
誰かのためなら頑張れるけど、自分のためには否定的だった自分も、自分を大切にして自分だけのために頑張ってもいいんだ。と思えました。
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過去が原因で他者を避けてきた律。新たな友人の誘いを断ってしまい心苦しく思っていると・・・
生命の根源たる海を象徴し且つ人工的ともいえる水族館を模した幻想的な空間で自己と向き合う作業はいかにも「人」的でなかなかままならないことを暗示しているかのよう。そんな中、美しさ神秘さに触れ、他の存在に力を借りながらも自己に気づき再生していく様子は温かく心強い。
「負」の感情にみなされがちな「カナシミ」を再生のきっかけに昇華させる心温まる物語。
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カナシミチケットを持つ人だけが訪れることができるカナシミ水族館。
悲しみとはなにか、どうして悲しみが必要なのか、深く考えながら水族館を進んでいくと……。
カナシミでできた魚が泳ぐ幻想的な様子にひきこまれる。
律の心が癒され、前に一歩進むことができてよかった。
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人は誰でもカナシミを抱えていたり、心に傷を持ちながら生きている。
それで心を閉ざしてしまった律が来たのが、カナシミ水族館。
カナシミと向き合い、大切なことを気づいていく姿に心がグッときました。
水族館の描写が丁寧に書かれており、律と一緒にその様を見ているように心に広がりました。
人との繋がりが人を強くする力になる…と思った作品です。
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小学校、中学校と友人に裏切られ
孤独な律はもう誰とも近づかないと
心に決めている
高校でも気にかけてくれている
あかりがいるのに踏み込めずに
一線を引いてつきあっている
そんなあかりから一緒に
出掛けないかと誘われたのに
やっぱりこわくて断ってしまう
落胆して、どうしていいか
わからなくて悩んでいた夜
律はいつのまにか謎の
水槽の前に立っていたびっくり
そこは自分の悲しみが魚になる
不思議な不思議な水族館
律は4人の案内人に会って
水族館をまわることになる
いろんな種類の魚とふれて
自分の悲しみと向き合って
律はある決断をする
人はみんないろんな悲しみを
心にかかえているけど
逃げずに向き合うことで
勇気が生まれる
ふわっとあたたかいものが心に
わきあがるやさしいお話
久しぶりに夜の水族館に行きたくなった
心の中に悲しみをかかえている人に
是非読んでもらいたい
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学生時代、大したことでなくても、本人にとっては大ごと。狭い世界の中で、傷つき、もがいている。
この話の主人公も傷ついた経験から一歩踏み出すことができずにいて、そのために人を傷つけ、自分の悲しみによりできた水族館に辿り着く。
悲しみを知ることで、未来の悲しみに対処できるようになる。ただ目を背けて忘れようとしてもダメ。確かにその通り。この本を読んで、悲しみとの付き合い方を再認識できた。
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小学校、中学校と仲良くしていたと思っていた同級生と予期してなかった形で裏切られた律は、高校生になってあかりという子と仲良くなるが、これまでの経験で関係を表面的なものにしてたがある日一緒にいたいというあかりの申出を断る。
その夜幻想空間の「カナシミ水族館」に律は立っていた。
ここでは律が経験したカナシミを水族館にいる魚や生物に形を変えてスタッフの人が説明していく訳ですが、律と一緒に考えてくれてカナシミの本質とはどういうものかについて教えてくれる。
カナシミは律だけにあるものでなくて何らかの形でみんなが経験することであると。
カナシミを経験するから他の人のカナシミがどういうカナシミか理解できて寄り添うことができるという考え方に共感できた。
律やあかりや水族館のスタッフの人柄が気持ちよく入ってきました。