だから殺し屋は小説を書けない。
岡崎隼人
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刊行日 2024/03/12 | 掲載終了日 2024/03/14
ハッシュタグ:#だから殺し屋は小説を書けない #NetGalleyJP
内容紹介
飛び散る骨、舞い上がる車、迫りくる刺客
「もう、たくさんだ」
美しき男たちが血で描く”愛の神話”
第34回メフィスト賞を受賞した岡崎隼人の17年ぶりの新作!
夏の瀬戸内海が舞台の殺し屋アクションエンターテイメント小説!
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伝説の殺し屋・和尚に拾われ、自らも殺し屋となった青年・雨乞。和尚への服従を誓う雨乞だが、唯一誰にも打ち明けていない隠し事があった。
それは、小説を書くこと。
初夏のある日、駐在警官・藪池清を始末する命を受け、瀬戸内海の小島へと向かった雨乞は、小さな違和感を抱く。
依頼人の正体は?この男を殺す目的は?なぜこの場所で?
雨乞は真相を探るため、24時間の猶予を貰った。
人生を変える1日が始まる――。
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著者・岡崎隼人(おかざき・はやと)
1985年生まれ。岡山県在住。『少女は踊る暗い腹の中踊る』で第34回メフィスト賞を受賞しデビュー。
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★★★
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★★
出版情報
ISBN | 9784065348109 |
本体価格 | ¥1,900 (JPY) |
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心を殺した殺し屋(雨乞)と『小説』が組み合わさることで、こんなにも面白い化学反応が生まれるなんて!!
まず島で起きた殺人事件の謎解きや、雨乞を襲撃する刺客とのアクションといった油断ならぬ緊迫の展開に、(馴染みやすい文体と相まって)読む手が止まらなくなるほどのめり込みました。雨乞をはじめとした個性的なキャラの躍動する様が、容易に頭の中で描くことができるのです。
またその過程で雨乞が教わる、小説家になるために必要な要素──『心と向き合うこと』に対する煩悶は、次第に空っぽだった彼を人間臭くしていき、それに伴って世界が色付くようでした。
とりわけ藪池と共に砂浜で飯を食うシーンは非常にエモーショナルであって、深く印象に残っています。
殺し屋として生きる道を進み続けていた雨乞が最初に殺した『心』を掴まえたとき、小説という媒体が持つ力の強さを再確認できる。のみならず、どんな形であれ人と人との繋がりに宿る尊さが深く理解できるようになるのです。
まるで映画を鑑賞するかのように、最後まで楽しかったです。花時計や煮こごりのスピンオフなんかもあると嬉しいなと思いつつ。
爽やかな装画。でも内容はそれの真逆の連続だったとは。
覆面作家の椿、特に彼のデビュー作に惚れ込んでいる殺し屋の雨乞。彼こそが装画の青年。その顔立ちに反して、彼が衝動のままひたすら書き連ねる小説を読んでぞっとした。彼の心象風景の狭さと色の乏しさを目の当たりにした思いだった。心が死んでいると信じる彼が抱く「人」への憧れ、それを無意識にこのような方法で表していたとは、言葉も出なかった。
そして本編、手練れの殺し屋者同士の、息をもつかせぬ対決が始まる。謎が謎を呼び、その向こうに現れる真相がどんどん裏返っていく。誰も何も信じられない。その展開に息をのまれ、ただ読みつづけるしかなかった。でもこれは生死をかけただけのエンタメではなかった。基底に人の心、不動の意思があった。とそれに触れて目覚めていく心の姿があった。それは傍らに椿が、無条件で信じられる人物がいたからだ。だからこそ、死と隣り合わせのエンタメと、人か心の目覚め、このふたつを同時に奏でる深みを帯びた作品となっていたのだろう。
しかし、全てのことが絡み合い、負の結びつきは更に大きく大きく広がっていくとは。運命というものは、雨乞にそこまで苦しみを突きつけてくるものなのか。
そして終末。この蜘蛛の糸のような罠を張り巡らした人物の「心の有り様」に改めて唖然とした。心あるから明かりがともる。でもそれを暗闇に染めかえる心もあるのだ、と。
雨乞がこれから書いていく小説。ぜひ読んでみたくなった。
一年前殺害した禰宜の火葬を待つ間にはじめて読んだ小説『海底のひまわり』。
作者は椿依代。
和尚に雇われる殺し屋の彼は和尚に内緒で小説を読んで、最近では自ら小説を書いている。
「心のどろどろに顔や名前をつけ、一緒に生きていけるようになるために小説を書く」
そして彼は敬愛する椿に出会う。
殺人組織に身を置き、仕事として人を殺す雨乞が主人公。人としての感情を殺した彼が、唯一自分に許しているのは小説を書くことだった。新たな仕事で向かったのは四国の島。そこである男を拷問の末殺すのだが、その男は実は……。
うーん、なんちゅう偶然だと呆気に取られたが、読み進めるうちにいろいろなことが判明してきて、複雑に組み立てられたプロットに唸った。このあたり、作者の力量を感じた。
ただ、殺し屋の能力があまりに現実離れしていて、別種のジャンルの作品のようになってしまったのが惜しい。もっとリアリティを感じられればよかった。
伝説の殺し屋・和尚に拾われ、自らも殺し屋となった青年・雨乞。
心を殺し、殺し屋となった雨乞には密かな趣味があった。
和尚から命を受け雨乞は瀬戸内の小島である男を始末するために向かう。そこから雨乞にとんでもない事態が待ち受けていた。
和尚に拾われ世間を知らず、外界に触れるたびにスポンジのように吸収していく雨乞。雨乞はある本に出会い、尊敬してしまうほどの読者となる。そして彼は小説を書いてみたいという欲求に駆られていく。
瀬戸内の小島の美しさとは対照的に、殺し屋の物語なので血生臭くグロい表現もありながら、めちゃくちゃ面白かったです。一冊の本がこれほどまでに人の心を動かす力があるという小説愛に溢れていて最高でした。
メフィスト賞受賞作も読んでみたくなり、書店では手に入らないので図書館で借りてきました。この作品をきっかけに文庫化されたら嬉しいです。
映画を観た。そんな気分。
シンプルな文章。だからキャラの動きと内容が頭にスッと入る。そこに速度を体感できる文体が合わさって、キャラが躍動する映像が確かに見えた。これが容易に読者を作品へ没入させる。
謎が謎を呼び目まぐるしく変化するどす黒い展開。殺し屋「雨乞」 vs 相対する刺客との縦横無尽に動きまくる殺し合い。真相へ近づくごとに苦しくて切ない暗がりに身を落としていく。そんなアクション映画のような緊迫感・臨場感・躍動感に心躍らされっぱなしだった。
そのおかげもあり中断する暇なく、三大欲求を忘れるほど気持ちが高ぶって、しまいには作品世界に脳みそがどっぷり浸かった。
一向に余韻が収まらなくて困る。17年越しに途轍もない作品を生み出したものだ。
そういえば前作『少女は踊る暗い腹の中踊る』でも興奮冷めやらぬ体験をした。久しぶりに著者の作品に触れたが、とんでもないテンポの良さと内容のどす黒さが健在だったので安心した。ぜひ復刊もしくは文庫化してほしいです。
ミステリなので何も知らずに読んだ方が楽しめる。
しかし何も知らなかったらその本を手に取ることはないかもしれない。なぜならば17年前に1冊だけの本を出した作家だからだ。
だがこの紹介を読めば絶対に読みたくなるはずだ。
「小説を愛し、小説を綴る殺し屋」が主人公のキレキレのミステリ。
この紹介だけを胸に波乱のミステリの世界に繰り出すべし。
殺し屋になるために育てられた雨乞。椿依代の小説と出会い自らも書き始め自分の中の何かが変わり始める。そんな中、ある男を殺す仕事が入り…。普段あまり読まないジャンルですがテンポも良くて面白かったです。心を殺して生きてきた雨乞の心を震わせた「海底のひまわり」私も読んでみたいなぁ。椿と関わる事で心を取り戻していく様子が微笑ましかったです。それにしてもほのかさんのネーミングセンスは素晴らしいですね。
ある作家の小説を一途に愛する殺し屋のキャラクターがユニーク。
いろいろとムリのある設定に思われるのだけれど、ぐんぐん読まされてしまう。
アクションシーンのテンポが独特で、短いカットを重ねる映画のような印象。
ストーリーの展開も、からくり箱を次々に開いていくような構成になっており、魅力的なエンタメ作品だと思う。
ラストは少しご都合主義かな、と思うけれど、読後感に配慮された結果かもしれない。
殺し屋の組織に身を置く雨乞は上からの指示により瀬戸内海の島へと向かう。小さな島に住む駐在が何故暗殺の対象になるのか、仕事を成功させるうえで関係ないことに想いを馳せないようにしてたが、実は一番信頼している和尚にも秘密にしている自分がひた隠しにしている“こと”が関わっていたとは知る由もない雨乞。どうやってこの危機を乗り越えるのか…。
事件の背景と雨乞たちの生い立ちが複雑に絡み合い、真相が解き明かされてくると、身勝手なあの人とあの人に反吐が出そうになり、遅ればせながら自我と生きる意義を取り戻した雨乞のまっすぐさに心が動かされたり、とにかく感情が忙しかったです。
殺し屋として育てられた雨乞。
殺し屋として心を殺しターゲットを殺すことだけを教えられ、人を殺すことに
何のためらいも、感情もなかった雨乞が小説と作家・椿と出会い、自分の心を
取り戻していく過程がとても繊細に描かれている。
殺し屋の話ですから、アクションシーンも見所です。
椿と過ごすうちに、人には心があることを知る。
自分が殺してきた人にもその家族にも心があることを知り、そして自分も心
を失っていなかった。「小説が好き」という純粋な心を。
とても面白かったです。
和尚への服従を誓う雨乞の小説を読むようになり、拙い文章を書き始めていたという秘密。偶然、今回の標的が好きな作家だと気づいてしまい、和尚に24時間の猶予を貰って、藪池と一緒に真犯人を探し始める雨乞。焦点となる少女の殺人事件の関係者、それに殺し屋の同僚も入り乱れる中、和尚の悪辣な立ち回りが際立っていましたが、心を殺していた彼が小説に対する想いで変わっていったその結末と、そこに感じられる未来への可能性がなかなか印象的な物語になっていました。
舞台となる瀬戸内海に浮かぶ小さな島の、ゆっくりと流れる日常の時間が物語の中から感じられるのに、グイグイと引っ張られる物語の展開のスピード感とのギャップがすごいのである。グイグイと読んでしまったので、2度読みした(さすがに76回は読まないが)。次回作があるのならぜひ「海底のひまわり」でお願いできないだろうか。
殺し屋だけでなく、仕事のために心を押し殺している人はたくさんいると思う。そういう人たち、みんなが小説を書けばいい。きっととても面白い小説が生まれるはずだ。自分の心と見つめあおう。自分自身を書きとめよう。唯一無二の物語が待っている。
本作はきっとそんな人たちが楽しめる物語。
小さい頃から心を殺し無の状態だった彼が、1冊の小説に出会い自分でもわからない感情を感じるようになる。
人はやはり感情をもつ生き物なんだとつくづく感じると同時に小説ってすごいなあ。
暴力など血生臭い内容なのにさらっと読めてちょっと優しい物語。
プロの殺し屋『雨乞』は任務の為にターゲットである警察官を拉致する。普段から他人と全く接触しない彼の知っている人がターゲットだった事から物語は思わぬ方向へと転がり始める。幼少期に拾われ殺し屋として育てたれた雨乞。心を殺している為に無感情の様子から、ある『小説』を通して感情を取り戻してゆく過程がとても良かった。ハラハラする戦闘シーンでは若干のグロ描写もあり、会話ではクスリと笑えるやりとりもあってかなり楽しめた。『殺し屋』というワードに飛びつく習性の私だが、もっと雨乞の物語を読みたい程に面白かった。
伝説の殺し屋に育てられ、自らも感情を捨てて殺し屋になった青年のささやかな趣味は、小説を書くこと。圧倒的なスリルとバイオレンスに支配された世界観から覗く、似つかわしくないほどの繊細な心の叫びに、不思議な納得感すらあるアクションエンターテインメント。
和尚に雨乞、ネーミングと設定が作品全体にここまで作用してくるのか、と最後の最後まで驚きと感銘を受けた。細かな言動すべてが実に巧みに物語を繋げていて、ミステリとしても読み応えたっぷり。
殺し屋としての生活や仕事(アクション)も、かなり綿密に作り込まれたキャラの性質が出ていて面白かった。支配し過ぎた事が裏目に出て、小さな事に奇跡のように惹かれてしまった雨乞の純粋さが、搾取の怖さをより一層引き立てていた。ちょっと現実離れした部分もあったが、根は現実に蔓延る問題がベースになっている分、凄く考えさせられる社会派小説。
初めましての作家さんでした。
この作品はメフィスト賞受賞後からだいぶ期間を空けての2作目らしい。
物語の主人公は伝説の殺し屋・和尚に拾われ、自らも殺し屋となった青年・雨乞。殺し屋というだけでまず、心が躍る。ターゲットを拉致するが、違和感を感じて、1日だけ猶予をもらう。真相を暴いていく様子、その間のバトルロワイヤル…楽しいしか言えない。ちょいグロ描写もあるけど、スピード感満載で、そんなの気にならないほど面白かった。キャラがみんな良かったし、ラストも良かった…雨乞ぃぃぃぃぃいぃぃぃ!!!ってなった。
控えめに言って最高でした。
殺しの依頼を遂行するため、瀬戸内海の小島に向かった青年、雨乞。
彼はここで自分の人生を大きく変える出会いをする!
殺し屋たちのバトルロワイヤル的な展開は、伊坂さんの作品も思い出しますが、こちらはどこかじっとりとしています。
幼いころから、殺しのスキルを身に着け、競い合い、世間とは隔絶した世界に身を置く者たち。
彼らが出会った人間とその運命は?
八方ふさがりな状況で、これどうやって最後まとめるのかなと思いながら読みましたが、綺麗に着地です。
運命の出会いは何も男女の間だけではなく、ましてや恋愛だけではなく、自分の人生に光を照らしてくれるそんな人との出会いもあるのだな、と思いました。
"殺し屋"が"小説をかく"という異色の組み合わせに興味をひかれました。「心を殺せ」という和尚の教えを忠実に守り、腕の立つ殺し屋になった雨乞が、小説を書くために心を取り戻そうとする様はどこか憎めなくて、応援したくなりました。殺し屋なのに。笑
登場人物それぞれのキャラクターや過去も濃く、それぞれのスピンオフなんかもあれば楽しいなと思いました。
伝説の殺し屋・和尚に拾われ、殺し屋として育てられた雨乞。瀬戸内海の小島で殺人を行う予定が、ターゲットの藪池を拉致したあと思わぬ方向に歯車が回り出す…。彼はある作家の小説を読み込み、自分で紙の余白に書き連ねることもある。彼の書き上げたものに彼自身が見えたようで、思わず背筋が寒くなった。そんなマシンだった彼が自分の意思で動き出す。血みどろの攻防の隙間に現れる、殺人事件の真相、過去の依頼、雨乞自身の過去…。映像で見えるような真っ赤なシーンを、息を止めるようにして一気に読んだ。小説って凄いのだ。面白かった!