嘘つきな私たちと、紫の瞳
神戸遥真
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刊行日 2024/02/20 | 掲載終了日 2024/07/07
ハッシュタグ:#嘘つきな私たちと紫の瞳 #NetGalleyJP
内容紹介
ことのは文庫5周年記念!
まずは読みたい、注目作品15選!
【ことのは文庫 編集部より】
2024年6月、ことのは文庫は創刊5周年を迎えました。
この度、心からの感謝を込めて、『ことのは文庫5周年記念! まずは読みたい、注目作品15選』展を開催します。
この機会にぜび、あなたの「推し本」を見つけてください!
※2024年7月31日までにご投稿いただいたレビューの一部は、ことのは文庫特設ページ(8月下旬掲出予定)にて、掲載させていただきます。
※以前にご投稿いただいているレビューも対象となります。
※リクエストが承認されると作品ページの下部「SNS投稿用の表紙画像はこちら」から、SNS投稿用の表紙画像がダウンロードできます。必要に応じて、適宜ご活用ください。
☆ ☆ ☆
現実に抗うため、向き合うために、私たちは嘘をつく。
不治の病と闘う高校生たちの結末は――?
十代を生きた誰もが心揺さぶられる、千葉を舞台に贈る、友情と恋愛の青春ストーリー。
☆ ☆ ☆
【ゲラを読まれる方へ大切なお願い】
・校了前のデータを元に作成しています。刊行時には内容が異なる場合があります。
・レビューなどでのネタバレ行為はネットギャリーのみならず、外部サイトやSNS等の多くの方が目にする場でもお控えください。
・自分には合わない作品だった場合、今後のためにも建設的なご意見をよろしくお願いします。
※今作は作者のご厚意によって提供いただいた校了前の大切なゲラを公開をしています。
※今作にこれから出会うであろう多くの読者のためにも、ご理解の上、素敵なレビューによる応援とご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
☆ ☆ ☆
【あらすじ】
十代にしか罹らず、左目が紫色になり次第に死に至る病≪ヴァイオレット・アイ≫。
この原因不明の病で親友を亡くした高二の咲織(さおり)は、親友の気持ちを知るため≪ヴァイオレット・アイ≫を詐病し、学校で孤立する。
ある日の帰り道、問題児だと思っていた同じクラスの男子・啓二(けいじ)に声をかけられ、それをきっかけに少しずつお互いを知っていくふたり。
だが、文化祭当日、いきなり啓二が倒れ――。
【目次】
《嘘の章》
1-1 クラスメイト
アナザーサイド① ある女子生徒の嘘
1-2 あの子の写真
アナザーサイド② ある男子生徒の嘘
1-3 本当の嘘つき
《真の章》
2-1 まつりのあと
アナザーサイド③ ある男子生徒の真
2-2 隠してた本音
アナザーサイド④ ある女子生徒の真
2-3 大事なものは
アナザーサイド⑤ ある男子生徒の真
2-4 和解と利用と
エピローグ① ある女子生徒の希望
エピローグ② ある女子生徒の未来
◆著者について
神戸遥真(こうべ・はるま)
第22回電撃小説大賞への応募をきっかけに、2017年『スピンガール!』(メディアワークス文庫)にてデビュー。
『恋ポテ』シリーズ(講談社)で第45回「日本児童文芸家協会賞」、第21回千葉市芸術文化新人賞奨励賞、『笹森くんのスカート』(講談社)で令和5年度「児童福祉文化賞」受賞。
児童書、YA、ライト文芸など幅広いジャンルで著書多数。
大学時代は地理学を専攻。
◆イラストレーターについて
房野(ぼうの)
フリーのイラストレーター。流行にとらわれない緻密な画風を得意としている。
2020年には初の個展「LOCUS」を開催。
出版社からの備考・コメント
◎拡材や新刊配本のお申込みにつきましては、
【マイクロマガジン社 販売営業部】までお問い合わせいただけますと幸いです。
件名に「ことのは文庫 10月新刊の注文」と明記の上、
「番線 or 番線情報」「書店名」「ご発注者様名」をご記載いただき
【hanbai-bceigyou@microgroup.co.jp】までメールにてご連絡くださいませ。
※受注状況によってはご希望数より調整が入る可能性がございます。予めご了承ください。
※価格は予価です。
◎こちらの新刊タイトルのお申し込み締め切りは2024年1月15日迄承っております。
おすすめコメント
◆先行ゲラ読みをした書店員様からのコメント◆
「もう、切なくて涙なしに読めませんでした。
後半になって必死に生きようとする姿、頑張って!と応援してました。
皆が幸せであって欲しいです。」
◆主人公や周りの友人たちの成長
《ヴァイオレット・アイ》を通して今の自分にとって本当に大切なものに気付く主人公たちに、十代を生きた誰もが共感しあたたかい気持ちになります。
◆友情と、恋愛
青春の時期に恋愛感情も付きもの。大変な時だからこそ気付かせてくれる感情があることを思い出させてくれます。
また、性別問わずの友情もとても素敵です。
販促プラン
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出版情報
発行形態 | 文庫・新書 |
ISBN | 9784867165348 |
本体価格 | ¥720 (JPY) |
ページ数 | 288 |
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ヴァイオレット・アイ……初期症状で片方の瞳が紫色に見えるという奇病。まだ世間では奇病として忌避されている病。それにかかって亡くなってしまった友だちに生きている間にもっとしてあげられることがあったのに……という後悔から詐病で過ごすことにした咲織ちゃん。好ましい行為ではないけれど、無関心や蔑む人たちもいるなかで少しでも病気のことを理解しようとしたこの行動は勇気ある一歩だったと思います。まさか……と思う彼が奇病にかかっていることがわかってそれでも以前と接し方を変えなかった咲織ちゃん。彼は嬉しかっただろうな、と思います。その気持ちが生きている未来を望んだことに表れているのではないでしょうか。彼女たちの起こした行為によって、少しでも病気にかかったことを厭世的にならずにすむような環境が広まればと願います。
誰かのために強がって、誰かの為に嘘をつく。
本当の想いが溢れた時、受け止めてくれる誰かがそばに居る事の心強さを知りました。自分の中にある一番大事にしたいものや本当に欲しいものを考えるのは案外難しいけれど、時には口に出すことも大切なのだと教えられました。二人の未来を諦めない〝指切りげんまん〟とても愛おしく涙が止まりませんでした。
目の前の道がどんなに暗く先の見えない道のりでも、決して生きることを諦めないでと、背中を押してもらえる作品です。
10代だけが罹る不治の病「ヴァイオレット・アイ」に人生を翻弄される高校生の物語。恋に家族に友達に、と様々なことで悩み傷つく多感な時期に左目が紫になるという謎の病が心の傷を深くしていく。「ヴァイオレット・アイ」の病のために”嘘”を吐くことを決めた人たち。その嘘が奇妙な交差をしていく様子は読みごたえがある。高校生たちの熱く瑞々しい青春ストーリー。
十代にしか罹かららず、次第に死に至る病《ヴァイオレット・アイ》
亡くなった友達の思いを知るためという“不謹慎メイク”という嘘はどうしても受け入れることが出来なかった。でもそれは本人が一番分かっていたのだろう。病気のフリをして罹患した人の思いや周囲の反応を知りたい、その思いには嘘はなかった。
高校生たちの「嘘と真」が語られながら物語は進む。
その若さゆえの真っ直ぐすぎる行動力が眩しい。
この物語には心無い大人も出てくるけれど、彼らには優しく見守り手を差しのべてくれる大人たちもいるのだ。
今の高校生たちにぜひ読んでほしい。そして賢く周囲の大人たちを利用し、出来ないことは甘えていいと感じてほしい。
嘘で繋がった友達が、辛いことを乗り越えることで真の思いで繋がり、優しい気持ちになれるお話でした。
年々今まで仲良くしていた友達との距離が遠く感じがちな社会人にこそ手にしてほしい青春小説でした。咲織と光希の友情にひとつの答えが見つかった時、きっと読者も大切な友達に会いたくなるはず。私も限りある友達との時間をこれまで以上に大事にしていこう!と思いました。また、男女関係なく描かれる高校生たちの友情がこれまた胸を熱くさせてくれました。難病ものですが、切ないというよりはむしろ清々しさを強く感じる内容で、この作品ならではの感動を味わうことができました。
ヴァイオレット・アイの患者の気持ちを知る為に周囲に嘘を吐いた咲織。そのやり方は正しくなかったかもしれないけどそうしなければ気付かなかった偏見の目やそれがきっかけで心残りだった友人の言葉(気持ち)を受け取れたのでやる価値はあったと思う。これがきっかけで「知らないから怖い」んだ、なら知る努力をすべきだという気付きも得られたし、何より「同じ事は繰り返さない、かつて出来なかった分今度は出来る限りの事をする」と大きな決断が出来たのもどんな形でも一歩踏み込もうとしたからですよね。嘘をきっかけにして出会った鷲宮との関係性も好き。諦めなかった先で掴んだ未来が明るいもので本当に良かった。
親友光希を《ヴァイオレット・アイ》を亡くし、自分も発症したフリをする咲織。光希を失い、咲織も瞳が紫になって心の居場所がなくっなった花。咲織に不器用な優しさを見せる鷲宮。読んでいるだけで、胸が苦しくなった。先が見えなくて。押し寄せる未来が不安で。
でもそれは、あくまでも〈プロローグ〉だったとは。辛さから逃れるために、皆が「嘘つき」だったとは。そして鷲宮の《真実》が明らかになった時、彼と彼女はそれを認め、それを乗り越えるための、本当の物語が始まる。
鷲宮の「孤独死計画」への妨害作戦。肌に紫斑が浮かび味覚も失い、気力さえ無くなる鷲宮。でも、あんな経験をした咲織や花、原だから、鷲宮の心身を直視し、まだ「生きてる」ことを実感し、具体的な行動をとることができたのだろう。
しかし、確実に死へと向かう鷲宮。その恐怖に潰されていく鷲宮。それを支えるため、自ら辛い選択を続ける咲織。彼女を支えようとする花。本音で、本心を隠して、おもんばかって、苦しくてぶつかり合っていく。みんな「嘘つき」を捨てて。
その果てに《本心》に気づいた鷲宮。そして、初めてそれを実現するための行動に出る。皆とのやり取りによって、その《本心》を受け入れてくれると《信じる》ことが信じられたから。そう、「強い意志」を持つ鷲宮に立ち戻れたから。
それなら、その後にある一文は? いったい誰の言葉なのか??
そしてエピローグの②。これからは立場が逆になる。でも、大丈夫。大きな大きな山を越えられた2人のだから。今度も、きっと大丈夫。
若者特有の不治の病であるヴァイオレット・アイをめぐる青春群像劇。後悔や冷めた感情に支配された登場人物たち…それぞれの思惑が少しずつ繋がっていく巧みな展開から目が離せない。彼らは置き忘れた大切なものを取り戻せるのか。最後まで見届けて欲しい!
不治の病とされるヴァイオレット・アイ。ただでさえ不安定になりがちな10代にそれは重い試練となるものだと思う。大切な親友である光希の死に心の整理がつけられずにいる咲織、そんな咲織にどう接していいのか思いあぐねる花、父親への憎しみと孤独を抱える啓二、小学生の時に啓二に救われた原くんの思い。そしてそんな高校生たちに親や大人たちはどう向き合うのか。10代の頃なんて、なかなか本心を明かせないもの。だけど、人の気持ちを考えたり、寄り添ったり、大切だと伝えることでお互いが強くなれることをこの物語は教えてくれる気がします。終盤に不穏な描写がありますが、人間は意外とたくましい。それもまた乗り越えてゆくのだろうと思います。
10代にしか罹らない不治の病、ヴァイオレット・アイ。左目が紫になるという美しくも恐ろしい病だ。罹患したふりをする「不謹慎メイク」をする者、罹患したことを隠す者。これらは自分を守るための嘘。本音を言える人が周りにいないからつく嘘だ。でもきっと本当の気持ちを受け入れてくれる人はいるはず。本音を伝えあえた時、人は強くなれるのだと感じた。大切な人がいるって本当に無敵。彼らのなりふり構わない一生懸命に大切な人を守ろうとする想いに胸はキュンと熱くなる。病とは確かなことが解明されていないと不安や恐怖から差別へと繋がることがある。これはコロナ禍で私たちは同じようなことを多かれ少なかれ経験したのではないだろうか。まずは「知ること」が大切だ。そして当たり前の日々が過ごせることがどんなに幸せなことなのかと、改めて思う。
若者だけが発症する死の病「ヴィオレット・アイ」。
咲織の友人がこの奇病にかかり亡くなった。
彼女に何もすることができなかった咲織は、せめて彼女の気持ちを分かりたいと、「不謹慎メイク」をして「ヴァイオレット・アイ」にかかったふりをする。
伝染しないとわかっているはずなのに、「ヴァイオレット・アイ」に対する世間の目は思ったよりも厳しかった。
咲織が見知らぬ男性に空き缶を投げつけられた時、助けてくれた人が現れた。
授業をさぼってばかりいる同じクラスの鷲宮だった。
このところ、思ってもみなかったことが現実に起こっているので、こういうこともあるかもな、と思いながら読んだ。
十代の多感な時期に、仲たがいをしたまま友人が亡くなったり、自分も死ぬかもしれないと思ったり、大人以上にしんどいだろうなと思った。
こういう話は、とかく、お涙頂戴物語になったり、悲劇のヒロインになり過ぎて、読む方は冷めてしまうことが多いと思うのだけれど、作者の心理描写がとても巧みだったので、冷めることなんてことはなく、物語にのめり込んだ。
全体に死が漂っている上に、十代特有の親子関係、友だち関係などのもやもやがあり、それほど明るい楽しい話ではないのだけれど、清涼感があった。
とても素敵な青春群像劇だった。
読み出したら止まらなくなった。
紫の瞳・・・ゾクッとするほど美しく恐ろしい病気だ。
誰もがかかるかもしれない恐怖、周りの目、衰えていく体・・・。
コロナの世界を生きている自分たちには、痛いほど理解できてしまう。
そんな状況になったときに、人の本質は見えてくるのかもしれない。
そして、その本質でさえ変わっていくのかもしれない。
様々なことを考えさせられた。
読んでよかったと思わせる物語だった。
不治の病であるヴァイオレット・アイ。
10代しか罹らなく、詳しい解明されていない病。
そんな病により身近な友人を無くした主人公の心の中の後悔や自虐的な気持ちから始まります。
誰しも近しい人を亡くすと「ああすれば良かった」「こうすれば良かった」と思い悩むでしょう。
そしてそれはもう相手を失っているので解消されることない後悔。
主人公たちが、気持ちを言葉にして伝えていき、前向きに関わり生きていくことを伝えてくれており、私も後悔のないように大切な人に伝えていこうと思いました。
嘘と現実が交差して進む物語。それぞれに苦しみがある。
大切な人の死に10代で向き合わなくてはならないこの病気は、かかった本人だけではなく周りの人たちも不安や悲しみ、恐怖がつきまとう。
後半からの「生きよう!」とする気持ちの変化に、胸を打つ。
今までの著者の爽やかな青春、可愛らしい恋愛作品などとはまた違った印象を受けた。
現実に抗うため、あるいは向き合うために嘘をついていた二人が、お互いがかけがえのない存在となっていったことで、未来を諦めないためにどうすればいいのか懸命に考えて、周囲の協力も得ながら希望を見出してゆくとても素敵な物語になっていました。
「ヴァイオレット・アイ」という架空の不治の病で親友を亡くした女子高生が、親友の気持ちを知ろうとカラーコンタクトを入れて病を偽る「不謹慎メイク」をする。そんな彼女が校内で浮いている男子高生と出会って・・・というストーリー。
今どきのライト文芸並みのリーダビリティーがあり、病気の設定や描写もなかなかリアル。
設定をうまく活かした話の展開、テンポも無理なところがなく、「余命もの」が好きな人にも受け入れられそう。
難病で親友を亡くした咲織はある理由で周囲から孤立していた。そんな中クラスメートの鷲宮から衝撃の問いを受ける・・・。
突然の理不尽に向き合う若者の姿が描かれているが、とてもせつない。ただ、哀しみと後悔、不安に押し潰されそうな中できっかけはどうあれ純粋な気持ちで立ち上がり前を向く姿に、安堵とともに心強さを感じさせる。
せつなさを感じさせる紫を基調とした、理不尽に向き合う若者の青春群像。
13歳〜17歳に発症すると言われ、左目が紫色になり治療方が確立されていないため死に至る「ヴァイオレット・アイ」。10代の未来を奪うこの病は人から人に感染する事はないけれど心ない差別があった。高校生がこの現状に耐えるには相当な精神が必要で、彼女は後悔とともに友達を失った。鷲宮啓二との出会い、嘘をつき続けた私。彼も…。二人の関係、未来はどうなるのだろう?自分たちだけでは限りがあっても諦めない姿、SNSで個人も拡散される現代と心ない差別を、架空の病を通して考える事のできる話しだった。
YA作品を書く神戸遥真さん、ことのは文庫でも良かった。
片目の色が紫になり、紫斑が現れ、やがて死んでいくという病気。
その「ヴァイオレット・アイ」と呼ばれる病気で亡くなってしまった友人の気持ちを知るためにうそをつく少女。
この病気は紫の瞳の色から読者にとっては綺麗な感じがするのですが、感染するかもしれないなど空き缶を投げられたり理不尽な思いをすることもある。いろんな病気があるけれど、このヴァイオレットアイという病気に似ているところがあるかもしれないなと思った。
割と先が読めてしまう物語ではあったけれど、面白かったです。
もし自分が大切に思っている人が「不治の病」に罹ったら、自分だったらどうするだろう。いつも通りに何事もなかったかのように相手に接するか、または関連する書物を片っ端から探して読み、専門の人に聞き、どうにか治す方法はないかと考えて、相手にそれを伝えるか。きっと後者かもしれない。その理由はもちろん、亡くなって欲しくないからだ。でも、相手が「死」を望んでいたら?治療法もなく、どうせ治らない病気だから、と拒絶されてしまったら。『嘘つきな私たちと、紫の瞳』の主人公で高校2年生の紀田咲織は、親友の光希を「ヴァイオレット・アイ」という病気で亡くしてしまう。この「ヴァイオレット・アイ」は、十代にしか罹らず、左目が紫色になり、次第に死に至る病である。原因不明なので、自分は絶対に罹らない、という保証はない。咲織は光希を失いたくないばかりにあれこれ光希の世話を焼いてしまい、ある日、光希から拒絶されてしまう。そして、光希の死によって光希の友人、花とも関係をこじらせてしまう。光希の気持ちを知りたいばかりに、咲織は左目にカラーコンタクトレンズを入れて「不謹慎メイク」(詐病)をして登校を始めた。未知の脅威に対する不安、恐怖ー咲織が受けた世間からの差別や嫌がらせはこういうことからきたのだろう。そんな時出会った同じ高校に通う問題児の鷲宮啓二。彼との出会いが咲織の心を大きく変えていく。「ヴァイオレット・アイ」ーもちろん、現実にはこのような病気は存在しない。しかし、私達が経験した未知のウィルス「新型コロナウィルス」への恐怖は、この「ヴォイオレット・アイ」への恐怖に繋がる。十代にしか罹らないというこの病気に必死に立ち向かう高校生たち。彼等(彼女等)の命がけの思いが伝わってくる話だった。
最初は、よくある難病ものなのかなと思っていましたが、読むうちにどんどん引き込まれて一気に読みました。
高校生の爽やかさと、不治の病の切なさ、でも未来を掴もうとする力強さが合わさって、とても良い読書時間でした。
夏のキラキラした時間の中で読んで欲しい作品です。