ゼロ打ち
相場英雄
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刊行日 2024/02/15 | 掲載終了日 2024/02/15
ハッシュタグ:#ゼロ打ち #NetGalleyJP
内容紹介
ドラマ化もされたベストセラー
『震える牛』『トップリーグ』『ガラパゴス』など
衝撃の真実を世に問い続けている
著者の新たな問題作!
NHR vs 大和新聞、そして政治家
今まさに世間を騒がせている裏金問題や、選挙速報を巡る前代未聞の死闘!!
政界と選挙の深い闇とタブーに、鮮やかに斬り込む衝撃の
エンターテインメント長篇小説。
ゼロ打ち……とは
選挙の番組で開票開始直後、開票率0パーセントに
近い時点で 特定候補者の当確確実を報じること。
●内容紹介
「与野党不意打ち、首相の解散発言に衝撃走る」|| 大和新聞の社会部記者・片山芽衣は、突然の解散後の衆議院選挙で、 選挙報道センターに配属された。担当は激戦区の東京一区。 そんなある日、片山は取材中に「ある都議会議員の不審死」を知ることに|| 一方、国会議員の秘書歴10年の中村は、同じく民政党の東京一区の新人・大学教授の若宮の事務所の応援に駆り出された。 苦しい選挙戦のなか、若宮の女性スキャンダルが持ち上がり……
●著者略歴
相場 英雄(あいば・ひでお)
1967年新潟県生まれ。89年に時事通信社に入社。2005年『デフォルト 債務不履行』で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞しデビュー。12年BSE問題を題材にした『震える牛』が話題となりベストセラーに。13年『血の轍』で第26回山本周五郎賞候補および第16回大藪春彦賞候補。16年『ガラパゴス』が、17年『不発弾』が山本周五郎賞候補となる。他に『トップリーグ』『トップリーグ2 アフターアワーズ』『KID』『アンダークラス』『レッドネック』『覇王の轍』『心眼』『サドンデス』などがある。
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784758414579 |
本体価格 | ¥1,900 (JPY) |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
大和新聞社会部記者の片山は選挙報道センターで東京1区の担当に抜擢された。一方、茨城の代議士秘書中村は東京1区の新人候補若宮の担当となった。
片山と中杉、中村と神津は各々の立場で選挙戦を迎える。古巣への意趣返しに執念を燃やす中杉と、都議会からの便宜を餌に国政選挙で暗躍する神津。当確発表の裏のドラマを対称の視点から克明に描いた大作。端折らずにエピローグまであればカタルシス満点だった。星4.5
突然の解散総選挙により、それぞれの思惑が動き出す。経営危機を打破するために選挙のゼロ打ちで社運をかける大和新聞。そこで急遽、選挙報道センターに配属になった片山芽衣。東京1区から出馬することになった若き私大教授の選対に抜擢された中村圭二。この二人を中心に動いていく選挙戦とその背景にあるNHRvs大和新聞の報道合戦。利権や裏金の動く政治の裏側。タイムリーかつ壮大なストーリーに息つく暇もない。特に様々な人の思惑がつながってくる最終話は鳥肌ものだ。正義がたたかれ、悪は人を変えて、はびこっていくのだろうか。政治に疎い私でもこの作品を読むと、もっと政治に関心を持ち真剣に考え投票しなくては!と思わずにはいられない。
「組織は厄介な生き物だ。人の命より、てめえらの縄張りと利益を優先するんだよ」
大手新聞の社会部記者の片山は東京一区の取材を仰せつかる。
メディアとして大切な仕事、国民の知る権利に応えるため選挙速報でゼロ打ちを報道するため。
テレビ対新聞社という手に汗を握る戦いの行方とは。
選挙を描く書籍は、フィクション、ノンフィクションとも面白い。最近では選挙は映画でも扱われることがあり、特にドキュメンタリーが面白い。
私もテレビの選挙特番に関わったことがある。池上彰さんが話題になってきた頃、開票特番を盛り上げるための事前番組を制作した。選挙の基本的な知識や日本が抱える問題点などを掘り下げる内容だった。けっこう多くの人に見てもらい、視聴率も良かった。
開票特番自体はキャスティングやスタッフィングの協力、当日のお手伝いなどで側から実態を見せてもらった。出口調査がどのように使われているのか、どの時点で当確を打つのかなど、非常に勉強になった。
私は元々がバラエティ番組の人なので、報道は全くの部外者。なのでいち早く当確を出すことに大騒ぎする現場はちょっと面白く見ていた。組閣の時に誰が要職につくかをいち早くニュース速報で出すかに大騒ぎしているのも、ちょっと冷めて見ていられた。報道の人の生理は制作とは違うと感じる瞬間だった。
その時の特番がどういうプロセスで当確を出したのかはちょっとここには書けないが、へえという感じはあった。まだアナログだった時代ならではだ。
この本は、選挙を秘書という立場から描いていく。政治家の秘書は独特な存在だ。男側の私以外はみんな政治家の秘書という合コンに出たことがあるが、なんか独特なエグ味のあるイベントだった。秘書とはなかなか大変な仕事であるようで、そのストレス発散はなかなか激しいものがあった。
秘書には独自のネットワークがあり、自分の先生が選挙に落ちても、伝手でどこかに拾ってもらえたりするものらしい。また、経営者や有力者などから修業として預けられる子息も多いらしい。うーん、なかなか独自の世界だ。
この本では、選挙のプロセスの一方で、殺人事件が描かれる。それによりフィクションであることを再度認識させられる。選挙と殺人のバランスも、けっこういい感じになっていた。
ゼロ打ちがどういう仕組みででるのか、恥ずかしながら全く気にしたことがなかったので、この本はドキュメンタリーっぽく読めた。
つい先日我が自治体でも選挙があったので、選挙事務所や選挙カーを見る目が変わった。
選挙ってこんなに大変で苦労するんだ…
解散総選挙と新聞社の選挙報道、新顔候補者の選挙陣営。
この3つの要素での作品はよくある話だが、他要素を交えた深い部分への切り込み方に圧倒された。
警視庁の絡め方、さらに、選挙余剰金の流用、選挙にまつわる慣例、
記者の矜持と報道のあり方など、アプローチが多彩で読み応え抜群。さすが相場さん。
誰のための、何のための選挙速報なのか。読んだ後は疑念を抱かざるを得ない作品です。
ゼロ打ちって・・・?
タイトルを見ても何のことだか分らなかったけど
そうか、「開票0%でなんで当選確実が出るのかな」と不思議に思っていたあれか!
仕組みが分かって、ちょっと賢くなった気がします。
選挙を扱う小説というと、他にもいろいろ思い当って
どれも面白かったのだけど、
なんとなく、候補者の議席獲得(あるいは落選)を頂点とするイメージがあって。
でも、この作品の主人公は
候補者の秘書とはいっても党派から派遣された秘書
そして、不本意ながら選挙取材に駆り出された社会部記者。
ただの選挙の話で終わるわけもなく
いろいろな脇筋が絡み合って
どうなってしまうのか、目が離せない展開で、あっという間に読んでしまいました。
この先の片山記者の活躍が描かれる作品も出るといいな、と期待しつつ。