射手座の香る夏
松樹凛
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刊行日 2024/02/29 | 掲載終了日 2024/02/29
ハッシュタグ:#射手座の香る夏 #NetGalleyJP
内容紹介
意識の転送技術を濫用し、危険で違法な〈動物乗り〉に興じる若者たち。少女の憂鬱な夏休みにある日現れた、"影"たちをつれた男の子。出生の〈巻き戻し〉が制度化された世界で、過ぎ去りし夏の日の謎を追う男性。限りなく夏が続く仮想現実世界で、自らの身体性に思い悩む人工知性の少年少女――夏を舞台とする四つの小説に、青春のきらめきと痛みを巧みに閉じ込めた、第12回創元SF短編賞受賞作を含むデビュー作品集。
意識の転送技術を濫用し、危険で違法な〈動物乗り〉に興じる若者たち。少女の憂鬱な夏休みにある日現れた、"影"たちをつれた男の子。出生の〈巻き戻し〉が制度化された世界で、過ぎ去りし夏の日の謎を追う男性。限りなく夏が続く仮想現実世界で、自らの身体性に思い悩む人工知性の少年少女――夏を舞台とする四つの小説に、青春のきらめきと痛みを巧みに閉じ込めた、第12回創元SF短編賞受賞作を含むデビュー作品集。
出版社からの備考・コメント
・多くのレビューをお待ちしておりますが、物語の核心をつくような、所謂「ネタバレ」はお控えください。
・ネタバレ行為はネットギャリーのみならず、読書メーター、ブクログ、Twitter 等の多くの方が目にする場でも同様にお控えいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
・本作は校了前の大切なゲラデータを著訳者よりご提供いただいた上で公開をしています。本作の刊行を楽しみにお待ちいただいている、多くの読者のためにも、ご理解、ご協力のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
・多くのリクエストをお待ちしておりますが、過去のフィードバック状況やレビュー内容からリクエストをお断りする場合がございます。予めご了承ください。
おすすめコメント
担当編集者コメント
新人ばなれした描写力と構成力を高く評価され、第12回創元SF短編賞を受賞した松樹凛さんの書籍デビュー作です。慶大推理小説同好会OBでもある松樹さんは、創元SF短編賞受賞の前年には児童文学誌『飛ぶ教室』作品募集に入選されました。本書収録の四編にも、ミステリやジュブナイルの要素がさりげなく組み込まれ、深い思弁性と読みやすさ、おもしろさが見事に両立しています。「大人好みのジュブナイルSF」とも呼ぶべき、ビターかつ爽やかな作品群にご注目ください!
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784488021023 |
本体価格 | |
ページ数 | 352 |
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NetGalley会員レビュー
『射手座の香る夏』
動物達が生きる〈匂いの世界=魂の世界〉。それは〈過去と現在と未来が同居〉し〈すべてが繋がった世界〉。
それに対して人間が発達させた〈自我〉とは、その世界から距離を取るためのもの。だから人間は〈家族〉という繋がりにこだわるのだろう。単なる〈友達〉ではなく。それが無性にわびしがった。
『十五までは神のうち』
一番多感な15歳で選ばなければならないとは。
そのプレッシャーを感じつつ生きていく様を描いた過去編。自分の運命が自分の手の中にある。そこにあるのは神の万能感ではなく、時が来るまで繰り返される自問の息苦しさ。
〈存在と存在した証拠〉は消えても〈存在した記憶〉はある。それを強引に押し付けられ、生きていかなくてはならない現代編。心の中だけにあるものをいつまでも引きずっていかなくてはならない閉塞感。
どちらにも、わびしく非力な共感が残った。
『さよならスチールヘッド』
〈人間〉は他とは異なる存在だと自らを定義しないと、その尊厳を保つことができない。
だからAI〈ヴァース〉を半端につくった。でも、吐き気に悩まされ、眠れず、尿意に悩まされるエドたちは〈人間〉と変わらないため、〈アイデス〉に閉じ込めた。
〈ウォーカー〉もまた〈人間〉から堕ちた半端な存在。でも、現実においては、〈人間〉は〈ウォーカー〉に駆逐されていく。
と、思いこんでいた。そう読んでいた。それが真逆となり、2つのストーリーがこうに結び付くとは。〈人間〉として安定するために、二つにまたがることが〈人間〉に必要だったとは。唖然として読み終えた。
『影たちのいたところ』
ソフィーと影たちとの連携が素晴らしい。踊るように走り、舞う影たち。それは体から自由になった魂の動きなんだろう。
そして、終末。影たちがいたところに、影が一つまだ残っているだろうか? 残ってないと信じたい。彼女もまた、体から解放されたのだと。
引き込まれる題名から始まる4つの物語。危うい現実感の中で、魂/意識が様々な面から問われていく。そして、不確かで苦味あるエンディング。だからこそ、読む者にその先を問いかけてくる。そんな煌めく短編集。
4つの異なる作品からなる1冊。
全ての作品に共通するのは、現実、幻、夢、、、。そして、遠い未来ではなく、すでにすぐそこにある近未来、またはパラレルワールド???
1作目「射手座の香る夏」、3作目「さよなら、スチールヘッド」は読んでいてちょっと難しかった。そして、ちょっと怖い。
どちらかというと、2作目「十五までは神のうち」と4作目「影たちのいたところ」の方が好みだった。
「十五までは神のうち」は、出生の「巻き戻し」ができるようになった世界のお話。ストーリーが進むにつれ、切なさも感じる作品。自分が生まれなかったことを選べる世界って、実際その世界に生まれたら、私はどう選択するだろう、、、。
最後に、作者について、現実の世界を自由自在に操る作家さん、そんな印象を受けた。
次回作も期待。
夏を舞台に少年少女の心の機微に触れる、青春の一瞬の煌めきを切り取ったSF短編集。
所々に共通点のある4つの物語。1、3作目がAIや副体を使った王道SF。2、4作目はどちらかというとファンタジーという印象。この捉え方の違いを示したような「影たちのいたところ」の想像力についての表現がとても興味深かった。豊かな想像力とは何か?実現可能な範囲での想像が世界を更新しているのか?2、4作目をファンタジーと感じたのは、現時点ではまだ突飛な想像に思えたからであって、それもいつかはもう少しリアルに感じる日がくる。そんな教訓のような作品を最後にもってきているのが素晴らしい。
どれも一つの技術を除けばなんの変哲もない世界だが、出生の〈巻き戻し〉や〈影を操る〉行為が与える影響の規模と範囲が狭い事で、日常描写の共感を強くもてた。存在やその証は消えるのに、記憶は残る。どうせなら記憶まで消してくれれば良いのに、実際の中絶も妊娠した記憶までは消せないから、ある意味では万能じゃない方が公平なのかもしれない。
放射能や移民問題など、結構攻めた時事問題が組み込まれているのも意外性があって良かった。