この銀盤を君と跳ぶ
綾崎隼
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刊行日 2023/12/12 | 掲載終了日 2024/06/14
ハッシュタグ:#この銀盤を君と跳ぶ #NetGalleyJP
内容紹介
【五輪に行けるのは一人だけ。二人の天才選手の人生がぶつかる、運命の物語】
二ヵ月後にオリンピック開幕を控えた、全日本フィギュアスケート選手権。
この大会には日本女子フィギュアの歴史を変えうる選手二人が揃った。
卓越したセンスと表現力を持つ完璧主義者・京本瑠璃。
圧倒的身体能力でジャンプの限界を超越する雛森ひばり。
波乱続きの競技人生を送る彼女たちをこの舞台に導いたのは、それぞれのパートナーだった。
片や、運命が出会わせた師弟。
片や、幼馴染みの選手同士。
強く結びついた女性二人×二組がひとつの五輪出場枠をかけてぶつかり合う。
おすすめコメント
【担当編集者より】
『死にたがりの君に贈る物語』がTikTokでブレイクし、若い世代の支持を集める綾崎隼さん。
今作では女子フィギュアスケート選手権を舞台に「運命の二人」を浮かび上がらせます。
恋人でも友人でもない、どうしようもなく強い絆で結ばれた二組の女性たち。
その出会いから決戦の舞台に至るまでを辿ってゆくドラマは圧巻。
そして、どちらにも勝って欲しい!と思いながら読む最終話のドキドキとカタルシスは鳥肌ものです。
『蜜蜂と遠雷』といった芸術をテーマにした小説が好きな方や、
『光のとこにいてね』のような女性の絆が描かれる作品を好む方には、特に楽しんで頂けるはず。
間違いなく現時点での著者の最高到達点となった、この熱い物語を見届けてください。
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784041142868 |
本体価格 | ¥1,700 (JPY) |
ページ数 | 376 |
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NetGalley会員レビュー
まず表紙に惹かれた。
内容紹介で、フィギュアスケートのお話だと知る。
才能あふれる二人の女子選手と、彼女たちのそれぞれのコーチ・振付師の物語。
二人の選手はどちらも天才とよんでいい才能を持つけれど、どちらも世間から好かれていなかった。そして、選手生活も、順風満帆ではなく、挫折を繰り返す。
それでも諦めないオリンピック派遣への夢。
決戦は、2030年のオリンピック派遣へ向けての闘いになるから、舞台は2029年12月となる。
読みながら映像が浮かんできて、先を読む手が止まらなくなる。
二人の選手に、30歳を超えたベテランスケーターも加わり、誰がオリンピックに出られるのか最後まで分からなかった。
本当に面白い、感動する作品。
それにしても、フィギュアスケーター選手としての寿命は短すぎる。だからこそ、あれだけ煌めき、その輝きがこの小説にも活きているのだろうけれど。
「勝つか負けるか」の瑠璃と、「楽しいか楽しくないか」のひばり。天才同士なのに、ここまでフィギュアスケートへの態度が真逆とは。自分と向き合うことがこの競技の本質であるだけに。
朋香から見た「氷の獅子」瑠璃。泉美から見たひばり。一見、世界を敵にしても生き方を曲げない2人。でもそれは〈理解者〉の朋香と泉美がいてくれるから。嫌われ、傷つき、それでも自分を貫き運命に立ち向かっていく瑠璃とひばりの様が、寄り添う理解者からの視点から語られる。それだけに、痛いほどより鮮烈にその様子が浮かび上がってくる。そして、瑠璃とひばりのために自らの進む道を変えていく、朋香と泉美。
この4人、いや2組の生き様を、ただただ息を詰めて読み進めるしかなかった。相手に勝つためにひたすら自分と向き合う2人。その結論が同じだったとは。瑠璃は朋香に、ひばりは泉美に頭を下げる。どちらも19年の人生で初めて。1人ではオリンピックは目指せない。そのための決心の現れ、今までは周囲に反抗することに費やされてきた心が、前に向くための苦しい通過儀礼。特にひばりの決心がこれほどとは。「楽しいか楽しくないか」を捨て「雪の妖精」となる。「氷の獅子」と対抗するために。一方、「氷の獅子」瑠璃さえもが何者も拒絶する氷を緩め、人間として成長した「氷の舞姫」となるとは。
そして、オリンピック出場をかけた全日本選手権が始まる。泉美に判断を任せるひばり。朋香の振り付けを信じる瑠璃。それは、最後の最後で、〈理解者〉が真の〈パートナー〉となった瞬間。そして、演技が始まる。そして、読み取る文字ではなく、2人のスケーティングが直接頭の中に流れてくる。今まで積み上げ、全て崩し、また一から積み上げてきた、全身全霊を込めた自分なりのスケーティングが。
今までも、ピアノや水墨画をテーマにしてきて、読む中でその演奏や筆さばきが視覚イメージにまで昇華した作品はありました。でも、ここまで『動的』な視覚イメージが頭の中で描かれたのは初めてです。更に、2人、いや4人2組の想いが籠ったこの文圧は、これ以上のものを知りません。綾崎隼先生の熱き最高傑作だと思います。
まさに、一文一文に強き意志が宿り、更にそこから2人の熱きスケーティングの様が見えてくる小説でした。
読ませて頂き、誠にありがとうございました。
スポーツには特に興味がないし、ましてやフィギュアスケートには全く興味はない。イメージはジャネット・リンで止まっているくらい。それから映画「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」くらいか。
しかしこの小説には引き込まれた。ライバル関係にある若き選手2人と長年に分かって女王としてフィギュア界を牽引してきたベテラン選手。主人公は前者2人でその成長譚が主。2人はそれぞれに家族的なバックグラウンドを背負って選手になった。なんとなく聞いたことがあるような家族の背景だが、そんなことがあまりノイズにならないくらい物語に没頭した。
初めて読む作家だが、ラノベシリーズから将棋ものまで幅広く活躍しているようだ。なのでストーリー構成も巧みで人物造形もいい。
読後感も極めて良く、つくづく読んでよかったと感じる一作。
ラノベは苦手、スポーツものはちょっと、この表紙はどうかなと思う人も読んで絶対に損のない一作。もちろんフィギュアスケートの知識ゼロの人でも関係なく楽しめる。
先日のグランプリファイナルも記憶に新しい。
そこで、実在していたのではないか。
というくらいの臨場感、疾走感、緊張感が
怒涛に伝わる作品でした。
綾崎先生の作品は、将棋の作品をいくつか読ませていただきましたが、情熱を書くプロだと思っています。
主人公の2人だけではなく、支える周りの人たちからもジンジンと伝わってきて、終わった後に拳を上げたくなるような達成感がありました。
フィギュアスケートはテレビで放送していれば、それをなんとなく眺めるだけだった。
選手がどういう思いで演技をしていたり、選手の周りの人達が何をしているのかはテレビで見るだけでは分からなかった。
小説ではあるけど、フィギュアスケートの解説書も読んだようでお得感がある。
十代とは思えぬ卓越したセンスと表現力で常に完璧な演技をみせる京本瑠璃。そして圧倒的身体能力で女子のジャンプの限界を突破する規格外の雛森ひばり。才能で周囲を圧倒する一方、不遜な態度を隠そうともしない彼女たちは典型的なヒールで、それでも彼女の才を愛して止まない関係者の視点から浮き彫りにされてゆく、二人の不器用な天才が一つの枠を巡って争う構図は、この勝負に賭けるこれまでの壮絶な人生の縮図でもあって、大一番でのギリギリで最高の演技をお互いに最後までやりきってみせた彼女たちの姿から目を離せませんでした。
スポーツにはあまり興味がないなかでも、
フィギュアスケートはわりと好んで見ていたことのある競技で、
それもあってお名前だけ存じていた作家さんを初読。
旅先の電車の中で読んでいたのですが到着しても続きが気になって、
閉じてはみたものの正直しばらく心が落ち着かなかったです。
イメージとしては美しさのミシェル・クワンと、
ジャンプのタラ・リピンスキー@長野五輪を思い出すと、
ジャンプだけ飛べたらそれでいいのか???
という点数のつけ方への疑問なんかが思い出されて、
だからこそジャンプも表現力も限界まで、
突き詰めて磨きをかけようとするその姿勢に、
個人的に友だちにはなりたくないながら、
気が付いたら応援しながら読み切っていました。
銀盤で輝ける人だけが主役じゃないのもいい。