夜明けを待つ
佐々涼子
この作品は、現在アーカイブされています。
ぜひ本作品をお好きな書店で注文、または購入してください。
出版社がKindle閲覧可に設定した作品は、KindleまたはKindleアプリで作品を読むことができます。
1
KindleまたはKindleアプリで作品を閲覧するには、あなたのAmazonアカウントにkindle@netgalley.comを認証させてください。Kindleでの閲覧方法については、こちらをご覧ください。
2
Amazonアカウントに登録されているKindleのメールアドレスを、こちらにご入力ください。
刊行日 2023/11/24 | 掲載終了日 2024/04/30
ハッシュタグ:#夜明けを待つ #NetGalleyJP
内容紹介
生と死を見つめ続けてきたノンフィクション作家の原点がここに。
2022年11月、悪性の脳腫瘍に罹患したことが判明し、2023年2月、自ら病を得たことを新聞紙上で公表した佐々涼子さん。
彼女はどのようにして、人の心を揺り動かす作品を生み出してきたのか。
家族との交流、度重なる病、書くことの重圧、宗教的なるものを求めた旅──
小さき声に寄り添うことで、大きなものが見えてくる。
『エンジェルフライト』『紙つなげ!』『エンド・オブ・ライフ』『ボーダー』・・・・・・。
読む者の心を揺さぶる数々のノンフィクションの原点は、佐々涼子の人生そのものにあった。
ここ10年に書き溜めたエッセイとルポルタージュを集め、厳選した作品集。
<本書の構成>
●第1章:エッセイ
●第2章:ルポルタージュ
●あとがき(書き下ろし)
佐々涼子(ささ りょうこ)
ノンフィクション作家。1968年生まれ。神奈川県出身。早稲田大学法学部卒業。『エンジェルフライト』(集英社/開高健ノンフィクション賞)、『紙つなげ!』(早川書房/ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR第1位ほか9冠)、『エンド・オブ・ライフ』(集英社インターナショナル/Yahoo!ニュース|本屋大賞ノンフィクション本大賞受賞)など。
出版社からの備考・コメント
★本作品のサムネイル画像はNetgalley用に作成したもので、実際の表紙画像とは異なる場合があります。
★発行元は集英社インターナショナル、発売元は集英社です。
★校了前のデータを元に作成しています。刊行時には内容が若干異なる場合がありますがご了承ください。
★本作品のサムネイル画像はNetgalley用に作成したもので、実際の表紙画像とは異なる場合があります。
★発行元は集英社インターナショナル、発売元は集英社です。
販促プラン
POPを作成予定です。
ご希望は弊社販促部・小林までお問い合わせください。
10月末日まで初回指定も承ります
03-5211-2632
POPを作成予定です。
ご希望は弊社販促部・小林までお問い合わせください。
10月末日まで初回指定も承ります
03-5211-2632
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784797674385 |
本体価格 | ¥1,800 (JPY) |
ページ数 | 272 |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
余命宣告された作家は、最期をどう生きるのか。
山本文緒の「無人島のふたり―120日以上生きなくちゃ日記―」を読んだ時、自分の人生がカウントダウンされていく様を客観的に描いている様が壮絶すぎて驚いた。
ノンフィクション作家の佐々涼子は、この作品の後書きの中で自身の余命宣告について記している。こちらも非常に冷静だ。死について取材してきた作者ならではの冷静で客観なあとがきが白眉。
作者の罹ったグリオーマだが、前に番組で初期の患者の手術を紹介したことがある。非常に稀な疾患で、しかも発見のタイミングや部位によって助かる、助からないが運命付けられてしまう。そんな病になって、死に向かうことを「一生の宿題」と語る。これには深く感銘を受けた。
人生の終わりが突然来るのがいいのか、それともカウンドダウンしながら過ごすのがいいのか、選択できることではないのだが、とても悩ましく考えてしまった。
ちなみに、エッセイや短いルポをまとめているが、さすがに色々な経験をし、取材をしていている人だけって、どれも滋味深い。こうしてまとまって読めることの幸せを噛みしめたい。
佐々さんご自身やご家族、出会ってきた人々とのエピソードが、丁寧にゆっくりと描かれていて、その穏やかな空気感が伝わってくるようでした。そして、今までの経験や体験から「生命」についての考えや想いに、目を見張りました。「生きること」「生きていくこと」とは、どういう事なのか。人生においての、得がたい答えを教えていただきました。
佐々さんの書いて来た文章を選び再構成した本です。
『エンジェル・フライト』を初めて読んで以来、優れたノンフィクションライターとしてずっと注目して来ましたが、なんと、55歳にして、5年後生存率が2割に満たない、平均余命14か月!という病気になってしまわれるとは。生と死に関する著作を書き続けてきた彼女だけに、自身の余命についても至極冷静に受け止めておられる筆致だけれど、あとがきを読んで泣いてしまう。どうか最後の一瞬まで、「楽しかった」と言える瞬間が続きますようにと祈らずにいられない。
ノンフィクション作家佐々さんの初エッセイとのことで、是非読みたかった。国際霊柩送還士という仕事について書かれた「エンジェルフライト」を読んだときの感動は忘れられません。今回も、佐々さんの死生感が色濃く描かれていたと思います。家族のこと、看取り、移民問題、宗教、幅広く取り上げられていること、いずれも心に響きました。『亡くなりゆく人は怒り、否認、取引、抑うつを経験しながら、やがて諦念のあとに死の受容に至る』のくだりは、まさに父が死に向かうまでの姿そのものでした。ご自身も悪性の病気になられているとのこと。だからこそ物を見る目も思考も、より研ぎ澄まされたものになるのだと思いました。「夜明けを待つ」先に安らぎがありますことを、お祈りいたします。
『エンド・オブ・ライフ』という終末医療について書かれた本で知った佐々涼子さん。素晴らしいノンフィクション作家がいるのだと思っていて、今年は国際霊柩送還士について書かれた『エンジェルフライト』がドラマにもなっていました。
まさか余命宣告をされていたとは。
本当に悲しい。この本の中にもある日経新聞に載っていた20キロダイエットのエピソードは覚えていたのでてっきりお元気なのだと思っていました。
第一章は主に日経新聞で発表されていたエッセイ。
第二章はルポルタージュ。日本語教師をしていた過去をもつ佐々さんならではの気づきと取材での禅修行を通じての死生観の学びなどが書かれていました。
同行していた医師から言われた 「人は死に方をちゃんと知っているし、家族も送り方を知っている」
というのは本当でしょうか。親を送ったけれど、自分の死は未経験なので…
私たちの生活を支えてくれている外国人労働者の人たちに、生きていくための技能、本物の言葉を教えてくれる日本語教師の存在も決して忘れてはならないということもこの本では教えてくれました。
禅とは悩んでいる人に、その土俵から降りる方法があることを示すものなのだそうです。
身体の痛みもそうですが、割り切れない思いとか、全て解き放たれたる世界に向けて生きていくことも教えてもらいました。
佐々さんの作品はどれも衝撃的だった。徹底した取材とインタビューで「生と死」について追及する姿勢、小さな声を丹念につなぎ大きな声へと変えようとする強い意志に感服するばかり。同世代で見てきた景色は同じだろう。彼女を駆り立てるものは何だったのか。この10年の軌跡を語る本作でその一端を知る。あとがきを読み、余命宣告を受けていると知る。何故、彼女が。まだまだ書きたいだろう、彼女が書かねばならないこともある。そして私はそれを読みたい。
今までのお仕事のまとめ的な作品集。
10年間の記録。生きた証でもあるかもしれない。
今まで死を扱う取材が多かった作者が、家族の死と向き合い、他者の死を想い、次に自分の死について考える。
誰にでも訪れる死。なのに普段は感じること考えることもしない。
寿命がきたら、そのときがきたら、人の身体は自然と受け入れるんだ。
そう思えばすこし安心する。
余命宣告を受けて、そのことについても触れているけれど、
書名は『夜明けを待つ』で、表紙は(たぶん)曙光の写真。
佐々さんの揺るがなさを見た思いがします。
もちろん、惑い迷う様子も綴られていますが、
それ以上に人という存在を信じているというのか…。
これまでにいろいろなところで書かれたエッセイをまとめているので、
あの著作の裏ではこんなことが、と思う部分もありつつ、
まとめてまた佐々さんのものごととの向き合い方と向かい合いたい、
いままでの著書を再読したい、そんな気持ちになりました。
今までの著作にまつわるエピソードなど、佐々先生の全てが詰まった珠玉の作品集。生と死を見つめて綴った、静謐な文章。息づかい、人となりが文にあらわれるとはこのようなことか。佐々先生の書かれる文章は誰が読んでもわかりやすく、水を飲むようにすっと染み込む。ノンフィクション作家として多くの人生を見つめてきたからこそ自身のことすら粛々と事実を記していることに凄みを感じた。
気になりつつも未読だった佐々涼子さん。
ご病気のことはフォローしているブックアカウントの方たちのpostで知っていたけれど、あとがきで明かされた事実を実際に目にして何とも言えない気持ちになりました。
ご自身のことやご家族のこと、今までのことを記したエッセイもだけれど、ルポルタージュがとても真っ直ぐ心に響きました。
知らなかった事実に驚いたり怒りを覚えたり胸が痛んだり勇気づけられたり……
他の作品もぜひ読みたいと思います。
死に向かって何かを手放してしまいそうで怖い気持ちになりそうと思いながらも、佐々さんのルポルタージュを読んで怖がらなくても良いという気持ちになりました。「退歩」することもまたひとつの進歩というのは新鮮でした。頭では分かっているつもりですが、できないことに焦ってしまう経験は誰にでもあると思うので、腹落ちしました。佐々さんの作品は初めて読みましたが、言葉の一つひとつにハッとさせられるところがあり、立ち止まって考えながらも佐々さんの頭の中を覗かせていただいたような不思議な心地で読み終えました。
佐々さんは『紙つなげ!ー』『エンジェルフライト』『エンド・オブ・ライフ』『ボーダー移民と難民』、今作の『夜明けを待つ』全てを読んだ。どれも「生」と「死」を扱い、どれも自分に刺さる話し。今回もエッセイとルポタージュでそうだと思っていた…あとがきを読むまで。もしかしたら、きっと、彼女の作品はこれが最後なのかも知れない。もし遺作(遺稿)があるとしたら、自分の生きた証ではないだろうか。佐々さんが感じた「私たちは、その瞬間を生き、輝き、全力で愉しむ」そして「ああ、楽しかった」と言える人生(終わりの時)でありたい。彼女もきっとそうだろ。
佐々さんに感謝いたします。