黒い絵
原田マハ
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刊行日 2023/10/30 | 掲載終了日 2023/10/29
ハッシュタグ:#黒い絵 #NetGalleyJP
内容紹介
ついに封印を解かれたのは、著者初の「ノワール小説集」。
嗜虐と背徳によって黒く塗りこめられた衝撃作!全6編。
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▪深海魚 Secret Sanctuary
高校生の真央は友だちも彼氏もいないうえ、クラスメイトからいじめられていた。そんな真央が安息を得られるのは押入れの中だけだった。真っ暗にすると「海の底」のようで……。
▪楽園の破片 A Piece of Paradise
▪指 Touch
▪キアーラ Chiara
▪オフィーリア Ophelia
▪向日葵(ひまわり)奇譚 Strange Sunflower
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著者/原田マハ(はらだ・まは)
1962 年東京都生まれ。関西学院大学文学部日本文学科、早稲田大学第二文学部美術史科卒業。伊藤忠商事株式会社、森ビル森美術館設立準備室、ニューヨーク近代美術館勤務を経て、2002年フリーのキュレーター、カルチャーライターとなる。’05年『カフーを待ちわびて』で第1回日本ラブストーリー大賞を受賞し、’06年作家デビュー。’12年『楽園のカンヴァス』で第25回山本周五郎賞を受賞。’17年『リーチ先生』で第36回新田次郎文学賞を受賞。ほかの著作に『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『たゆたえども沈まず』など多数。’19年、世界遺産・清水寺で開催された展覧会「CONTACT」の総合ディレクターを務めるなど、日本・世界各地のアートと美術館の支援を続けている。
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★★
出版情報
ISBN | 9784065332399 |
本体価格 | ¥1,700 (JPY) |
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NetGalley会員レビュー
原田マハさんのノワール小説集。人の暗い部分を描き出した作品。
いつものアートや美術館を題材にとった作品とはちょっと趣が違う。
と思ったら、そこはやはり原田マハさんと思うような作品もあり、でもやっぱり仄暗さを感じてしまう。
こんな作風の小説も書かれるのだなと面白く読んだ。
「オフィーリア」は、おそらくミレーの絵なのだろうと思いつつ、ストーリーは読んだ覚えのあるもので、「これはもしかして?」と思ったら、「芥川龍之介『地獄変』を下敷きにして創作された」とありました。ミレーの絵がどのようにして「地獄変」となっていくのか、それは読んでのお楽しみ、、、。
美術界を舞台にする小説が有名だが、実は美術を通して人間ドラマを描いてきた人だということを実感させられる一冊。原田マハならではの、しかしいつもとはちょっと表情の違う短編を集めた「黒い本」だ。
人には必ずどす黒い一面がある。そこは欲望が沈澱する地獄。恨み、妬み、嫉妬、歪んだ性愛、歪な欲望・・・。それこそが人間の本質でもある。
もちろんアート由縁のストーリーもある。だがいつも以上にどす黒いストーリーだ。
だからこそ、なぜか愛おしさを感じてしまう。
原田マハさんといえば、アート系の作品や旅系の作品が頭にすぐ浮かびますが、今作初の「ノワール小説集」は衝撃の全6編です。
塗りつぶしたような黒い感情すらも、黒い感情の濃淡を堪能しながら一枚の絵画を鑑賞したような不思議な感覚になりました。
私はマハさんのゴッホが登場する作品が大好きなので、この短編のなかで「向日葵奇譚」がとても好きです。
こんな原田マハさんの作品読んだことがない!その衝撃が大きかったですが、さらにマハさんのファンになりました。
原田マハさんがノワール?と意外な気持ちで読み始めたけれど、アートと絡めた短編もありマハさんらしさを充分に堪能しました。
孤独で闇深く、淫靡、ゾワリと感じさせるものもあり。
なんだろう、隠し持っていた開かずの箱が知らぬ間に、抉じ開けられたような心地。
「オフィーリア」はある文学作品が下書きに創作された短編なのですが、物語を読んでいたはずなのに、一枚の絵の前に佇み、恐ろしくも悲しい夢を見ていたかのように感じられた。
著者初めてのノワールの短編集。読み進む程にその毒気に当てられて、何とも言えない息苦しさを感じていく。欲望と現実との狭間で、闇に落ちていくかのような登場人物達。それでもこの作者ならではの、絵画や芸術への情熱はそこかしこに見え隠れしていて、ただの真っ黒い絵ではなく、暗闇の中で、隙間から刺す微かな光を感じて安堵したり…。芸術というのも、確かにある意味、何でもありの世界なのかもしれないと、読み終えて思った。原田マハ美術館の、最新の黒い絵を、十二分に堪能させて頂いた。
著者らしく絵画テーマで6編。でも暗い。こんなダークな原田マハを知らない。クレヨンで真っ黒に塗った画用紙に、鉄筆で描くスクラッチアート。中からどんな色が出てくるか分からないように女たちの奥底が見えない。爪で引搔かれたところからポロリと本音が出る。
芥川の『地獄変』を下絵にした話もある。創作に携わる者の苦しみはマハのテーマだ。すんなり受け入れられる。とても親和性が高い。
人の心の闇は芸術に似ている。
何かを示唆しながら含みを持たせて表し、具体的な何かをはっきりとは伝えないまま受け取る側に委ねる。
年齢や職業、性差にかかわらず、普段ひた隠しにしている本音や心の闇はおそらく誰にでもあって、それを色や形に表せば芸術、言葉に表せば文学、無秩序にばら撒いたり相手や周りを傷つければ罪となるのではないか。簡単には表に出せない欲望や感情を抱えているのは自分だけでは無い、ということを、人はどこかで確かめて安心したいのではないか。一線を超えてしまいそうな衝動や思いを辛うじて理性で抑えながら、やらかしてしまった誰かに共感しながらもそうしなかった自分は、爆弾を持ったまま自由がまだ残っていることに複雑な安堵を覚えているのではないか…。
キュレーター作家の美術・芸術への広く深い造詣とノワールな文学との融合は、まさにこの作家にしかできない境地。"黒い絵"を前に、あなたは何を感じるだろうか。
原田マハさんの今までのアートの小説とはまったく違う趣で、
ノワール小説と謳っているけれど、まるでホラー小説のようでもあり、
ぐいぐい惹き込まれて読みました。
特に後半3編!
全6編とも有名作品にまつわるので、読む人の知識、想像力により
いろんな受け止め方があるのでしょう。
「黒い絵」というタイトルに納得です。
人の強欲、非日常の狂気。欲を追求するあまりに追い詰められる人。人の欲の恐ろしさ。原田さんの作品で感じました。最後の向日葵奇譚は、淡々と描かれながらも作家と役者の欲が膨らんでいき薄ら恐ろしさをラストに感じました。
マハさんお得意のアートにおける史実に基づいた文面と、
えっ?これマハさん?という、淫靡で不気味なおどろおどろしさや、
心の奥底に潜むまとわりついた闇に迫った表現との融合が、
短編でページ数も少ない割には息苦しさこの上なく衝撃的でした。
秘められた悲しみや怒り、欲望や魂...芸術を語るには一朝一夕には
無理な事もひしひしと感じた。
大好きで何冊も読んでいる原田マハさんですが、この作品は今までと一線を画していて驚きました。
美術館を絡めてあるとマハさんらしくてウキウキする、それなのにずどんと突然闇に落とされるような新感覚。
個人的好みでいうと、ノワールよりもいつもの前向きで明るい作風の方が好きですが、マハさんはこういう作品もある、とこれからが読むのがより一層楽しみになりました。
原田さんらしいアートの世界を軸に、人の心の闇や悪意といった
どす黒い感情をさらけだした今まで読んだことのない原田さんの
ノワール小説はまさに衝撃でした。
嫉妬や恨み、愛といった避けて通れない感情。
妖艶な雰囲気を纏わせて闇に落ちていく人間の心の脆さ。
原田ノワールにすっかり酔わされてしまいました。
とにかく、びっくり😱
本当にマハさんの作品?
いやしかし、舞台は美しく静かなアートが散りばめられ、そこは紛れもなく、マハさんにしか描けない世界。
一方、その舞台で蠢く人間たちは…。
生々しいまでの性描写に驚きながら、
それでも夢中で読ませる。
こんなマハさん、読んだことない!
初のノワール小説とのことですが、
短編6篇全部まっ黒。
読後は気持ちがざわざわして、ちょっと眠れないくらい。
これは、話題になりそう😳✨
表紙として採り上げられた、加藤泉氏の描いた「Untitled」を見て息を飲んだ。全く黒き顔。そこから覗く無限遠を見つめる表情なき眼差し。これは今までの原田先生の作品とは一線を画すものだった。でも、その芸術性は原田先生の作品であると言い切れるものでもあった。
『深海魚 Secret Sanctuary 』
息を潜めて読み進めるしかなかった。真央のむき出しのひりひりする心に、真央を取り巻く光なき人間関係に。真央の行き着いた果ては、人の心の『海の底』。
『楽園の破片 A Piece of Paradise』
楽園から追い出された人は、その破片(智慧)を持ちながら進む。自分とは何者か、どこに向かうのかを自問しながら生きる。さらに響子は、自分から滴り落ちた「蛇」により自覚する。人生の岐路には、予想外のものが待ち構えていることを。でも彼女はそれを悦びとして進む。それは響子の内から湧き出てきた選択。その先に潜む薄暗さにぞっとした。
『指 touch』
「私」が続ける遍歴、年上の男性を奪っていく遍歴は、熱すぎて満たされないからか?自分の存在することを求める裏返しなのか?
その二つを共に満たし、真の高みに導く体験。それは、芸術から滲み出る、いや、そこから人が汲み取る欲情なのか?
『キアーラ Chiara』
地震で崩れたフランチェスコ大聖堂。その壁画「聖フランチェスコの生涯」の修復に取り組む亜季。更にその10年後の亜季。時間の異なる亜季によって、絵画に閉じ込めらたフランチェスコとキアーラの想いと現代の想いが重なる。その結末と、その後押しをした不可思議さが、美しく悲しく赤黒く感じられた。
『オフィーリア Ophelia』
額縁の中の女性が語る。彼女が見る様々な場面を。そしてその由来にまで物語が進んだ時、時が歪む。しかし、それに気付かず、額縁の中の女性は一つの悟りへと近づく。この矛盾こそ、彼女が永遠を生きる証なのか?
『向日葵奇譚 Strange Sunflower』
背丈を遥かに上回る向日葵が立ち並ぶ背景。その舞台でゴッホを演じる俳優、山埜。脚本家の塚本が最後の最後で変えた、狂気を秘めたるゴッホではなく、ただの人間ゴッホを。
そしてゲネプロの終了こそ、神話という牢獄からのゴッホの解放。それを成し遂げた2人が、その夜に見たものは?
読み終えて、全6話がもたらす表情が、正に表紙絵であることに気づいた。芸術から、暗き情念を歪んだ情欲をすくい上げた短編集だった。
6篇収録の短篇集。それぞれが独立した作品で連作ではない。ないのだが……。
マハさんの著作が好きで20冊以上読んでいるが、これは初めて出会うタイプの作品群だ。著者初の「ノワール小説集」とある。
マハさんといえば「アート」が欠かせない要素だ。本書に収録されている短篇もアートが絡んでいるが、主題はアートではない。どろどろの欲と野望が、淫靡に、グロテスクに、おぞましく描かれている。これまでのファンがどう反応するか興味深い。
ぼく自身は微に入り細を穿つ性描写に辟易としながらも、おっさんの強みで淡々と読み進めた。どれもおもしろかったが、一番好きなのは向日葵(ひまわり)奇譚だ。ベタだが(笑)。
私の知っている原田マハさんの小説とはだいぶ違っていて驚いた。しかしよくよく読み進めると原田マハさんを感じる。
原田マハさんは、美術系の小説で人間関係の良い話!と単純に思っていたけどなんのその。
こういう人間関係も描くのですね。好きです。
怖いよ。
もう真っ黒でした。
作者名を伏せて読んだら原田マハさんって分からないんじゃないかな 笑
6編それぞれに繋がりはないけれど、アートが共通点。
だけど今回はアートが前面に出てるわけではなくて、人間の欲望やドロドロとした感情に焦点が当たっていました。
ヒヤッとしたりゾクッとしたりモヤっとしたり。
今までとは全く違う原田マハさん、とても新鮮でした。
ノワール小説とは、
犯罪の暗部や心理を描く、犯罪小説の一ジャンル。暗黒小説。
…だそうです。
そういうジャンルがある事を初めて知りましたが、そもそも暗黒小説はあまり得意ではありません。しかも、こちらの作品は、生々しい性描写が更にあり、性描写はとっても苦手なので、苦手×苦手という、知っていたら絶対手に取らないジャンル、なのですが……
気がついたら、夢中で読んでしまっていました。
暗黒だけど、やっぱり原田マハさんなのです。
背景に芸術作品があり、
芸術を愛する人々の心の中の葛藤、揺れ、どす黒い感情…みたいなもが、もー、本当に"ねっとり"という言葉がピッタリくる位、ねっとり絡みついた6つの短編。
生々し過ぎて、どの作品が好きでした、と、
書くのがはばかられてしまうのだけど、
ストーリー展開が魅力的で、
どの作品も読み終えた瞬間、
ハッと現実に戻ってくるような、
不思議な没入感を味わせて頂きました。
これは、原田マハさんだからこそ描けた暗黒世界だと思いました。
次から次へと現れる短編は、まるで人間の深淵や暗闇も描き出した絵を見ているかのようだった。そう、それは原田マハ美術館のよう。
人々の営みのなかではらむ狂気や、一方通行な思いなどは、作者と対話できない絵を見続けていると増幅するのだろうか、そんな穿った考えすら出てくるほど、こちらの気持ちをえぐってくる。
なぜなら狂気をはらんだ登場人物に、どこかしら自分に共通するものすら感じてしまうのだ。感じたくないのに。
そのギリギリな部分を書いていながら、やっぱり現実じゃないよね、と我に返りながら読み進んだ。
芸術は、相対してどこに惹かれ何を感じるか、自分自身を映し出す水鏡のようなものなのでしょう。
今まで読んできた原田マハさんのアート小説は、芸術という光に導かれ成長していく人たちの話でした。
本作6編の主人公たちは仄暗くて薄ら寒い、欲望と倒錯の世界にとらわれた人たち。
読み進めるほどに徐々に深く、暗い方へ進み、結末はもう後戻りできないほどの真っ暗な世界。
光と闇の両方を知って、より原田マハさんの小説の面白さが深まった気がします。
読んで良かった!
美術・芸術とは全く無縁だった私が絵画に興味を持ち始めたのは、原田マハの作品を読んだことがきっかけだった。
事前の知識がないまま読み始めた『たゆたえども沈まず』は、それほど私の心を揺さぶった。
私はそれまで、絵画とはカンヴァス上にあるものだと思っていた。しかし絵画は、カンヴァスの下にも裏にもあった。いや、絵画とは二次元的なものではなく、私の心に及ぼす作用までもを含むものだと。
まさに、まさに。黒い絵とは、絵が黒いのではない。私の中の黒い部分に作用する絵画だ。著者によって、読者は自身の黒い部分を思い知ることとなる。絵画とノワール小説は、実はこんなにも相性が良かったのだ。
絵画とは、かくも深く鑑賞者に作用する。
私はオフィーリアが1番好きだ。その絵画自体が有名なこともあるが、女性であったために受けた不遇とその心情を、あまりにもありありと感じたから。熱くて深い苦悩と怒りを、一見清らかなあの絵画の奥に見出して気づく。オフィーリアは決してカンヴァスの上で完結しない。
あぁ、この目で実物を見たくなった。そして私の中に何が立ち上がってくるのかを、確かめたい。
私は今までどんな解説を聞いても、こんなふうに絵画に関心を持つことはなかったのだ。それを、文学でしてしまう原田マハは、やっぱり天才だ。
小学生のころ、クラスの全員から徹底的に無視されるといういじめを受けていた女の子がいた。国語の時間に担任の先生が、「夜」という言葉から連想するイメージを一人ずつ発表させたところ、殆どのクラスメートが、暗い、危険、寂しい、などといった、どちらかといえば負のワードを答える中、いじめられていた彼女だけは、「やすらぎ」と答えた。「深海魚」を読んで、そんなことをぼんやりと思い出した。
そんな感じで読み始めたのに、ラストの「向日葵奇譚」は、完全なホラーで、ゾクゾクしながら読み終えた。
6編それぞれが個性的で、まるで別々の人が描いたアートを鑑賞したような充実感に満たされた。
読みながら途中で何度も「これはマハさんの作品」と言い聞かせてしまうような、話の着地点に不安を覚える禍々しい6編の短編集。
人のダークな欲望が本というキャンパスに表され、正に「黒い絵」を観させられた。
怖いと思っても目が離せず先が気になって読み進めてしまうのは、やはりマハさんの言葉、文章の魅力だろう。
うっ・・・・これは大変。濃密。
大人の女性に(いや、男性でもよいのだけれど)じっくりと読んで欲しい短編集。
濃密すぎてクラクラする。カカオ90%のチョコレートのような味わい。
健全な青少年諸君にはおすすめしづらい、というところが最大の難点。
※ゲラなので今後直されるかと思いますが、p.74 l.1 「デキる女の妻」は「デキる男の妻」の誤植ではないでしょうか?
タイトル通り、黒い短編集。
どの話もアートに絡めてあるから原田マハが書いたとわかるけど、そうでなければ、こんなに人間の黒い面をドロドロと書いたものが、原田マハの作品たとは、なかなか信じがたかった。
今まで書かれた作品もアートを通して人間を書かれたいたんだと再確認した。
著者のアート小説は、よく読んでいるのだが、この短編集には驚いた。一作目を読んで、そのおぞましさ、陰湿さに引きそうになる。続く作品も性描写が露骨で、え、これが原田マハと思ってしまう。確かに著者初のノワール小説集ということだが、ノワールというより、心のいやらしさが見えてくる。絵に題材にした作品もあってちょっとは安心もしたが、原田マハにこういう一面があったことを知れたのが収穫だった。
アートに絡めて、深くに潜む人の黒さを炙り出す、衝撃のノワール短篇集。
生々しい性描写に少し胸焼けを覚えながらも、その禁断の背徳感に飲まれ共鳴してしまう。
人の醜さの中に隠れる美しさと、圧倒的な歪みが描かれ、アートと同じで角度を変えると全く別物に感じる、枠に嵌まらない作品。
短編集。
死の直前の一瞬を永遠に生きる少女オフィーリアと父である画家の思いを描いた「オフィーリア」
ゴッホを演じることになった俳優を脚本家視点から描いた一作、イタリアの修復士と少女の交流を描いた「キアーラ」など全六編。
原田マハさんの世界がまた一層深まった印象。アート絡みの物語ならマハさんの真骨頂ですが、こんなにどろどろと黒い世界も作れるのかと新鮮な気持ちで読みました。
人間の心の闇、御し難い欲望。いったん囚われたらずぶずぶと呑み込まれてしまうまで拘る醜さ。
しかし、その醜い闇を持たない者などいないのだということを突きつけられて、背筋が伸びる思いだ。
ぞくぞくしながら、息を詰めながら、目を背けることができずに読みきったわたし自身の闇を暴かれたかのようです。
闇と淫靡が絡まり合い、底が見えない沼の中に引きずり込まれていくような感覚に囚われますが、アートを軸に据えているからなのか、根底に美の輝きのようなものが流れているように感じられ、読後感に重苦しさはありませんでした。原田さんならではのノワール小説だと思います。
初出を見て納得。原田マハさん、デビュー当時は恋愛ものを書いていた。
「深海魚 2008年」「楽園の破片 2007年」「指 2008年」「キアーラ 2008年」
この4作とは全く趣が異なる「オフィーリア」芥川の『地獄変』を下敷きにしているそうで、ふおんで不気味。
最後の「向日葵奇譚」がよかった。
奇譚とタイトルにあるが、ゴッホに関しての奇譚ではなく、役者と脚本家が遭遇した奇譚で、興味深く読んだ。
長編だとハナにつくマハさんアート系女が主人公が出てこないし、美術蘊蓄もほとんどない。
これからはこの路線で書いてほしいなあ。
「嗜虐と背徳によって黒く塗りこめられた衝撃作」とあったので多少の覚悟はして読んだけれど、予想以上に毒気に当てられてしまって、どす黒い沼の底の底まで引きずり込まれそう。リハビリ本を準備してから読むほうがいいかも。『向日葵(ひまわり)奇譚』が一番好み。
6つの話からなる短編集で、原田マハさん初のノワール小説です。
アートに関する記述を読んでいるとたしかにいつものマハさんなのに、話の展開がいつもとは全く違う!ひとつひとつの話は短いのですが、登場人物の持つ狂気や欲望や嫉妬の波に飲み込まれていくような恐ろしさを味わい、どの話にもぞわっとさせられました。
タイトル通り、黒い。どよっとした漆黒の中に蠢いている感じです。まさに表紙の絵が本そのもののイメージだと思います。
でも、原田マハさんなので、アートに関するお話で、読んでいると自分のアートに詳しくなった気がしてくるので嬉しいです。
美術にまつわる小説を多く手掛ける原田マハ氏。
黒くほの暗い人の心を映し出す、6つの短編集。
理屈ではなく惹きつけられ、虜となり、心をあぶり出される美術品たち。
絵画以外にも仏像や壁画も登場します。
タイトル名と同じ作品があるわけではないが、6編を総称してまさに「黒い絵」という響きに納得である。
絵画や造形物を通した濃厚で卑わいな男女の物語。今まで原田マハ先生の小説は絵画ミステリーしか読んでいなかったので衝撃だった。絵画や芸術作品に詳しくないので、あまり物語とのリンクを感じることはできなかったが、絵画や造形物に見識がある人にとっては面白く読めるのかなと思った。読者を選ぶ小説ではあるが、文章が上手いので読みやすい。
黒い絵/原田マハ 講談社
ー 美術ミステリー×ノワール すべてが淫靡で黒い短編集 ー
絵画や仏像・漫画などの美術をテーマに、
いじめや不倫、同性愛、さらには絵画に閉じ込められる恐怖のファンタジーまで
多才で淫靡な、とっても黒い6つの物語。
先生の、美術の美しさとミステリーの味付け、それを黒で塗りたくると
こんな卑猥で淫靡な物語なるなんて、ビックリです。
頭の中がどろどろになってしまいました、が、ちょっと快感でした。。。
原田マハ先生の新境地を味あわせて頂きました。
素敵な物語をありがとうございます。
#フタバ図書 #読了 #NetGalleyJP
6篇の短編は、どれも重く、1つ1つに驚きと暗さがつきまといます。これまでの原田マハさんの作品とは違った趣きで、それでいて絵画と絡めた手法は、何か深いところにつれていかれる感じがし、人間の暗部をさらけ出し、重かったですが、読み終えるまでその世界に引っ張られました。
原田マハさん初のノワール小説ということで期待を持って読ませていただいたが、さすが“ノワール”、ねっとりとした淫靡さやザワザワとした読後感を残す作品ばかりだった。
最後の「向日葵奇譚」は怖さを漂わせながらもいつものマハさんを感じさせる作品。
もう少し先を読んでみたくなった。
著者初の「ノワール小説集」とのあらすじ読んでどんなんだろう?と思っていたら、装画が加藤泉さんだったのでなんとなくイメージ察して読み始め、最初の「深海魚」でこんな小説も書くんだと驚いた。どこか淫靡で、どこか秘め事のようで、どこか人間の暗部をみているようでと、いつもと違ったマハさんだなと読み進め、後半2編はらしさを感じると思ったら、先の4編は2007~2008年の作品で、残り2編は2023と2022年の作品と奥付で知り、なんだか納得。画家のおどろおどろしい欲望が垣間見えた「オフィーリア」が一番印象の残る。
映画のオムニバスを観ているよう。
バラバラ作品だけれども向かう方向、向かう世界は同じ闇。
明らかに暗いよくない方向に進んでいく未来しか想像できない終わり方。
いやもしかして好転するかもしれないけれど真逆を思い描く私はもうどっぷりとこの世界にはまりこんでいるんだと感じる。
闇に身を置く心地よさを味わうともう抜け出せなくなる。ラストのゴッホの舞台をぜひ観てみたい。
六編からなる短編集。
古いものでは2007年、新しくは2023年。
キュレーターとしての一面から、美術作品をモチーフにしたものばかりだが、読み始めてすぐに読者は驚かされるに違いない。
インタビュー記事で印象に残っているのだが、特に最初に配置された作品は、この一冊を読み続けることができるか、読者への挑戦状のような意味が込められているらしい。性描写も臆すところなく生々しい。ふわふわとやさしい世界や絵画の謎ときはここにはない。覚悟して読んでほしい。
原田先生に最初に出会ったのはやはりアートの世界の物語。
それから、旅や現代的な話などたくさん読みましたが、やはりアートの世界はのめり込む…。
誰しも人は隠しておきたい本心を抱えながら生きています。
この6篇には、それを一枚一枚ベールをはぐように露わにしていく様があり、ちょっとゾクゾクしながらも目が離せない話ばかり。
人の性を覗き見するような短編、題名の「黒い絵」に納得です!
ありがとうございました!
ノワールと聞いて犯罪小説を想定していたが、
その枠にとどまらない、原田マハのダークサイドを濃縮して抽出したエッセンスが詰まっていた。
どれも味があるが、やはり絵画の絡む作品がひときわ吸引力が強く、
キアーラ、オフィーリア、向日葵奇譚が印象に残った。
現実と虚構、現在と過去が幻想的に交じり合って、目眩がするような読書体験でした。
原田マハさんの最新作の短編集はノワールでエロスで、読者の期待通りアート作品もあります。
はじめの「深海魚」は結構パンチが効いていたというか、このまま残り5作品いくのかな…と少し不安に。結果後の作品は黒くてもエロスでもマハさんの作品でした。
今回は過去の作品と最近のものが混ざっていると知って納得。芥川龍之介の「地獄変」とミレイの「オフィーリア」を融合させて出来た「オフィーリア」はさすがマハさん!でした。
冒険心をなくさないマハさん。次回作も楽しみです。
久しぶりのマハさんは6編から成る短編集。今まで読んできた作品とは違ってダークな物語ばかり。官能的な場面も多く作者の新たな魅力に気付かされた。マハ×ダークもとても良かった。『ダーク』といえば『黒』をイメージする私だか、本作は色だけではなく『形状』までもイメージに入ってきて、それは『タール』のようであり、読む物語によって形を変えて忍び寄ってくる、逃れられない『気』のように感じた。この時期、暖かい部屋でゾッとする本はピッタリだと思う。個人的には『オフィーリア』『向日葵奇譚』がとても良かった。
原田マハさんはこれまで3作しか拝読していないのですが、どの作品とも似ていない、黒い雰囲気を纏った小説。
アートが関係している部分は原田マハさんだなと思うものの、官能的な部分やゾワゾワする部分が多くて、新たな一面に出会ったような気持ちになりました。
黒い絵のマハがそこにあった。
アート系の作品が好きで原田マハさんにハマっていった。
この本の内容は、そんな原田マハさん好きの私を
いい意味で裏切ってくれる作品が並ぶ
人の心の闇や禁断の愛など、驚きが続く。
ここにあるのは、純粋なアートのマハではない
内容は真っ黒
黒いマハが気になる方はおススメです。
原田マハさん初の「ノワール」小説集。カバーイラストの画家は加藤泉さんという方だそうで初めて知りましたが強烈な印象の絵ですね。人間の暗い情念と理不尽な悲しい絶望的な運命が描かれたブラックな6編です。過酷な運命にさらされるヒロインを描く物語が5編とラストの1編のみ男性が主役の話です。まあもう既に手遅れな話もありますが中には自らの過ちを悔い改めて一から出直せる物語もありますので、もう駄目だと簡単に諦めずに何度でもやり直して最善を目指し人生を粘り強く頑張って全うして欲しいなと思いますね。
不倫、愛憎、嫉妬、ただならぬ狂気に満ち満ちた短編集。愛を掛け違えて堕ちていく人たちと絵画の物語。
好きになった人がすでに誰かのものであっても止められない衝動。
殺してでも自分のものにしてしまいたい独占欲。
仏像の指で淫らに触れられる白昼夢。
人間の黒い欲望の根源に触れてしまったような作品たちにクラクラしました。
面白かったです。
妖しくて、暗く湿っていて、美しく、残酷。今まで見たことがないマハさんの一面と感じながらも、いや、これはマハさんらしいと感じる部分もある。どの短編も一幅の絵画のような美しさがある。どんなに醜い感情を扱っていたとしても、破滅に向かう姿を描いていたとしても。黒マハ作品がぎゅっとつまった短編集、心捕まれた。
だから、黒なのか・・。
読み終えて、納得した。
心の暗くて黒い部分に焦点を当て、影を浮かび上がらせている。
どの作品も、読んでいると背中に冷たい水が流れるような気がするのだ。
原田さんの新しい境地を見せてもらった気がする。
『いつもとは違う原田マハの裏の顔』
ノワール小説(犯罪や暗黒街を題材とした暗黒小説)を謳っているとおり、ダークで官能的な雰囲気をまとっている6話の短編集。
「黒い絵」とはスペインの画家・ゴヤが死・狂気・絶望・憂鬱などを描いた14の作品群を指す。本作はまさしく黒い絵を文字に書き起こしたような悲観的な内容ばかりであり、タイトルが作風のメタファーとなっている。
原田マハといえば美術への深い見識や、史実にもとづくフィクション作品を思い浮かべる方が多いだろう。本作でも絵画をテーマにした短編や欧州を舞台にした短編があり、その一端を垣間見ることができる。
しかし、根本的に違うのは本作がノアール小説であるということ。絵画への愛情、夢中で読ませる文筆力はさすがのひとことも、ダークサイドが描かれていることで読後感は他作品とずいぶん異なる。ねっとりとした湿っぽさを感じる本作に、新たな原田マハの一面を見た。
え?これ本当に原田マハさん?思わず表紙を確認してしまう。
著者初めての『ノアール小説集』だそう。今までの作風とは全く違うテイストの官能的だったりホラーだったりするダークな6つの短編集。
どの話も後味の悪い読後感です。
芥川龍之介『地獄変』を下敷きにして創作された「オフィーリア」、ゴッホの舞台を演じる「向日葵奇譚」が特にゾクリとしました。
全く違う原田マハさん、とても新鮮でした。
美術に関する小説を書かれる著者には珍しく、ミステリ風味な短編6篇収録。少女たちの秘密の関係、妄想かまことか仏像との淫靡な話、芥川龍之介の地獄変をもとにしたと銘打つ現代の芸術家の業。湿り気のある性的な話が多く、こういったものも書かれるのかと興味深い。
原田マハさんらしからぬ背徳感満載の短編6話。
アートを絡めつつ、人間の黒い欲望が描かれているなあと感じました。
不倫カップルを描いた「指」はなかなか官能的でちょっとドキドキしました。
今後はこういう系統の話も読んでみたいです。
ダークサイドを描く6遍のノワール小説。著者の新たなイメージがまた一つ加えられた。
人の奥底に隠れている暗闇、特に女性の捉えどころのない感情が表現されていく。女性は、何を考えているか分からないと言われるけれど、この本を読んだ世の男性はどんな感想を抱くのだろう(笑)
美術館や絵画の修復など美術絡みのストーリーは、著者ならではの安定感。
5編目のオフィーリア、描かれた女性目線で進むストーリーが面白かった。
マハさんの短編集は芸術と男と女と性を感じる作品でした。
この中で心に残ったのは、オフィーリア。
実は芥川龍之介の地獄変を下敷きにした作品で、地獄変は結構前に読んだことがあったけれど
最後にそう書いてあるのを見てそう言えば確かに!とは思ったもののもうこれはマハさんの作品だった。
こういう試みもとても面白いなと思いました。
「指」をよんで、あまりのエロスにこれがずっと続くのかと思ったら少し嫌な感じがした。
「キアーラ」からアートに変わって一安心。「オフィーリア」に似た内容をどこか知っているような?気がしていたら、芥川龍之介の『地獄変』を下敷きにしていたそう。アートには何かが秘められているかと思ったら、アートに対する見方が変わるのかもしれない。
人の心の底にもノワールが潜んでいると思う。
原田マハさん、初の「ノワール小説集」
今までのマハさんの作品とイメージしていると驚かれる方も多いのでは。
1作目「深海魚」官能的な場面もあり、意外性がかなりありましたが、個人的には世界観が好きな作品でした。
その後の作品のテーマは美術にまつわるもので、その点ではマハさんの真骨頂のテーマではありますが、今までとは切り口が違いました。
テーマが美術系のノワールでまとめられていると思うのですが、初出が2008~2023とばらつきがあるため、やや散漫な感じの短編集になってしまった感があり、その点、残念に感じられました。