トゥデイズ
長嶋 有
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刊行日 2023/10/24 | 掲載終了日 2023/10/23
ハッシュタグ:#トゥデイズ #NetGalleyJP
内容紹介
夫婦と5歳の息子が暮らす築50年のマンションに、
次々とやっかいな事件が降りかかる――。
「今日」を生き抜くすべての人へ、エールを送るマンション小説!
日々のかけがえなさが胸を打つ、芥川賞作家・長嶋有の最新作。
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子育てのため、郊外の大型マンションに引っ越してきた妻と夫。
管理組合の理事になった妻は、いきなり飛び降り事件に遭遇して……。
かつて「モダン」だったプール付きのマンション群に、500世帯が入れ替わりながら集まり住み続ける。
小さな叡知と工夫を持ち寄って、人生に降り注ぐ雨をしのぎながら。
止まることのない子供の成長とともに、変化する時代のつながりを描く感動作!
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著者/長嶋 有(ながしま・ゆう)
作家。1972年生まれ。2001年「サイドカーに犬」で文學界新人賞を受賞しデビュー。02年「猛スピードで母は」で芥川賞、07年『夕子ちゃんの近道』で第一回大江健三郎賞、16年『三の隣は五号室』で谷崎潤一郎賞を受賞。他の著書に『佐渡の三人』『もう生まれたくない』『今も未来も変わらない』『ルーティーンズ』など多数。
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出版情報
ISBN | 9784065333082 |
本体価格 | ¥1,600 (JPY) |
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舞台となっているのが、郊外の大型団地。これがいい。しかもプールもあるのだ。
前にいた会社で「団地への招待」という短い映像をYouTubeに公開していた。かつて団地が憧れだった高度成長時代、団地に新しく入居する人のために公団が案内用に作った映像で、懐かしさ満載。再生数も結構な数になっていた。
そう、かつて団地は最新の住居だったのだ。その団地を中心に開発されるニュータウンは夢が実現できる場所。大学では都市計画を専攻していたので、その授業の一環で多摩ニュータウンを見学に行ったことがある。もう40年弱前だが、すでに「オールド」タウンの兆しが見えていた。
アップダウンの激しい土地を開発したので、街には坂が多い。これが老人には辛い。しかも戸建ての入り口が階段になっているおしゃれな作りが年寄りをさらに苦しませる。開発半ばで計画は頓挫したので、スーパーや商店の出店もまばら。結局買い物をするために駅の近くまで行かなければならない。
色々なマイナスはあっても、団地は魅力的だ。
団地は今、高度成長期とは違った存在理由を持ち始めている。たとえば、郊外にある外国人コミニュティ化している団地。都内でも老人と若い世代が共存している団地。生活雑貨企業がリノベーションした団地。
ある新興住宅地はものすごく計画的な開発されていて、子育てをする若い世代は戸建て住宅に住むが、年をとってくると維持・管理が大変になるのでそこを売って団地へと住み変える。さらに年老いれば老人ホームもあり、そこに移ることもできる。老人ホームは保育園に隣接していて、互いに交流出来るのも素晴らしい。こんな住宅地でも中心は団地、マンションなのだ。
生活の場はとにかく物語が豊富だ。
これからは団地、アパート、住宅街だけではなく、高層マンション、タワマンも舞台になってくる。
でもやっぱり、生活の匂いが濃く漂う団地が一番。とにかくドラマに満ちている。
長嶋有さん、ラジオなどで声を聞くことも多いが、生活に根付いたしっかりとした人という印象が強い。日々をしっかりと生活しているから、生活の描写が自然で素晴らしい。後世には生活の記録として重宝されそうだ。
ときどき飛び降りたり、警察が取り囲んだり、植物を育てたり、盆踊りを踊ったりして、五百の世帯が美を寄せているマンションにすむ夫婦と五歳の息子。
変わらないを選んでも変わる。
新聞に牛乳配達、昭和なマンションで暮らす日々のこと。
長嶋有さん(というかブルボン小林さん)の出演されるネットラジオを聴いているせいもあり、時々ボンコバさんのvoiceを感じる。普段の喋りと似た書き言葉が出てくるとより親密さを感じた。
コワーキングスペースにサウナ!、プール付きのマンションなど、ラジオで聞いた風景が出てくると小説にも現実味が増して感じられた。カムトゥゲザーが効果的に使われているなと感じた。
「舟」に関して。元素周期表が船に見えると思ったことなかったのでなるほどと思う。爽やかで、切ない、そしてコロナ禍らしい話。今を生きている者に実感を持って訴えてくるなと感じた。
昭和から令和を生きてきた人には懐かしさを覚え、
平成から令和を生きてきた人にはレトロな新しさを感じるのかもしれない。
何気ない日常で感じてきたことが、言語化されていて、そうそうこの感じ!と
同世代と共感したいエピソードやエッセンスが多々。
ふたつの作品、それぞれの主人公たちのまっとうさに安心して、
その世界に入りこんで読むことができた。
夫婦と5歳の息子が暮らす築50年のマンション。
そのマンションに次々にやっかいなことが起きる。
ささやかな日常のなかで子供の成長を感じ、築年数が古い郊外の集合住宅ならではのやっかいな出来事。
子育て世代の人たちには特に共感できるだろう。
何気なく過ごす日々は変わらないようでいても、変化していく。
『ルーティーンズ』でも日々の思いをうまく切り取られているなと思ったが、今作も誰かの日常なのにどこか自分の姿を投影してしまうような何気ない描写に共感した。
日々の暮らしで悩んだりやっかいな事が起きたとしても、その暮らしの中で感じるさりげない幸せはかけがえのないものだと感じました。
タイトル作は築50年の大型マンションに住む一家の物語だが私の感覚だと団地小説。R市というおそらく架空の街が舞台、関東で名前が該当するのは龍ケ崎市だが「竜ヶ崎ニュータウン」ぐらいしか本作の舞台との共通点はなさそう。それはともかくこれは淡々とした家族小説の見せかけに反し不思議な小説だ、そもそも父親は40歳、妻は35歳、息子は5歳で時代設定は「コロナ」が5類移行とあるから現代だが風俗としては妙に現代と昭和の話が錯綜している。例えばビートルズの「カム・トゥゲザー」が出てくるが、これは1969年の曲それを骨伝導イヤホンで聴く。ちなみに長嶋有作品を読むのはおそらく3作目だが「三の隣は五号室」は賃貸の話、今回は中古マンションを購入した一家の話。一方タイトル作が中篇なのに対し続く「舟」は短篇。「水兵リーベ、僕の船」と覚える元素の周期表がテーマというこれまた普通の小説ではなさそうという書き出しだが「トゥデイズ」だって書き出しは投身自殺(マンション・団地には良くある話だが)。要は掌篇といった方がいい淡い恋物語、こちらも時代がよくわからなくなった。
大掛かりなストーリーがあるわけではなく、中古団地に住む一階が日常を淡々と生きる話。人は住む場所で世間と関わるもの。タワマンではなくても、そこに物語はあるのだ。些細な事象から、夫婦共に壮大に脳内で妄想が溢れていくところは、読んでいておもしろかった。
夫婦2人がそれぞれ暮らしの中で思う、我が子のこと、ふとした疑問、ささやかなおもしろさ。
私にとって新鮮なものもあれば、共感したり懐かしくなるものもあり、すべての人の日々の営みが、それだけで物語なんだと愛おしく思いました。
特に、子供の成長への、感動というと大げさだけどハッとする気持ち、あえて誰かに言ったり書き記したりするほどではないけれどできればまた思い出したいような、きっと思い出したときにはかけがえなく思うであろう宝の原石のような気持ちに、胸があたたかくなりました。
思った通り私の大好きな小説だった。コースケ君がいい。エピソードがいい。特にバッテリーレベルゼロとミロの話か大好きだ。
同じような日々が続くように見えて決してそうではない。子どもは成長し親たちは年を取る。平穏な生活と隣り合わせのはかなさを感じさせる。そうして日常は続いてゆく。「しゅつ」「ぱーつ」の言葉が愛おしい。
『ルーティンズ』に続き2作目です。
ノンフィクションかと思うくらいリアルで、
みたことのない、でも知っている家族が目の前にいました。
コロナ禍のこともあって、いまマスクもとれてきてあの苦々しい日々も少しずつ薄れつつあります。
でも良いことでも悪いことでもなくてただひたすらに日々だったんだなぁと味気なく通り過ぎていくようでした。でもその中で確実に何かあったと思えるのは、その日々がかけがえなかったからです。
日常が続くことが当たり前だと思っている。その時は。
でも実はそうではない、毎日は同じではないし、使い古された言葉だけど、今日の私がこれからの私のなかでいちばん若い。
どこにでもありそうな、ちょっとノスタルジックな雰囲気をもったマンション。
プールつき。うちの近所にもある。ひと時流行したのだろうか。
そこで紡ぎだされる日常は、特別なものではないけれど、でもやっぱりあとから振り返ると特別だったことに気づく。
小さな出来事や大きな事件も、日常に飲み込まれていく。
この小説にでてくる家族は、自分でもあり他人でもある。懐かしくもあり、知らない家庭を透明人間になってみている気分になったりもする。
ほのぼのするとか、ありふれたなかでの変わらない毎日、などという言葉が陳腐に感じてしまう、それでもなお続く日常を、心情の微妙な描写をまるで自分であるかのように書かれた文に時々ドキリとしてしまう。そんな小説だった。
団地家族の3人にとって、恙無く変化のない暮らしほど喜ばしいものはない。トラブルを避け騒がず目立たず、近隣の事件やら何やらにも折り合いをつけての人生だ。が、ある日聞こえてきたカムトゥゲザーのshoot me!に、何かに立ち向かう力が湧いた、気がした。でもまた明日になれば日々の喧騒の中で忘れてしまう。
日記のように綴られる様々な出来事。その語り口は饒舌で不要な描写や説明が多く読みづらい。ただまあ、日常なんてそんなものかなあ。誰もが意味のない言葉を垂れ流している。
Rグランドハイツに4年前に越してきた恵示、美春、コースケの3人家族。冒頭では飛び降り自殺があったり、以前、近所で起きた殺人事件の話題が出たりもするが、彼等3人の生活は特に大きな事も起きない平凡な日常だ。マンション内にある樹齢を重ねた桜や欅の木の伐採や、改修工事に参加しなかった昔のままの居室、介護の送迎車など、時間は確実に経ち、望もうが望むまいが変化をしていく。息子の日々の成長がその変化を克明に表している。現在と過去、まだ見ぬこれからを自然に受け入れて暮らしていくのも思い方一つで変わるのかもしれない。
子どもがいっぱしの一人の人間になっていく過程に驚いたり、近所の事件に後ろめたさを感じながらも興味津々だったり、他人事とは思えない夫婦の生活を描く表題作と、塾と矯正歯科を往復する日々を過ごす高校生の話『舟』。
どちらも取り止めのない思考の流れがリアルで、面白かった。
きっと普段の思考を全部文章に書き表したら、こんな感じが、もっと支離滅裂な(始点と終点で全然関係ないことになりそうな)感じになるんだろうな、と思う。
長嶋さんの作品は『ジャージの二人』のあの淡々とした、何も起きない日の描写が好きなのだが、本作もあの時と変わらない素朴さが良かった。
築50年の郊外の大型マンションに引っ越してきた夫婦と5歳の息子。マンションとはいえ昭和の香がそこここに感じられる団地だ。連続殺人事件で有名になった土地で、コロナ禍の時期、夫婦が暮らす団地も飛び降り自殺があったり、大きな樹木の伐採があったり、理由不明の警察の出入りがあったり。理事の役を担ったことで、この団地への目が開かれる部分はあった。代わり映えのしない日常が止まることなく変化し続けていくことに、無常とは言わないが納得せざるを得ない流れを汲む夫婦。息子の成長がめざましいことがそれを促す。長嶋有さんらしい視点が強張りもなく張り巡らされていて好もしかった。掌編「舟」は、高2の女子高生のピュアとしかいえない心象がキュートでした。
変わらない日常。
何気なく過ごす日々。
でも、同じではなく常に少しづつ変化している日々。
子供の成長は著しいし、親だって同じく成長している。
変化を拒んでも、周りが変化していて、結局は変化しないまま…ということは出来ないのかもしれない。
普通に生きるってなんだろう。
シンプルに書かれているような文章の中で、あぁ、今をもっと見渡して生きていきたいと思う作品でした。
ありがとうございました。
連続殺人が起きたR市のマンションに住む子育てのために郊外に越してきた一家の話。
当時新しかった部屋も今は昔になる。
プール付きだなんてバブルの匂いがする!と思ったけれどそういえば親戚の住むマンションもそうだった。今は閉鎖してるみたいだけど。
高度成長期の中の団地やマンションは抽選に当たらないと入居出来なかった。今は空室が目立ち、住んでいる世代も高齢化、新しい若い家族が越してくると役員に仕立てられるのも定説。
以前団地に住んでいた時を懐かしみながら読んだ。同じ間取りでもリフォーム時期が違うと建具も雰囲気も変わる。同じ団地に住む友人の所へ遊びに行った時の形は同じなのになんとも言えないあの感じ、とか昔はこうだったんだろうなと想像するところとか。親になると世代の違う知り合いが出来たり、急に同じカテゴリーに入れられたり。共感する部分が沢山あった。
日々を淡々と描かれていて大きな事件はなにも起きないのだけれど、読んでいて心地良い。
周りと足並み揃えず変わらないは置いてけぼりになること。人間の変わらないは変化しているから変わらないように見えるということ。だとふと思った。
築50年の郊外マンションに住む夫婦と幼い息子の“日常”
時には事件や心のざわつくこともあるけれど、大きな変化はなく日々は過ぎてゆく…
何もないようでいて、小さなデコボコをこえてゆく“普通”の生活の中に確かにあるささやかな喜びや不安など、忘れていたことに気付かせてくれる一冊
神奈川県にある築50年のマンションに住む3人家族。40歳の父、35歳の母、5歳の息子の日常。
冒頭は団地内での飛び降りで始まります。団地の理事会に属する美香は慌てます。
でも、知り合いというわけでもないので家族の日常の中の出来事の一つになります。
「ときどき飛び降りたり、警察が取り囲んだり、植物を育てたり、盆踊りを踊ったりして、五百の世帯がここに身を寄せている。プール付きのモダンな茶色い鉄のドアの物件にあるとき皆で住み始めて。」
この小説は何でもない日常が書かれています。コースケを保育園に送って、親子でヤル気のないダンス教室にも送り迎えして。ようやくコロナも5類になってプールで遊べそうです。
最近私が読んでいる小説ではタワマンでのマウントとか、ママ友との微妙な関係とか、ただ生きるだけのことがとっても大変。虹を見つけたことを小説にしてもいいですよね。
【NetGalleyにて】
久しぶりの長嶋 有さんの作品
築50年のリノベーションされたマンションを購入した3人家族、恵示と美春夫婦と来年小学生になる一人息子コースケの日々の様子が淡々と描かれた作品でした。
同じフロアの住人の飛び降り自殺から物語はスタートしますが、この家族に大きな厄災が降りかかることはなく、淡々と日々の様子が綴られます。
ただ、ちょっとした違和感や、気持ちの引っ掛かりの描かれ方が長嶋さんらしく、とても良かったです。
一人息子・コースケのキャラクターがとても良く、ここで彼がどう育っていくのかを想像するのも楽しかったです。
なんとなく、日常という感じの本だった。中流家庭のタワマンでもなく、戸建てでももなく、アパートでもなく、古い団地をリノベした家は、背伸びはしてい子育て中の夫婦の日常。自分の子育て中の何年か前のことを思い出した。場面、場面で恵示の顔が夫に、美春の顔が自分になった。日々の戸惑い、悩み、喜び、発見、、ある、ある。それが幸せなんだと改めて感じた。
登場人物たちとの共通点が多く、すごく感情移入しながら読みました。
子育て真っ最中の親の気持ちとか、
共感するところが本当に多かったです😌
ママ友とかとリアルで話すことと、
本で読むことはやはり違って、
文章で読む方がさらに安心感が
あるのはなぜなのでしょうか。
この本の中にはいつでも共感できる
相手がいるという安心感もあるのかなあ
と思ったり…。
生活をし続けていくという
途方もない作業が嫌になる瞬間も
あって。
それが大人になったということなのかと
思うと寂しい気もするけれど、
この物語の主人公たちのように
日々を積み重ねていくからこそ感じる
ものを大切にしていきたいなあ、と。
単調なようで、変化に満ちている毎日を
楽しんで行きたいと心から思いました🌿
「日常」が愛しい。
そう思わせてくれる、貴重な一冊です😌
「さんかくの」マンションを舞台に、変わらず過ぎていく日々の営み。新聞やテレビなどの「四角」から報じられる事件が、たとえすぐそばで起きていたとしても、変わらない「今日」は続いていく。
世の中の大半の人たちの日常は、こういうものではないだろうか。一つ一つのエピソードにうんうん、わかるよあるある、とうなずきながら読み進める。今のこの不安定な世界情勢において、なんと尊く得難い日々だろう。あたりまえはありがたい。しみじみ沁みわたる。併録の「舟」も健やかな物語だ。