異邦人のロンドン
園部 哲
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刊行日 2023/09/26 | 掲載終了日 2024/08/31
ハッシュタグ:#異邦人のロンドン #NetGalleyJP
内容紹介
★第72回日本エッセイスト・クラブ賞受賞★
朝日新聞の国際ニュースメディア「GLOBE」で、2008年から書評【世界の書店から】(ロンドン編)を執筆する翻訳家・園部哲が初めて書き下ろした単行本。
いまや住民の40%以上が外国生まれとなった、コスモポリタン都市ロンドン。
駐在員時代から30年間暮らしてきた著者が、コロナ禍のロックダウンを奇貨として、移住者たちが胸中に秘していた物語を丹念に聞いた。スイス出身の妻と、ロンドン育ちの長女の学生生活の話も交え、モザイクのように彩り豊かなロンドン暮らしを綴る。
●飛行機の車輪にしがみついてロンドンへ密航を試みる青年たち。
●両親にだまされてロンドンへ移住したアメリカ人、中国人。
●日本人を憎み続けるイギリス人の存在。
移民、人種や階級差別、貧富の差・・・・・・。
さまざまな問題を抱えながら、世界中から人を集め続けるロンドンの実像を鮮やかに描く。
王室報道だけでは伝わらない、英国の真実の姿を伝えるエッセイ集。
★ピーター・バラカン氏、推薦!
「人種差別、貧富の差、教育と宗教の関係、戦争の記憶など、イギリスの社会を理解する上で避けて通れない話題を自分の体験を通して語るので説得力があります。半世紀近く故郷のロンドンに居住したことがないぼくも大いに勉強になりました」
出版社からの備考・コメント
★本作品のサムネイル画像はNetgalley用に作成したもので、実際の表紙画像とは異なる場合があります。
★発行元は集英社インターナショナル、発売元は集英社です。
★校了前のデータを元に作成しています。刊行時には内容が若干異なる場合がありますがご了承ください。
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★発行元は集英社インターナショナル、発売元は集英社です。
おすすめコメント
移民者たちの間で交わされた会話は、さながら14世紀ペスト禍の名作『デカメロン』のように、多様で、繊細で、魅力に溢れている!
移民者たちの間で交わされた会話は、さながら14世紀ペスト禍の名作『デカメロン』のように、多様で、繊細で、魅力に溢れている!
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ハガキサイズPOPを作成予定です。
ご希望は弊社販促部・小林までお問い合わせください。
8月末日まで初回指定も承ります!
03-5211-2632
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出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784797674354 |
本体価格 | ¥1,800 (JPY) |
ページ数 | 224 |
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NetGalley会員レビュー
園部哲さんの文章を初めて読みましたが、長年の暮らしのためかロンドンに馴染んだ気負わない、味わい深い文章に惹き込まれました。
今まで小説や映画はもちろん、報道でも見えなかったロンドンのピースをモザイク画を埋めるように楽しむことができました。
イギリス大好き!な私ですが、イギリスに住んでいる人から見るイギリスは全く知らない地球の惑星のようなところでした。
観光で1週間程度行くだけなのとはこんなにも違いがあるなんて!と驚きと同時にやっぱりイギリスは面白い国だな!と再確認しました。
スイス人の妻と一人娘とロンドンで暮らす著者。その生活を、外国で暮らすことの実際を、興味深いエピソードで綴った1冊。
驚かされたのは、最初のエピソード「遠来の旅人」で語られた、飛行機から人が落ちてくる話。飛行機の車輪格納庫に潜り込み、密航を完遂しようとする人々についてであり、これが現実の話であることに、自分の無学さ・外への興味の欠如を痛感した。(このエピソードは、最後の「空から落ちてきた人たち」でも触れられている。)
ただ、そんな衝撃的なことばかりを語っているわけではなく、2話目の「そもそもの始まり」では、著者の人柄が垣間見えるエピソードとなっており、その後も、興味深く、じっくりと読ませる話が続く。
そして「あとがき」。語られたエピソードをそのままにせず、その後を知らせてくれた。小説ではないのだから、と。
それを読んで、生活は続いていくのだなと感じた。
ロンドンやイギリスをテーマにしたエッセイは古今東西数多くあり、読者として様々な作品を楽しんでいる。今作では著者が旅人ではなく土地に根を下ろした生活者でもなく、いずれ日本に帰る(帰属は日本にある)国外在住者である点がユニークだと感じる。当地の暮しに馴染みながらも馴染み切らない、かといって無責任に遠すぎもしない距離感で語られるロンドンや土地の人びとの姿が面白い。
どのページも興味深く読んだが、とりわけ自国について思いを馳せる「大地震以降」には郷愁と物悲しさがあり、また「日本を憎んだ人たち」は語られることの少ないテーマであるため、必読だろう。いずれも異邦人としての眼差しが強く現れており、他国で暮らすことについて考えさせられる作品だった。
生涯でなんども旅行したくなる行先の一つロンドン。
そこに長年住んでいる著者による、生きたロンドン(英国)の今とそれまでを、読者と同じ目線の高さで語っているこの本。
最初のエピソードは、同じ人間として心臓をキュッとつかまれたような、そんな気持ちにさせられるものだし、最後にそのエピソードの先が出てきて、その話がまたかの国らしさを象徴しているかのようで、自分だったら同じように手を差し伸べられるだろうか、と考えさせられてしまう。どんなエピソードなのかは、衝撃的でもあるので、ぜひ本著をお読みいただきたい。
なによりも、コミュニティの濃さを全編から読み取ることができるのだが、コミュニティという意識が希薄な都会に住んでいる私にとって、おなじような首都でありながらこの違いはなんだろう?と思う。
どちらが人間らしいのか、そこで著者がいう口は会話のためにある英国人と、どちらかというと食べるためにある日本人の話は興味深かった。
普通に子育てしながら暮らす国として、海外であるだけともいえるのに、こんなに違うのだという面白さと興味深さと、少しほろっとしながらまた自分の人生についても思いながら読める良書だ。