存在のすべてを

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刊行日 2023/09/07 | 掲載終了日 2024/11/04

ハッシュタグ:#存在のすべてを #NetGalleyJP


内容紹介

★本屋大賞2024ノミネート★

平成3年に発生した誘拐事件から30年。当時警察担当だった新聞記者の門田は、旧知の刑事の死をきっかけに被害男児の「今」を知る。再取材を重ねた結果、ある写実画家の存在が浮かび上がる。質感なき時代に「実」を見つめる者たち── 圧巻の結末に心打たれる、『罪の声』に並び立つ新たなる代表作。

★本屋大賞2024ノミネート★

平成3年に発生した誘拐事件から30年。当時警察担当だった新聞記者の門田は、旧知の刑事の死をきっかけに被害男児の「今」を知る。再取材を重ねた結果、ある写実画家の存在が浮かび上がる。質感なき時代に「実」を見つめる者たち── 圧巻の結末に心打たれる、『罪の声』に並び立つ新たなる代表作。


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出版情報

発行形態 ハードカバー
ISBN 9784022519320
本体価格 ¥2,200 (JPY)
ページ数 472

閲覧オプション

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NetGalley会員レビュー

久々に大作読んだー!って満足感がスゴイ‼︎
2児童同時誘拐事件って聞いて、本当に起きたことあるのかもって思って父に尋ねてしまいました。笑
(「罪の声」に引っ張られてしまいまして…)
それくらい事件パートは真に迫っていて、臨場感があったと思います。
誘拐事件はあってはならない凶悪事件なんだけど、
もし、あの少年が誘拐されていなかったらどうなっていたんだろう。
きっと昨今のニュースでよく見るような虐待の末の結果になっていたのではなかろうか。
事実が全て正義なのではなく、時には真実こそが正義である。

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30年前の未解決誘拐事件。解放までの被害男児の「空白の三年」の謎。当時の担当刑事の死をきっかけに、無念と使命感を抱えた新聞記者が再取材を重ね、真相に迫る社会派ミステリ。

現在進行形の難しい局面に喘ぐ警察組織、ルールを逸脱する報道、ゴシップ好きの外野、ひたすら孫の無事を祈る夫婦。適宜、最善と思う決断を模索する緊迫感が伝わってくる作品。
これほどまでに年齢による体感時間の重みを巧く表したものはない。結局、正しさとは「自分以外の誰かの幸せを願う」事なのかもしれない。とても重く、でもその重さが心地好い。

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12月の暮れに神奈川と東京で発生した
2児同時誘拐事件
身代金の受け渡しは失敗
神奈川の少年は発見されたが
東京の4歳の少年は行方不明になるも
3年後祖父母の元へ帰ってきた。
4歳だった少年は3年間いったい誰と一緒にいたのか。
事件発生から30年
若い頃衝撃を受けたこの事件を読み解こうと新聞記者が空白の3年に挑む。

一本の線を手繰り寄せるように
事柄が繋がっていき
いつしかパズルのピースが嵌まった時
描き出された真実にただただ涙しました。
物語の中心には絵画があり
美しい情景が丁寧に描かれ
物語を彩っています。
「存在のすべてを」心揺さぶる作品。

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存在のすべてを/塩田武士 朝日新聞出版

ー 写実絵画から紐解かれる美しい描写と、空白の3年の真相に感動するミステリー -

30年前に起こった誘拐事件は、身代金の受け渡しに失敗し男児は帰って来なかった。
しかし3年後、突然、誘拐された内藤亮(7)は、祖父と祖母の元へ帰ってきた。
犯人検挙に刑事は再燃するが、頑なに「覚えてません」と話さない亮に、
捜査は進展せずやがて時効を迎える。
そして、誘拐されていた間に写実絵画の才能に目覚めていた亮は、新進気鋭の画家となっていた。

いったい空白の3年に何があったのか?未解決事件の真相は?
30年前に駆けだしの記者として事件に関わった門田は、
誘拐された内藤亮が画家になっていることを知り、
当時容疑者候補だった男の兄弟も画家だったという共通項から再び事件を調べ始める

「古びた公園」「山野の風景画」写実絵画であるが故に、ピタリとはまる場所がある。
絵画から紐解かれていくミステリーは美しく新鮮でした。

読んでいく中で段々と浮かんでくる真相、
すべての派生したストーリーが、最後に収束して向かえる最終章。
空白の3年、それは胸を締め付けられる苦しい真実でしたが、
その中に確かにある温かい物語に感動しました。

本当にあった話だと思えるくらいリアルで、
読んだ後の解放感がたまらない、重厚なストーリーでした。
また、絵画の描写が素晴らしかった。頭に美しい絵画が浮かんできました。

素敵な物語をありがとうございます。

#フタバ図書 #読了 #NetGalleyJP

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細い糸がだんだんと太くなっていくように
善と悪が混ざりあい
真相に辿り着いた時これで良かったのか
自問自答している自分がいた
どれか欠けても最後にたどつけない
こんなに切なく悲しくて胸が苦しくなった

写実絵画はとてつもなく美しい
絵画ではなく心の癒しを映していっていると感じた
2人には幸せになってほしい

大号泣しました

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被害少年が語ろうとしない「空白の3年間」その真相が明らかになる章では幸福だった時間が伝わってきて、その後の夫婦の末路にとてもやりきれない気持ちになりました。
二児同時誘拐という大それた犯罪が未解決となり多くの人の人生を狂わせた物語で、その一人一人の人生がとても丁寧に語られる内容は圧巻でしたが、その反面この誘拐事件そのものはどうにもぼんやりとした印象で終わってしまったのが残念です。

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最初から最後まで一気読みでした。
434ページ目からは泣きながら。
これは今年一番オススメしたい小説です。
本屋大賞、直木賞を受賞するのではないかと。
目に浮かぶような緻密な情景描写だけでなく、登場人物になったかのように錯覚するほどの心理描写。
門田さんの記者としての執念深さは、宮部みゆきさんの「火車」の主人公を思い出しました。

プルーフ読みさせていただきましたが、これは発売されたら買います。

インスタのリンクが何故か貼れないので、アカウント名を記載しておきます。
@mariezombie

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時間差で起きた2つの誘拐事件で失踪したまま、3年後に無事保護された男児。写実画家としてひっそりと生きていた彼が、誘拐事件の被害者だったと週刊誌に報道され、そこから30年前の事件の真相を再び追い始める門田。後半までがやや冗長な感はあったものの、彼のその後の生活はどうだったのか、人生に大きな影響を与えた空白の3年間の意味、繋がってゆく積み重なってきたかけがえのない様々な想いがひしひしと感じられる物語でした。

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30年前に起きた2児同時誘拐事件。未解決事件の空白の三年間の謎を追う、新聞記者の執念の取材で真相が見えてくる。前半の記者による取材の興味深いストーリーから一転して、後半の真実が描かれるストーリーはあったかくて苦しくて何とも言えないやり切れない思いで読んでいました。感想を的確な言葉にできないのがもどかしいですが、私にとって今年一番のオススメです!

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30年前の誘拐事件の真相を探る物語。

後半から空白の3年間が繋がりはじめてグッと引き込まれる。
写実絵画に込められた存在の意味が切なく優しかった。
作中に登場したジョージ・ウィンストンの"Longing Love"、読後に聴いてじわっとくる。
ベスト9に入れておこう。

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少し既視感がある、でも、面白かった。子供が同時に誘拐された。母親はネグレクトで攫われた子は酷い状態。しかし祖父母が資産家なので誘拐された。しかし、警察のミスというか、身代金が派出所に忘れ物として届けられ犯人は・・・。それが子供は生きてて三年後に戻り、絵が上手に。この事件の真相に近づく記者、大人になり有名画家となった少年の幼馴染の女性。事件の真相がわかると、とてもいい気分になる。本当の愛をそこに見た。

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30年前、同時に起こった誘拐事件。身代金の受け渡しに失敗し4歳の男児は行方不明に。3年後、彼は突然祖父母の家に現れ育ててほしいと言った。時を経て被害者の少年は写実画家として現れた。想像を超える物語の展開に惹きこまれる。事件の裏側にある事実。見えていないだけで「存在」する事実。本作はミステリであり家族の物語である。著者が「写実」に拘り、そこに人生や哲学をのせて「存在」とは何かを問う。同時に親でなくとも愛情をかけて育てることの大切さ、一人の人間を導くことの尊さを改めて考えさせられる。「罪の声」を超える傑作。

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これは単なるミステリーではない。

1991年12月、神奈川県で発生した二児同時誘拐事件。

一方の人質は解放されたが、もう一方の4歳の内藤亮は行方不明のまま。人質の安全を最優先にした結果、身代金を受け取りに来た犯人を見失ってしまった警察の失態。

ところが、三年後の1994年12月14日、人質だった男児が7歳になって突然帰ってくる。

誘拐事件の犯人探しは言うに及ばず、果たして被害児童が失踪していた3年間に一体何があったのか?
そして、真実を追い続けてきた刑事と記者の執念、そして誘拐事件の被害者となった亮の葛藤、亮の同級生の想いなど、読み応えは十分だ。

とはいえ、まさかの真相でした。

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前代未聞の二児同時誘拐事件。
空白の3年間に迫っていく章は、圧巻で繊細。

大事なのは存在。産みの親も育ての親も、子供の存在は同じように愛おしいし、
写実画も真実を追う新聞記者も、周り全てが存在としてそこにある。

誘拐という子供を巻き添えにする卑劣な犯罪の展開が、
愛に満ちた、でも切ない物語であった。

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点と点が繋がって線になっていくように、事件の真相が次々とわかっていく展開に興奮して、ページをめくる手が止まらなかった。そして結末を読んだ後の読後感。余韻が残り、他の本がしばらく読めなかった。こんな優しい気持ちになれるミステリは久々で大満足。

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もっと殺伐とした内容だと思い身構えて読み始めました。

しかし、誘拐事件と言う大きな事件の裏での人間模様。

深い愛情を感じました。

世間の「正しさ」の裏で深く傷付くかもしれない状況を予想した時、私なら世間の正しさをとるか、自分の正しさをとるか、一体どっちだろう?と、自問自答を繰り返す作品でした。

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門田と里穂、求めるものは違う二人が前に進むにつれて事件の真実が明らかになっていく、その過程が素晴らしかった。沈黙から、それぞれの大きな愛情を感じる。余韻を残す終わり方が印象的。人間を描いた、重厚感のあるミステリーを読みたい方へおすすめ。

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「二児同時誘拐」という前代未聞の事態が発生し、警察と犯人とのスリリングな攻防が繰り広げられる序盤で一気に引き込まれた。
大きな謎を残しままま未解決事件となったが、30年の時を経て複雑に絡み合った事件の真相が少しずつ紐解かれていく。
異様な展開の中に、「質感」のある人間らしい心の動きや愛の形が繊細に描かれていた。
登場する写実画家たちの生き方を見て、外から見ただけでは分かりづらい内側に潜む「存在」に目を向けることを忘れないようにしたいと感じました。
何が真実か分かりにくくなっている今の時代だからこそ伝えたい、重厚なメッセージが詰まった傑作です。

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未解決の誘拐事件のいきさつ、子を拐われた身内の苦悩、事件を追う刑事と真実を書きたい新聞記者、子どもが帰ってくるまでの空白の三年間が濃密に描き出されていてその物語の厚みに圧倒された。
幸せな時間が終わってしまわないようにと祈るような気持ちでこみ上げてくる感情を抑えながら読みましたが涙がこぼれて仕方なかった。絆となる静物画や風景画の意味が分かった時にその絵画に込められた想いに包まれた気がして胸がいっぱいになった。
事件の重さや人間模様の複雑さ。読み応えのあるとても素晴らしい作品でした。

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塩田さん初読みです。
「罪の声」から気になっていた作家さんでしたが読めてなく
今回この機会を頂いて読ませてもらえました。

「2児連続誘拐」から始まったので誘拐を追うものと思い込み
読み始めましたが事件はそこに終わらず。
1人は解放され1人は3年後に帰ってくる。その空白の3年を追う
記者の話へと。
その3年は突然始まり血のつながらない親子の愛情となって流れていた。
切なく重い話でしたが親の愛情に感動でした。

他の本も読んでみます!


#存在のすべてを
#NetGalleyJP

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圧倒的な存在感のある本でした。
冒頭の誘拐事件のスリリングな描写から一転、その後は静かに話が進む。だけど警察や新聞記者の執念や矜持は静かながらも熱いものがあるし、空白の3年間に何があったのか、作中で本人が一切語らないのもまた良かったと思いました。凄みを感じる1冊でした。

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『罪の声』が実際に起きた事件が題材だっただけに似たような誘拐事件が過去にあった?!と感じてしまうほどリアル。
空白の3年にいったい、何があったのか。
真実を追い求める警察やメディアの使命感や執念
事件に巻き込まれた人々の隠された想いに感情が揺さぶられた。
美しい写実絵画の点と点が線になり、導き出される真実に、知りたいと願いながら、どうか暴かないでほしいとも願う。
正しさとは何だろうかと問われるようだ。
本当の幸せが、慈しみがそこにあったはず。
これはもう!凄い。
かなり物語に入り込んでしまった。
もう一度読み返してしまいました。

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生きていくということは、「一秒前にさえ戻れない」という現実の重みの積み重ねでできており、そのどこかでつまずいたとしても、人はその位置から歩みを進めていくしかないのだ。

前代未聞のニ児同時誘拐事件を起点としたこの物語は、やがて様々な人々の視点が交差し、事件の裏に隠された真相へと繋がっていく。

読み進めながら、幾度となく考えた。誰が悪人で、「誰」がそうではないのか。ある罪が人の手によって起こされたとき、関わった人々の人生もまた、波紋が広がるように傷を負わずにはいられないのだ。

圧倒的な重量感に打ちのめされながらも、人が人を思うときの心の底から滲み出る思いや、ラストの余韻に救われた。

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30年前に起きた誘拐事件の真相に迫る社会派ミステリ。事件の真相に迫っていくラストの展開がまさに圧巻!特にラスト30ページはもう涙なしには読めませんでした。事実と真実の違いについて、深く考えさせられる作品でした。

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二児同時誘拐に巻き込まれた人々の解明されてない謎にせまる話。
誘拐された子供を半ば押し付けられた形で暮らすことになった若い夫妻。夫は画家で並外れた画力を持つ子供に絵を教えていくうちに「お父さん」に。子供好きな妻は子供と関わるうちに「お母さん」になり、やがて訪れる別れが近づいてくる…。ミステリーだと思いきや、感動作でした。
少し考えさせられて号泣するような胸熱の作品でした。

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最近、ネグレクトを題材にした作品を読むことが多い。偶然かもしれませんが、きっとそういう現状に心を痛め、世の中にメッセージを届けたい作家さんが多くいらっしゃるのだろうと思います。前半は2児童同時誘拐事件の事件経過を追い、未解決となってしまった事件に後悔や心残りのある人物が描かれていました。一人は事件の翌日に保護され、一人は事件から3年後に祖父母の家に戻って来た。その空白に何があったのかは後半で語られる。何が幸せかなんて、誰にも決められない。あたたかい布団に涙した彼の境遇に心が痛み、つかの間の幸せにあやうさを感じつつも、画家となって成功した現在の彼をより所にしながら読みました。出会い、別れ、そして新たな出会い。両親には恵まれなかったけれども、彼には支えてくれる人が案外多くいることに救われます。上達したピアノ曲に彼女への想いが込められていて、心が温かくなりました。

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素晴らしかった。
新聞記者、刑事、画家とその妻、画廊のオーナー、祖父母、大人たちが覚悟と信念をもって亮という子どもの人生に関わろうとする姿に胸が詰まる。社会にとっては悲劇であったはずの誘拐が、亮にとっては自分の存在を肯定される出来事であったことに読み手が気づき始めるとき、他人が決める幸か不幸かはいかに無意味かを思い知る。
読了後にはGeorge WinstonのLonging / Loveを聴きたくなる。時に不穏で、時に穏やかな美しいメロディーは、亮と父母の儚く愛に溢れた生活を追体験させてくれる。

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最後まで読めばわかります。作者の強い筆圧で書かれた小説であることが。
緻密な執念と作品へ傾けた情熱が、文章を通して、現実以上に真に迫って読者の眼前に現れる。
ひとつの物語を通して、これほどまでに深く人間模様を描けるのか、と震えました。
三十年の時間をかけて見つめられた事件は、白い紙と黒い文章の上で、鮮やかに人間を浮かび上がらせます。
人間を書く、作者の決意が伝わりました。

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まず、最初の誘拐事件の警察と犯人の攻防が手に汗握る展開でいきなり物語に引き込まれる。誘拐された子どもが3年後に帰ってきたことにも驚いた。いったいどうしてなのか。この謎を中心に話は進んでいく。

この重厚な物語は、誰の視点に重きを置いて読むかによって感じ方は変わるだろう。私は、主に野本貴彦の人生に惹かれた。読んでもらえばわかるのだが、貴彦の絶望と希望は、この誘拐事件にも関わってくる。

そして、『存在のすべてを』のタイトルが素晴らしい。写実画を中心とする物語ならでは、ということもあるし、人の繋がりの中での存在という意味もあるだろう。読了後、このタイトルの意味を嚙みしめるのは間違いない。

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壮大なる大作。30年前の未解決2児同時誘拐事件から門田と里穂、それぞれが途方もない点と点をストーリーでつないでいく、長い旅路で読み手を飽きさせることもなくむしろ引き付けられました。その旅路をお供させた頂いた分
クライマックスでこみ上げてくる感情はなかなかなものでした。単なるサスペンスではない、絵画を通した、「愛」
「愛情」がひしひしと伝わってきたと思います。久々に骨のある作品を拝見させて頂きました。ありがとうございます。

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未解決のままの誘拐事件。その誘拐された子どもが3年後に帰ってきた。空白の3年間に何があったのか。

初めは、刑事側の視点で追っていくことが多く、誘拐事件の犯人は誰なのか、事件の真相は何かに焦点が当てられていたように思いますが、後半は、ミステリーというよりも「人間」についての作品だと感じました。
感動的な結末でした。

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前代未聞の「二児同時誘拐」
緊迫感あふれるシーンから始まり、警察ミステリかと思いきや…まさかこんなに泣かされるとは!

誘拐事件に関わることになった人たちの
30年を丁寧に緻密に追い、複雑に絡み合った事件の顛末と彼らの人生を紐解いていく

点と点が繋がっていく後半に入ってからは
読む手が止まらず

私の拙い語彙力では表現しきれないけれど、骨太で愛があって優しくて凄く良かった

塩田武士さんの作品を読むのは4作目だけど、これから未読作品も新作も追いかけていくのがとても楽しみ

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またまた塩田ワールドに引き込まれました。
重く、淡々と、徐々に真相に迫っていく中での、あの人間味溢れる文章は、手に汗握る物語でした。
実際に起きたかと思うくらいリアルな描写でした。
悪なのか善なのか。その人にとっての幸せとはなんなのか。

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超写実画は写真でしか見たことがなく、すごいとは思ってもその魅力がよくわかりませんでした。この作品を読んで、実際に見てみたいと強く思いました。
存在のすべてを具に見て、等価に認めること。
それが人との関わり方にも繋がっていき、感慨深かったです。

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卑劣な誘拐事件。しかも二つがほぼ同時に発生する。
そして未解決な部分をたくさんのこしたまま迎える時効。

視点が、刑事のもの、新聞記者、画商、友人などいりまじり、それゆえに全体像が立体的に浮かび上がってくる。

読み進める途中は、謎が知りたい。空白の3年間について知りたいと、新聞記者の気もちになって読んでいたが
いつのまにか、その空白を解くことは正しいのだろうか?という疑問さえ生じてしまう。

そして物語はここで終わるけれど、登場人物の毎日が並行して続いていることを感じる。
この余韻。まだまだ知りたいことがたくさんあるが、知らなくてよいのかもしれないと思い、本を閉じた。

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前代未聞の二児同時誘拐事件の真相を探っていくミステリーかと思いきや、予想外の展開でした。「生みの親より育ての親」とは本当にそうだなと。空白の3年間に詰まった、子を思う愛情の深さに胸がいっぱいになりました。

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時効を迎えた30年前の二児同時誘拐事件。当時事件を担当していた新聞記者の門田が関係者への再調査を開始する事から物語は真相に近づいていく。
門田のジャーナリズム精神、人間性がしっかりしていて、最後までブレずに没頭出来た。
前半と後半で物語の流れや雰囲気が変わり、込み上げてくる熱い思い、点と点が繋がる爽快感は、今までに味わった事のない唯一無二の快感と言っていい。
震えるほど熱くなった。

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プロローグが読みづらくて(登場人物が多いのにそれぞれの人物に関する描写が少なくて誰が誰だかわからなくなる。警察の専門用語みたいなのもわかりにくい)どうしようかと思ったけれど、そこを越えたらあとは一気でした。善とか悪とか、見る角度や時間の経過によって揺らぐものだということがよくわかったし、思いは通じることもそうでないこともあるけれど、思うことそのものの尊さも改めて感じさせられた気がします。

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正義とは何なのか。誘拐という犯罪の裏に隠された真実とは。
さまざまな登場人物の過去が明かされ、誰が正しく誰が悪いのか。
写実画をキーに繋がっていく事実たち。
だんだんと明かされていく真実に驚愕し、感動しました。

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同時発生した誘拐事件を探っていくミステリ大作。
とにかくディティールまで細密に書き込まれた描写はそれ自体が、この本の題材になっている写実の絵画のよう。
何かで写実の絵画のことを調べていたときホキ美術館を知ったが、写実のスーパーリアリズムのみを集める美術館とは変わったところだと思った記憶がある。しかし写実画には独特な魅力もある。写真では表現できない超現実的なパンフォーカスであったり、現実にはあり得ない配置、組み合わせだったり。
その不思議な感覚が、この本にも生きている。
面白かった。

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誘拐事件の被害者であり、3年の時を経て帰ってきた少年。
「空白の3年間」について語らぬまま、成長した彼は写実画家となっていた。
事件の再調査を始めた記者が写実絵画の細密さだけでなくその“実”に惹かれていく様子や、登場人物たちの心情の表現に心揺さぶられた。
しかし、そこまで描かれていながらラストがあっけなかったような気がする。
余韻(または余白)を残した終わり方と解釈しても良いのだが、自分としてはもう少し踏み込んで欲しかった。
終盤までの満足度が高かっただけにちょっと残念である。

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物々しい犯罪の様子と警察と犯人との駆け引きで始まったのでミステリーかな?サスペンスかな?と思いながら読んでいたんです。
なのに途中から胸が苦しくなるほどの愛と感動が…
人の縁の大切さと苦しさと切なさを感じました。

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自分は分かっていなかった、この小説は犯罪小説の様でいて、そうではなかった、これはまさしく無償の愛の物語だという事を

真実へと向かう人々の絶える事のない思いと矜持。
刑事、記者、関係者それぞれ立場は違えど覚悟を持った人と人を結びつける様は胸に迫るものがあった。
そして、彼らが求めたそこには想像を超える心が震える程の愛があった

なぜ、彼は誘拐されなければならなかったのか?
空白の3年その真実を知った時、自分は涙を止める事が出来なかった。よくぞ!この物語を書いて下さった、その一言につきると思う

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はじめに誘拐当初の犯人と警察の緊迫する攻防でグッと引き込まれました。そして謎が多い事件の真相が気になり読み止まることが出来なかったです。僅かな真相のカケラが次第に集まった時。そこに見えた真相に、なんとも言えない感情が押し寄せてきました。
謎を知りたいミステリ要素で最後まで読ませながら、刑事や新聞記者の執念、事件に関わった者らの複雑な背景をえがいた重厚な人間ドラマ。
読み応えたっぷりでした。

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空白の三年間の全容が見えてくると胸が苦しくなり、別れのシーンでは涙が止まりませんでした。
生みの親より育ての親。事件の後の方が亮くんが幸せに向かっていることが、嬉しくもあり、複雑でもありました。上辺の関係性だけではなく、愛情は様々であると改めて考えさせられました。
写実画の存在意義を通して、存在のその「実」を見ることの大切さが伝わりました。

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2つ誘拐事件。
子供は無事だったが未解決のまま時は過ぎ30年後。
事件に関わった刑事、記者、そして…
立場が違う者がみる風景に感情が揺さぶられた。
どこかで修正できたのではないか?という思いと、これでよかったという思いが読み終わった後も残っている。

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前半と後半で少しテイストが違ってきます。
誘拐事件の真相を粘り強く追いかける刑事と
新聞記者が、地道な捜査を続けるのが前半部分。
対立し合っていそうな人たちが
共通の趣味を通して仲良くなっていくのが
読んでいて楽しかった。
地道に足で稼いで調べる設定が好きなので
わくわくしながら読み進めました。
時折、別の人物視点の話が挟み込まれて
一体どんな関連があるのか考えながら読むのも
楽しかった。
そして後半。泣けました。
誘拐されて戻ってきた子供の、空白の三年。
ルールや常識的には間違っているのだろうけど
その三年があったからこそ、生きていられた。
仮りそめの家族が過ごす、本当に幸せな
でも限られた時間。
切なくて涙が出ます。
むずがゆいような恋愛模様、大人の苦い現実など
いろいろな要素が詰まっていて
それでいて雑多にならずにまとめられている
とても魅力的な一冊でした。

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家族って何だろうな、幸せって何だろうなと、読後、とりとめもなく考えました。誘拐に加担する前にも、犯人には確実に幸せがあったはずで、彼らは何のために何を犠牲にし、それは人生をどう変えて、後悔をしていないのかどうか……。
記者の取材と、それまでに沢山の人たちが積み上げてきた情報。そのすべてをもって、少しずつ明らかになっていく真相。時に、正しさの中に、救いはないのかもしれない。それでも、誤りの中にも、本当の愛情は存在するのだと教えてくれました。何を選ぶべきなのか、わからないことが世の中には多すぎるけれど、目の前の存在を、見失わずに、大切にしていかなくてはと。大きな感情に揺さぶられながら、強く思いました。

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