ジューンドロップ
夢野寧子
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刊行日 2023/07/27 | 掲載終了日 2023/07/31
ハッシュタグ:#ジューンドロップ #NetGalleyJP
内容紹介
六月の鈍い光、目の中であれが弾けた時、私は彼女と出会った。
不妊治療に揺れる家族を繊細に描く第66回群像新人文学賞受賞作!
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わたしたちには家族をめぐる秘密がある。
母の不妊治療の失敗、凶暴な白い光と共に襲ってくる片頭痛。
しずくとタマキは、持て余した心を抱えて
縛られ地蔵に会いに行く――。
傷つき、傷つけ、思いあう。痛切な家族の愛のかたち。
「ふと脳裏に、幼い未発達の実が木から落下する光景が過りました。
どうして自分は彼らと同じ道をたどらなかったんだろう」
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著者/夢野寧子(ゆめの・ねいこ)
1986年東京都生まれ。東京女子大学文理学部社会学科卒業。
本作で第66回群像新人文学賞を受賞。
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★★
出版情報
ISBN | 9784065326794 |
本体価格 | ¥1,500 (JPY) |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
読者に対し誠実な姿勢を崩さない主人公。
リアルタイムで目の前に起こっていることをその都度、実況してくれているかのように、口語で語り続けられる小説です。
友達になった同い年の女の子にも指摘されるように、この主人公はどうしても丁寧なことばを抜け出すことが難しい性格をしています。
対してティーンらしい略語や流行ものが時々、アクセントとして登場してきます。
そのギャップに日本語の濃淡が表れていると感じました。
初対面の人が苦手で、初対面の人には自分の深い思想を語れない。
けれどもなぜ私はこの人を引き止めてしまったのだろう。
自分でもうまくわからない様子の主人公の心理を読みとこうと、躍起になって読み進めました。
ミルキーちゃん、ポカリちゃんと呼び合う少女たち。
ミルキーとポカリ以外の固有名詞が潔癖に伏せられているシーンもあり、著者さんの意図が気になります。
おいしそうなモチーフがたくさん登場してくる小説です。
お地蔵さんの話に始まり、彼女の頭痛遍歴につながり。話が飛び飛びに進んでいくように見えて10代の女の子のおしゃべり感を感じさせながら幕を開ける小説『ジューンドロップ』。
実際にはそれらすべての導線がきれいにつながっていて、タマキとの出会いの導入となります。
その動線の美しさにうっとりとしてしまいました。
中学生ならばかなり正確に、両親の不妊治療の事情を理解することができます。
主人公が妹もしくは弟を望んでいるかと言う描写がなかなか登場しないのですが、彼女はきっと思っているのではないでしょうか。
「自分は2人の子供として、愛すべき対象として、不完全であったのだろうか」と。
偏頭痛持ちで、口内炎をいつでも口の中に抱えているような主人公は、自分の内にたくさんの悩みやストレスを抱えているのでしょう。
そんな主人公が、どこまで他者に自分の思想を伝えることができるようになっていくのか。
どこまで殻を破っていくことができるのか。
それを見届けるべく、この小説を最後まで読み進めてみてはくれませんか?
最初、零れ落ちそうな想いを抱えている主人公という印象。
持病のせい?
母親が病気がちなせい?
真面目で素直な主人公目線で、語られていく日常。
不思議なお地蔵様への習慣がある場所で、学校とは違う友達ができ、でも、それも不思議な関係性。
そして、主人公の悩みが溢れ出す時に、あぁ、そうだったんだね、苦しくて吐き出せない想い…、やっと言葉にできた…、まだ苦しさは残るけど、良かった…と感じました。
透明感のある雰囲気の話で好みです。
もう一度読み返そうと思います。
ありがとうございました!
第66回群像新人文学賞受賞作
タイトルの「ジューンドロップ」という言葉を知らなかったので、タイトルの印象からとても綺麗な物語なのだと思っていました。
しかしそのタイトルの意味を知り、どうしようもないことだとは頭では理解しているのに、とても切ない思いになりました。
ひたすら主人公は丁寧語で語ります。その視線は読者よりも上にあるように感じました。主人公と不妊治療をする母、その母をサポートする父という3人家族。家族との日々で生じる歪さや負の感情は偽りのない棘のある言葉で語られています。しかし家族の前ではそんな言葉は発しません。家族へは言えない本音と繕った二面性がとても切なかったです。
家族への歪んだ感情をこれほどまでに真っ直ぐ描かれていると、私はその歪んだ思いを受け取っても理解したふりをしてしまいそうで泣くことも出来ませんでした。
心に残った棘はしばらく抜けそうもなく、この感情をゆっくり消化していきたいと思います。
語り口調で淡々としているけど読みやすくてサラッと読めました。
不妊治療失敗の母を抱えるしずく、事故によって妹を失ったタマキ。それぞれ多感な時期の女の子たちが描写されていて深い。
難しい時期の女の子2人が分かり合うところも素敵だなと。こうやって特別な友人を作れるのは学生時代ならではかな。大人になると意外と同じ年のお友達ってできないしね。お互いの痛みや辛さ、もちろん喜びも嬉しさも分かり合える友達って大事だな。
偏頭痛持ちのしずくが出会ったのは、同じ高校二年生のタマキ
二人が落ち合う場所は決まって縛られ地蔵がある公園だった
どちらも人には言えない秘密があって…
二人とも優しい。兄弟のことについて悩むのは思春期にはありがちだと思うけど、
思いやりがあっていいと思う。
二人の友情もあって。
同年代の兄弟について悩む子におすすめです。
家族に対する複雑な思いとか鬱屈とか口に出すのもためらわれるようなドロドロした真っ黒い感情がぐるぐる渦巻いている物語なのだけど、読み終えた後は少しだけ明るい光に包まれていくような気持ちになった。胸の痛みは消えないし、起きてしまった事実は変わらないけれど、自分を理解してくれる相手がいることで、思いを吐き出せる相手がいることで、少しずつでも前を向くことができるのだと思う。しずくとタマキが仲を深めていく過程もとても良かったです。
タイトルにもなっている「ジューンドロップ」は、"梅雨の時季に、まだ若い実が自然と落下する現象のこと"なんだそうです。
"一本の木が育てられる実の数には限りがあるから、子孫を残せない種の入ってない実とか、他より弱そうな実は、小さいうちに落としちゃう"とのこと。
初めて知りました。
思春期特有の葛藤や、生や死に対する価値観。苦しみ、悲しみ、叫び。
そんなものを強く感じる1冊。
出来過ぎた実を落とす等、不要な栄養を排除する為に植物が起こす防御反応のことをジューンドロップというらしい。
「なんで自分は排除されなかったんだろう」
淡々と穏やかに不甲斐なさや悲しさ、どうにもならない気持ちが入り交じりながら瑞々しく語られている。
ステップファミリーの両親の不妊治療や自分の存在意義への疑問が中学生の目線で語られる。
傷の程度や種類は違えど傷を負った同士との出会いに安心したり
最後の方で、誰に向けての口調か分かったとき謎が解けてすっきりしたような
この先もずっと捌け口として続けていくのかな、と複雑な気持ちにもなった。
心地良く水のように広がっていくような不思議な文章だった。
ポップなタイトルに対して、縛られ地蔵と片頭痛とは渋いモチーフという印象で読み始めた。ですます調の独特な文体だが好きな読み心地。
読み進むにつれて、タイトルジューンドロップは縛られ地蔵のそばの柿の実と、主人公の母の不妊治療と深い関わりをもったテーマだと気づく。
ドロップ=キャンディが物語を彩る効果的なツールとして登場するのも印象的。縛られ地蔵で出会ったタマキの秘密、しずくの秘密、それぞれの家族のあり方を繊細かつ鋭く描かれた瑞々しい作品だった。
まず「しばられ地蔵」が強烈すぎて思わずネットで調べました。
東京の業平山 南蔵院というところが由来も本に書かれていたこととマッチしたのですが、他にも仙台などにこういったお地蔵さんがあることを知り、仙台は夏に行ったので見に行ってみたかったなあと思いました。
写真も出ていましたが、なかなか強烈。
このお話は読み進めていくうちに登場人物の気持ちがよくわからなくなっていき、それを理解しようとしながら考えながら読み進めました。お母さんの不妊治療に関しては、もうすでに割と大きい子供がいるのに精神がおかしくなるまで頑張っているのはどうしてだろうと思っていました。そして祖母との関係も謎でした。
しずくちゃんの頭痛の原因も家族との関係で精神的なものかなと思っていましたが、なかなか最後ヘビーすぎてこれは確かに精神に不調をきたすなと思いました。
タイトルのジューンドロップは、柿の実のことが書かれていましたが、柿の生態について初めて知ったのでとても面白いしその現象に対しておしゃれな名前ついてるんだなと思いました。