無限の月
須藤古都離
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刊行日 2023/07/12 | 掲載終了日 2023/07/11
ハッシュタグ:#無限の月 #NetGalleyJP
内容紹介
メフィスト賞を満場一致で受賞&刊行後には数多の絶賛、驚嘆の声。
『ゴリラ裁判の日』の次は、これだ!
史上稀にみる驚嘆すべき2作目、誕生!
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死ぬほど愛していたのに。
あなたは、いったい誰?
ずっと愛していた。そして強く愛されている。
そう思っていたのは、私だけだったの?
始まりは、小さな裏切りだった。
謝ってくれれば許すつもり。ずっと待っていた。
でも――。病室に来たあの人は、私の知っている夫ではなかった。
「私」にとって一番大切なものは、
「私」にだけ見つけられない。
ある町を襲った謎のハッカー。「書」を愛する中国の娘。
開発停止になった夢のテクノロジー――。
恋愛小説で、大救出劇で、予測不可能なラストシーンに、決して忘れることのできない読後感。
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著者/須藤古都離(すどう・ことり)
1987年、神奈川県生まれ。青山学院大学卒業。2022年、「ゴリラ裁判の日」で第64回メフィスト賞を受賞。
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出版情報
ISBN | 9784065322307 |
本体価格 | ¥1,750 (JPY) |
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なんだこれは!?!?気付いた時の衝撃がすごすぎて、なんかもう言葉にできません。これは短編集?にしてはいいところで終わるな?と、察しの悪い私はものすごい勘違いをしていました。まさか最初から最後まで全て繋がっていたなんて…!私は知らず知らずのうちに丸いお月様をぐるっと一周まわっていたんですね。
これは絶対にネタバレしてはいけない作品だと思うので、詳しくは書けませんが…
とにかくおもしろいです。設定もストーリーも登場人物も全てが秀逸。
一度読み始めると完全にこの世界に入り込んでしまうと思います。
物語の読ませる力が本当にすごくて、すごいとかおもしろいとかありきたりな言葉しか出てこないのが悔しいくらい、すごいです。そして、ハッと目が覚めたかのような読後感。最高です!「ゴリラ裁判の日」も大好きな作品ですが、こちらも大大大好きな作品になりました!この想いを早く誰か
と語り合いたいです。
素晴らしい作品をありがとうございました!
『ゴリラ裁判の日』が私のなかでは今年の上半期とても強烈な印象を残す作品だったので、新作が楽しみでもありながら期待が裏切られたらどうしようという思いも正直あった。しかしそれは無駄な心配であった。
私の期待値を大きく越え、うっとりするほどの余韻が残り続ける作品を読ませていただいた事にただただ感謝するしかない。
私は子どもの頃から月に魅せられて『月の魔力』という本を愛読していた。だから月が出てくる作品にはとても心惹かれる。
きっと今年の中秋の名月にこの作品を読み返すはずだ。その時の私は私でありながら、どこか今の私とは違う。その時この作品をどう感じているのだろうか、そんな思いを抱きながら今は余韻に浸っている。
『ゴリラ裁判の日』で衝撃を受けた読者に、ぜひこの新作を読んで全く違う衝撃を受けてほしい。
私の今年の推し本として、『ゴリラ裁判の日』と共に『無限の月』を加えたい。素晴らしい作品を読ませていただきありがとうございました。
他人の人生を擬似体験できることが、読書の醍醐味だと常々思うのだが、この本は今まで経験したことのない読後感だった。
全く予想していない展開に頭が追いついていかないのだが、読み進まずにはいられない。
「人に薦めたいけれど、前情報なしで読んでほしい」という矛盾する気持ちで、いまムズムズしている。
タイトルにもあるように全体的に月のような作品で、明るく照らす月は見えているのに手にできない、そんなもどかしさを感じながら読み進めていました。
中国語の読み方にも慣れず、うまく覚えられなくて…。それっぽい和名で読んでました(笑)
え?いま誰の話をしているの…?とぼんやりとした視界の中読み進めていくと、突如開かれる視界。一気に進むスピード感!
色んなことが複雑に起きて描かれているにも関わらず、全てを飲み込みながらどんどんスピードをあげてエンディングに近づいていく様子は、読んでいてとても気持ちが良かったです。
ネタバレをせずに感想を書くのはとっても難しく、とりあえずまず読んでみてほしいです。きっと読み終わった先に、新しいあなたが待っています。
ページを開けば、あっという間に幻想的な空気感が広がり、
夢中でページをめくり続けました。
日本と中国、それぞれの国で起こる一見交わらないような物語が、
どんどん交錯していき、驚きの事実に辿り着く様子に、
息を呑みました。
自分が意識している「私」は、実は「私」ではないのかもしれない。
「私」が存在している世界は一つではないのかもしれない。
身体と心が切り離されたような、形容できない心地よい不思議な感覚に包まれました。
まさに、人智を超越した、魂が震えるような物語。
そして、SFでありミステリであり、恋愛小説である、
カテゴリ別不能な稀有な作品。
読後も、まだまだ、この美しく神秘的な世界を漂っていたいです。
読み終えてすぐには感想をどうまとめて良いか分からなくて少し熟成しました。
まさに、「ゴリラ裁判」とはまた違う真骨頂!ですね。
初めは散りばめられた物語は何に向かっているのか、自分は何を読んでいるのか分からなかったけれどラストに向けての収束感が圧巻でした。
人を愛することや命の危機、これのこれがどこに繋がるの?などと感情が終始忙しかったです。
今回も楽しかった!
あまり話すとネタバレになってしまうので色々言えませんが、エピローグは解釈を読み手に委ねる感じに思えました。
急に世界観が変わったような、聖書を読んでいるような気持ちになったので個人的にちょっとビックリしてしまいました。
視点が変わりながら展開していくので最初は「あれ?どういう事だ?」と謎が深まっていくのですが、ストーリーのスピード感に引き込まれ一気に読んでしまいました。
きっとラストまで読んだらもう一度頭から読んで「だからこうなのか!」と確認したくなる人多いはず。
読了するとタイトルの意味を深く感じることができます。
詳しい内容が言えないのがもどかしいですが不思議な体験を感じたい人にぜひおすすめしたい一冊です。
わたしとあなたの全く新しい連帯の物語。
ウェアラブル端末「カチューシャ」を作動させると自分の感覚が全て遮断され、知りもしない女の子を夢を見た。
睡眠後は生まれ変わったように肉体的にも精神的にも最高の状態になる。
私は一人であって一人ではなかった。
たくさんの人に届いてほしい物語。
物語の終焉において、まさかこんな壮大な場所まで連れていかれるとは思いませんでした。
読了後、想起したのは、悠大な黄河の流れ。
大きな方向性としての流れがここにあり、その河の水一滴いってき、一つひとつに人間という営みがある。最近数ヶ月間のChatGPTを始めとする生成AIの拡大発展は、まさに本作が見せてくれたような未来の一つとして位置づけられるだろう。大きな流れの先にあるものを見据えなければならない。
この物語は一体どこへ連れて行ってくれるのだろう。わからないままぐいぐいと引っ張られ、目を離すことができない。登場人物達も同じように何が起きているか理解できないままに話は進み、ラストは思いもかけない未来を見せてくれた。SF、サスペンス、恋愛小説…。エンタメ要素盛り沢山でありながら世界を、愛を、人類を考えさせられる作品でもある。かつてスピリチュアルブームの時代に、高次元で人類の意識は融合しているというような記述を読んだことを思い出した。壮大なドラマは小さな脳から始まる。
前作は言葉を理解するゴリラが理不尽に夫のゴリラを殺されたことから裁判を起こすという実にユニークな作品だった。しかも実際の事件を元にしているというのも驚きだった。
そして今作は、ウェアラブル端末を装着すると他人の意識の中に入り込んでしまうという現象が起きるという今の時代らしい題材だ。
ちょっと前、VRだとかMRなんかが話題になった時があった。残念ながらどちらもあまり盛り上がっていないようだが、その理由は、没入感の圧倒的な不足にあるような気がしてならない。舞台やコンサートでも「イマーシブ」なものを模索しているが、まだ決定的なものは出ていない。コロナ期間中にSCRAPが上演したリモート演劇にかなりイマーシブ感の強いものがあったが、経験できる人数に限りがあり、あまり話題にならずに終わってしまった。
この本の中に出てくるウェアラブル端末は完全イマーシブな装置だ。完全に相手の人生に乗り替わっていく。
その相手は中国人だ。最初のファンタジーな展開は、やがてアドベンチャーになり、そして壮大なるSFワールドへと拡大していく。
個人的にはあまりSFが得意ではないので「ウッ」という部分もあるのだが、ここまで大風呂敷を広げられるとこれはこれで納得、感心させられてしまう。
小説の持つ自由な無限性を感じさせてくれる一作。自作もぜひ読みたい。
『ゴリラ裁判の日』の衝撃冷めやらぬうちに出版される本作。前著では、「ゴリラと人間の合間で彷徨う何か」として苦悩する主人公が描かれ、「ひと」を形作っているものについて考えさせられました。
その印象からか、本作では「わたし」を「わたし」たらしめているものは何か、というような問答に陥ります。
自分というものが、姿形によるものなのかそれとも意識によるものなのか、本作では他人との〈同期〉という体験よってその答えに一つの結果を見せてくれます。
章によって入れ替わる視点、異国情緒あふれる中国の情景、「BMI/ウェアラブル・デバイス」といった近未来のネットワーク技術、満ち欠けを繰り返す月の様相…自分の知識と照らし合わせながら世界が正しくあるのかどうかを判断するのであれば、開ける扉を一つ間違えたかのように自然となにかが違う世界へと誘われていました。満ち欠けを繰り返し毎日同じようでありながら、ひっそりと地球から遠ざかっている「月」の存在ともリンクして、ファンタジーともSFともいえる不思議な世界観に浸って読みました。
ラストの未来図は必見です。
1、2章、「これからってところで話が切り替わるなぁ」と思いつつ読み進み
3章で「おっ動き出した」と思ったら止まらないジェットコースターのようにガンガン揺さぶられる!
中国の描かれ方もこれまでの小説とはまた違っていて新世代って感じ。
キーアイテムが新旧(新→ウェアラブル・デバイス、旧→書)あるところが今の中国っぽい。
『ゴリラ裁判の日』(未読…すみません)で話題の著者ということでリクエストを
出していましたが読めて良かったです。ありがとうございました。
まるで私自身まで隆のように不思議な体験をしているような感覚で、理解が追い付かないのに目が離せない読書体験でした。
繋がったと思ったらするりとかわされてしまい、真実がなかなか手にできないもどかしさ、やっと着地したと思ったら今までの軌跡が覆されるような壮大な世界観に溜息と感嘆。
構成の巧みさとストーリーの深みに、完全にのみこまれてしまった。
何だかすごい読了感でした。
最初はSFのような世界観と中国が背景にあることもあり、三体のような雰囲気を感じていましたが、そのうち恋愛小説のようになり、最後の終着点がそれだとは!!!
驚きの連続でした。
ゴリラ裁判も読んでみたいと思いました。
脳の中に小さな機械を埋め込むとか、それを利用するアプリとか、カチューシャに似たウェアラブル・デバイスとか、私のように理系の話が苦手な読者はちょっと手に取るのをためらってしまうかもしれませんが、それらに臆することなく読み進めていけば、この作品がジェットコースターのように読者を翻弄してくれると思います。
ジャンルとしては、場面によってミステリーやサスペンスであり恋愛小説であり大救出劇であり、なんなら幻想小説や科学小説の要素も含まれていると思うので、どの視点で読むかで印象も変わってくるかもしれません。まずは読んでください、とお伝えします。読み終わったら「そういうことか!」と感じると思いますが、答え合わせのためにも高確率でもう一度最初から読み返したくなると思います。
副作用としては、カチューシャを着けるのが怖くなる、という点が挙げられるかもしれません(笑)。
メフィスト賞を満場一致で受賞した「ゴリラ裁判の日」の著者の受賞後第1作、オススメです! と言いたいところですが、実は「ゴリラ裁判の日」は未読です。今作を読んで、そちらも読んでみたくなりました。どちらも装画が田渕正敏さんというイラストレーターさんで、テイストが似ているので探しやすいのもいい戦略だと思います。私と同じようにデビュー作が未読の方は、さわやかな青色の表紙を探せばすぐに見つかると思います。
思わぬ形で繋がった運命的な邂逅と決定的な変容に直面して、危機を救うために奔走するダイナミックなストーリーの先には、さらに斜め上の結末が待っていて驚かされました。意欲的なチャレンジで鮮烈な作品を書き続ける著者の次回作に期待。
中国と日本でそれぞれの話が展開されてから怒濤のサスペンスに。
たんたんと読んでいたら、どちらの章も最後に謎が提示され、そこから続きが気になって一気に読みました。
恋愛小説でも、SFで、サスペンス。また、カチューシャ型のデバイスが出てきて、どんどん人格に影響を与えていくところは、幻想小説っぽい感じもあります。ラストはホラーっぽいかもしれない。
盛りだくさんですが、複雑ではないので万人が楽しめる作品じゃないかなと思いました。
サスペンス性が増してからは、少しずつ明らかになっていく真相にわくわくしました。
また、前半で出てきた謎が後半に絡んでいくので読み応えがありました。
時空を越えたような感覚。
壮大なスケールがわかる描写。
日中共同制作映画としてこの作品を作ってほしい。
『人を愛すること』はとにかく感情的で、稚拙でも時にかけがえのないもので、それは言語化するのが難しい。だからこそこの奇跡の体験はひとを変え、またそれに関わるひとを変えてしまう。
著者にとっての『愛』への捉えかたを歪んだ捉え方をすると愛で人は変わってしまうということ。
いい言い方をするのであれば、『愛』は人を変えてくれること。
怖さと愛おしさ、正直どちらも押し寄せるエンドでした
読み始めから面白そうな予感は的中。
著者の思考回路は、次元が違う?
誰の、どの時間の、どこにいる話なのか。理解が追いつかないまま読み進むのですが、でもそれがこの後どう結びつくのか、最後にどんな結末が待っているのか、期待は膨らむばかりでページを捲る手が止まらない。なんとも不思議な感覚の作品でした。
ひとつひとつバラバラの話の様でいて、最後に一気に全てが繋がる感じ。読後感は大満足。
中国語はなかなか馴染めませんでしたが、極端に難しい科学の言葉が出てくることもなく、読みやすかったです。
人としての在り方を問われているような気がしました。
余韻が残っているうちにもう一度読もうと思います。
兎にも角にも、オススメの一冊です。
『ゴリラ裁判の日』も気になり読み始め見した。著者の今後の作品も楽しみにしています。
前作で、こんな世界を書けるのか!と吃驚した須藤さんの新作ということでリクエスト。
結果、この人の想像力はどのように広がっているのだろう…、というため息がもれました。
正直なところ個人的には主人公の造形などは前作の方が好みですが、
発想力の規模が違うというか、思っていない方向へ話が広がっていくので、
気になって続きを手繰っていて気付いたら読み終わっていました。
そんななか書店でサイン本を見かけたので図書館の蔵書に加えました。
ぶつ切りの短編を読んでいたと思ってたのに、いつの間にか、大きな河の流れに身を浸している事に気がついて驚愕でした。
作品の内容について多くを語ってしまったら、これから読む人の楽しみを奪ってしまう気がして、魅力をうまく伝えるのが難しいんですが、“自分”とは誰なのかを考えずにはいられなくなります。
各章のタイトル通り、満ちては欠け、そして再び満ちる月が、寄せては返す意識の波のようで独特な世界観に圧倒されました。
病室に現れた別人のような夫。その変わってしまった理由となる体験がめちゃくちゃに面白い!夢中になって読みました。世界観がとてもとても好きでした!"2人"が出会う場面はなんだか読んでいてこちらまでドキドキしてしまいました。『ゴリラ裁判の日』に続いてとても面白く、すごい作家さんに出会ってしまった!という気持ちです。
この作品を読んでいると不思議な感覚になります。映像を見ているかのように情景がうかんだり、時には自分が登場人物として動いているかのように。
ひとつひとつの描写が無駄なものがなく、自然な細かさですっと自分に入ってきます。
読み終えた後も不思議な余韻を残していきました。考えたこともないせかいでした。
いつかこんな時代がくるのだろうか?
睡眠時の脳を活用するウェアラブル端末を通し、他人の意識と同期されていくSFミステリ。
『ゴリラ裁判の日』とはまた一味違う独創性が炸裂した作品。人とゴリラ(動物)の時よりも、人と人とで描かれた本作の方がコミュニケーションが難解になっていて、人間の面倒臭さが感じられ面白かった。
テクノロジー面だけじゃなく、人間にはまだ気持ちの上での進化の「のびしろ」がある、と突き付けてくる壮大な展開。混乱の中に少しずつ流れてくる「愛しい」感情。ぐるぐる回る世界の中で、日常では見落としがちな大切な存在がガツンと浮かんでくる。
前作「ゴリラ裁判の日」が面白かったので手に取ってみた。
それぞれ背景も国も違う登場人物たちの短編小説ような状態にとまどい、何がどう繋がっているのか途中までは全くわからない。
だって登場人物たちも何が起こっているのかわかってない。
ジャンルは近未来なSF?サスペンス?家族?恋愛?
エヴァンゲリオンの人類補完計画のようなラスト(たぶん全然違うけど)。
なんとも壮大で不思議な世界観。
ゴリラ裁判とは全然違うけど読ませる吸引力はすごい。
好き嫌いが分かれそうなタイプだとは思うけど、なんとも説明し難いこの世界を体感してほしい。
『無限の月とは言い得て妙』
日本の新鋭ITベンチャー企業が開発したウェアラブルデバイス。商品化には失敗したはずだったが、試作品の暴走によって引き起こされる不可思議な現象の数々。そして遠く離れた中国の田舎町で起こった怪事件とも徐々にリンクしていく…。日中の国境超えて繰り広げる、読み応え抜群の近未来SF小説だ。
著者の前作「ゴリラ裁判の日」では人語を操るゴリラが描かれていたが、実話をモチーフにしたフィクション作品ということもあり、どこまでが現実の話なのかロマンを感じながら読み進めた。今作もそのワクワク感は健在。メタバースのようなVR技術が発展してきた昨今では、現実世界でも実際に起こり得そうな絶妙なラインを攻めている。
ウェアラブルデバイスに起因した「入れ替わり」であれば今までも数々見てきた設定であるが、本作はそう単純な話ではない。夢か現実かという次元を超えて、どこまでが自分でどこからが自分ではないのか。もっと言えばどちらが本当の自分なのか、というところまで切り込んだ斬新な設定である。第三者視点で見れば、急に人格が変わったように感じられ、何が起こったのか、そもそも別人なのか、といった疑問が生じ、先の展開が気になり読む手が止まらない。
読みながらぼんやり想像していた結末も早々に裏切られ、最終章では思いもよらない壮大な物語へと昇華していく。無限の月とは言い得て妙。SF小説の中には難解な作品も多く、個人的には少し苦手としているジャンルであったが、本作は読みやすさも文句なし。私のようにSF小説に苦手意識を持っている方でも楽しむことができる作品に仕上がっている。
冒頭の舞台はは中国。須藤先生の作品には本当に意表を突かれる。しょっぱなからのシステムハッキングがなかなかのホラー。不気味な出だしは何を意味するのか。
日本パートと中国パートを行き来していて、しかしそんな構造であるのに混乱することもなく先が気になりぐんぐん読み進む。
SFであり、かつ良質なサスペンス。本作の仕掛けを理解し始めた残り100ページから物語の展開が加速する。圧巻のラストまで一気読みだった。
ウェアラブル・デバイスによって、全く知らない他人の人生を体験する。
最初は日本と中国のそれぞれの話からはまり、それが繋がってからの展開のスピード感がすごい。
登場する人物たちの想いが丁寧に描かれていて、彼らを頭の中でイメージしながら読み進めました。
壮大な未来を描くラストにゾクゾクしました!
ありがとうございました。
なんだかSFバージョンの『君の名は』という感じでした。
カチューシャで違う人の人生を生きる。
君の名はと違ってもっとリアルで苦しい展開でしたが、面白いと思いました。
最初のイントロダクションがとても魅力的でした。
『ゴリラ裁判の日』が面白かったので、かなり期待して読み始めた。別居中の夫が見知らぬ他人になっている。一体、彼は誰なのか。何が起きているのか。『面白そう』と思い読み進めると、どうやら私の苦手なSFでは??それでもとても読み易く、物語の続きも気になるので無事に読了。ラストは『えっ!そんなに』とちょっとひいてしまった。私の読者経験上、脳をいじって良い事は無い。みんな大変な目に遭っているし…。それにしても妻・聡美の理解力の速さには驚くものがある。
見えない月の力を感じて…
スーパーブルームーンが話題になっていた時に、SFのような、ミステリーのような、壮大な愛の物語のようなノージャンルともいう物語を読みました。
中国のとある町で電気が何者かにハッキングされ、パソコンには「誰かたすけて」の文字が。
日本では浮気をしていたと思っていた夫が別人のようになっていた。
この二つの出来事は繋がっていたのであった。
何を語ってもネタバレになりそうなのですが、この不思議な物語のあちこちに今の私に響く言葉が書かれていたのが印象的でした。
おじさんは誰よりも自由だった。自由であることが美しいことなのだと、初めて知った
自分を喜ばせるためだけに、自分が見たいものを作ろう
大事なのは自分と向き合うことなのだと
作者の『ゴリラ裁判の日』も読んでみたくなりました。
夫の不倫に悩む真里菜。でもそれは、まだ「始まる前」の物語。
そして、真里菜の夫の隆と中国に住む張月の物語が始まる。この時はまだ、この異様なシチュエーションに戸惑うだけだった。その理由もこの行く先も分からず、ただただ魅了されて読み進めるだけだった。そして、張月と読み手が信じていたことがあっけなく覆される。唖然。そしてそのまま急転直下。活劇へ。
それから、物語は最初へと、真里菜のもとへと静かに戻っていく。更に、驚くべき真里菜の選択の果てに、とうとう訪れる愛と安寧。
しかし、この先にもっと驚愕な展開が待っていたとは。
これは、人類が持つ限りなく広大で分厚いborderを、ごく身近な視点から問う小説。我々が直面しなければならない可能性がある、止揚し乗り越えなければ進めないborderを扱った小説。真の安寧の形態の一つを、真っ直ぐに突きつけてくる小説。
満ち欠けをしていく月は一つ。繰り返して、無限に姿を変えていくが、それは一つの月。読み終わってから、この書名の意味が心にじんわりと染み込んできた。
「ゴリラ裁判」と同じように、我々が直面する可能性のある未来に向けて、暫く物思いにふけった。