「逆張り」の研究

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刊行日 2023/06/26 | 掲載終了日 2023/06/29

ハッシュタグ:#逆張りの研究 #NetGalleyJP


内容紹介

『「差別はいけない」とみんないうけれど。』(紀伊國屋じんぶん大賞2020 第2位)
『みんな政治でバカになる』が大きな話題を呼んだ批評家が満を持して贈る、2年ぶりの新著


わざと対立するための、
ただのポーズとしての「逆」ではなく、
真に思考を深めるための「逆」がある。
――千葉雅也さん

「逆張り」を考えることは
「逆張りぎらい」だった
震災以後の「空気」を
考えることでもある

「逆張りする側の立場を取材させてほしい」
「え……ぼくって「逆張り」なの……?」
新聞記者に「逆張り」認定された批評家が戸惑いつつも「逆張り」という現象を考える。「批評」ではなく「運動」や「現場」、「おじさん」ではなく「女性」や「若者」、「傍観者」ではなく「当事者」が称揚され、「逆」が嫌われた(あるいは反動的に好まれた)2010年代とは何だったのか?

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【目次】

まえがき
逆張りくんによる「逆張り」の研究

第1章
「成功したければ逆張りをしろ」
投資家と注意経済の時代

瀧本哲史とピーター・ティール
注意経済(アテンション・エコノミー)
炎上狙いの逆張り
空気=同調圧力を読んで、あえて逆張りする
「運動」の時代と「逆張り冷笑おじさん」


第2章
「どっちもどっち」の相対主義と「この道しかない」の絶対主義
同じところで同じ情報がぐるぐる回っている

インターネットの類友たちのポピュリズム
相対主義と絶対主義は同じコインの両面
常識というセキュリティ
「愛が大事」と「勇気づけられる」


第3章
「昨日の敵は、今日の友」
アンチと「アンチのアンチ」の戦争

アンチになると主義主張がおかしくなる
「敵の敵は味方」という論理
「敵/味方」の世界観を絶対化する
ポストモダン思想が嫌われる理由?
オウンゴールに熱狂するフーリガン
ツイッターという類友の内輪
支配的な政治は自然の顔をしている


第4章
「ブーメランが突き刺さっている」
アンチ・リベラルの論法

常識や良識を相対化できればなんでもいい
「それってあなたの感想ですよね」「ブーメランで草」御田寺圭氏の「かわいそうランキング」
アンチ・リベラルはリベラルとよく似ている
「敵」の主義主張のパロディ


第5章
「他人からええように思われたいだけや」
動機を際限なく詮索するシニシズム

「社会から安心、尊敬、信頼される人間を育てる」
厨二病的シニシズム
資本主義社会の耐えがたさ
リベラルは流行しやすい
猜疑心あふれるネット迷探偵たち
物語にすることで安心する
シニシズムは利己的な動機を暴露する

第6章
「そこまで言って委員会」
インターネット学級会とネトウヨになりかけたTくん

「どっちもどっち論」批判は正しい
リベラルという優等生
議論と決断はつねにゴタゴタする
モラルの高さのお披露目会
道徳的な非難を避ける傍観者
誠実だからこそ裏切る必要がある
優等生のえこひいきが許せないネトウヨ
優等生はえらそうなのではない、えらいのだ
頭がよくて良心的だからこそ嫌われる
ネトウヨになりかけたTくんの思い出
本当の意味で反社会的なひと


第7章
「やっぱり東野圭吾が一番」
逆張りとしての批評

メタ視点に立つための「差異化ゲーム」
小林秀雄の逆張り芸
マルクス主義の重しとメタメタメタゲーム
メタゲームを止めてくれる「身体」と「エビデンス」
「笑い」がリベラルに嫌われる理由


第8章
「脳をつつけば世界はガラリと変わって見える」
はるしにゃんとケミカルな唯物論

はるしにゃんと「メンヘラ」界隈
鶴見済と滝本竜彦の影響
セロトニンとケミカルな唯物論


第9章
逆張りは多数派の敵でありつつ、友でなければならない

逆張りにも、逆張りぎらいにも「いま」しかない
「いま」自体を相対化できる別の視点を持つこと
常識をもって常識を制す

あとがき

主要参考文献

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【著者プロフィール】

綿野恵太(わたの・けいた)
1988年大阪府生まれ。出版社勤務を経て文筆業。詩と批評『子午線 原理・形態・批評』同人。著書に『「差別はいけない」とみんないうけれど。』(平凡社)、『みんな政治でバカになる』(晶文社)がある。

『「差別はいけない」とみんないうけれど。』(紀伊國屋じんぶん大賞2020 第2位)
『みんな政治でバカになる』が大きな話題を呼んだ批評家が満を持して贈る、2年ぶりの新著


わざと対立するための、
ただのポーズとしての「逆」ではなく、
真に思考を深めるための「逆」がある。
――千葉雅也さん

「逆張り」を考えることは
「逆張りぎらい」だった
震災以後の「空気」を
考えることでもある

「逆張りする側の立場を取材させてほしい」
...


出版社からの備考・コメント

今回アップしたデータは、校了前のものです。刊行時には内容が異なる場合があります。ご了承ください。

今回アップしたデータは、校了前のものです。刊行時には内容が異なる場合があります。ご了承ください。


おすすめコメント

 「逆張り」という言葉は、かつては「だれも価値をみとめないことを、〔いい機会だと思って〕あえてすること」(三省堂国語辞典(第7版)2014年刊)という意味で使用されていました。しかしその後10年ほどたった現在「良識をあざ笑うような意見や、常識的にはありえない主張」を指して、「逆張り」という言葉がインターネット上で用いられるようになりました。
 「逆張り」について考えることは、この10年あまりの社会の変化を振り返ることでもあった――

 震災以降、「批評」ではなく「運動」や「現場」、「おじさん」ではなく「女性」や「若者」、「傍観者」ではなく「当事者」が称揚され、「逆」が嫌われました(あるいは反動的に好まれた)。注意経済、シニシズム、相対主義と絶対主義、ポピュリズム、差異化ゲームなどのキーワードを軸に、「逆張りぎらい」の2010年代を総括する一冊です。
 『現代思想入門』(新書大賞2023第1位)でも「逆張り」というあり方を重視していた千葉雅也さんも推薦。どうぞご注目ください。

 「逆張り」という言葉は、かつては「だれも価値をみとめないことを、〔いい機会だと思って〕あえてすること」(三省堂国語辞典(第7版)2014年刊)という意味で使用されていました。しかしその後10年ほどたった現在「良識をあざ笑うような意見や、常識的にはありえない主張」を指して、「逆張り」という言葉がインターネット上で用いられるようになりました。
 「逆張り」について考えることは、この10年あまりの社会の...


出版情報

発行形態 ソフトカバー
ISBN 9784480823830
本体価格 ¥1,800 (JPY)
ページ数 256

閲覧オプション

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2014年の三省堂国語辞典にて初めて収録された「逆張り」という言葉。
「だれも価値をみとめなきことを、<いい機会だと思って>あえてすること」の意味から10年経って
「良識を嘲笑うような意見や、常識的にはありえない主張」という意味へと変化してきた「逆張り」について論考したエッセイ。

資本主義やマルクス主義、市場の差異化ゲームや相対化などの補助線を用いて冷笑に立ち向かう術を考える。

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ネットに詳しい人なら使いこなす言葉なのかもしれないけれど、自分はこの言葉を寡聞にして知らなかった。検索して一番に出てくるのは
逆張り(ぎゃくばり)
相場のトレンド(流れ)に逆らった投資法のこと。 相場環境や市場人気を読み、上げ相場の時に売り、相場環境が悪化し、人気がなく、値下がりしているときに買うこと。
著者も説明しているように、証券関係の言葉。
さらに
俗に、大勢や時流に逆らう言動をすること。「逆張りの主張」
という解説も出てくる。

なるほどである。著者がこの文脈でよく色々言われる方だ、ということも知った。とっつきやすい筆致だけれど、参考文献は巻末に多数挙げられており、ライフワークのような力のこもった著者だという印象を受けた。

現状分析にはうなづかされる。情報が彼方に手に入る環境では、自分の好きなものを好きなように身の回りにおく快適さ。人は見たいものをみる。自分に見えている世界は隣人の見ているものとはきっと全然違うだろう。

居心地のいいものに取り囲まれて、それでいいのか?と問い直すその感覚、よくわかる。これからももがきながらぶつかりながら誠実に発信してほしい。

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