藍色時刻の君たちは

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刊行日 2023/07/28 | 掲載終了日 2023/12/20

ハッシュタグ:#藍色時刻の君たちは #NetGalleyJP


内容紹介

2010年10月。宮城県の港町に暮らす高校2年生の小羽(こはね)は、統合失調症を患う母を抱え、介護と家事に忙殺されていた。彼女の鬱屈した感情は、同級生である、双極性障害の祖母を介護する航平と、アルコール依存症の母と幼い弟の面倒を見る凜子にしか理解されない。3人は周囲の介護についての無理解に苦しめられ、誰にも助けを求められない孤立した日常を送っていた。

しかし、町にある親族の家に身を寄せていた青葉という女性が、小羽たちの孤独に理解を示す。優しく寄り添い続ける青葉との交流で、3人が前向きな日常を過ごせるようになっていった矢先、2011年3月の震災によって全てが一変してしまう。

2022年7月。看護師になった小羽は、震災時の後悔と癒えない傷に苦しんでいた。そんなある時、彼女は旧友たちと再会し、それを機に過去や、青葉が抱えていた秘密と向き合うことになる……。

2010年10月。宮城県の港町に暮らす高校2年生の小羽(こはね)は、統合失調症を患う母を抱え、介護と家事に忙殺されていた。彼女の鬱屈した感情は、同級生である、双極性障害の祖母を介護する航平と、アルコール依存症の母と幼い弟の面倒を見る凜子にしか理解されない。3人は周囲の介護についての無理解に苦しめられ、誰にも助けを求められない孤立した日常を送っていた。

しかし、町にある親族の家に身を寄せていた青葉...


出版社からの備考・コメント

【ネットギャリーをご利用の方へ大切なお願い】
・多くのレビューをお待ちしておりますが、物語の核心をつくような、所謂「ネタバレ」はお控えください。
・ネタバレ行為はネットギャリーのみならず、読書メーター、ブクログ、Twitter 等の多くの方が目にする場でも同様にお控えいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
・本作は校了前の大切なゲラデータを著訳者よりご提供いただいた上で公開をしています。本作の刊行を楽しみにお待ちいただいている、多くの読者のためにも、ご理解、ご協力のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

・多くのリクエストをお待ちしておりますが、過去のフィードバック状況やレビュー内容からリクエストをお断りする場合がございます。予めご了承ください。

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おすすめコメント

第14回 山田風太郎賞受賞作!

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出版情報

発行形態 ソフトカバー
ISBN 9784488028985
本体価格 ¥1,800 (JPY)
ページ数 368

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NetGalley会員レビュー

宮城の海辺のまち、同じ中学に通う三人はともに精神科にかかる家族の世話をしているヤングケアラー。

「相手を本当に理解するには、同じような立場にいる人間じゃないと無理」
小羽、航平、凛子の三人は他の同級生とは違う、お互いの良き理解者である。

「いつかちゃんと、手を離しなさい」
小羽は小羽だけの人生があることを近所に越してきた青葉さんから告げられる。

そして震災。
作者の思いの詰まった教養小説。

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第一部2010年石巻の港町から物語は始まる。もうそれだけであの震災に関連した物語だと覚悟をし読み始めた。
ヤングケアラーという呼び方が一般的でない時代。3人の高校生はそれぞれ家族のケアをしなければいけない状況であった。家族の病で繋がった3人。家族の病気についてとてもリアルな病態と家族の現実が描かれていて読んでいて何度も胸が詰まる。「家族だから当たり前」どこか諦めを含んだ言葉がとても辛かった。
彼らに声をかける青葉がなぜそこまで踏み込めるのか、そう思いながら読んでいた。

第二部は震災後の姿が描かれる。多くのものをなくした彼らに、乗り越えられない思いを抱え生きる姿に、いつの間にか寄り添うような思いだった。

342ページの二段組で読みごたえがあった。そのボリュームを感じさせないのは現実性があるからだと思う。
著者のあとがきを読んで、病態や震災がここまでリアルに描けるのかという思いに納得した。
今大変な思いを抱えているヤングケアラーたちに必要な支援が届き、安心して手を離せるような社会になるように願う。

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社会を変える力を秘めた作品。

大袈裟に聞こえるかもしれませんが、素直にそう感じました。
描かれるヤングケアラーの日常は、それほどまでに衝撃的です。

私自身、心を病み奇行を繰り返す母を精神病院に入院させた経験があり、少しは解っているつもりでしたが、甘かったですね。

登場する3人の高校生の置かれた現実は、想像を優に超えていました。

もちろんこれは小説ですが、一方で、どこかで起こっている現実でもあります。

それを示すのが、作中でも紹介されているデータ。
ヤングケアラーが、学校のクラスに1人から2人いる計算になるという実態調査の結果です。

一体どれだけの子どもたちが、この作品の3人のように、子どもらしい生活を送れずにいるのでしょう?

やはり、「あの人」のように、大人がしっかりしないといけないと感じました。
同時に、サポート制度の充実を含め、子どもを守る仕組みづくりの必要性も痛感しました。

感動したとか、切なかったとか、そういった感想だけにとどまらず、私にとってはしっかりと心に刻まれるもののある一冊でした。

目が離せない場面も多かったですね。

序盤から心を鷲づかみにされましたが、特に、謎めいた女性の過去に迫る部分や、「とんでもない惨事」がもたらす波紋などは、時間を忘れ読みふけりました。

細部まで描き込まれた看護師の振る舞いや、思考回路も見どころの一つ。
著者の経験が存分に活かされていて、他に類を見ないものに仕上がっています。

人の心に直接訴えかけ、世の中を動かすだけの力のある物語。
著者だから描けたひとつの集大成。

広く読まれることで、ヤングケアラー支援の一助になって欲しいです。

(対象年齢は13歳以上かな?)

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ヤングケアラー、震災、ジェンダーを題材にしながらも、決して重くなりすぎずに読むことができました。
とは言え決して楽しいだけの話でもなく、考えないといけない、考えるべき題材だと思います。
震災については、311近くになると自分でも商品を集めますが、忘れたいと言う人から見ると辛い企画になっているのでは?と来年にはどうするか悩みます。
そう言ったことも踏まえて、本当に考えさせられる作品だと思います。

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【第一部】の舞台は2010年、宮城県の港町。高校2年生の小羽・航平・凛子は、それぞれ家族の介護を担うヤングケアラーとしてままならない日々を送っていた。そこへ現れた青葉という女性との交流によって、3人は前向きな日常を過ごせるようになる。ところが、2011年3月に発生した大震災により、全てが一変してしまう・・・。
という内容なので、ここまで読むのに時間がかかったり、そもそも読むのがつらいと感じる読者もいると思いますが、ぜひ最後まで読み通していただきたいです。続く2022年東京での【第二部】では、3人が青葉の過去を繙いたり、それぞれが自分の過去と向き合ったり、【第一部】とは別の悲しみや苦しさを感じるかと思いますが、それらを乗り越えて描かれる救済や再生をぜひ見届けてほしいと思います。
家族の介護や看病も、震災による被害も、大変さや苦しさ、つらさ、悲しさは実際に経験した人にしかわからないと思います。それでも、少しでも寄り添えるようになるためにはどうすればいいかを考えさせてくれる作品だと思います。

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ヤングケアラーだった小羽、凛子、航平。
当たり前のようにその環境を受け入れ、この先もそんな生活が続くと思っていた。
あの日の津波が全てを変えた。
生きづらさを抱えながら、それぞれが毎日を生きていた。
ふとしたことで再開した三人は、あの日を克服して歩き出すために変わってしまった故郷を訪れる。
被災者ではない者にとっては、月日が経つにつれて風化してしまったあの日の記憶。
被災した当事者にとっては重い記憶。

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ページをスワイプして驚いたのは、2段組構成だったこと。昨今、これほどのボリュームの小説にはそうそうお目にかかれない。そのボリュームは、ヤングケアラーの苦悩、恥辱、世の中の変化などが、壮絶なあの日を境に怒涛のように吐き出され、読む側まで苦しくて溺れそうになる程。リアルな若者の感情で埋め尽くされ、終盤まで、全く飽きることなく三者三様のヤングケアラーの胸の内を知ることができた。

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地方の漁港のある町で

祖父と統合失調症の母と暮らす小羽。
アルコール依存症の母と暮らす凜子。
父と認知症の祖母と暮らす航平。
まだヤングケアラーという言葉が社会に広まる前の2010年、3人は家族が精神科病院に通っていることで繋がった、同じ高校に通う仲間だった。

その3人のことを気にかけ、なにかと世話をやく、東京からやってきて近所の中華屋で働く26才の青葉という女性がいた。

2011年、彼らを東日本大震災が襲う。

そして舞台は2022年、東京で再会する3人。

350p、2段組というボリュームだが、先へ先へと飽きるとことなく読み進めることができた。

巻末の参考資料の多さは、研究書なみ。
複雑性悲嘆、持続性複雑死別障害、遅延性悲嘆障害などの障害を始めて知った。

あとがきからも、著者のこの小説へ並々ならぬ思いが伝わってきた。

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震災で多くの犠牲を目の当たりにした時、人々はPTSDで長く苦しむと聞きます。
ヤングケアラーの子達が震災に巻き込まれ、10代の多感であり、ピュアであるため自責の念に翻弄され
自分を許すこと、他者を許すことが
容易い事ではないんだと
彼等の葛藤が描かれています。

後悔や無念から解放される事柄は1人1人違うだろうが
話をしたり、寄り添ってくれる人へ手を伸ばし、助けて貰うことを選んで欲しい。
とてもリアルに感じました。

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家族のケアや家事の多くを任されている高校生の様子や、家族の精神疾患について、登場人物に具体的に反映させていることで、説明も分かりやすく、自然に理解できた気がします。「家族だから」というのは、当人たちも周りの人たちも、思ってしまいがちです。当たり前じゃないと思うことは当人にとってはかえって苦しいことなのかもしれない。だから、周りの人が当たり前じゃないと気づくべきなんだろうと思いました。青葉さんのように。震災を生き延び、大人になった彼らが、青葉さんについて知ろうとすることで、震災や、自分と向き合っていきます。青葉さんのことが少しづつ明らかになっていく度に、3人の高校生へのかかわり方や、言葉を思い出して胸が熱くなりました。

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ヤングケアラーたちの青春と成長。
これは小説だけど小説ではない現実が身近にある問題。ひっ迫さや大人の役割の重要性がひしひしと伝わってくるが、果たして行政やサポート体制がどの程度なのか正直自分も皆無。
震災の経験と結び付け、折り合いの付け方、向き合い方など世に問う重い課題は、宮城県出身で看護師の著者だからこそのテーマなのだろう。

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登場する3人の高校生の置かれた現実は私の今までの価値観を遥かに超えてきます。
ヤングケアラーという言葉は最近浸透してきました。
現実としてとこかの家庭で今も起こっていることです。
私が気が付かないだけで、一体どれだけの子共たちが子共らしい生活を送れずにいるのでしょう?
助けたいと願う近くの大人に、素直に頼れない子供たち…、もっと開かれた社会になるように私達大人が変えていかなくてはならないと感じました。
震災やLGBTや介護や…いろいろな要素を盛り込みつつも、重くなりすぎない文体で素直に心に伝わってきました。
ありがとうございました!

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息が苦しかった。
わかるからだ。
医師から聞いた言葉を思い出した。
「世界で一番不幸な病です」
病んでしまった家族といっしょにいるのは、
想像を絶するつらさだ。
足元が崩れていく砂の上にいるようだ。
どんなに踏ん張っても、足元の砂はさらさらと容赦なく流れていく。
立っていられなくなる。
お話の中の、あなたの人生を行きなさい、という言葉が、
一つの救いの糸のように響いた。

心に大きく残るお話だった。

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読む前から『ヤングケアラー』の話だというのだけ知っていたのでプロローグを読んだだけで心がザワザワし始めた。学校以外は家事と母親や祖母、弟の世話をし、頼れる大人が居ない、自分がしないと生活が成り立たない状況にいる3人の高校生。そんな生活に疲れてはいても家族を大切に想っているのも感じる。同じ境遇の仲間がいるとはいえ読んでいて何度も『あぁ…』と呟いてしまう。そんな3人を襲う東日本大震災。家族の世話をする子供達の心情、被災者遺族の心情を克明に描いたこの作品は沢山の人に読まれなくてはならないと強く感じた。

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宮城の港町で暮らす三人の高校生の目を通して、ヤングケアラーの日常、震災との向き合い方を描いた再生の物語。
前情報なしで読み始めたとは言え、2010年の港町設定なのに、少女達が置かれている立場にばかり注意がいってしまい、すぐに震災に繋がる話だと気付けなかった。毎年あの時期になると考える事なのに、裏を返せば「毎年あの時期にしか考えない」とも言える自分への戒めのようにも感じた。
「家庭内の事だから」となかなか外に助けを求められない心境。それを作り出した周りの大人の対応。くだらないプライドが余計に状況を苦しくして、その皺寄せを受けるのはいつも一番弱い立場の者。その負のループを、敢えてさらりと描いている所が良かった。下の世話や暴力など、そういう扇情的なシーンを悪戯に使わず伝えているから、高学年くらいからオススメ出来る作品。二段組の長編で、内容もずっと明るいものではなかったけど、くどさを感じず読む事が出来た。
大人でもあまり知らないものだったり、日本には色んな制度がある。そういう制度をもっと開放的にするべきだと思った。

作品を通し、著者の切実な痛みが滲み出ているのをしっかりと感じた。

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なかなかの長編。
ヤングケアラーと震災。2つの重いテーマが合わさり、これでもかというほど若い彼女らを苦しめる。
自分を犠牲にしてまで他人を助けるのは、そんなにいい事なのか。自分の事も大事にして欲しい。
授業を休む理由を考えなくていい日は来るのだろうか。と考えるほど家族の為にケアしている。家族を嫌いになりそうな状況でも、家族だから。好きだから。とひた向きに過ごす高校生に胸を打たれた。
過去に立ち向かう人、過去を忘れて前に進みたい人。どちらにしても、自分の進み方で生きていくしかない。

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宮城県の港町に暮らす高校生小羽と、友人の航平と凛子の3人は、いずれも家族を介護しているヤングケアラー。誰にも頼れず一人で背負っていた。そんな中、東京から転居してきた青葉が、3人に救いの手を指しのべる。しかし東北を襲った大震災で、全てが一変する。幾重にも傷を負った3人は、奇しくも東京で再会する。そして、今まで帰りたくても帰るのが怖かった故郷に、3人で帰る決心をする。ヤングケアラーのリアルな状況、震災で残された者の苦悩、同性婚の壁など今の社会が抱える多くの問題が描かれていた。「いつか、義務も後悔も手放して。あなたはあなたの人生を生きるのよ」という言葉が、胸に響いた。

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周囲の無理解に苦しむヤングケアラーたちに寄り添ってくれた青葉の存在。震災によって全てが一変した日々と震災時の後悔、癒えない傷。10年後かつての仲間との再会から過去に向き合おうと決意する彼女たちは、結果的に孤立した日常からは解放されたけれど、だからといって過去と決別したわけでもなくて、それぞれが感じて忘れずに抱き続けてきた様々な想いには強く心が揺さぶられる思いでした。

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青春を楽しんだり勉強に勤しむべき時間が奪われている若者たちがいる。この作品では航平の、3人のヤングケアラーが登場する。その一人航平は作品の中で、「家族のことなんで、当たり前」と言いながらも、消去法で自分の役割になっているだけ、と語る。本来なら大人が担うべきだ。しかし、子どもは大人に養ってもらっているなどの理由から世話役を担うかどうかという意識も持てない。
この作品のすごいところは複数の重いテーマを同時に扱っているところだ。ヤングケアラーのみならず、がんサバイバー、セクシャルマイノリティー、グリーフケア。読者は3人の登場人物と暮らす土地、その時系列を追うにつれてある予感を抱く。東北の街を描くこの作品を彩るブルー、ブルー、様々な。夢中でこの作品を読み耽った。

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自分ではどうすることもできない辛いことや、やるせないこととどう向き合っていくのか。また、人と人との繋がりや、思い合うことの尊さをこの物語を読んで感じました。「藍色」の空をみた登場人物たちがどうかそれぞれの場所で幸せになってくれますようにと強く強く祈りました。幅広い年代の方に届いてほしい一冊です。

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読みながら本当に苦しかった。ヤングケアラーの高校生たち3人がどんな現実を生き、何を感じているのか、日常の困難さと相反する複雑な思いに胸を抉られる。家族だから当たり前ではない、助けを求めていい、ということにさえ気づき辛い、躊躇する、負で満たされた環境。そんな中で、互いにヤングケアラー同士であることを隠さず共有できたことと、3人に共通して関わってくれた1人の大人の存在が僅かな救いだった。しかしそこに襲いかかる東日本大震災…。宮城県出身の現役看護師の作者だからこそ描けたこの世界は、今知るべき重さを力に変える!

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全く油断していました。読み終わってから、半日以上経つのに、まだこのストーリーの世界から抜けられません。ヤングケアラーの日常もさることながら、舞台である港町があまりにも故郷(宮城県ではありません)に酷似していて、オーバーラップする光景が多く、涙が止まりませんでした。電車の中で読んでいなくて本当に良かった。
もしも本書のテーマがドキュメンタリーやノンフィクションとして本棚にならんでいたら、重すぎると感じて、手に取らなかいかもしれません。読んだとしても、どこかに作り込みがあるのではないかという疑念が湧いてしまう。フィクションになることで、ストレートに伝わる真実もあるのではないかと感じました。
本サイトで知り、初めて読んだ作家さんなので、他の作品も読もうと思います。

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2010年頃に両親や祖母の面倒を見る役割を担わざるを得なかった3人の高校生の生活。
そして時は流れ2022年、成人した3人が抱えるそれぞれの苦しみ。

読み始めはまたヤングケアラーの話かとややうんざりした感じで読み始めた。謎多き女性の青葉さんも曰く付きなんだろうなぁ…という描写多く。でも後半戦では3人が過去に向き合うようになり、青葉さんが自身の後悔を取り戻そうとしていた背景も分かり。

とはいえまだまだ難しい問題だよな…と感じます。

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家族にケアが必要な高校生3人の物語。3人はいわゆるヤングケアラーで家族の世話をする為に学校には嘘をついて休んだり、自分の生活を犠牲にして家族に寄り添っている。
近くの中華料理店で働く青葉さんは血の繋がりは無いのに身を粉にしてサポートしてくれようとする。
3人の震災前と震災後の生活で構成されている。

読んでいてかなり苦しかった。
東北大震災に辛い記憶がある方は良く考えてから読んだ方が良いかもしれない。
私も昔は祖父母の介護をしていました。
ヤングケアラーという言葉は存在せず、今みたいに使える介護保険サービスもほぼ無く、家族が一緒にいるのは当たり前で面倒を見るのも当たり前っていう世の中でした。
人に頼ってはいけない、家族の情報を外に出してはいけない(恥を晒す)みたいな風潮があったと思う。時代でしょうね。
ここで人に頼ることを知った子たちは良かったなと思うと同時に経験したことにこれからも囚われて生きていくんだなと思ったり。忘れてはいけないのかもしれないけど忘れたいときだってあります。それでも生きていくしかない。
青葉さんの言動にかつての私も荷物を軽くしてもらえた気がしました。

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初読み作家の前川ほまれさんは男性の方で本書に描かれる多くの女性たちの心理を繊細に綴られる筆力に感嘆しました。宮城県の港町で暮らす高校生の小羽。航平、凛子の仲良しの3人は家族の大人が病気であるせいで自分が中心になって家庭を支えるヤングケアラーだった。そんな苦しい毎日だったが東京からやって来た女性・青葉さんが三人を励まし助けてくれる。やがて東日本大震災が起きて津波が押し寄せ、全員の人生が激変するのだった。故郷を出て東京の街で懸命に頑張る三人、青葉さんの凄絶な過去の秘密。心が震える物語に励まされ、これからの人生を自分もできる事から精一杯がんばらなくちゃなと励まされ強い勇気をもらえました。震災を乗り越え苦しむ人たちの役に立つ仕事を選んで日夜がんばる彼らの未来に幸あれと願いますね。本書はぜひ多くの方に読んで頂きたい感動の名作ですので一読をお奨めしますね。

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親や祖父母の精神疾患や病気、介護をするヤングケアラー。本来なら学校でやりたい事をやれているはずの高校生の小羽(こはね)、凛子、航平。彼らは自分を犠牲にして、それが当たり前になっていた。そんな時に出会ったのが青葉さん。彼女が教えてくれた「いつか手を離しなさい。自分の未来を考えて」と。彼らにとって彼女の存在が助けになっていた。そしてその彼女も…。 そして東日本大震災は多くの者(物)を奪っていった。思い内容ではあるけれど、あとがきで著者の前川さんが込めた意味を知った。ヤングケアラーを支援する救済制度ができる事を願う。

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多くのキーワード、錯綜するテーマに前川ほまれ氏の訴えかけたい熱く重い心を感じる。ヤングケアラーとして凄絶な毎日を送る3人の高校生、凛子、航平、小羽。家族が精神科に通院する同じ立場だからこそ繋がることができた。宮城県の港町を舞台に、過酷な介護を担う彼らを気遣うひとりの人物、青葉さんに各々が救われるも、あの震災で散り散りになる。約10年後、成長した3人はそれぞれに人生の歩みを進めていた。心の傷は癒えないままだ。再び繋がり、青葉さんの過去を知っていく過程は苦しく、それだけに省みての感謝を抱く。それでも生きる。「いつか手を離しなさい」ということばを抱えて。

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これはとても素晴らしい作品だと思いました。家族の介護で自身の高校生活を犠牲にするヤングケアラーの三人と、震災、そして三人を救った一人の女性との関わり。自身も一時痴ほうの祖母と生活をしていた事があり、すごく共感できました。震災ですべてが変わってしまって、再び動き出すまで長い時間がかかったけれど、三人の心が救われて、共に前を向ける様になれて本当に良かったと思います。

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