今日の花を摘む
田中 兆子
この作品は、現在アーカイブされています。
ぜひ本作品をお好きな書店で注文、または購入してください。
出版社がKindle閲覧可に設定した作品は、KindleまたはKindleアプリで作品を読むことができます。
1
KindleまたはKindleアプリで作品を閲覧するには、あなたのAmazonアカウントにkindle@netgalley.comを認証させてください。Kindleでの閲覧方法については、こちらをご覧ください。
2
Amazonアカウントに登録されているKindleのメールアドレスを、こちらにご入力ください。
刊行日 2023/06/19 | 掲載終了日 2023/09/06
ハッシュタグ:#今日の花を摘む #NetGalleyJP
内容紹介
茶室で愛とセックスを語る女と男
この世界にいるときだけ、あなたは私のものになる
女による女のためのR-18文学賞大賞作家が、
中高年世代の性愛にタブーを怖れず挑んだ衝撃作
●あらすじ
私の趣味は、男性との肉体を伴ったかりそめの恋。
それを、ひそかに「花摘み」と呼んでいる――。
出版社に勤めるかたわら茶道を嗜む愉里子は、一見地味な51歳の独身女性。
だが人生を折り返した今、「今日が一番若い」と日々を謳歌するように花摘みを愉しんでいた。
そんな愉里子の前に初めて、恋の終わりを怖れさせる男が現れた。
茶の湯の粋人、70歳の万江島だ。
だが彼には、ある秘密があった……。
自分の心と身体を偽らない女たちの姿と、その連帯を描く。
赤裸々にして切実な、セクシュアリティをめぐる物語
●著者プロフィール
1964年富山県生まれ。2011年、短編「べしみ」で第10回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞する。14年、同作を含む連作短編集『甘いお菓子は食べません』でデビュー。19年『徴産制』で第18回Sense of Gender賞大賞を受賞。その他の著書に、『劇団42歳♂』『私のことならほっといて』『あとを継ぐひと』がある。
出版社からの備考・コメント
※書影は仮のものです。
※ゲラは校了の前のデータにつき、修正が入る可能性がございます。
※発売前作品のため、ネタバレや、読書メーターやブクログなど外部書評サイトで発売前にレビューを投稿することはお控えください。
※書影は仮のものです。
※ゲラは校了の前のデータにつき、修正が入る可能性がございます。
販促プラン
【書店員様へ】
拡材や新刊配本のご希望などを非公開コメントよりご注文可能です!
ご希望の書店員様は非公開コメントにて取次・書店コード・書店名をご記載のうえ、ご注文・お問合せください。
※非公開コメントのみだと通知が届かずにお受けできない場合がございます。必ずあわせてのレビュー投稿をお願い致します。
※ご希望数より調整が入る可能性がございます。ご了承ください。
※営業担当者よりご登録のメールアドレスや店舗様へご連絡させていただく場合がございます。
こちらのタイトルの新刊ご希望数の締め切りは6月1日(木)迄とさせていただきます。
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784575246384 |
本体価格 | ¥1,900 (JPY) |
ページ数 | 384 |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
作品中で50代独身女性の身に起こる様々なことは、同世代の女性たちにはどう映るのか感想を聞きたくなる作品でした。また茶の湯の世界の色々を、それもお金をかけられる人たちの楽しみ方は読んでいてとてもとても興味深いものでした。小説を通して知らない世界を学べたことは大きな喜びでした。
色恋がキツすぎたり、肉々しかったら…と躊躇したけれど、女性として肉体の衰えを感じ始めたリアルな心情はシンパシーを感じるところもあった。
もしかしたら若者から見たら50代、70代にもなってそんな話?!と感じるのかもしれないが年齢は問題ではないと人生の後半になるとわかる。
そして何より茶道を嗜む愉里子を通して茶事、水屋仕事を含む半東、茶道の醍醐味や奥深さを感じかなり興味を惹かれる。嫉妬心からか、お金持ちの道楽と揶揄されるのも頷ける。
仕事をしていく上での葛藤、嫉妬、トラブルそしてシスターフッドも描かれ読み応えのある物語でした。
これぞわたしの求める田中兆子風味。タイトルからして挑発的。
中高年の性愛に真っ向から斬り込んだ意欲作。51歳、出版社勤務の愉里子の密かな愉しみ、「花摘み」が、茶道で知り合った70歳の万江島との関係の中で意味を問われることとなる。
女性側からの性欲や性へのこだわりを語ることは今でもタブー視される中で、こんな赤裸々に前向きに、自分の求めるセックスを追求し、体の変化を具に開陳することに、驚きとともにいっそ清々しい熱量を感じました。
出版社に勤め茶の湯を趣味に持つ優雅な51歳独身女性の趣味は、
男性との肉体関係を伴うかりそめの恋「花摘み」
自分の身体が変わってくる年代の女性の
リアルな性愛事情に引き込まれ
一緒に体験しているような気持ちで読み終えた。
そして読んだ後も何度も思い出す、そんな本でした。
人は齢を重ねていくと、何が幸せかの基準は変わってくる。
生活での幸せもある。仕事での幸せもある。趣味の幸せもある。性愛の幸せもある。家族の幸せもある。ただ生きていられるということだけの幸せもある。
この小説の主人公は、実はものすごく豊かで幸せだ。出世など望まない。日々を充実して過ごせている。そして幸せと感じている。ひとりの生活の中、異性と性的な関係を持つことを「花を摘む」と称し楽しむ。仕事はきちんとこなし、その中で起こる様々な面倒事にも実直に応対し、冷静に人間関係を観察する。一方に趣味の世界を持ち、そこでの人間関係も楽しむ。何と理想的な生活なのか。
しかし主人公は家族には恵まれない。生活を共にするパートナーにも恵まれないから、その隙間を違う人間関係で埋めていく。
この小説を読んで感じたのは、「豊か」の価値基準には様々なベクトルがあるということ。大半の会社員にとっては出世が「豊か」の基準だ。それはそれでいい。しかしそれは一つの見方でしかない。
性愛において、身体の結びつきが幸せと感じる世代もあれば、心の繋がりが大切と感じる世代もある。どちらもあるけれども、繋がるということが大切という認識においては、どちらも変わらない。
なんらかの形で人と繋がっていることが幸せである。そんなことを改めて感じる作品だった。
主人公は出版会社の課長草野。世間的にはキャリアウーマン肉食系の50代女子。茶事を主催する万江島と茶を介して問答する。セックスの描写は少ないが、全編に艶やかさが感じられる。中盤からは社内の派閥問題やライバルの登場で一転シリアスに。中年から初老ならではの恋愛の苦悩や逡巡を繊細なタッチで描く。まさかの着地までもが計算されていて美しい。ぜひ映像で見たい良作
私は、私を機嫌よくさせるのがうまいーーー
出版社に勤める五十一歳独身の愉里子。自立し、地に足がついていて自分を持っている女性という印象。ひとりでもさみしくなさそうだししっかり生きていけるからこそなのか、彼女が花摘みと呼ぶ男性遍歴。扇状的な響きの内容紹介あらすじ、で少し身構えていたけれど、避けることのできない、加齢、それにともなう体の変化や病いと向き合いながら、自らの気持ちにも正直でいたい、そんな人間関係、はなかなかにスリリングで切ないものだった。現実にこんなことがあるかなあ、と頭の隅で思いながらも、人物描写が際立っていてあっという間に読み終えていた。恋愛模様は予想外の展開。恋愛や性愛は若い人だけのもんじゃない!職場での葛藤やセクハラに立ち向かうありさまもリアルだった。