水平線のかなたに 真珠湾とヒロシマ
ロイス・ローリー/著 田中奈津子/訳
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刊行日 2023/06/20 | 掲載終了日 2023/06/11
ハッシュタグ:#水平線のかなたに真珠湾とヒロシマ #NetGalleyJP
内容紹介
アメリカ最高峰の児童文学賞・ニューベリー賞を2度受賞した、ロイス・ローリーの渾身作!
「映像を見ていたわたしは、あっ、とおどろきました。たちこめる霧のむこう、水平線のかなたに見えるのは――戦艦アリゾナだったのです」
ロイス・ローリーが、自身の映ったホームビデオをよく見ると、
真珠湾攻撃で撃沈されることになるその艦が、映り込んでいました。
真珠湾、広島の人々の生きざまを描写し、その時何があったのかをわたしたちに突きつける、41の詩。
「人間のつながり」をテーマに書き続けてきたロイス・ローリーが85歳となり、若い世代へ「互いを大切にできるかどうかが、我々の未来を決定づける」というメッセージを伝える。
かざらないことばで「人」に焦点をあてて、見えてくる戦争。今こそ、読んでほしい1冊です。
(ニューベリー賞:アメリカで出版された児童文学作品の中で、もっとも優れた作品の著者に送られ、児童文学賞の中でいちばん長い歴史を持つ賞)
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著者/ロイス・ローリー
1937年ハワイ生まれの児童文学作家。
アメリカ陸軍の歯科医だった父について各地を転々とし、11才から13才までを日本で過ごした。現在はメイン州在住。1990年に『ふたりの星(Number the Stars)』(童話館出版)、1994年に『ギヴァー 記憶を注ぐ者(The Giver)』(新評論)で、ニューベリー賞を二度受賞する。「ギヴァー」は大人気シリーズとなり、世界累計1200万部を超える。他にも『モリーのアルバム (A Summer to Die)』『Windeby Puzzle』など多数。
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おすすめコメント
【 編集担当者より 】
アメリカと日本に住んだことのある著者自らの経験を織り交ぜながら、敵味方なく、戦時下で実際に生きた人へよりそい、つむいだことばに圧倒されます。
小学3年生から読めるよう、漢字にルビをふってありますし、内容もむずかしくありません。
でも、考えさせられることはとても大きく、深いです。
子どもも大人も、この本を手に、ゆっくり話し合っていただけたらうれしいです。
【 編集担当者より 】
アメリカと日本に住んだことのある著者自らの経験を織り交ぜながら、敵味方なく、戦時下で実際に生きた人へよりそい、つむいだことばに圧倒されます。
小学3年生から読めるよう、漢字にルビをふってありますし、内容もむずかしくありません。
でも、考えさせられることはとても大きく、深いです。
子どもも大人も、この本を手に、ゆっくり話し合っていただけたらうれしいです。
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出版情報
ISBN | 9784065319949 |
本体価格 | ¥1,400 (JPY) |
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NetGalley会員レビュー
絵本のような作品なのに、大人の私にも戦争の悲しさがズシリと胸に響きました。
この作品には残酷な言い回しや挿し絵は一切ありません。
けれど、そういった表現が一切ないからこそ、響いてくるものがあるように感じました。
喪われた人々がそれぞれに抱えていたはずの夢、希望。
あるべきだった未来。
そして、大切な人をなくした家族の苦悩。
ひとりひとりに焦点があてられることの意味は計り知れないものでした。
愚かな過ちを繰り返してはいけないという信念が、より強固になった気がします。
(対象年齢は8歳半以上かな?)
アメリカと日本に住んだことのある著者が、パート1は真珠湾、パート2は広島で、その時、何が起こったのかを描写した詩が41編。
日本人が憎いとか、アメリカが悪いとか、戦争をしてはいけないとか、そういうことは一切書かれていない。
書かれているのは、その日の朝、真珠湾には多くの戦艦があって、その浜辺で著者が祖母と遊んでいた様子や、広島の朝の様子を描写したあと、犠牲者の名前と、どうやって亡くなったのか、または生き残った人は、どう生き延びたのか、など。
モノクロの優しい絵と、淡々とした詩が、とても穏やか。
それなのに、心に強く訴えてくるものがあった。
大きな過ちを犯し、取り返しのつかない犠牲を払って、学びを得た……はずなのに、どうして戦争は無くならないのだろう。
その時は友達になれなかった、でも、時を経て友達になった、というアレン・セイ(コウイチ・セイイ)とのエピソードがよかった。
真珠湾とヒロシマの両方に目を向けて書かれた詩からは、敵とか味方とかではない、戦争の残酷さが伝わってくる。戦争がなかったら、命を落とした一人一人に、命を奪った一人一人に、違う人生があったはずだと思う。戦争など、あってはならない。本当に。
アメリカと日本に住んだことのある著者により紡がれた詩。
part1は真珠湾、part2は広島
どちらが正しいでも間違っているとも語られていません。そのとき何があったのかを語られています。
亡くなった人たちにはそれぞれに名前があり、愛する人がいて、生活があり、未来への希望がありました。そういう当たり前のことを再認識させられました。
明日からG7広島サミットが開催されることもあり、被爆地広島という言葉を連日耳にします。
これからの未来に向けてのあとがきの最後のメッセージが届きますように。より平和な未来を築いてほしいと願わずにはいられません。
パールハーバーにて撃沈された戦艦アリゾナ。1940年、著者のこどものころに撮影された自分の姿のはるかむこうに映っていた船影は、1941年12月7日にわずか数分で沈んだアリゾナだった。1177人の兵士が犠牲になった。
歴史の本で読むできごとではなかった。。。
そこにいて命を散らしたひとびとの顔が、人生が、そのあとのページにつづく。
日本人のわたしたちにしてみればなんともいえぬ気持ちにさせられる記憶だ。
後半は、1945年8月6日におきたこと。リトルボーイを積み込んだエノラゲイに乗っていた兵士のこと。そのあとで広島でおきたこと。ひとびとの名前と人生。
ちょうど広島でG7が開催されてアメリカ大統領が到着したという日に読んだ。
歴史から学ぶべきことはたくさんたくさんあるはずだ。
題名から戦争の悲惨さを描いた作品だろうと予想でき、普段なら読まなかったと思うが、『ギバァー』シリーズや『ふたりの星』を書いたロイス・ローリーの作品なので手にとった。一章では真珠湾攻撃、2章では広島への原爆投下で亡くなった人の名前と境遇などが、ひとりずつ短い文章とモノクロの絵で綴られていく。ひとりずつに人生があり家族があったということ。そして名前だけ暗記させられてきた真珠湾攻撃で、たくさんの若い命が失われたということに思いが至った。3章の作者自身がハワイと日本で過ごした子ども時代の思い出は映画でも見ているような気持ちになった。読んで良かった。
上質なドキュメンタリー映画を見ているようだ。ごく一般的なアメリカの人々について、ヒロシマの人々について、語り描き出す。その、悲惨な死と生前の暮らしぶりを。国と国とは敵同士の戦争。しかし、人は、国の大きな意思にしたがって戦うしかなかったのではないか。愛する国を、家族を守るために。その気持ちは国が違えどどちらの国も一緒なのだということが切々と伝わる。ある悲劇から生まれたもうひとつの悲劇。両サイドの史実をフラットな視点で語る稀有な作品、作者の出自があっての素晴らしい作品だ。歴史を学ぶ生徒に副読本としてぜひ紹介したい。
児童文学作家のロイス・ローリーと画家のアレン・セイ(コウイチ・セイイ)が再会するまでに要した年月は、平和を願う期間。そして戦艦アリゾナの兵士たちと、日本で原子爆弾で命を落とした人たちの「その時」を詩として綴った作品。残酷な場面はほぼないけれど、戦争が遺したものは誰かにとっての大切な命。語り継がれる事でしか知ることのできない自分にとっては、全てが貴重な体験談。
平和な世界であってほしいと願う事しかできない。どうしたら争いは無くなるのだろう…。
直接的な憎しみを訴えるのではなく、なにげない日常の延長にあった戦争の恐ろしさがたんたんと綴られている。
パールハーバーとヒロシマ。どちらの哀しみにもやりきれない気持ちがあふれている。
人間は何故、争うのでしょうか。今まで何度考えても、納得できる答えにたどり着いたことはありません。
戦争に巻き込まれた人々の悲惨さとむなしさが静かに押し寄せてくるような作品でした。
真珠湾とヒロシマ。
戦時下にも当たり前にあった、人々の慎ましい暮らし。
わたしとアレン・セイとがピンポイントで繋がるまでの、奇跡のような時間の中に、忘れてはならない戦争の傷があった。コウイチ少年の度々の登場が、ここで影絵のように浮かび上がったことに鳥肌が立ちました。
失われた命の平等性と重み。取り返せない夢や希望。厳しいことばは一切ない。淡々と事実が語られ、真実が浮き彫りにされる。
ロイス・ローリーのことばの含みに圧倒されながら、この世界から戦争がなくなる日までわたしたちは本当のことを知り続けなければなりません。
この本の中には「偶然」という言葉で表現するだけでは嘘くさいくらいの「偶然」が描かれている。
でもそれは「真実は小説より奇なり」ともいうべきもので、現実の前にただ驚くしかできない。
在りし日のアリゾナが写りこむホームビデオ、一瞬の邂逅が長い年月を経て別の地で繰り返されたこと。
そして著者自身が「語る人」となったからこそそれらがこうして私たちに届いていること。
ボタンの掛け違い一つですべてが存在しなかったかもしれないことが重なり合って現在につながっている。
言葉数やページは多くないけれど、静かなイラストとともに静かな言葉が語りかけてくる。
ゆっくり受け止めて、じっくり考えて、そして誰かに語って、つないでいきたいと思える1冊。
広島とハワイでの二つの場所で、戦争の日を過ごしていた人々を描いている。どちらに偏ることなく、戦争によって普通の人々の暮らしも、戦争に向かった兵士の人々もその生き方が大きく変わってしまうことを教えてくれる。そして、不思議な縁で、それらがつながっているというしめくくりも良かった。その時代と今の私たちもつながっていることを忘れないことが大切だとつたえたかったのではないかと、作者の想いを感じた。
真珠湾攻撃と、広島の原爆投下の時の犠牲者について書かれた本です。一人一人について淡々とした文章が、かえって胸をつかれました。アメリカ人の作者なので、どうしても原爆を肯定的に考えてしまうのかと思って読んだのですが、真珠湾攻撃にも原爆にも、ただ事実を伝えるだけの文章だったので、読む側がどう考えるのかを求められ、小学生の平和学習にも使いたい本でした。
真珠湾といえば、日米開戦の日本の非通告攻撃が真っ先に思い浮かぶ。
外務省の出先機関が通告を忘れたとの話が有名だが、そもそも戦争回避ができなかったかと思う。
日本ではこの部分が強調されることが多く、その攻撃で命を落とした兵士のことは殆ど触れられることがない。
真珠湾で犠牲になったのは戦闘員であり、ヒロシマでの非戦闘員の犠牲と比べてはいけないのかもしれないが、同じ命である。
著者が実際に居合わせた真珠湾での記憶をひもとき、物語が綴られる。
戦争も紛争も、権力による暴力行為は、憎しみや怒り、嘆きの感情しか生み出さないということを、なぜわれわれは学び、その構造を変えようとしないのだろうか。