パンツをはいたクマ

皆と違うこと。これって自分だけ違うと不安だし怖い部分もある。
小学生や中学生になっても、この気持ちが結構大きいから友達同士でも気を付け合う。
この話では、皆の流されやすさを逆手にとって、皆と違うってことは、
それだけで、目立つし影響力があるということ。
どっしりしていればいいっていうのは、自己肯定をできれば違ってもいいというのを知っているからこそ。
今の世の中子供は個性的でも許容される。それはこういう風にこの話のように泰然としているからなのかなあ。

なんともデリケートな問題です。本人ももやもやしつつも気づいていないことを、はっきり告げることは。クマのジェフの失態に、森のみんなはあんぐり、ぽかーん。でも、ウサギのアンダースは違います。森のみんなの詰問する目に、機転で切り返します。言ったもん勝ち、とも言いますが。既成事実にしてしまえば、パンツ一丁だって立派な流行りのファッションだ。人心の把握はなんでも数が勝負。その上誰も傷つかないとくれば言うことなし。慌てず騒がずピンチを切り抜ける。こういう友だちがいれば心強い！エリン・クラーンの絵は版画かエッチングでしょうか。微妙な掠れがいい味わい。

持つべきものはやっぱりともだち！
うっかりもののクマと
頼りがいのあるともだち

誰だってあれれ？
今日はなんだかおかしいな？
でも何が変なのかわかんない…
って日があるけど失敗もうまく切り返して
楽しく過ごす秘訣が描かれていましたよ。

クマのジェフ君は、パンツ一丁というものすごく怪しい恰好のまま気づかずに外に出ます。なんだか出会うみんなの反応が微妙。動物たちは、普段何にも着ていないので、本当はパンツだけでも履いているジェフ君の方が正しいだろうと思うのですが、なんだかもやもやします。そこで、ジェフ君は友達のウサギのアンダース君に相談するのですが、このアンダース君結構な策士。パンツ一丁は最新のファッションとして、動物たちの間に広めてしまいます。そうやって動物たちはみんなパンツ一丁の姿に。めでたくジェフ君は変だと思われなくなりました。この話は、要するに多数派だとおかしいと思わないのに、少数派だとおかしいと思うという人間の業（ごう）を表しているような気がします。差別なんかにも通じる深い話だと思います。

パンツを履いていることに気付かないままいろんな動物たちに会っていくくまはこの後どうなるんだろう、というドキドキと、読んでる人に君ならどうする？と問いかけてくる動物たちの視線が面白かったです。読み聞かせにオススメしたいです。
くまのうっかりが森の新しいファッションになるラストもよかったです。

なんか違和感を感じていたクマさん。いろんな動物たちに会って会話するのに、誰もクマさんに言ってくれない。ひとりごとだけ。社会の縮図を見ているよう。
でもウサギさんは違和感の原因をクマさんに伝えてくれた。さらに、自分も同じことをしてくれた。ウサギさん、ナイスアシスト！
ちょっとの勇気と優しさで、まわりをあったかくできる、ってお話。
子どもたちにも伝わりやすい内容だし、絵もほのぼのしていて好みです。最後のおわり、の書いてある場所も良いですね！

とぼけたキャラクター達みんなとっても可愛い！主人公のジェフは元気で明るいしアンダースはスマートで賢い。この森のみんな気遣い屋さんで良い仲間がいっぱい。
漫画とかにありそうなメタな発言や間の取り方は読んでる子ども達を絵本の世界に引き込んでくれそうです。

こんな時に正直に伝えていいのか悩む。けど、仲良しなら伝えてあげた方がいいのかな。伝え方は？
こっちまでモヤモヤしてしまいましたが、見事な伝え方で恥をかかせない優しさは最高です。
ぬりえをダウンロードできるところも良さそう

いつもは裸のクマ。今日もいつも通り外に遊びに出たら、何だかみんながジロジロ見てる…。あっ、もらったパンツを履いたまんま出てきちゃったんだ！恥ずかしいー！でも、こんな風に考えてみたら…。普段と違うことをすると、周りの目が気になります。でも、ものは考えよう。前向きになれる絵本です。