どんがら トヨタエンジニアの反骨
清武英利
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刊行日 2023/02/15 | 掲載終了日 2023/02/28
ハッシュタグ:#どんがらトヨタエンジニアの反骨 #NetGalleyJP
内容紹介
会社のために働くな———。
スポーツカーファンのみならず、人生と仕事に悩むすべての人へ贈る物語。
「絶対に売れない、儲からない」「どうせオッサンしか買わない」
誰もがそう言った、脱炭素の時代に逆らう「最後のスポーツカー」。
少年時代の夢を胸に秘め、それを命がけで形にした男たちがいる。
日本最大の自動車会社・トヨタでもがき、苦しみ、サラリーマンでありながら夢を追い続けるエンジニアたちの、心ふるわすノンフィクション。
スポーツカー「86」「スープラ」の復活を手掛けた元トヨタチーフエンジニア・多田哲哉氏を主人公に、技術者やその家族の苦闘、人生の喜びを描いた「週刊現代」の人気連載「ゼットの人びと」を大幅に加筆修正。
今なお極秘のベールに包まれている、トヨタエンジニアの牙城「技術本館」内部で繰り広げられる人間模様、スポーツカー開発の詳細なプロセス、そしてトヨタを世界企業に押し上げた歴代チーフエンジニアたちの「仕事術」と「哲学」にも、綿密な取材で肉薄する。
スポーツカーファンのみならず、人生と仕事に悩むすべての人へ贈る物語。
《トヨタ「チーフエンジニア」とは?》
36万人以上の社員を抱えるトヨタ全社から選び抜かれたトップエンジニアで、時代により変動があるが、その数はわずか20人ほど。自動車の企画・開発・宣伝・販売すべての決定権を握り、部品の一点一点に至るまで責任を負う。かつては「主査」と呼ばれていた。
《本書に登場する「仕事と人生に効く言葉」》
「君たちはできそうもないと言うけれど、俺は作る」
「みんなが少しまずいなあと言ったら、それはいい主査なんだ」
———中村健也(初代「クラウン」「センチュリー」開発責任者)
「主査たるものは全知全能を傾注しなければならない」
———長谷川龍雄(初代「カローラ」開発責任者)
「市場調査ほど信頼できないデータはない。売れないと言われて売れた車、逆の車も多い」
「会議中に仕事は停まっていると思え」
———和田明広(「コロナ」「セリカ」開発責任者)
「レースではなく、レースを見に来る人を見に行け」
「迎合はしない。情熱で作るんだ」
———多田哲哉(「86」「スープラ」チーフエンジニア)
「社内の大多数は、たとえるなら盆栽を見て『この小さな木からは材木が取れないからダメだ』と言う。盆栽の価値と材木の価値は違う」
———貴島孝雄(マツダ「ロードスター」開発主査)
「かつてない車を作っている、私たちがトヨタで初めての車を出すんだという思いが、自分を前向きにしてくれるんだ」
———都築功(「スープラA80」初代「ラウム」チーフエンジニア)
「この車の懐は浅いよ。そんなことがわからないような奴に車を作る資格はない」
———成瀬弘(トヨタ「マスターテストドライバー」)
「まわりの奴がぐじゃぐじゃ言っても、信じたことはやめたらいかん」
———内山田竹志(初代「プリウス」開発責任者、現トヨタ自動車代表取締役会長)
「少数精鋭というのは、精鋭を少数集めることではなく、少数だから精鋭になっていく」
———林南八(元トヨタ自動車技監、「カイゼンの伝道師」)
著者/清武英利(きよたけ・ひでとし)
1950年、宮崎県生まれ。立命館大学経済学部を卒業後、1975年に読売新聞社に入社。社会部記者として警視庁、国税庁などを担当し、2001年から中部本社社会部長を務める。東京本社編集委員、運動部長を経て、2004年に読売巨人軍取締役球団代表兼編成本部長に就任。2011年に同専務取締役球団代表兼GM・編成本部長・オーナー代行を解任され、以後ノンフィクション作家として活動する。2014年『しんがり 山一證券最後の12人』で講談社ノンフィクション賞を、2018年『石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの』で大宅壮一ノンフィクション賞読者賞を受賞。『トッカイ 不良債権特別回収部』(講談社文庫)『プライベートバンカー 完結版 節税攻防都市』(講談社+α文庫)『後列のひと 無名人の戦後史』(文藝春秋)ほか、著書多数。
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出版情報
ISBN | 9784065311578 |
本体価格 | ¥1,800 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
清武さんといえば、巨人軍の球団代表だったことは知っているのですが、ノンフィクション作家としてご活躍されているのは知らなかったので、この本をリクエストしました。
「どんがら」とは鉄板がむき出しの車体のこと。そこにスポーツカーを復活させたいという思いを込めて車を作りあげていく人々の熱量がすごかったです。彼らを支えるご家族の思いも描かれていました。奥さまたちも大変だったのだろうなと感じました。
私は車には詳しくないので、「86」「スープラ」の車種名は聞いたことがある程度だったのですが、そのスポーツカーを復活するまでにこのような過程があったのかと楽しく読みました。
スポーツカーは売れない、儲からない、それでも復活させる。
そのために適した人材を集め、他社との垣根を越え、そして新たな世代に引き継ぐサラリーマンたちの熱い日々をぜひ読んでほしいと思いました。
清武さんの作品は映像化された『しんがり』や『石つぶて』など、反骨心溢れる人間の生き様を描かれたものが多いが、この作品もまさしくそのひとつ。トヨタのような日本を代表する企業にもこうした人たちがいたのかと改めて感動です。多田氏をはじめとするトヨタのプロフェッショナルなエンジニアの矜持が躍動感をもって描かれているヒューマンストーリーです。