空芯手帳

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刊行日 2022/03/09 | 掲載終了日 2023/03/08

ハッシュタグ:#空芯手帳 #NetGalleyJP


内容紹介

14か国で翻訳! 世界が注目する新人作家のデビュー作が待望の文庫化


第36回太宰治賞受賞作。

女性差別的な職場にキレて「妊娠してます」と口走った柴田が辿る奇妙な妊婦ライフ。【解説:松田青子】

ニューヨーク・タイムズ、ニューヨーカー、ニューヨーク公共図書館のオススメ本に取り上げられました。

英語以外にもドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語、中国語、韓国語、フィンランド語、ポーランド語、デンマーク語、インドネシア語などの翻訳が刊行・進行中です。

【あらすじ】

紙管製造会社に勤める柴田は、女性だからという理由で雑用をすべて押し付けられ、

上司からはセクハラ紛いの扱いを受ける34歳。

ある日、はずみで「妊娠した」と嘘を吐いたことをきっかけに、

“にせ妊婦”を演じる生活が始まってしまう。

しかしその設定に則った日常は思いがけず快適で、

空虚な日々はにわかに活気づいていった。

やがてマタニティエアロビに精を出し始めた柴田は、

そこで知り合った妊婦仲間との交流を通して“産む性”の抱える孤独を知ることになる。

表面的な制度や配慮だけは整っていく会社、ワンオペ育児や産後うつに苦しむ女性たち……

現実は「産んでも地獄、産まぬも地獄」だった。

柴田は小さな噓を育てることで自分だけの居場所を守ろうとしていた。

そしてついに、ぶじ妊娠40週めをむかえた柴田の「出産」はいかなる未来を切り開くのか――。

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【著者プロフィール】

八木詠美(やぎ・えみ)

1988年長野県生まれ。東京都在住。早稲田大学文化構想学部卒業。2020年、「空芯手帳」で第36回太宰治賞を受賞。同作は現在世界14カ国語で翻訳が進行しており、2022年8月に刊行された英語版は発売まもなく増刷し、ニューヨーク・タイムズの今年の収穫に取り上げられるなど話題となった。

14か国で翻訳! 世界が注目する新人作家のデビュー作が待望の文庫化


第36回太宰治賞受賞作。

女性差別的な職場にキレて「妊娠してます」と口走った柴田が辿る奇妙な妊婦ライフ。【解説:松田青子】

ニューヨーク・タイムズ、ニューヨーカー、ニューヨーク公共図書館のオススメ本に取り上げられました。

英語以外にもドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語、中国語、韓国語、フィンランド語、ポーランド語、デンマ...


出版社からの備考・コメント

今回アップしたデータには、解説は含まれておりません。
また、データは校了前のものです。刊行時には内容が異なる場合があります。ご了承ください。

今回アップしたデータには、解説は含まれておりません。
また、データは校了前のものです。刊行時には内容が異なる場合があります。ご了承ください。


出版情報

発行形態 文庫・新書
ISBN 9784480438690
本体価格 ¥660 (JPY)
ページ数 208

閲覧オプション

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NetGalley会員レビュー

今どき、こんな古い職場の男尊女卑体質ってあるのかわかんないが、それにキレて偽装妊娠という発想は楽しい。嘘がバレないようにつぎつぎと偽装していく様子にヒヤヒヤしてしまいます。ただ、この人にはあまり共感できないなと思いました。

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この世に溢れてあるたくさんの言葉を並べてみても、この本を的確には説明できないだろう。ともかく読んでみてほしい。
もし、私が妊娠しているときに読んだらまた違ったように感じるのかもしれない。
もっかい最初から読み直そう

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2020年12月単行本発売。2023年3月文庫化される第36回太宰治賞受賞作。

名もなき仕事、女だから押し付けられる雑用に嫌気がさした主人公の柴田は、偽の妊婦を演じる。
どうして妊娠したと嘘をついたのだろう。出産までの週数は進み、妊娠していると偽装するため詰め物をしたり、妊娠していないのに体の変化が起きたり。そして最後は現実すらあやふやになり。

名もなき仕事、名もなき家事、それに時間をとられて本来やるべきことに取り掛かるのに時間がかかるのもよくわかる。だけど、私は柴田さんじゃないから理解できない。一つの嘘から40週かけて何を育て何を産んだのだろう。とても不思議な感覚になりながらも、ラストに明るさを感じた。

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仕事とも呼べないような、名もなき仕事の山、意味のわからない会議や無駄でしかない書類作成に追われる。そんな日々につい口走ってしまった嘘、「妊娠しました。」の、その後を辿る日記的な作品。主人公の愉快な思考回路が淡々と綴られ、やっていることの深刻さとのギャップに、ついニヤリとしてしまう。どんどん妊娠週数が進み、どうなることかとヒヤヒヤさせられる。そして、第二子妊娠を予感させるラストにまたニヤリ。働く妊婦さんのあるあるが盛りだくさんの、スカッとする一冊。

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淡々と綴られる偽装妊娠生活。嘘の中にユーモアも真実も含まれているところがすごい。その嘘に翻弄されハラハラすることも楽しめた。そしてとどめは最後の一行。柴田さん、やりますね。投げた石の波紋がじわじわと広がる。今後の柴田さんも気になって仕方がない。

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2020年の第36回太宰治賞受賞作の文庫化出版です。男ばかりの職場で唯一の女子社員の34歳・柴田は何でもかんでも雑用を押し付けられるのに嫌気がさして「私、妊娠しています」と宣言すると途端に周囲の態度が劇的に変化して行きます。本書を最後まで読んで感じたのは、これは読者の感性に解釈を委ねるタイプの小説だという事ですね。何が虚偽で何が真実かの答によって全く異なる解釈が可能なのですね。でも確実に言える事はヒロイン柴田の職場に対する苦々しい不満の思いだけは疑いのない真実ですので、男性社員は猛省すべきだと思いますね。本書はヒロイン柴田の手帳に書かれた独白の内容だという意味において書かれていることは全て真実とは限りませんので細部の場面の批判はすべきではないでしょう。まあ不思議な幻想小説の趣きもありますし何れにせよ私は柴田の今後の人生に幸あれと祈ってあげたい気持ちですね。

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なんでもかんでも雑用を任される職場に嫌気がさして、妊娠したことにする…。そんな手があったのね…。
最後はどうするのかと先へ先へと読み進めながら、隣の机の微妙な男性社員の言動の真意が気になって仕方がなかった。箇所箇所でイラッとはしない程度のモヤモヤを感じながら読むのが楽しかったです。視界に入ったら取りたくなる装丁でもありました。

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名も無き雑用に嫌気がさし、ある日キレて咄嗟に「妊娠しました」と嘘をつく。
嘘に嘘を重ねる主人公の行動が私からするとかなり大胆でいつバレやしないかとハラハラしながら読んだ。
終盤、本当の妊婦さんがパートナーについて理解している様に見えて実は分かってくれていないと憤る所があるが。そこで主人公が全部は分からないよと話す所が私は好き。
終始皮肉が効いていて面白かったです。

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女性というだけで様々な雑用を押し付けられることに嫌気がさした主人公が、職場で「妊娠した」と嘘をついたことからはじまる偽の妊娠ライフを綴った物語。
現実ではなかなかありえない設定ですが、この物語のラストはどうなるのか気になって一気読みでした。予測のつかない展開の連続で、とてもおもしろかったです!

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職場の部署で唯一の女性である柴田さん。妊娠したと嘘を告げることで職場の雑用残業からは逃げることが出来たが
親切心からの声掛けにはどう対応したら分からないし隣の席の仕事が出来ない同僚の何とも気持ち悪いジトっとした執着心みたいなのにも恐怖を感じている。
ひょんなことからマタニティビクスを始めるのだが、妊婦仲間の輪には加わっているようでそうではない。
だって中身はないのだから。
社会保険や産休育休などの制度は母子手帳の交付は医師の診断が無いと本当は受けられないはずなんだけど他の国だと違うのかな。まぁそんな現実的なツッコミは置いておいて
膨らんでいく中身はどうなっていくのかラストはどうなるのか気になってしまう。
妊婦仲間の夫に対する愚痴や雑用はどうして女性がやることになってるの?とか、やってくれたとしても結局雑だったりするから直さなきゃいけないとか共感ばかりが募ってくる。
妊娠アプリを使ってお腹の膨らみの調整をしたり太ったりする正気の沙汰でない柴田さんの行く末も、神フレーズも見逃せない。
妊婦さんや経妊婦さん以外にも読んでみてほしい作品でした。
旦那さんと呼ばれる立場の人が読んだらもう奥さんの顔を見られないかもしれませんね。

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平然と女性にのみ課される雑務にバーストした主人公が、出来心で吐いた「妊娠した」という嘘を育てていく、不思議な観点の物語。
働く女であり妊婦である主人公の目から見た男性が譲らないプライドと、同じ女として感じ取る女性がチラつかせるプライド。自らの反抗的な嘘をエサに、他人の細やかな感情を冷静に分析し、心理学実験しているような仄暗さがとても好みだった。巧みなストーリー展開で読者を混乱させ、主人公の嘘に飲み込まれそうになる。生命誕生までの道程の、見落としてしまいがちな些細な事から、わかっていても難しいサポートの仕方などを、控えめに教えてくれる作品。
主人公のぶっ飛んだキャラに想像力が掻き立てられ、笑っちゃいけない所でも笑いそうになりました。

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しょっぱなから、やっちゃった!と驚く。どうするの、つわりは?生理は?お腹のふくらみは?会社でのジェンダー・バイアスをぶっとばせとばかりの、むかつく出来事への対処法が清々しくも面白い。ただ、この作品は読みはじめから薄々感じていた通り一筋縄では行かない。迷宮に迷い込むかのように、嘘と真の区別がつかなくなる。酔うように、ただひたすらに読み進めた。私はこの物語が大好きだ。

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仕事のストレスで思わず『妊娠しました』と嘘をついてしまう主人公。
偽の妊婦をよそおう為に、生活や振る舞いを変化させていく。
それは徐々に周囲にも伝播していく。
虚言と思って読んでたら、途中から"もしかして本当?"と虚実が曖昧に!
なんかスゴいの読んだ感ある!
主人公の一人語りなので、それが真実なのか嘘なのか、読んでいてその境界線が”ぼやける”瞬間に到達する地点がゾッとして面白い。
八木先生の他作品も読みたくなりました。

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会社での雑用が煩わしくなり、”妊娠している”と嘘をつく主人公。主人公はあらゆる場面でどっしりと構えているのに、読者の私が、”大丈夫?今度こそバレるでしょ?”とドキドキしながら読み進めていくという不思議な1冊でした。臨月はどうなるのか気になり、あっという間に読み終わりました。世界で翻訳されるということで、色々な国の皆さんの書評が楽しみです。

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「女性差別的な職場にキレて「妊娠してます」と口走った柴田が辿る奇妙な妊婦ライフ」この小説を一行で表すとこういう感じになるらしい(Amazonより)

が。

読み終えて何日かたってふと記憶から呼び起こされるのは、私にとってクライマックスだった37週の描写だ。作品全部を通して彼女が「キレて」いるようにはどうしても思えない。よく言われる、名もなき家事、のようなものが職場にもどうしようもなく溢れていて、当たり前のように無意識に自分に押し付けられている名もなき仕事、にあげる抗議の声を詰めたお仕事小説では決してない。それは読み手が、きちんと受け止めればよいこと。

そしてタイトル。職場の描写とあいまって面白いアイディア、脱帽です。

これぞ文学、何を受け取るかは、読者の自由。
現実と、気持ちと、体。命。どっからか曖昧になっていく境目。
でも描写は淡々と、徹頭徹尾淡々と、見つめる目。

皆さんの、それぞれ違う感想読むのが楽しいし、楽しみです。
非常に面白い小説でした。読ませていただいてありがとうございました。
引き続き注目していきたい方に出会えました。


すごい!↓

「太宰治賞受賞作、ニューヨーク・タイムズ、ニューヨーカー、ニューヨーク公共図書館のオススメ本に取り上げられました。英語以外にもドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語、中国語、韓国語、フィンランド語、ポーランド_語、デンマーク語、インドネシア語などの翻訳が刊行・進行中です」



この作品は各国語に翻訳され、ドイツ語でも

Frau Shibatas geniale Idee (柴田さんの天才的なアイデア)
 
というタイトルで訳されています。友人たちに向けて紹介のつもりでレビューを書いたので追記します。

#FrauShibatasgenialeIdee

Ein neues Taschenbuch einer japanischen Autorin, deren erster Roman erstaunlicherweise in mehrere Sprachen übersetzt wurde.
Ich stelle hier kurz die englische und die deutsche Fassung vor, damit die Leser, die kein Japanisch sprechen, wenigstens einen Eindruck von diesem sehr interessanten Versuch gewinnen.

Sowohl in der deutschen als auch in der englischen Zusammenfassung wird deutlich, welche Ungerechtigkeiten Frauen in der männerdominierten japanischen Gesellschaft immer noch erleiden müssen. Immer wieder gibt es Kleinigkeiten, namenlose Tätigkeiten im Arbeitsalltag, die weibliche Angestellte wie selbstverständlich erledigen müssen.
Eines Tages sagt die Protagonistin zu ihrem Kollegen, der sie darauf hinweist, dass das Kaffeegeschirr für die Gäste noch da steht. Einfach so, kein Befehl. Sie sagt, der Geruch mache sie krank, sie sei schwanger.
Plötzlich verhalten sich die anderen ganz anders.

Das ist einfach die Geschichte.

Danach kommt eine wunderbare literarische Geschichte, die ich nicht verraten möchte. Das ist geheimnisvoll.

Zumindest für mich war das Ganze kein Appell gegen „tief verwurzelte patriarchalische Strukturen in der japanischen Gesellschaft“.
Das wäre zu oberflächlich.


Vielmehr geht es um Gefühle, Körper- und Lebenswahrnehmung.
Darüber hinaus viel viel mehr, die ich auf Anhieb nicht beschreiben kann.

Ich bin gespannt, wie der Roman in anderen Ländern aufgenommen wird. Zum Beispiel gibt es eine Stelle, in der beschrieben wird, dass die Leute zunächst sehr zurückhaltend auf ihre (angebliche) Schwangerschaft reagieren, eben weil sie nicht verheiratet ist.
Das fand ich sehr japanisch. .... Nicht wahr?

Der Titel klingt (zumindest für mich) geheimnisvoll, doppeldeutig.
„Diary of a Void“ heißt es in der englischen Fassung.
Der Titel ist dem Original sehr ähnlich.
Sie arbeitet in einer Firma, die Papierohre herstellt, und die Beschreibung des Herstellungsprozesses ist beeindruckend und stellt auch den körperlichen und seelischen Zustand der Frau dar, ich halte das für geniale Metapher.

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面白かったー 。
発想がすごいと思った。会社での苛立ちは凄く分かるけど、こんな嘘、思いつかない笑ユーモアのある文章にクスッと笑えたり、と思ったらズシンと来る一文があったり…。読みやすく、先の展開も気になってグイグイ読めた。ラストの一文が痛快!!

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会社では些事雑事を無言の圧で押し付けられ、来客へのお茶だし、片付け、また然り。ある日ついにキレた柴田(34歳)は妊娠宣言をしてしまう。突如始まった偽装妊娠ライフ。週を追い、調べながらお腹の大きさを調整していく。そのようすを逐一記録した日記風物語。つき続ける嘘が、現実を凌駕していくさまが薄ら寒い。妊娠に没頭するあまり、偽装が常態化していく熱を帯びた感覚は、柴田に仕事以外のto doを課す。メンタルがいよいよ崩壊したかというような産婦人科通いにはぞくりとさせられた。産むも産まぬも女にばかりのしかかるのは一体何!?一皮向けた柴田のラストの発言にスカッとした!

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「妊婦」にでもならない限り逃れられない「女の仕事」と男が見なす仕事。お茶出しだったり、片付けだったり、お菓子配りだったり。誰にでもできるはずのことを、なぜか自分はしなくてもいいと思う人はどこにでも一定数いて、それに対する抵抗の仕方が「妊婦」というのがおもしろい。「女の仕事」と押し付けるような人たちだからこそ「妊婦」について詳しくなく、嘘が通りやすいと主人公が感じる部分も「ありそう」と思わされる。だんだん嘘と現実が混ざり合っていくのが、こちらにもその境目がわからなくなってきて惑う部分もあったけれど(エコー写真とか)、「妊娠・出産」というのは女体でのみ生じるものだけれど関わるのは女性だけではないということをくっきりと描いているように感じた。

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女性が圧倒的に少数で、お茶出しや片付けの仕事をさりげなく押し付けられ、専門的な仕事から遠ざけられる職場。そこから逃れるために、ふとついた嘘が、職場を変え、主人公を変え、主人公の周囲の人を変える。
ここまで男尊女卑の職場は今どきないかもしれないが、身近にも大なり小なり差別の芽はあるのではないだろうか。そこから逃れる理由として、女性性の最たる象徴とも言える妊娠を持ち出す心境も興味深い。
妊娠騒動の前は空っぽだったかもしれないが、擬似出産を経験した主人公は空芯の重要性に気付いたのだろう。

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