君に光射す
小野寺 史宜
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刊行日 2023/02/22 | 掲載終了日 2023/05/18
ハッシュタグ:#君に光射す #NetGalleyJP
内容紹介
きみだってたすけられていいんだよ。
教師をやめ夜勤の警備員になって三年。
立ち止まっていた僕を動かしたのは、
空腹から置引未遂を犯した十歳の女の子との出会いだった。
本屋大賞第2位のベストセラー『ひと』の著者が
ひとりで頑張ってしまうあなたへ贈る優しいエールの物語!
#あらすじ
たとえ遠くにいても、たすけられなきゃいけない人のことは、たすけるべきなんじゃないかな――
祖父母に大学まで出してもらった僕は、小学校の教師になった。東京で一人、生きていくために選んだ仕事。だが二十九歳の春、ある出来事から教師をやめることになる。そして、人との関わりを避けるように夜勤の警備員に転職した。不規則な生活にもなんとか慣れてきたころ、商業施設の巡回中に、小学生の女子がおばあさんのかばんを盗るところを目撃してしまい……。
#著者紹介
小野寺史宜(おのでら・ふみのり)
一九六八年、千葉県生まれ。二〇〇六年「裏へ走り蹴り込め」でオール讀物新人賞、〇八「ロッカー」でポプラ社小説大賞優秀賞を受賞。ひたむきな青年の姿を描いた『ひと』が一九年本屋大賞第二位となりベストセラーに。著書に『まち』『いえ』『ホケツ!』『家族のシナリオ』『ひりつく夜の音』『夜の側に立つ』『ライフ』「タクジョ!」シリーズ『とにもかくにもごはん』「みつばの郵便屋さん」シリーズなど多数。
出版社からの備考・コメント
※発売前作品のため、ネタバレや、読書メーターやブクログなど外部書評サイトで発売前にレビューを投稿することはお控えください。
おすすめコメント
『ひと』で“譲るひと”を描いた小野寺史宜さんが最新作で描くのは、“助けるひと”。
たとえ自分が損をしても、誰かを助けたいと思うことは間違っているのだろうか? 自助が求められる時代にこそ読んでほしい作品です。(担当編集より)
『ひと』で“譲るひと”を描いた小野寺史宜さんが最新作で描くのは、“助けるひと”。
たとえ自分が損をしても、誰かを助けたいと思うことは間違っているのだろうか? 自助が求められる時代にこそ読んでほしい作品です。(担当編集より)
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出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784575246032 |
本体価格 | ¥1,650 (JPY) |
ページ数 | 288 |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
著者の淡々とした語り口、ド派手な事件が起こるわけではない日常の一コマをうつしたような作品が大好きです。
今回の作品は、主人公が過去の経験から人に優しくて、優しすぎて、もっと自分を大切にしていいんだよ!と声をかけてあげたくなりました。最後希望を持って終わったので幸せが訪れることを期待します。
警備員の仕事も知らないことが数々描かれていて、中高生が読むとお仕事小説にもなる気がしました。
先生を辞めてからも、犯罪に手を染める子供たちを未然に防いでいて、いつになっても先生だなぁ。と感じました。
捕まえて反省させた方がいいんじゃないか、主人公は甘すぎだろ、とも思ったり、その辺りは賛否両論ありそうですね。
コロナで変わった生活も自然に小説の中に溶け込んでいました。
コロナ禍になってからの
人と人の関係の変化
会わなくなってしまって逆にホッとしている
関係もあるけれど、
やはり人は人を求めている
教師という職業の人間関係に疲れて
警備員になった主人公にとても共感する
気持ちになった
同時にコロナ禍の看護婦さんという
職業の大変さ
人を助けるということを深く話し合っている
シーンは共感しました
こんなに優しくて気配りができる「いい人」が、なぜ職を変えることになったのだろう。ひどいことでなければいいなと思いながら読んだ。
現在と過去を行ったり来たりしながら進む物語。自分に不利なことが起こるかもしれないのに、他人のために動く主人公。大げさに動くのではなく、あくまでも自然に。なかなかできることではない。
すごい人だけど、彼はもっと人に頼っていいと思う。きっと彼を大切に思う周りの人達が彼をたすけてくれるから。
小さなエピソードひとつひとつが今の時代を反映していて、
社会問題を勉強する教材になり得そうですね。
教師、警備員、看護師の生活スタイルも垣間見え、中高生にも薦めたいです。
それにしても主人公の不遇な育ち方、優しすぎて不器用な生き方がせつないですが、
最後に光が見え、やっと救いがあり、ホッとしました。
小野寺史宜さんの作品。
とにかくこの人の作品は好き。
今回も、無駄にポジティブではない、かといってネガティブな考えに傾くでもなく、淡々と自分の人生を歩んでいく人物が主人公。
登場人物たちは、それなりに大変な過去もあると思うのだけど、それを殊更に大変だと言い募らない。
また、文体や語り口調が、本当に読むものに心地よい。
そんなところが好きで、他の方々にもお勧めしたいところでもある。
著者の作品では、いろいろな職業の人物に出会うけど、図書館で働く人物も、いつか出してもらえたらと思ってしまった。
叶ったら、嬉しいです。
「自分が善だと思うことをやった。それは周りから見れば悪だった。」人を助けるって難しい。人を助けるってなんだろう。何もできない自分がもどかしい。
それでも自分の立場だからこそ出来ること、今この時だから出来ること、それを見つけて行動した圭人に感動しました。
たすけてばかりでなく、たすけてくれる人がいる。それに気づいたラストがじんわりと心に沁みました。
石村さんが小学校の教員を辞めた出来事が分かるまではドキドキしながら読みました。
校長と教頭の提案に乗ればよかったのに、もったいない…公務員なんだし。
そこできっぱり辞めてしまうところが彼らしいのでしょうね。
ところで、小野寺さん、私は元小学校教員です。児童を男女関係なく“さん”付けで呼んでいました。
ジェンダーが取りざたされるずっと以前からです。
新任の時(中学校でした)、ベテランの先生たちがそうしているのを見ました。
その先生たちは、生徒を子ども扱いせず、一人の個人として尊重して接しおられました。
私は、当時は若さもあり、年齢も近かったので呼び捨てにしていましたが、30代になった辺りから“さん”を付けて子どもたちを呼ぶように変えました。近所の子、親戚の子も全て。
商業施設の警備員として働く主人公。その今と過去が交互に描かれる。
この形式の小説は好きだ。物語の豊かさが感じられるからだ。
楽しみは無料配信サービスでテレビ東京の番組を見ること。このリアルさもいい。マッチングアプリで話し相手を探し。看護師と出会う。2人の日常も淡々としている。
主人公はかつては教員だった。なぜ辞めて警備員になったのかも淡々と描かれる。ドラマティックにも描けるが、あえて淡々と描く。
ちょこっといいこともあるけれども、毎日は淡々と過ぎていく。でも確実に時間は経過し、人生は進んでいく。
人生とはそんなものさ、作者の声が聞こえてきそうな一作。
小学校の教師だった石村は、ある出来事がきっかけとなり教師を辞めて、人と出来るだけ関わらずに暮らしたいと、夜勤のある警備員になり、住まい近くのショッピングセンターで勤務している。しかしある日偶然に、置き引き未遂の少女と出会ったことから、少しずつ本来の自分を取り戻していく。看護師の果子と知り合えたことも、彼のこれからの明るい希望になるのではないかと思う。やはり人は誰かに頼ったり、頼られたりすることで、生きていくエネルギーが貯えられていくのかと思った。
主人公の小学校教師。男性。
よい人すぎることがたたって、児童の母親のプチストーカーの対応までしてしまう。
主人公の一人称で淡々と話がすすんでゆく。
この人がとにかく、ラストで幸せになれますように、それだけを願いつつ、先が気になって、
主人公が幸せなラストを迎えられるのか、それだけが心配で読み続けた。
それはまるで親戚のおばちゃんのような感覚で(笑)
小説なのに、主人公にこんなに感情移入してしまうなんて。これが小野寺ワールド真骨頂。
顔をあげて生きているんだという、カバーがいい。下向きじゃない。ちゃんと顔をあげている。それがとても大事な気がする。なんとなく教師になったのかもしれない、でも、縛られず、卑屈にならず、ちゃんと生きてる。地に足のついたその姿が清々しい。
どこまで踏み込むべきなのか難しい問題に、自分を犠牲にしてまで誰かを助けた教師時代の出来事にはいろいろ考えさせられましたけど、そんな不器用な彼が感謝されて、そのありようを認めて寄り添ってくれる人がいる未来に希望を見いだせる結末で良かったです。
以前読んだ『ひと』も主人公の家庭環境が訳ありなケース。でも腐らない。人生を投げ出さない。淡々と生きていく‥というところが似ていました。
親戚が暮らす長野から1人離れて東京で暮らす石村圭斗は元小学校教員。今はショッピングセンターで警備員をしています。その理由も徐々にわかっていくのですが、「これ危ないでしょう。ホラ、ホラ!」と確実に自分は安全なところにいながらヒヤヒヤしていました。私ならとっても大変なことなのだけれど、主人公は過去を捨てることなく、でも今を生きていくのです。
そこで、「これでいいのかも」と思えて、いかっていた肩をおろすことができたのです。
そう、小野寺さんの作品を読むとフラットな自分に戻れました。
他人に無関心な社会だと感じる。
何か事件があれば背景に思いを巡らせることなく加害者を叩き、時には自業自得だと吐き捨てる。
道すがらで自分だけに向けられた救援信号には応えるけれど、多くの人が行き交う場では自分を優先する。面倒なことに巻き込まれたくないだとか、余計なお節介だと思われたくないだとかを理由に「気付かないフリ」をする。
作中で石村圭斗が「人は小さなことで悩み続ける。自分でも何故それで悩むのかわからないというくらい小さなことだとしてもそう。小さなことでないなら、悩みは死ぬまでなくならない。生きてるあいだになくすのは無理。できるのは、悩みのもとが生まれないよう努めることだけだ。」と語る場面がある。
実際、石村は自分が後悔という悩みを抱えないように、そして他人にもなるべくそうさせないように行動する。
人に親切にするのは人の為ならず。自分が後悔という悩みを抱えない為。
そういう考えると「気付かないフリ」をして通り過ぎた自分に後悔して悩みを抱えたまま日々を過ごすより、能動的に動いたほうが合理的なのかもしれない。
他人に無関心な社会は、忙しくなりすぎた人が多くなった結果だと思う。
世に起こるすべての事象に心を寄せると抱えきれなくなる。
そもそも自分事に手いっぱいで心に余裕がない。自分の心を守るために、深く考えることをやめてしまったのかもしれない。
すべての人が誰かと荷物を分けあえる環境や仕組みができれば、もっと優しい社会になるのかもしれない。
ショッピングモールで警備員をしている元小学校教師の石村圭斗。困っている人を放って置けない優しい性格が災いして教師を辞めることになってしまったというのに、後悔するどころか警備員になっても変わらない。そしてそこが彼の良い所でもあるのだと思う。でも、人のことばかりでなく自分の幸せも考えてほしいなあ。いつもながら小野寺氏の創る世界は普通の人の普通の日々の中で優しさが溢れていてあったかい気持ちになれました。
商業施設で警備員をする元小学校教諭が、置引未遂のワケあり少女との出会いを機に、心にかかった靄をゆっくりと晴らしていく優しい物語。
良かれと思ってした事も、良かれと思ってしなかった事も、全てが裏目に出てしまう。それでも人との関わりをやめられず、手探りで前進していく主人公の、不器用な心理描写に惹かれた。助く事でいつか循環してくる希望の光が、少しずつ蓄積され、真っ直ぐに射す。陰の中に隠れた光を地道に探す、そんな感覚でした。
淡々と日常が描かれた物語で、ものすごくドラマティックな展開になるお話ではないのですが、
それがかえってとてもよかったです。
置き引きをしようとする小学生、万引きをする高校生、そして過去の自分。
家族との関係で歪んでしまった子供になることも少なくない。
そんな子供たちをどうやって助ければよいのかわからない私たち大人。
軽々しく通報もできないし、そのせいで子供たちが辛い目に合うのも嫌だ。
なかなかこういった問題は難しいなと考えさせられるお話でした。
時系列を前後させ時間を行きつ戻りつることで、なぜ主人公は警備員になったのか、その理由を知りたくてページをめくる。主人公は本当に真面目で人のいい青年。小野寺さんはこういった青年を描くのがうまい。タイトルの意味はラストでわかる。それは、すべての人へのエールのように思える。