私たちが記したもの
チョ・ナムジュ
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刊行日 2023/02/27 | 掲載終了日 2023/03/09
ハッシュタグ:#私たちが記したもの #NetGalleyJP
内容紹介
『82年生まれ、キム・ジヨン』で世界を揺るがした著者が女性たちの直面する「今」を描く
韓国で136万部、日本で23万部を突破した、『82年生まれ、キム・ジヨン』の多大な反響と毀誉褒貶、著者自身の体験を一部素材にしたような衝撃の短編「誤記」ほか、10代の初恋、子育て世代の悩み、80歳前後の姉妹の老境まで、全世代を応援するチョ・ナムジュの最新邦訳短編集を、『82年生まれ、キム・ジヨン』の文庫化と同じ時期に刊行します。(2023年2月刊行)
貧富の格差、家父長制、女性差別、誤解。悩みながらも、シスターフッドと自分のアイデンティティを大切にする女性たちの物語です。
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【目次】
介護施設にいる姉を見舞う妹の思いを描く「梅の木の下」
『82年生まれ、キム・ジヨン』刊行後の著者の体験を一部素材にしたような衝撃作「誤記」※
ある日、父が家出した。ユーモラスな筆致の「家出」※
会社内の女性差別や不合理が現れる「ミス・キムは知っている」
「義母」との世代を超えたシスターフッドを描く「オーロラの夜」
母娘の意識のずれと、アップデートの必要性を伝える「女の子は大きくなって」
コロナ渦での小学生の淡い恋を描いた 「初恋2020」など、全7編
著者あとがき※
解説 針を動かす時間、増殖するハーストーリー 金美賢(キム・ミヒヨン)
訳者あとがき※
※マークは今回アップしたデータで公開しています
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【著者プロフィール】
チョ・ナムジュ
1978年ソウル生まれ、梨花女子大学社会学科を卒業。放送作家を経て、長編小説「耳をすませば」で文学トンネ小説賞に入賞して文壇デビュー。 2016年『コマネチのために』でファンサンボル青年文学賞受賞。『 82年生まれ、キム・ジヨン』で第 41回今日の作家賞を受賞( 2017年 8月)。大ベストセラーとなる。 2018年『彼女の名前は』、 2019年『サハマンション』、 2020年『ミカンの味』、2021年『私たちが記したもの』、 2022年『ソヨンドン物語』刊行。邦訳は、『 82年生まれ、キム・ジヨン』(斎藤真理子訳、ちくま文庫)、『彼女の名前は』(小山内園子、すんみ訳)、『サハマンション』(斎藤真理子訳)いずれも筑摩書房刊。『ミカンの味』(矢島暁子訳、朝日新聞出版)。
【訳者プロフィール】
小山内園子(おさない・そのこ)
東北大学教育学部卒業。 NHK報道局ディレクターを経て、延世大学などで韓国語を学ぶ。訳書に、『四隣人の食卓』(ク・ビョンモ、書肆侃侃房 )、『女の答えはピッチにある――女子サッカーが私に教えてくれたこと』(キム・ホンビ、 白水社 )、 『ペイント』(イ・ヒヨン、イースト・プレス)、『別の人』(カン・ファギル、エトセトラブックス)、『大丈夫な人』(カン・ファギル、白水社) 、 すんみとの 共訳書に、『彼女の名前は』(チョ・ナムジュ、筑摩書房)、など がある。
すんみ
早稲田大学文化構想学部卒業、同大学大学院文学研究科修士課程修了。訳書に、『あまりにも真昼の恋愛』(キム・グミ、晶文社)、『屋上で会いましょう』『地球でハナだけ』(チョン・セラン、 亜紀書房)、『女の子だから、男の子だからをなくす本』(ユン・ウンジュ他、 エトセトラブックス)、『5番レーン』(ウン・ソホル他、 鈴木出版)、小山内園子との 共訳書に『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない 』(イ・ミンギョン、タバブックス)などがある。
出版社からの備考・コメント
目次、「誤記」「家出」「著者あとがき」「訳者あとがき」「著訳者プロフィール」「原書初出一覧」
また、データは校了前のものです。刊行時には内容が異なる場合があります。ご了承ください。
今回アップしたデータは、ゲラの一部です。アップした箇所は以下です。
目次、「誤記」「家出」「著者あとがき」「訳者あとがき」「著訳者プロフィール」「原書初出一覧」
また、データは校了前のものです。刊行時には内容が異なる場合があります。ご了承ください。
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784480832191 |
本体価格 | ¥1,600 (JPY) |
ページ数 | 272 |
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NetGalley会員レビュー
『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者、チョ・ナムジュさんによる短編七篇。
七篇のうち『誤記』『家出』が公開されている。
『誤記』は『82年生まれ、キム・ジヨン』 刊行後の著者の体験を一部素材にしているとあり、『82年生まれ、キム・ジヨン』を再読してから読んだ。キム・ジヨンは読者の多くがこれは私の物語だと思った作品だと思う。私もその一人だった。その刊行後著者がどのような体験をしたのかまでは考えたことはなかった。周囲からあのような言葉をかけられたのだろうか。そう思いながら『誤記』を読むと胸が締め付けられるようだった。
『家出』は老年の父親が突然家出をする。その居場所は分からない。父親がいなくなったことにより、家族の思いや態度が変わるが、日常は続いていく。
著者あとがきを読むと、公開されていない作品にも興味をもった。
発売されたら読んでみたいと思う。
NetGalleyで読めたのは、「誤記」と「家出」の二話。この作者の本を読むのも韓国の小説を読むのも初めてだったけれど、短編ながらもとても心を動かされた。最初の話は主人公の作家がネットで中傷されていて、それを一つ一つ訴える事になるという今時の話。それが全く知らない人ではなかったりするところが、また今風だ。昔、自分を助けてくれた担任の先生と再会して、先生との過去の家族との話を聞いてインスパイアされ、自分の過去の家族とのことを小説に書いたら、それは私の話だと言われてしまう。そういうことも、極めてありがちなのだけれど、この小説の雰囲気は独特でなんとなく不穏な空気が感じられ、人間の記憶の曖昧さや不確かさ、愛情と妬みとの表裏一体感を痛感した作品。
「家出」は、父親がある日家出をしてしまい、残された母と、今はそれぞれ家を出た兄二人と主人公である妹が集まるという所から始まる。母手作りの美味しそうな韓国料理を、みんなでもりもり食べながらどうしようかというのだから、シビアというよりは、ほのぼのとした感じだ。後記で実の父が亡くなったあとに書き始めたとあったが、家出したお父さんと実の父が重なっているのだろう。いなくなってもみんな普通に生活をしているというのも、うなづける。この作者の他の短編も是非読んでみたいと思った。
今回は全7編のうち、「誤記」と「家出」を拝読。邦訳が出る毎に追いかけているチョ・ナムジュ。いろいろな引き出しを持った作家だと読むたびに感じます。
「誤記」は『82年生まれ、キム・ジヨン』刊行後に起きたネット上での誹謗中傷の体験を入れ込んだ作品だという。そういう非道な攻撃のもと、消耗する時間の過酷さを思えば「書く」ことの戦慄に思い至る。ひとりの人間の体験が普遍的な意味を持てば持つほど誤解を招く事態を招くのかもしれない。
「家出」は父の突然の家出から始まる家族の化学変化を、少々ユーモラスにあるいは淡々と描く。どんな困った時でも人は食べるし、仕事をこなす。いないことで生じる弊害を凌駕していく力が、生きる日々にはあるのだと感じました。
紙の本で全編読みます。ありがとうございました。
現代の韓国社会を切り取った短編集。日本で翻訳される韓国文学の書き手の多くが女性のように感じる。それは、女性の方が表現したいものが多いからではないか。様々なテーマが扱われているが、中でも古くから連面と続く家父長制、古き風習が残る「誤記」とそれよりももう少し新しい時代を描いた父の不在がテーマの「家出」、比較して読むと面白い。解説や訳者のあとがきを読むとより作品の背景が理解できてよい。
なんとなくやはり韓国っぽいなと感じる物語でした。
筆致の空気感や、家族の関係など、なんとなく韓国っぽい感じがした。
2話しか読めなかったのですが、後書きを読んでいたら他のお話も読んでみたいなあと思った。
「家出」でどんぐりムクという料理が出てきて、気になって調べたらなんか美味しそうだったので機会があったら食べてみたいなあと思った。
「82年生まれ、キム・ジヨン」を読んだことがなかったので、背景を理解するのに時間がかかりました。(そして全てはわからなかった)
今回は「誤記」「家出」そして著者のあとがきを読ませていただきました。
なんとなく映画パラサイトでみた韓国のイメージで読みました。日本とは家族の在り方などが違うので、なかなか自分ごとにならず読み進めるのに時間がかかりました。(私が翻訳本に慣れていないのもあります)
「82年生まれ〜」を読んでから、改めて再読したいなと思いました。
短編集。私の周囲ではK-POPや韓流ドラマが好きという人が沢山いる。私が韓国のもので1番好きなのは料理。とにかく美味しいものばかり。今回の短編集でも美味しそうな料理が登場していて嬉しかった。著者の作品を読むと等身大の韓国の家庭や文化、教育なども知れるが、特に実際の韓国での『女性』というものを描かれる事が多く、読む度に思うのは韓国の女性達はさぞかし生きづらいだろうという事。女性とはこうであるべきの枠があまりにも強固に感じる。そんな中でも戦い抗おうとする女性達を応援したくなる。
書くという行為は暴力性を孕む。
本書の著者であるチョナムジュはキムジヨンの大ベストセラーののち、激しい毀誉褒貶にあったという。
その顛末を描いた一編はかつての高校時代の回想と先生との記憶の噛みあわなさがディスコミュニケーションを催す。
家出した父が娘のクレジットカードを使う『家出』という一編でも生真面目な父の突然の失踪の理由が掴めず、恐ろしい。
チョナムジュの手にかかると日常はこんなにもホラーであり同時にいとおしい。
これぞ、韓国の女流文学という作品でした。そこには女性の生きずらさみたいな空気がぷんぷんしてて、ちょっとしんどくもありました。あまりとくいじゃない分野です。あまり日本では読まないジャンルなのかもしれません。