貸本屋おせん
高瀬乃一
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刊行日 2022/11/22 | 掲載終了日 2023/05/16
ハッシュタグ:#貸本屋おせん #NetGalleyJP
内容紹介
第100回オール讀物新人賞を満場一致で受賞した著者が、満を持して送り出す初の作品集。
選考委員の村山由佳氏が”読み終えるなり「参りました」と呟いていた”と選評に記した受賞作「をりをり よみ耽り」の世界を5篇の連作で展開する。
物語の舞台は、文化年間の江戸浅草。女手ひとつで貸本屋を営む〈おせん〉の奮闘を描く。盛りに向かう読本文化の豊饒さは本好きなら時代を超えて魅了されることでしょうし、読本をめぐって身にふりかかる事件の数々に立ち向かう〈おせん〉の捕物帖もスリルに富んでいます。
おすすめコメント
選考委員の満場一致でオール讀物新人賞を受賞した「をりをり よみ耽(ふけ)り」を含めた作品集です。選評を読めるリンクもありますので、是非ご一読ください。
新聞書評なども続々と出てきています。
選考委員の満場一致でオール讀物新人賞を受賞した「をりをり よみ耽(ふけ)り」を含めた作品集です。選評を読めるリンクもありますので、是非ご一読ください。
新聞書評なども続々と出てきています。
出版情報
ISBN | 9784163916279 |
本体価格 | ¥1,800 (JPY) |
ページ数 | 240 |
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NetGalley会員レビュー
浅草福井町の千太郎長屋に住む「おせん」は、梅鉢屋(うめばちや)という貸本屋を営んでいます。といっても店があるわけではなくて、本を風呂敷で担いでお得意さんの所を廻るという、かなり体力のいる商売で、江戸中でこんな仕事をしている女はおせんしかいません。
盗品も扱うという噂もある同業者の隈八十のことを、最初の頃はかなり嫌がっていたのに、話が進むにつれて、こんな奴だからこそできることもあると割り切って付き合うようになったり、お得意さんの好みの本を探し回ったり、おせんが少しずつ成長していくところがいいですねぇ。
幼馴染で青菜売りの登がおせんに「嫁に来ないか」と声を掛けてくるけれど、適当にあしらっているところがいかにも江戸っ子っぽいんです。
江戸時代の古本屋は、取り扱う本の中にご禁制の艶っぽいものも含まれるので、そこいらの扱いが難しいというのを初めて知りました。犯罪がらみの話の中で、かなり危ない目にも合ってしまうけれど、そんなことを気にしていたらこんな商売なんかできないよと言うおせんは、なかなかカッコいい女性です。続編もあるといいなぁ。
重たい書物を持ち歩く貸本屋という重労働を女性が仕事にしているだけでも珍しいのに、
怯まずに様々な事件を紐解いてゆく行動力の男前なおせん。すっかりファンになりました。
きっちり商売するけれど、ときには損得勘定なしの人情ある行動にも好感度大!
是非続編を望みます。
江戸の町を貸本を背に、軽やかに生き抜くおせん。
高瀬氏は本書の中の一作でオール読物新人賞を満場一致で受賞した新人だが、その描く世界には微塵の隙もなく話に引き込まれていく。
オール読物誌で受賞作を読んだときに、その話の運びの巧みさに愕然とした。
次作を早く読んでみたい。
本をめぐって厄介ごとに巻き込まれるおせんの気丈な振る舞いが素敵でした。人情味のある江戸の空気感や人々が本に親しむ様子も伝わってきて、楽しく読めました。登との関係性も気になります。
原田マハさんの「リボルバー」などのゴッホ関係の著書を読んで興味が広がり、葛飾北斎についての本を読んだり、映画の「HOKUSAI」を観たりしていましたが、この「貸本屋おせん」を読んで、この頃の文化や人々の暮らしなどの知識を再確認したり新たに隙間を埋められたりしまた。そういうのも読書を重ねる楽しみのひとつです。
第100回オール読物新人賞受賞作「をりをり よみ耽り」の世界を連作短編五篇で展開される。
江戸時代文化年間の浅草。
おせんの貸本屋に御公儀の締め付けも厳しい時代にあっても、馬琴の作品、北斎の挿し絵、そんな作品を求められる。馬琴や北斎といった名前を見ただけでも楽しそうなのに、本好きのおせんや、お客さんの思いに何度も頷きながら読んでいた。
おせんが事件にちょっと首を突っ込み、問題を解決していくのだが、とてもテンポよく展開していき読みやすい。
時代物をあまり読まない人でも、本好きのおせんの言葉や思いに共感し楽しめる作品だと思います。
江戸時代には木版技術と識字率が向上して、庶民も本を読める時代になったが、木版作成と印刷が手作業であったため、当時の本はかなり高価であった。それで、本を買えない一般庶民は貸本屋から本を借りて読んだ。主人公のおせんは店を持たずに本の包を背負って得意先を回って歩く貸本屋であった。腕のいい版木の彫師の父を幼い時になくしたおせんは、父の影響で何よりも書物を愛する女になっていた。本書を読み進むと、いたるところに本に対するおせんの深い愛情が溢れていることが分かります。読本が庶民の間で普及すると、風紀の乱れや政治批判を恐れた幕府は奉行所は版元や貸本屋に対する監視を厳しくしていた。そんな状況の中で、おせんは次々に思いがけない出来事に出会うが、持ち前の度胸と本に対する情熱で果敢に切り抜ける。おせんの颯爽とした振る舞いに思わず拍手を送りたくなるような痛快作品でした
ラノベっぽいエンタメかなと予想していたが、良い方に裏切られました。
安易な大団円的展開でない作風に好感を持ちました。
「幽霊さわぎ」の志津、「版木どろぼう」の甚左など、
各話で起こる事件の核心人物が背負うものが辛くて物悲しい。
時代背景も丁寧に描かれ、今後の作品に期待したい作家さんです。
『本は一場のたわむれだ。 ありもしないことを、さも当たり前のごとく書き記した本や絵巻は、人の目にふれなければ無いに等しい。だったら無くてもいいと御公儀は断するのだろうが、ささやかなたわぶれ心によって、町の民びとは生きる希みを得ることもあるのだ。(p88)』結構クセというかアクが強い、貸本屋の女性が主人公の時代小説。そんなところで頑張らなくてもと爺さまなんかは思ってしまうが、それはそれで今の世の中を反映しているのかも知れない。 #NetGalleyJP
江戸で貸本業を営むおせんが、本に関係する事件を解決してゆく物語。
どの時代も創作……夢物語に心躍らせ、辛いこともある日々の慰めにしていたんだなあと思うと親近感が湧いてくる。
また、貸本という文化を通して物語が展開するのが面白い。
本作の中で紹介された本を読んでみたくなった。
本好きにはたまらない展開だ。
主人公のおせんが、女一人で世間を渡っていこうとするのもいい。
恋愛や結婚も考えないわけではないけれど、それよりも優先したいものがある、大切にしたいものがある自立した女性である所がかっこいい。
今後のおせんの活躍、どんな本が出てくるのか。
楽しみだ。
女手一つで貸本屋梅鉢屋を営むせん。写本するせんの姿に、彼女の本への真摯な態度が見える。本の為には公儀の目を掠めて危ない橋を渡るまでのこだわり、激情の底には、本の挿絵の彫り師で自死した父の姿あったとは。つくづく本に魅入られたせんに、安らぎの場があればと願った。
せんと絡む本屋や貸本屋、戯作者や絵師らも、寛政の改革後の庶民の楽しみが制限されていた世相や文化を背景にして、より人間味を感じられた。そして彼らは皆せんと同じく、本や挿絵に様々な形で深く絡め取られた者達。だから自分と重なり、嬉しく楽しく時には悲しくわびしく、読んでいて心に深く残った。
はじめて読む作者さんでしたが、江戸時代の書籍流通や貸本の仕組みが興味深く知ることが出来ました。どの短編にも江戸っ子の人情や書籍を巡る逸話が盛り込まれていて面白かったです。せんと登の先行きも気になるので、続編を期待しています。
印刷技術が発達していなかった江戸時代、庶民が本に親しむには貸本屋に頼るしかありません。その貸本も一文字一文字書き写した写本でした。世界に珍しく、庶民が字を読めた日本。本の販売に携わる自分としては、当時の本に対する人々の熱い思いが身に沁みました。
中高生が読むには、口調が読みにくい…。
時代小説系は中高生にとってはハードルが高いらしく、もう少し現代風に寄せてもらえると嬉しい…。
内容自体はすっごく面白いのでぜひおすすめしたいけど、キャラクターがもっと現代に寄っていないと読んでもらえなくなりそうなところがもったいない…。大人には普通におススメしたい。
「本の虫」という称号は、現代においてはどれほどの尊敬を集められるだろうか……と思ったり。
江戸時代後期の浅草を中心に貸本屋業を営む、本の虫・おせんの物語。
本好きなんて家に籠って一人夢想にふける種族というのは、物が豊富な今の基準で、板木で摺ったり写本したりして人々に教養や娯楽を届けようとする世の中にあっては、本に携わる仕事は活動的。主人公おせんは西へ東へ奔走する。お上(幕府)の逆鱗に触れれば重罪になる時代なので、その姿は自然と緊張感が帯びる。ひたすら書物をめぐる話なのにハラハラする展開がめぐるのは、そうした江戸時代の書物の価値の重さを見出した作者の目利きによるところ。24の頃になる親もいない独り身の女性が、空を翻す鳥のように闊達に江戸の町を縦横できたかは、それは物語が紡ぐ芝居であり現代社会が望む偶像なのかも。
個人的に沁みたのは、『第四話 松の糸』の、お松が亡き前夫の形見の本を手元に置くと、おせんに告げる際のセリフ。愛情としたたかさの感じる名台詞だと思う。
また、本作ではあくまで江戸を美化していないということがわかるだろう。町は砂埃が舞い、ドブの匂いが立ち込め、商人や役人や好色たちの欲望を隠すことがない。それは現代と江戸時代が地続きであることを感じさせるし、だからこそ素直に登場する人物の心情に浸れるのじゃないだろうか。
江戸の貸本屋を営む女性おせんが主人公の連作短篇集。『オール讀物』掲載の3篇と書きおろし2篇。その2篇がよかった。「松の糸」は源氏物語の「雲隠」と同じ名前の本の探してくれとの依頼、「火付け」は吉原の店が火事に遭うと「仮宅」という街中での営業が許可される制度を扱った話、どちらもなかなか面白かった。
オール讀物“歴史時代小説”新人賞。受賞作品を含む短編集。
貸本屋という職業の女性おせんさんが本にまつわる人情話しを展開していくというパターン。
ミステリーっぽい作品もあり楽しい。最初の受賞作は今いちだが、「幽霊さわぎ」とか「松の糸」とかはベテラン作家の筆かと思えるほどの力量。もし、この次が出たら絶対読みたいと思いました。松の糸の松さんに惚れた若旦那。彼女が出した結婚の条件は、死んだ夫が持っていたという源氏物語の幻のパートの写本探し。このラストのオチがいい。この作品だけでも読む価値あり。
2編を新たに書き下ろした著者のデビュー作。禁書によって父を亡くすも人情味あふれる町人たちと貸本で逞しく渡世するせん。時代の風俗が上手く活写されているが第4話では読書会まで登場。腐れ縁の登との掛け合いも軽妙なアクセント。なんと5話で貸本を失ってしまう目に遭遇してしまう。本書で江戸の出版事情も学べる1冊。続編に期待して星4.5
久しぶりに時代小説を読みました。貸本屋という江戸の職業をはじめて知りました。本を貸すことで人と縁を結ぶ、江戸の図書館のような職業だなと楽しく読ませていただきました。おせんさんのこれからの活躍が楽しみです。
本がテーマの小説は、大好きだ。それが時代劇となれば興味も高まる。文化年間の江戸浅草。女手ひとつで貸本屋を営む〈おせん〉の奮闘が描かれる。本は、いつの時代も人を惹きつけるし、ドラマを生むものなのだな。おせんの活躍をこれからも応援したい。
幼くして両親を喪ったせんは梅鉢屋として貸本屋を営む。
女だてらに駕籠を背負い、江戸を駆け回る。
そんなせんの幼なじみでせんに想いを寄せる登は女たちのからかいの的だ。
ハートフルな捕物帖の物語たちに読んだら思わずほっこり。
おせんは、不遇な身の上ながらも、周囲の人たちに助けられ、貸本屋という商いを続けている。まずは何より商売熱心で、好奇心旺盛、人並み以上の正義感もあり、鼻っ柱も強い。身の危険を伴う事件の渦中に自ら入っていく、切符の強さもある。おせんに恋心を寄せている幼馴染の登すら、上手に手なづけて難題を解決していく姿は、読んでいて、とても心地良かった。江戸の庶民や町人が、貸本屋を日々の娯楽として大事にしていることや、貸本屋が手ずから写本を作って貸していたり、商売の成り立つ様子やら、買い付けなどの裏事情もとても興味深く読んだ。お上から、さまざまな娯楽を細かく規制され、御法度とされる世にあっても、おせんをはじめ、江戸の庶民たちは、なかなかしたたかである。そうした市井の人たちの様子や、江戸の火事なども、細かく描かれていて、作品世界に深く引き込まれた。
江戸の町で貸本屋梅鉢屋を営むおせん。
身よりもなく女手一人でも強く生きていく姿や本への愛に惹かれました。
今ならセクハラで訴えられちゃうようなやり取りもガンガンいなしていくし、本に関わる謎はしつこいぐらいに追っかけるしでハードボイルドなおせんがかっこいい。続編期待です。
第100回オール讀物新人賞を受賞した「をりをり よみ耽り」から始まる、5篇収録の連作短篇集。
文化年間の江戸・浅草を舞台にした人情噺で、主人公の貸本屋おせんがいい。貸本屋といっても、店を構えて客を待つのではなく、お得意様の喜びそうな本を見繕って訪問するスタイルだ。必然大荷物となり、まさしく表紙絵のような状態だったと思われる。
実際に起きた事件も盛り込みながら、行く先々で起こる様々な出来事を彼女ならではの機転で解決していく。続篇も楽しみだ。
本を愛すが故、本への執着から災いに自ら足を踏み入れていく、おせん。少女というにはトウがたった艶っぽい内面、艶本の描写などにもドキリとするが、総じて江戸はこのような粋でいなせな時代だったのだととても面白く読むことができた。
貸本屋、梅鉢屋をひとり営むおせんの、ちょっと謎絡みの5話の連作短編集。江戸っ子を地でいくおせんの気っ風のいい物言いが魅力的。江戸の文化年間の、貸本屋の仕組みや版元との絡み、客への個々の好みに合わせての品揃えなど、時代は違えど本好きの心くすぐる話に興味は尽きない。しかも、書物を検閲するお上との攻防あり、かいくぐる度胸ありでわくわく。人の趣味嗜好まで覗かれることへの反発心はいかばかりか。一癖も二癖もある男連中の中で、みごとに世間を渡るおせんの気の強さに惚れ惚れ。幼馴染の野菜の棒手振り、登とはどうなるのか?続編希望です!
舞台は文化期の江戸浅草。
女手ひとつで貸本屋を営む天涯孤独のおせんの奮闘を描いた作品。
この時代の貸本屋がとても興味深くて、するする読めた。
女性なのに高荷を背負って江戸の町中を振り歩く主人公のおせんの力強さ。江戸っ子すぎる。
お客さまの元へ行っては、様々な事件に巻き込まれて…。
わたし的には、幻の書物『雲隠』を探す「松の糸」と最後の「火付け」が好きだった。
登が一途だったし、最後は、お???ってなったけど、そこはさすが、おせん!って感じで期待を裏切らなかった。
面白かった!今後も期待できる作家さんに出会えましたー!
表紙のせんの表情がいい。応援してるよ、と声をかけたらそれよりこの本を買っておくれ、と返ってきそうだ。勝ち気で負けず嫌い。本に関わる頼みごとだとつい引き受けてしまう、というか引き受けざるを得ない状況になっている。それで危ない目に会うこともしばしばだが、自分の知恵と勇気で謎解きしてゆくさまは頼もしい。まだまだ事件はおきそうだ。続編を楽しみにしている。
貸本屋おせん 高瀬乃一 著
まず摺師、版元、本屋と貸本屋の関係や、読者とともに本を育てるという江戸の出版事情が興味深い。加えておせんが「お節介で人の厄介ごとに首を突っ込む面白い方」である。お客の好みを探ろうと人の懐に入るうち事件に巻き込まれたり、犯人を推理したり、おせんの出自もワケありで、彼女で連続時代ドラマいけます。
時代小説の新しい書き手が出て来ました。大きな荷を背負い女だてらに江戸の町を歩き回る貸本屋のおせん。時代小説に登場した貸本屋という商いがとても新鮮。そして貸本屋を巻き込む小さな謎が物語に味わいを添える。 人情話と言うにはすこーし温度が足りない感じ。 次回作期待してます。
今とはだいぶ読書事情が違うお江戸の頃。女手ひとつで梅鉢屋貸本屋を営むおせんの物語。
好奇心旺盛で、本のためならどんな厄介事にでも飛び込んでいってしまうおせん。そんなおせんを取り巻く、食えない癖ありな男ども。
おせんの気っ風のよさが痛快で、本をこよなく愛している彼女の姿は、時代は違えど同じ本好きの同士を得たような気持ちにもなれます。
おせんと登のなんとも遠慮のない掛け合いがふふっと笑え、今後の二人の関係性がどのように変化していくのか楽しみです!
江戸で貸本屋を営む、と言っても店ではなく大きな荷物を背負いお得意さん周りをするおせん。24歳だというのだから当時であればかなりのいきおくれ。幼い頃から1人で生きてきたおせんの逞しさ、江戸っ子ならではのきっぷの良さに惹かれる。江戸の頃から貸本屋があった事に驚き、当時の出版事情も垣間見れ本好きには嬉しい内容。謎解き要素も満載、登場キャラにも好感を持てるし満足の一冊。個人的には幼馴染の登との今後が気になるし、貸本屋にしておくには勿体ないおせんの成長も気になるところ。続編をぜひ書いて欲しい。
古い時代を描きつつ、今もなお抱えている出版業の問題や「女だてら」に腕一本貸本屋を営むせんに対するジェンダーバイアスなどが描かれている。きっぶのいい江戸っ子主人公せんがとにかくかっこいい。
滝沢馬琴や葛飾北斎、蔦屋重三郎などそうそうたる歴史的人物が活躍する時代、実際に起きた事件を取り扱いつつテンポのよい謎解き物としても楽しめる。
舞台は文化年間の江戸浅草。
女手ひとつで貸本屋「梅鉢屋」を営むおせんの奮闘を描く。
女だてらに重い駕籠を背負い江戸の街を歩く。
おせんのようなスレた話し方に慣れていなくて初めは戸惑いましたが、本に関わる謎解きがあり人情ありちょっとだけお色気ありで面白かったです。
続編があってもよさそうな終わり方だったのでシリーズ化されたら嬉しいです。
本を読む楽しさは同じでも、重みが違う気がするのはやはり手作りのような本だからだろうか。識字率も今ほど高くない、そして男尊女卑も今より強かった時代に、こうして身を立てる姿が勇ましい。しっかり前を向いて生きている感じがとてもいい。
“オール讀物新人賞を選考委員満場一致で受賞”の宣伝文句に興味を持った1冊で高瀬さん初読み。江戸浅草で女だてらに貸本屋を営むおせんが、様々な事件に巻き込まれながらも商いに奮闘する物語。本好きとしては江戸時代の出版事情など全然知らなかったので非常に興味深く読めたし、読本に絡めておせんが巻き込まれる時代物ミステリーとしても凝った仕掛けが多くて読み応えがあった。何より天涯孤独という身でありながら、本が好きで人に読んで欲しくて、怖いもの知らずの危うさを持ちながらも逞しく生きるおせんが素敵だった。
江戸時代に女手一つで貸本屋を営むおせん。女のお仕事小説でもあり、ミステリでもあり。
どの時代でも本は人々の楽しみだし、文字が読めるのは素晴らしいし、たとえ読めなくても素晴らしい版画がある。
人の手が沢山かかわって本ができて、それを届ける人がいて、楽しみに待つ人がいる。
今に通じるし、どの時代にも本好きはいるなーと。
おせんは頭の回転も良くて度胸もあって、巻き込まれた事件に向き合っていくけど、決して強いわけではない。
傷ついて誰かに助けてもらって、それでもしっかり自分の足で立ってる素敵な女性でした。
登場人物が生き生きとしていて、読む方も活力をもらえます!
女手ひとつ江戸の町で貸本屋を営むおせんの奮闘を描く5話からなる短編。
この頃から庶民の間に娯楽として本が定着してたと思うと、江戸時代の識字率が高かったんだなと思います。
そんな本にまつわる事件に巻き込まれ、危ない目にあったりしながらもしたたかに乗り越えていくおせんの姿に感動しました。
ただ、幼馴染の登との関係がどうなったのか書かれなかったのが気になります。
続編があるようなら二人の恋愛も書かれるといいなと期待してます。