ごっこ

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刊行日 2023/02/22 | 掲載終了日 2023/02/19

ハッシュタグ:#ごっこ #NetGalleyJP


内容紹介

夫婦、恋人、不倫、報われぬ恋……ままならない人間関係に翻弄される男女が行き着いた先は? 
人気AV女優の著者が濃やかに描く、いびつでいとおしい〈愛のかたち〉。
野間文芸新人賞候補となった前作『春、死なん』に続く、最新小説三篇を収録。


・「はこのなか」 田舎町の中学で出会った女友だちタクボに思いを寄せる戸川は、タクボ夫婦の隣室に住むことを夢見るが――。

・「ごっこ」 六つ年下の恋人の浮世離れした逃亡計画に付き合って、帰れないドライブを続けるわたしは――。

・「見知らぬ人」 友人の結婚式に集う旧友の中に、夫の不倫相手の女がいるのではないか。疑いながら出席した那月を待っていたのは――。


著者・紗倉まな(さくら まな)
1993年、千葉県生まれ。工業高等専門学校在学中の2012年にSODクリエイトの専属女優としてA Vデビュー。著書に小説『最低。』『凹凸』『春、死なん』 、エッセイ集『高専生だった私が出会った世界でたった一つの天職』『働くおっぱい』などがある。初めて書き下ろした小説『最低。』は瀬々敬久監督により映画化され、東京国際映画祭にノミネートされるなど話題となった。文芸誌「群像」に掲載された『春、死なん』は、20年度野間文芸新人賞候補作となり注目される。


夫婦、恋人、不倫、報われぬ恋……ままならない人間関係に翻弄される男女が行き着いた先は? 
人気AV女優の著者が濃やかに描く、いびつでいとおしい〈愛のかたち〉。
野間文芸新人賞候補となった前作『春、死なん』に続く、最新小説三篇を収録。


・「はこのなか」 田舎町の中学で出会った女友だちタクボに思いを寄せる戸川は、タクボ夫婦の隣室に住むことを夢見るが――。

・「ごっこ」 六つ年下の恋人の浮世離れした逃亡計画に付...


出版社からの備考・コメント

★校了前の仮データを元に作成しています。刊行時には内容が若干異なる場合がありますがご了承ください。

発売前の大切なゲラをご提供させていただいております。弊社では、下記のような方からのリクエストをお待ちしております。
○発売に向けて、一緒に作品と著者を応援していただける方
○NetGalleyへレビューを書いてくださる方
○自分には合わない内容だった際、どういったところが合わなかったかなど、建設的なご意見をくださる方

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読み終わりましたら是非NetGalleyへレビューを投稿ください!

著者・担当編集ともに楽しみにお待ちしております。

発売前作品のため、ネタバレや、読書メーターやブクログなどNetGalley以外の外部書評サイトで発売前にレビューを投稿することはお控えください。

ご協力の程、何卒宜しくお願い致します。

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作品の拡材や指定配本をご希望の書店様は

恐れ入りますが<講談社 第五事業販売部>まで直接お問合せをお願い致します。

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出版情報

ISBN 9784065304471
本体価格 ¥1,500 (JPY)

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NetGalley会員レビュー

BS-TBSの「ヒロシのぼっちキャンプ」の番組見ながら「ごっこ」を読んでいた。ミツキ31歳の年上の女性とモチノ25歳の男性とのカップルがミツキの会社の人間関係のストレスに嫌気がさして現実逃避しようという短編である。人は他人をコントロールしたい欲望と特定のパートナーが持つコントロール欲に従うことに不思議な快感がある。SMプレーに近いのかもしれない。「なぜあの女性にこんな男が」という話は多い。セックスの相性というよりもミツキがモチノの「舐める時じゃまで歯に挟まるんだ」という要求に素直に陰毛を剃る事が自分の快楽で従順する喜びがあった。もっとも現実は剃ったらすぐに生えてきて邪魔になるのを忘れてる。ミツキという女性は結構激情家なんだろうか?会社に居れば嫌な奴は多い。そこで短絡的に年下のパートナーと逃避行にはなかなか実行できない。逃避行の行動の中で本当に主導権を持つ人がモチノからミツキに変わる。現実を考えると御殿場インターで富士山方面に行くか、伊豆の海の方に行くか迷うなんて思わない。まして死のうと思ってる人が山奥でキャンプするのかも疑問。せっかく思い切ってモチノの要求通り陰毛まで剃って最後のセックスを堪能したい場所が山奥の二人ボッチキャンプなのか?ここで「ヒロシのぼっちキャンプ」のテレビが出てくる。社会的なストレスに負けて自分を自由を解放しようと誰もいないキャンプ地を探してぼっちキャンプをするヒロシさん。自由になろうと思った趣味が今や仕事で頻繁にぼっちキャンプをしている。山梨で小学生生が行方不明になったキャンプ場も放映された。このミツキの逃避行もなんか中途半端。本当に死にたいなら死に場所はいっぱいあったはず。でもテレビでヒロシがボッチキャンプで自由になりご飯が美味しいと言っているのとおんなじで仮想の逃避行をして逃亡ごっこをしてる作品。人間の持つ征服欲と征服されたい快感が微妙に行ったり来たりする面白い作品。

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紗倉まなの「ごっこ」読了。やや長めの短篇を3作収録。タイトル作、「見知らぬ人」「はこのなか」である。全体として最近読んだ女性作家の作品と共通する部分、しない部分があった。共通する点は男女間の溝というかお互いが期待を抱いていないように思われる点だ。しない点はこれは小説とは違う形式に感じたことだ。タイトル作は近松門左衛門の心中ものの現代版のよう、「見知らぬ人」はフランス映画、しかもヌーヴェル・ヴァーグのような不条理劇に思えた。つまりどちらも広い意味の戯曲、演劇である。最後の「はこのなか」は一番普通、つまり最近の女性作家の作品に共通する部分が多い。とはいえこれも心理劇といった感触がある。ただセリフ劇ではない。不思議な文体は地の文とセリフの境界があいまいで、その意味で人形浄瑠璃=文楽つまり近松門左衛門の作品と共通する、まあ、私が大学での専攻が近松だったからで他の人はそう感じないかもしれないが。でも情念の世界を描いた近松心中ものとの共通性は絶対ありそう、ちなみに近松作品は当時の週刊誌のゴシップ記事のような役割を担っていた。紗倉まなが今後、センセーショナルな題材の作品を書くことがあれば面白いと思う。

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結局人は他人の目に映る鏡の中の自分しか見つめられないのか。誰もが不毛な人間関係の歪みの中で、それでも誰かと繋がりたいと望んでもがき続けている。そんな光景が目に浮かぶような、ひりひりした焦燥感が感じられた。

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「ごっこ」はモチノくんの感じがすごくわかると思った。自分に酔って自分の見たいものだけをみる男。そして、そういう男を白けた目で見ながらも、そのバカさをなんだか盛り立ててあげないといけないような気になって、受け入れる女を演じる女も一定数いる。なんでだろう、その逆、自分に酔う女を受け入れる男を演じる男、っていうのはあまり思い当たらないかも。私が女だからなのか‥?
「見知らぬ人」は一番おもしろかった。浮気というにはくだらない関係だから、本妻は気に病む必要なんてないと、2人ともが相手の妻に対して思っている。自分の論理を堂々とまるで同志に説くように語る不倫女は、浮気された方からしたら異常にみえるけれど、実際夫に対しての気持ちはその程度というか、辟易してる部分があり妻に同情のような気持ちを持っているからこそだろう。浮気の怒りは、やはり相手の女ではなく、夫に向けるべき。
「はこのなか」は、よくわからなかったかも‥?また再読して考えてみます。

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「ごっこ」「見知らぬ人」「はこのなか」の3作
物語の構成もしっかりしているし映像向きだと思う。
最初の2作がバッドエンドだったので、「はこのなか」の余韻が好ましかった。

著者の文体が好きだ。これが今どきの若い女性の感覚なのかも、自分がおっさんすぎてわからないけど…。
他の作品も読んでみたいと思う。

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私は、今年が60代最後の年齢になる田舎のおじさんです。
今まで全く知らなく読んだことがない人気AV女優の紗倉まなさんの作品は、恋人や夫婦や友達同士のどうしてもなくうまくいかない人間関係に翻弄される二人の次の落ち着き先をかなり写実に表現されていると感じました。
・「ごっこ」
 六つ年下の恋人モチノくんの浮世離れした逃亡計画に付き合わされたタナカミツキさんが、元に戻れないドライブを続ける内にモチノくんが仕事の都合で帰るといってから一転ミツキさんが切れてしまったようです。
それからモチノくん主体の逃亡ドライブがタナカミツキさん主体の猛烈なスピードのドライブに代わっていきました。
今まで仲良く恋愛ごっこと、逃亡ごっこと、死にたいごっこを続けていた二人は今後どうなるのるのでしょうか。
・「見知らぬ人」
 友人の結婚式に集う旧友の中に、夫の不倫相手の女がいるのではないかと疑いながら出席した那月を待っていたのは、夫の不倫相手の女に遭遇して親しくなってしまったことです。また、不倫相手の女から夫の悪口を聞くのと結婚式であんなに嫌っていた夫が何故か失踪してしまい、以前より夫をより愛しくなった那月がいました。
・「はこのなか」
 田舎町の中学で出会った女友だちタクボに思いを寄せる戸川爽子は、タクボ夫婦の隣室に住むことを夢見るができずにバルコニー付き1LDKに住んでいる。
幼いころからの女友達同士が不思議な縁でどこまでも寄り添って、友達以上の男女関係に近い付き合いを続けるカップルです。
次回の自宅更新契約までにタクボの隣室に住むことができるのでしょうか。

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常識に生きることを正気というのなら、「ごっこ」のヒロインたちの日常は邪気といえるかもしれない。とはいえ、正気と邪気のボーダーラインはバンド(帯)でグラデーション。正気の世界に暮らしているつもりでも、ふとグラデーションの世界へ迷い込み、いつのまにか邪気の世界に溺れてしまう私たちの脆さを「ごっこ」は突き付ける。温かい家族、楽しい友人、親切な知人が埋めてくれるかのような孤独は決して充たされはしないのだと実感する時、私たちは邪気の森に迷い込む。森は優しく妖しく、私たちをあたかも孤独から解放し、やがて無邪気の世界へと誘うのだ。邪気の世界に無邪気さを手探りするヒロインたちの恋愛ごっこ、家族ごっこ、親友ごっこは、まやかしの正気に甘んじる日常が肌に馴染んだシャツのように容易く裏返ることを教えてくれる。

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ひと言で表現するならば、いびつな恋愛の日常を描いた短編集」かもしれない。だが、それだけにとどまらない独特の雰囲気が、収録作品の全編を通じて漂っていて、それがこの作品全体の魅力になっている。
描かれているのは、あくまで「日常」であるため、さほど特別なことが起こるわけでもない。とはいえ、些細なことをきっかけにスイッチが入り、一気に非日常的な事態へと転がっていく。ありふれた他者の恋愛の日常をのぞいていたはずの私たちは、いつの間にか、ちょっとした事件の目撃者になってしまっている。
この作品のうまいところだ。

また、作者が「ぐずっている人たちしか出てこない」と言い表していた登場人物も魅力だ。最初は決して好感を持てないのだが、読み終わる頃にはどこかなつかしい、青春時代の級友のような気持ちを抱くようになり、時折彼らのことを思い出しては「元気でやっているだろうか」と考える自分もいる。

小説は、フィクションでありながら、作者自身の経験が色濃く反映される作品だと個人的に感じている。作者の魅力が詰まったこの小説は、単一の作品としての評価もさることながら、これからも作者の書くものを読んでいきたいと感じさせる作品になっているのではないだろうか。

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普段小説はほとんど読みませんが、紗倉まな氏のものは前作をどんなものを書かれるのか興味深く手に取ったのがきっかけで拝読しました。
今作含め娘は持たない還暦間近のおっさんに若い女性の思うところを垣間見ることができ、貴重な体験でした。話の展開も軽妙で読み進めやすく、これからも読ませていただきたいと思う作家の1人です。

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なんとも言えない悶々とした感情、でも誰しもが一度は抱えたことがあるであろう複雑な思いを感じとることができた作品です。
細かい描写で、まるで目の前で登場人物たちが会話をし、動き回っているよう。その一挙手一投足に潜む、登場人物たちの迷いや怒り、喜びなどの感情。
読んでいてスッキリでもない、でも嫌な感じもない。こんな不思議な魅力を持った作品に出会ったのは初めてです。

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肥大化する自己承認欲求や、ミソジニー、モラハラ、LGBTQ+などなど、登場するトピックは非常に現代的でありながら、それらを通して語られる心情であったり「人間」であったりは、普遍的であるところに面白さを感じた。
もしかするとそれは人物造形がステレオタイプ的とも言えるのかもしれないが、そんなことはどうでもよくなるほど、出てくる人物たちはそれぞれたまらなく愛おしく、そしてしょうもなかった。
そこら辺にいそうでいない、それでいて「こういう人いるよね」とも感じられる、ある意味人間賛歌なのだろうと思う。

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女性の深い内面を抉り出す、新しい「フェミニズム文学」を予感させる筆力のある短編三編。

「ごっこ」に出てくるモチノ君のような「くず男」は、世の中の色んな所で女性を傷つけようと隠れている。多くの女性読者が、この作品を読みながら過去の古傷の痛みを感じるだろう。「見知らぬ人」は、「女性の本当の敵は往々にして女性である」であり「大事なものの価値は失ってみないとわからない」という悲しい現実を見せつける。「はこのなか」はヘテロかホモかという性の区別は、実はとても微妙で、多くの女性が気づかないうちに誰かを傷つけているかもしれないことを教えてくれる。

男性読者にとっては、自分たちが気づかなかった女性の心情が顕になるという意味で、この短編集はミステリー小説にもなりうるであろう。ページをめくる手が止まらなくなるストーリーテラーでありながら、人間について考えさせられるエンタメ・純文学両方の魅力を持った傑作だ。「はこのなか」のラストに作者の遠慮が少し感じられたので5星でなく4星とした。

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吟味された濃密なフレーズが、行間から溢れるように詰め込まれている。「ごっこ」の前半は、読み手もさながら主人公たちの車に同乗したかのように、みっしりと詰まった言葉の澱をゆっくりかき分けるように進んでいく。スワイプする頁の重さに疲労感すら覚えながらも、しかしそれは不思議と止まることはない。
不意にギアが切り替わり、周囲の景色が加速度をつけて流れていく。この潔いまでの緩急に、作者の底力と、まだ自分でもそれを制御できないかのように思われる青さを感じる。
この独特のスピード感を、ぜひ最初から一気に読んで体感して貰いたい。

「見知らぬ人」は、視点の揺れが独特の作品。主人公を巡る人々は、彼女の中でクローズアップしたかと思えば遠ざかり、愛憎もまためまぐるしく入り乱れる。その不安定さに酔いながらも、その奥底に眠る深い孤独を感じずにはいられない。

一転、「はこのなか」は、ずっと一点を見つめる主人公の心の裡に静かに迫っていくようなストーリー。謎解きのように徐々に明かされていく戸川とタクボの関係性。自分とはまるで違うタイプの人間であるにもかかわらず、いつしかその心情に共感してしまうのは作者の筆力のなせる技であろうか。

三編とも物語の結末(というか終わらせ方)が独特である。この作者のスタイルなのだろうか。好みが分かれるところかもしれないが、人間の営みをありのままに、落としどころをつけずに描こうとする彼女の愚直なまでの信念が感じられて、私は好きである。

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ズーム映像で始まり読み進めるに従って徐々に周辺状況が明らかになる3作であり、ドキドキワクワクしながら読み進めました。主人公と登場人物の人間関係が主人公の繊細な心の動きとともに細やかに描写されており、最後まで展開が読めない心の動きと人間関係を楽しみながら拝読しました。
著名人によって書かれた空虚な作品かと思いレビューをいたしましたが、人物と背景の設定がしっかりとしていて、周辺状況や登場人物をもっと知りたいと思いました。短編ならではの展開のスピード感が心地よく、一気に読み進められますが、精妙に選ばれた言葉で綴られた登場人物の心情の変化や所作を思い描いてじっくりと味わう楽しみもあり、奥が深い作品です。
ありそうでなさそうな、なさそうでありそうな、世界で繰り広げられる物語に自分を重ねつつ読みました。魅力的な作品です。

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全体を通して独特の気持ち悪さや狂気が、まるでホラー映画のようでゾワッとしました。
「ごっこ」はとにかくモチノくんがツラい。私が女性だからかもしれませんが、すごく白けた目で見てしまいました。でも、女性だからこそミツキの気持ちもわかってしまう。バッドエンドかもしれませんが、すっきりしました。
「見知らぬ人」は、浮気相手の思考回路がぶっ飛びすぎて、一周回ってすごいなと感心してしまいました。でもこういう女性、嫌いじゃないです。
「はこのなか」は、1人だけ青春を引きずってきたような、切なさや痛みが胸に沁みました。「いつ、抱かせてくれる?」の会話のところなんて、めちゃくちゃにしんどかったです。このお話が一番好きでした。
タイプの違う三作品でそれぞれ楽しめました!面白かったです!

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すごく身近な題材のはずなのに、どこか濃ゆくて歪な愛を描く3短編。
「ごっこ」がとても好きだった。クズ男とその男の彼女の織りなす退廃的にすぎる逃避行がたまらない。車中での何でもない会話が、二人の距離感をじわじわと炙り出してきて、その静かな感情の描写に魅入らされました。

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表題作含め3篇収録。
鮮明な描写の濃さ、さらに著書独特の視点と切り取り方が好きで紗倉まなさんの著書は処女作からすべて読んでます。今作に収められている3篇はこれまでにも増して描写の濃さやキレ味などがブラッシュアップされていて、とても好きです。
【ごっこ】
題名の可愛さと、痛快・爽快な物語のギャップが面白い。粒だった描写が情景を焼き付ける、物理的な停滞と解消を2人の関係性の進展とも絡めた描写は巧み。終盤にむけての勢いは、思う道を突き進め、人生のハンドルを他者に握らせるな、と力強いエールのようでした。

【見知らぬ人】
人間の欲や妬み、歪さや醜悪など心の奥底に抑圧している感情を粒度高く、エッジを効かせながらガツンと描いていて面白い。鈍器で殴られたような感覚、でもその痛みも快感に変えていくほど精鋭化された筆運びは至妙。

【はこのなか】
心の奥底にある名前のつけられない感情を掬い描く。文節のリズム、情景の彩度をあげる修飾が秀麗。読み進めるほど読み終えるのが惜しくなる。作品に深みを与えるタイトルもとても良く、作者の目線と感性に強く惹かれる。

シニカルな風刺のきいた視点も散りばめられているが、ただの露悪趣味で終わらせない。誰もが心当りのある機微をポップかつ克明に言語化し描きあげ、輪郭を持たせる筆力は圧倒される。ひとりでも多くの方にこの著書の面白さと魅力を知ってほしいと願います。

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「ごっこ」とはコドモが「何とかごっこやろうか」と、言ったことからきていると思い読み進めたが、この作者それをいとも抵抗なく突き進んで行く。文章はとてもリアルであって惜しむらくは、無駄?とも感じる難易な漢字をあて、読み手に?感を与えてしまう「徒労」のような追い込みすら感じる。作品は非常に丁寧に、かつ緊張も適度に与えてくれ物語としては読みやすいかも?ただ前述の無駄(私的だが)がいくらか減少することで、読者層の幅が増えるかもしれない。

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苦しい。自分が捨ててきたものや失ったものを目の前にさらけ出されているような気分になる。どの作品も心情の吐露がリアルで生々しく迫ってくる。描写も臨場感があり、没入してあっという間に読了してしまった。

「ごっこ」で高速を爆走するシーンでは自分がそこに乗っているかのような気分にさせられた。
「見知らぬ人」ではその先があまりに気になる。帰ってくるのか来ないのか、どこにいったのか。その余韻を残して終わるのがいい。でも気になる。
「はこのなか」、二人の関係性が読んでいて苦しくなる。

ぶっちゃけ他に読む本があったのだけど読み始めたら先が気になり何よりも優先して読んでしまった。

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初めて紗倉さんの作品を読んだ。
表題作を含む短編三作。
『ごっこ』は、モチノくんみたいな人いるなと思いながらも彼に思いをぶつけない彼女に苛立ちもする。その苛立ちがピークになるころに訪れる物語のラストは、ぞくっとしながらも爽快ささえ覚える。

なんとも言えないこの作品の世界観。こういう作品嫌いじゃない。むしろ人間の抱える弱さや狡さが描かれていて、どこかに自分を投影してしまうような作品だった。

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読み終わり、なんとも言えない気持ちになりました。
全てハッピーエンドできれいに終わる事なくエンド。
3つ目のお話。1人だけ青春を引きずっているかのような、一途な愛。そこにも若干の狂気を感じる。タクボの「赤ちゃんのことだよね」みたいなセリフが2人の関係を物語っているように感じました。

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女を知悉している著者の短編集。
ひも男と逃避行を続けるOLのサツキ。失踪した夫を、夫の不倫相手と共に探す那月。妊娠した腐れ縁の女友達タクボに依存する戸川。マンネリを迎えた3人の恋愛模様。不器用ながらも、彼女らなりの解に哀情すら感じるが、話の結びを描いて欲しいかな

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前作の「春、死なん」を読んで、非常に魅力的な文章とストーリーテリングに感心させられた。
そして今作もすっかりと世界に引き込まれた。
小説を、作者の肩書きで読んでも意味はない。いま一緒に仕事をしているEXITの兼近大樹の「むきだし」を読んだ時に、そう強く感じた。もし芸人が書いた小説ということでなくても、この自伝的小説は評価されて然るべきと思う。
この「ごっこ」もそうだ。どんな職業の人が書いたか、そんなことは関係ない。
純粋に小説として惹かれたのだから。

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わたしは工学部出身で、男女比は10:1以下だった。その1の方。前に高専の勉強が大変らしいとバイト仲間の高専生(女の子)から知っていた。なので著者が高専出身と知り、以前からどんな人かなと親近感と興味を持っていた。今回著書は初めてで、この本の前に車のコラムを読んだ。

作品の好きな順は表題作「ごっこ」から順番。どれも人間関係に頼りないところがあって、ベースにはまるで三角形の積み木が逆さまになったまま、たまたま安定しているかのような不安定さがある。筆致は淡々としている。読了して「ごっこ」の意味を考えると何か納得する。不器用な人たちが登場するけど、まったく人のことは言えない。

1作目「ごっこ」では女性が、病んでいてしかもモラハラ気味の彼と逃避行をする。冒頭でフラペチーノが派手にフロントガラスに投げつけられており、そんなわがまま男に彼女は振り回されつつ尽くすのだが。わたし自身精神的DV(モラハラ)が法律に入ったすぐ前に被害に遭っていたため、ラストはなかなか楽しかった。そして、「運転席に座る女性をほとんど本で読んだことないかも」と気がつきもした。

「見知らぬ人」は不倫から抜けられなくなっていた女性に起こった話。知らなかった夫の顔。友人の結婚式で起こった事件。どうかしている女。その女と暑さに堪えかねコンビニに入り、化粧品などを買いあさる展開が、意味がわからないけど面白かった。ラストも嫌いじゃない。

「はこのなか」は高校の親友、恐らく唯一の友人を好きになってしまう女性の話。この恋は成就せず、男性と恋愛してみるけどうまくいかない。ここに出てくるいくつかの「地獄」はコロナ禍前、ウクライナ戦争前なら通ったかもしれない。地獄の重みがだいぶインフレを起こしているのかもしれず、そういえば昔、世界貿易センタービルへのテロのあと、書き手たちはあまりのことがリアルに起こってしまって、何をどう書けばと悩んでいたっけ。そんなことを思った。

天候など許す限り本屋経由で、本作のほかにも買って読んでみるつもり。

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女性の内面を知りたい方へ
【本の印象】
女性目線で書かれています。
私はこの本を読んで、「今まで男性作家で男性目線で描かれている本ばかり読んできた。」
と気づかせてもらいました。「倍返しだ!」の本も男性目線ですよね。

【想定する読者】
単純な生活に飽きている方。
ちょっと道を外してみたいと、ふと感じる方。

【男のことを考えている】
例えば、
□ そっか。ここが、モイチくんのスケールにあう場所なのだ。
相手のことを考えてくれています。
もちろん、自分自身の心情模写も多くあります。

【男性と比較して女性の弱さ】
男尊女卑という言葉があります。
ここまでのことを言っているのではないですが、
やはり体力面など、一般的に男性の方が力強いのが、
どうしても、自分を男性より見下してしまうのでしょいうか。
「ごっこ」の最後はそこが逆転されると、どのような情景になるのかを著しているように思えました。

【著者】
著者の紗倉まなさん、言わずと知れた人気AV女優です。
もうデビューされて10年程度経つでしょうか。人気を維持されるのは素晴らしいです
直前の著作は「春、死なん」性を扱っています。でもいやらしくはありません。

【再度押し】
男性の読者から目線では、「女性心理」「行動を知る」観点で読まれても良いのではないでしょうか。
□ セフレに既婚者を選ぶっていうのもまさにそういうことですよね!
家庭と言う責任を背負った人間がその責任を蔑ろにしてまで時間を費やしたいと願って取り組むセックスと、独身で何も失うものがない人間がするセックスと比べたら、前者の方がより良質な感じがいませんか。

今、仕事を目いっぱいやっていて、ふと疲れを感じる方にお勧めの本です。

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役割と心の中のギャップ。この乖離が生む苦しみ、歪みがじれったいほど濃やかに描かれる。6歳下の恋人モチノくんへの忖度の度が過ぎて自分の首を絞めるミツキ、31歳。ラストのスピード感溢れる奈落への疾走が印象的。
「見知らぬ人」。夫の不倫相手と過ごす羽目になった半日の、影も焦げそうな灼熱の中、思考をたゆたわせては苛立つ妻。これは映像的で、女ふたりの会話が最悪なのに洒落ていた。
中学時代の友人タクボへの振り払えない思慕。匂わせつつ、悶々としつつ、諦めきれない宙ぶらりんな心。青臭ささえ感じられる小粒な光の詰まった物語。
ことばの紡ぎ方が独特で、こちらにねじ込んでくる勢いが好きだ。

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初めましての紗倉まなさん。
痛い、痛い、痛い。三作とも違う痛みを感じた。
「ごっこ」はいわゆる"クズ男"の恋人との逃避行のお話。え?逃亡って?何か犯罪でも犯したの?気になって読み進めて、だんだんと見えてきた二人の関係性。そしてモチノくんへの腹立たしさMAX。ラストはちょっと爽快な気持ちにもなってしまったけど、痛い、悲しい。
「見知らぬ人」は夫の愛人がぶっ飛んでる。ほーほ―そんな考え方もあるのか。いやいや、自分勝手なだけじゃん、痛い。
夫は帰ってくるのか?どこに行ったのか?気になって止まらない。そんな風になって初めて夫を愛していたことに気付く。痛い。
「はこのなか」これが一番切なかった。
読み進めるうち、分かってくるタクボと戸川の過去。淡々とした戸川に逆にグッときて胸が締め付けられる。痛い。
どの話も良かった!でもでもでもでも漢字が難し過ぎた笑

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女を「女」扱いする男たち、それを見透かして男を泳がせ観察する女たち。時に修羅場を描いているのになぜかユーモアを感じる。短編三作どれも結末がどう転ぶのか固唾を飲んで見守った。新しい時代において、思考停止したままのステレオタイプの「男性」はこの作品群を正視できるだろうか。どの短編も一筋縄では行かない恋愛小説だった。

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AV女優さんの描いた作品とのことでもっと激しい性描写があるのかなと勝手に思ったのは僕の偏見でした。ゴメンなさい。一つひとつの作品は短いのですが、とても言葉を大切にされるクリエイターだと思いました。目指すは直木賞ではなく芥川賞ですね。

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