数学の女王
伏尾美紀
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刊行日 2023/01/23 | 掲載終了日 2023/01/22
ハッシュタグ:#数学の女王 #NetGalleyJP
内容紹介
江戸川乱歩賞受賞後第一作
かっこいいのに等身大、警察小説の新ヒロインふたたび!
「北緯43度のコールドケース」シリーズ2作目
◆シリーズではありますが、今作からでもお楽しみいただけます!◆
博士号を持つ異色の警察官・沢村依理子は、中南署から本部の警務部に異動となる。
とある出来事で監察官室に目をつけられている沢村は、これは報復人事ではないかと疑う。
そんな中、新札幌に新設されたばかりの北日本科学大学で爆破事件が発生。
これを機に沢村は突然捜査一課に異動となるが、ただし警務部付――果たしてこの人事の意味は何なのか。
一方、爆破事件はいつまで経っても進展がない。まさか北海道でテロ事件が起こったのか。
公安との駆け引きの中で進めていく捜査、しかも沢村は突然班長を任されることに。
新天地でまだぎこちない沢村は、新参者の班長に対して心中複雑な班員たちをどうまとめていくのか。
そしてなかなか実態がつかめない爆破事件の犯人は、いったいどんな人物で、どんな目的があったのか。
女性研究者として博士課程まで進み、アカハラによって恋人を亡くすという経験をした沢村だからこそたどり着ける真相が、そこにはあった。
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おすすめコメント
伏尾美紀さんの2作目は、前作に引き続き北海道警察が舞台です。新札幌付近で爆破事件発生、という衝撃的な始まり。犯人像がなかなか掴めず捜査員たちも苛立ちが募るなか、沢村は異動先で突然捜査班の班長になります。最初から全てがうまくいくわけではないけれど、周りの人に助けられながらなんとか自分の足で立とうとする――沢村は、そんな等身大なヒロインです。沢村を捜査一課に引っ張った奈良や、沢村を取り巻く捜査員たちのキャラクターも魅力的で、伏尾さんのユーモアが発揮される場面も。
作品をとおして人間ドラマがしっかり描かれているところも読み応えたっぷりです。大学院で博士号を取得、そしてアカハラで恋人を亡くすという経験をした沢村だからこそたどり着ける真実があります。犯人の心理に正面から向き合っていく、沢村ならではの姿勢も必見です。
また、シリーズではあるものの今作だけでもお楽しみいただけるという点もポイントです! 前作未読の方も、ぜひお手に取ってみてください。【編集担当者より】
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出版情報
ISBN | 9784065289532 |
本体価格 | ¥1,500 (JPY) |
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NetGalley会員レビュー
本書は、北海道にある北日本科学大学大学院(NSU)で起こった爆弾事件を追及する、北海道警の沢村依理子警部補を描いたものだ。NSUとは、国立理系の大学院大学と言う設定だ。そして沢村警部補は、博士号を持った異色の警察官である。この作品を読むと、色々な現代の問題点を感じてしまう。一番大きなのは、ジェンダーに関する問題だ。女性であるがゆえに、才能があっても不利益な扱いを受ける。もっとも才能がありすぎると、周りから理解されないのは例えばガロアな度の例から分かるように男女共通なのだろうが。この作品で描かれるのは、才能がありすぎるがゆえに、絶望し、暴走した女性数学者。そして、大学におけるアカハラの問題。沢村には、かって恋人がアカハラにより自殺したという過去がある。そして日本における博士の扱い。沢村は博士号を持っていると言っても、別にキャリアというわけではない。それが単に学士に過ぎないキャリア連中よりかなり扱いが下なのだ。日本が発展していくためには、こういった色々な問題点を解決していかないといけないのだろう。
新設大学院で起こった爆破事件。
警察官・沢村依里子はこの事件をきっかけに無意識の性差、ジェンダーバイアスを自分もしていることに気付く。
かつて自身も恋人もハラスメントに苦悩していたのに。
時代が進んでも消えない無意識に、非常に納得しながら読みました。
女性の地位向上もしかり、男性も「~たらん」に苦しんでいる人が多いと思います。
性差とはなにか?幅広い年齢層の方々に読んでもらいたいです。
WhoDoneItは読んでいくうちに大概想像がつくし作者の伏見美紀さんもそれは承知の上、緻密に捜査の進展を追って見せ、WhyDoneItで読ませてくれる。いやそれどころか前作「北緯43度のコールドケース」では不完全燃焼に見えたアカハラにもきっちり決着をつけてくれた。ジェンダー問題にも切り込む緊張感ある筆至は心地よく、できれば、次作でもう一度ヒロインに会いたい( #Netgalley で先読みしていうのはちょと先走りすぎかな)。
シリーズ二作目ですが、本作から読んでも大丈夫でした。北海道にある新設の大学院で突如起きた爆破事件。死亡したのは大学の事務員。いったい誰が、何の目的で爆弾をしかけたのか?
刑事の沢村依里子は警察内部の事情で捜査本部に配属されて、捜査することになった。しかし大学院での事件は、沢村の過去をいやおうもなく思い出させることに。
ジェンダーバイアス、日本の大学のポスト問題なども絡ませて展開するのはこの著者さんならでは。
それくらい……と思って無意識に残酷なことをしていないか、思い返すきっかけになりました。とてもおもしろかったです。
中学校の司書です。中学校では生徒会役員がほとんど女子であったりと女性の活躍が目立ちますが社会や政治は男性中心。この逆転現象はいつ起こるのか疑問だったのですがこの小説を読んで原因の一端がわかった気がします。根深いジェンダーの問題を男女問わず考えてもらいたい。そして極上のミステリーを味わってほしい。これがわたしが生徒にこの本を薦める理由です。
どの登場人物にも共感してしまう。
人の特性をデフォルメして分割すると、こうなるのか。そしてその一番混沌目を逸らしたいところをこの犯人が背負ってるんだ……その、どうしようもない狂気の果てにさえ、共感してしまった。
充分なものを持っているのに、報われなさにばかり目がいき、過去にしか自分の存在意義を求められない愚かさ。それを否定できない。その愚かさに、何度も自分自身も囚われそうになったことがあるからだ。
人の中に巣食う理屈の通じない愚かさと、逆境の中にあって腐りそうでもギリギリのラインで前を向いて進む折れなさとの対比が、とても魅力的だった。
2作目から読みましたが、違和感なく物語に浸れました。北海道で起きた爆弾事件を捜査する沢村。よくありがちな異様に頭脳明晰な主人公ではなく、周りに気を付かいながら、悩む姿を見せる主人公の描写は、すごいとうならされました。作品名の伏線回収も凄いと思いました。極上のエンターテインメント作品です。
前作からのシリーズ2作目て、前作以上に人間ドラマがより濃厚に書かれているのが印象的。タイトルから凡人には理解できない数学満載の内容だったら、、と気を揉んだが、数学の女王というタイトルはそういうことだったのか!と納得、そしてそこから派生するジェンダー問題、アカハラなどまだまだ根が深い問題についても深く考えさせられた。
とても面白かったです。
タイトルからこのようなミステリーの内容は想像できなく、学問を極めることの背景が良く書かれていたと思います。
主人公にも好感が持てました。
この作品は2作目とのことですが、この作品からでも十分に楽しめました。
初読みの作家さんでした。著者の江戸川乱歩賞受賞作「北緯43度のコールドケース」の主人公沢村依理子のシリーズの2作目となる物語。中南署から本部の警務部に異動して間もなく、新設されたばかりの北日本科学大学大学院で爆破事件が発生。これを機に突然捜査一課に配属される。公安との駆け引きの中での捜査、突然の班長への戸惑いなど、職場や人間関係に悩むといった弱い面も見せながらも、自らも女性研究者として博士課程まで進んだ経験をしている沢村だからこそ、事件の真相にたどり着けたのだと思う。この事件の動機となったジェンダーバイアス、確かに同じ女性として思い当たることがあった。また一人注目する女性警察官が増えました。次回の彼女の活躍を楽しみに待っています。
シリーズ2作目ですが、前作を知らずに読んでも大丈夫です。キャラクターもストーリーも楽しめます。主人公の経歴や過去について、知りたくなったら、きっと前作も読んでみようと思うに違いありません。アカハラ、ジェンダーバイアスなど、今読むべきテーマだと思いました。
『北緯43度のコールドケース』で乱歩賞を受賞しデビューされた伏尾さんの2作目。前作と同じく北海道を舞台にし、博士号を持つ警察官・沢村依理子を主人公とした警察小説だ。
正直なところ前作はあまり記憶がなくて、沢村を取り巻くメンバーもよくわからなかった。あまり好意的なレビューも上げていなかった。ところが本作はどうだ。大学で起きた爆弾騒動を沢村が班長となって捜査する。基本的にはこの大きな流れから逸れることはない。多少横道に逸れることがあっても物語の邪魔にはならない。文章のうまさは前作でも感じたが、ストーリーテリングは大きく進化していると唸った。
キャラクターの書き分けも巧みで、ステレオタイプだなあと思わせながら実はさらに裏があるという深さ。デビュー2作目とは思えない余裕すら感じてしまった。
難を言えばタイトルだろうか。詳しくは書けないがあまりにも大きなヒントとなっている気がする。
昔読んだゴールドマンの『数学の女王』を彷彿とさせる書名、表紙に惹かれて読み始めた。シリーズ2作目とのことだが、登場人物たちのキャラクターと人間関係を知りながら、まったく違和感なくこの世界に入り込むことができ、あっという間に読了した。
タイトルから、事件の解決に数学の知識を駆使するのかと思いきや、まさかのタイトル回収は見事という他ない。
主人公は、組織、学歴、性差、さまざまなしがらみに翻弄される女性警部補沢村。こうして「女性」とわざわざ書いてしまう自分自身も、本書を読み進めながら沢村とともにジェンダー・バイアスの罠に陥ってしまった。
この令和の世ですら「リケジョ」という言葉がまかり通る日本で、本書が突きつける問題は根深い。
だが、決して身構えることなく、純粋にページを捲る手が止まらない極上のミステリーを味わえた本書だった。
1作目もすぐに読もう、そう思える読後感である。
北海道警の沢村依理子は博士号取得後に警察官になった異色の経歴を持つ。警察組織内では「異分子」と見られる事もあり、今回の移動は報復人事、あるいはジェンダーを意識したお飾り的な物と考えていた。
そんな中、大学院内で爆発事件が発生。犯人を追う沢村と班員。彼らの敵は犯人か公安か、それとも身内か、、、。
一気読み!!前作も読了済みですがあまり覚えてなくて、、それでも大丈夫でした。
映像化にむいてる作品ですね
シリーズ2とはいえ前作を未読でも読めるという触れ込み通り、ぞくぞくしながら読了。
北海道の新設大学で起きた爆破事件。異動したばかりの沢村依理子が突然捜査一課に投入され、しかも班長としての重責を負わされる。人心の掌握、事件の解決に向けての捜査の目当て、悩みつつ班員を動かすぎこちなさも世知辛い。
アカデミアの本質とはかけ離れたところでもたらされるジェンダーバイアスを嗅ぎつけるや、自分もまたその罠に嵌ってしまったことを恥じる沢村。この沢村の目の狂いのなさが徐々に明らかになっていくさまは読み手の胸を抉る。才能の過信と己の運のなさを転嫁していった犯人の軌道は異常なものだった。
また閉じた学問の園で横行するアカハラ、性差による無言の圧力、今の時代だからこそしっかりと見据えたい問題の提示に、事件の解決と同じくらい惹きつけられました。
伏尾美紀さんの「北緯43度のコールドケース」を読み、2021年の江戸川乱歩賞贈呈式の観覧にも参加してファンになりました。次回作が気になっていたので、しかも続きの作品とあって読む事が出来て本当に嬉しかったです。前作同様、警察という組織自体にあまり詳しくない人にも丁寧に説明してくれる親切さが優しい。警察って嫌な組織だなぁと思いながら、それでも沢村が自身の立場にも悩みながらも乗り越えていく。そして中々操作が進んでいかない中、それが解決に向かうと一気に進んで、長ーい上り坂の後のジェットコースター。早く第三弾が読みたいです。
北海道の新設された大学で爆破テロが起きる。
博士号を持つ沢村依里子は本部の警務部へ、そこから捜査一課へと異動を命じられる。
「北緯43度のコールドケース」シリーズ2作目とあるが、前作を読んでいなくても物語に集中出来た。
スピード感ある展開で夢中になって読みました。
女性差別に嫌悪感を抱いている女性の方がジェンダーバイアスを意識してしまうのは現実でもあって、そこが悲しいところでもあり難しいところでもある。
依里子にはアカハラによって自殺した恋人がいて研究者の事情は分かっているはずなのに昔の常識をベースとして考えてしまったり苦悩する気持ちが手に取るように分かった。
警察官は特に男性色が強そうな職業。
依里子を囲むチームのメンバーがどんな考えを持っているか不安だったけれど懐柔していく展開もとても良かった。
安直だけど女性の活躍できる場所がもっと増えれば良いなと思いました。男性も当たり前のように育休を取ったり授業参観などに参加できる理解がある世界になって欲しい。
タイトルも素晴らしい。
作者さんの小説は初めてです。
タイトルに惹かれて読みました、数学の謎がこのような話になるとは素数とかリーマン予想とか全く解らないですがこのようなお話になるとは・・・
次回作はこの続きとなるような話を期待します。
自身の警察官としてのキャリアや、アカデミックな世界での女性の立ち位置、ジェンダーバイアスといった要素を絡めながら、捜査する中で思わぬところから繋がってゆく因縁があって、明らかになってゆくその背景を思うと、当時とはまた違う意味で、今もまた厳しい状況ではあることを考えずにはいられませんが、才能があっても人間関係の構築が上手くないと、どうしても不遇な境遇に陥りがちなのは今も昔も変わらないですね…。
博士号という特異な経歴。警察組織ではそれだけで色眼鏡で見られるのに、男性優位の組織で「凛」として自分の仕事を全うするかっこいい女性刑事・沢村が主人公。大学院で学長を狙った爆破事件が起こり、秘書と女子学生が犠牲になった。誰が何のために?沢村の活躍で徐々に明らかになる犯人の姿。捜査小説としての面白さと醍醐味が存分に味わえる。さらに、己の才能に溺れ視野教唆に陥った人間の愚かさが、沢村と対比して描かれていてとても興味深い。
「北緯43度のコールドケース」シリーズ2作目
博士号を持つ異色の経歴の女性警部補が未だ偏見の多い警察組織の中で、大学で起きたテロを思わせる爆破事件の真相に迫る。前作に続き、性だけでなくあらゆる偏見や贔屓をテーマに、女性主人公ならではの視点で隠れた問題を浮き彫りにした社会派ミステリ。
第1弾が面白くてリクエストしたものの、都合良く文系を語る数学ポンコツの私に理解出来るかとの不安は杞憂に終わり、数学的な要素を飛ばしても大まかな推理に支障が出ないように組み立てられているのが良かった。偏見があればあるほどミスリードする展開が、偏見というテーマを巧みに炙り出していくテクニック。シリーズ第2弾という事もあり、前作より周りのキャラにも色がついていて、同じ組織の中で価値観が違う者同士がどう歩み寄るか、これもまた興味深かった。
次作ではそろそろ主人公の心が動くシーンがあるといいなと密かに期待してます。片桐さんあたり希望です。
有名な爆弾魔ユナ・ボマーの名前が冒頭から登場してかなりテンションが上がる。今回は爆弾…。タイトルにある『数学』とどう絡んでくるのか楽しみ。1作目よりテンポ良く物語が進んで一気に読んでしまった。誰が犯人かは元より、ターゲットや動機は私の予想を上回る。主人公の悲しい過去、新しい同僚達との関係、公安、アカハラや女性であるが故の報われない思いなど読みどころ満載。この犯罪の背景には社会の責任もあるのではと考えてしまう。
初めて読んだ作家様でした。
紹介に書いてあったようにシリーズ2作品目でも楽しく読む事が出来ました。
普段は中盤あたりから作品に入り込むスピードが上がってくるのですが、今作は最初のページから先が気になり中だるみすることなくラストまで一気に読みました。
細かく書いていたので脳内で情景などがイメージしやすい、より物語に入っていく事が出来て私は良かったです。
シリーズ1作品目も読むの決定です。
警察という極めてジェンダーバランスの欠けた社会を舞台に、女性警察官が活躍するミステリ。
新設の大学院で起こる爆発事件という掴みもキャッチー。そして何より登場人物のそれぞれが魅力的で生き生きとしている。時として悩んだりするところにも非常にシンパシーを感じられる。
何よりものすごく読みやすかった。
そういえば前作の乱歩賞受賞作も読みやすかったっけ。たぶん波長が合っている作家なのだと思う。
道警が舞台、男社会が根強い警察組織に身を置く女性警官の葛藤と、この作品の冒頭部の描写。今作品は現代社会におけるジェンダーバイアスをテーマに据えている。事件の鍵として。徐々に明らかになる事件の真相と伏線の回収がお見事!
北海道民、しかも札幌市民として見所は、再開発の進む新札幌を始め、市内の地名が次々と登場し、かつ札幌市が誇る図書・情報館まで出てくるため大興奮!ご当地ミステリ、警察小説の大傑作です。
理数系は苦手なので数学の世界は全然分からないんだけど、涼子の心情は少し共感できるなと思った。かといってやったことは決して許されるべき事ではないけれど・・・・。ラストの沢村さんと笠原さんのお母さんとのやりとりに泣きそうになった。全作を読んでいないので、是非そちらも読んでみたいと思いました。
伏尾美紀さんの女性警察官・沢村シリーズの第2作は前作とガラリと変わり大学の女性学長を狙ったと思われる爆弾テロ事件がメインの派手にスケールアップします。沢村は男性刑事の育休や病気の為に何と班長を任されて若輩ながらチームを引っ張る立場になってしまいますが、きっと彼女はプレッシャーがかかればかかるほど逆に燃えて沈着冷静に決して驕らず男性に伍して活躍しチームプレイで取り組む堂々たる適役だと思えますね。確かに題名がストレート過ぎる面はありますが、私は著者の描くドラマチックなドキュメンタリータッチの作風を評価します。今回はチーム内に潜む公安のスパイを暴く趣向もあり楽しめますよ。チーム内の若手男性刑事の切れ者・松山刑事には何の根拠もない自分勝手な思い込みですが男子プロゴルフの松山選手が思い浮かびましたね。今回のキーワードはジェンダーバイアスで犯人の経験した人生の敗北のドラマが無論、絶対に許せない悪で自業自得だとは思いつつも心に一抹の憐憫の情と強い印象を残しましたね。最後に沢村は大学時代の恋人の死を完全に乗り越えて、また新たな愛に踏み出せるのか今はまだ全く未知数ですが次作以降に期待したいですね。
新札幌に新設されたばかりの大学で爆破事件が発生する。爆発は学長を狙ったものなのか、それとも…?博士号を持つノンキャリ女性警察官・沢村のシリーズ2冊目。今回彼女は道警本部に異動となりチームで事件を追うことになるが、人事異動なども含めて沢村自身はもちろん、警察署内のあれこれも一つの読みどころになっている。私はタイトルに惹かれて手に取ったこともあり、数学がどこにどう絡んでくるのか、物語が進むごとにのめりこんでいった。沢村だからこそ理解できることがある。こんなことにたどり着いてしまった犯人は絶対に許せないが、そうなってしまった経緯が悲しすぎる。デビュー作である前作より格段に読みやすかった。次作も楽しみだ。
博士号取得という異例の経歴を持つ沢村依理子警部補シリーズ続編。
前作では女性であることや博士号持ちということが警察組織の中で足枷になっていたのが、今作では沢村だからこその視点を生かしている。そのことで他の警察小説との差別化もでき、シリーズとしての色ができた感じ。
日本のアカデミアの旧態依然とした在り方やアカハラ、ジェンダー差別など、社会問題も物語に折り込み読み応えもあった。
タイトルから勝手に文理を越えた数学者との頭脳戦を期待していたけれど、これはこれでもちろん面白い。哀しい女王のやりきれなさと沢村の希望が見えるラストが見事な対比となっていて終わり方も好みだった。
スピード感も出たし前作より格段に読みやすくなっていて、男性優位の世界で頑張る沢村を応援したくなる。今後の作品も楽しみ!
男女平等が普通だと思っているのに社長とか運転手とかまだまだ女性だと判ると驚く自分がいてハッとする。職業に性別は関係ないはずなのに何故、ここまで根深く染みついてるのかが不思議だし、平等だと考える時点でもうバイアスがかかってるってことなんだろうな。
『北緯43度のコールドケース』の続編。カジンスキを連想させる爆弾犯の手紙から始まる。ある大学院の学長室で爆弾が爆破した。講演の後、参加者たちと立ち話をしていた学長は助かったが、学長秘書と数学科のある女子学生は犠牲になった。自分をバードと呼ぶ爆弾犯の目的はなんなのか。犯人が狙ったのは学長か学長秘書なのか。 道警本部に人事異動した沢村は爆弾テロが起きて、捜査1課に呼ばれるが…。
面白かった。前作より簡潔になっていたのがよかった。
ジェンダー問題、私が無意識に持っているジェンダーバイアス。それをこの本を読みながら自覚した。
前作がもっと意外性があってよかったな。 しかし、楽しく一気に読んだ。