令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法
新川帆立
この作品は、現在アーカイブされています。
ぜひ本作品をお好きな書店で注文、または購入してください。
出版社がKindle閲覧可に設定した作品は、KindleまたはKindleアプリで作品を読むことができます。
1
KindleまたはKindleアプリで作品を閲覧するには、あなたのAmazonアカウントにkindle@netgalley.comを認証させてください。Kindleでの閲覧方法については、こちらをご覧ください。
2
Amazonアカウントに登録されているKindleのメールアドレスを、こちらにご入力ください。
刊行日 2023/01/26 | 掲載終了日 2023/02/15
ハッシュタグ:#令和反逆六法 #NetGalleyJP
内容紹介
通称:令和反逆六法――
六つのレイワ、六つの架空法律で、現行法と現実世界にサイドキック!
「命権擁護」の時代を揺さぶる被告・ボノボの性行動、「自家醸造」の強要が助長する家父長制と女たちの秘密、「労働コンプライアンス」の眩しい正義に潜む闇……。
痛烈で愉快で洗練された、仕掛けだらけのリーガルSF短篇集。
【収録短篇および各話の架空法律】
◇第一話 動物裁判
礼和四年「動物福祉法」及び「動物虐待の防止等に関する法律」
◇第二話 自家醸造の女
麗和六年「酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達(通称:どぶろく通達)」
◇第三話 シレーナの大冒険
冷和二十五年「南極条約の取扱いに関する議定書(通称:南極議定書)」
◇第四話 健康なまま死んでくれ
隷和五年「労働者保護法」あるいは「アンバーシップ・コード」
◇第五話 最後のYUKICHI
零和十年「通貨の単位及び電子決済等に関する法律(通称:電子通貨法)」
◇第六話 接待麻雀士
例和三年「健全な麻雀賭博に関する法律(通称:健雀法)」
【著者略歴】
新川帆立(しんかわ・ほたて)
1991年生まれ。アメリカ合衆国テキサス州ダラス出身、宮崎県宮崎市育ち。東京大学法学部卒業後、弁護士として勤務。第19回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、2021年に『元彼の遺言状』でデビュー。他の著書に『剣持麗子のワンナイト推理』『競争の番人』『先祖探偵』などがある。
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784087718218 |
本体価格 | ¥1,650 (JPY) |
ページ数 | 272 |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
飛ぶ鳥を落とす勢いの新川帆立さんの新作。これまでキャラの立った主役を軸にテンポよい勢いで進むページをめくる手がとまらなくなるミステリーを発表し続けていた印象があるが、今回は近未来というのかパラレルワールドというのか、これをSFと呼ぶのもちょっと安易な気がしてしまうような新しい設定。
法律家としての知識を存分に使い、架空の法律を扱った独立した六遍。どれもかなりブラックな印象。個人的には最後の一編の熱量が群を抜いていて著者の経歴を今一度見直してなるほどなと思った。
「あなたが最後に反抗したのはいつですか?(…)自分より大きなものに立ち向かっていく反逆者のための短編集です」という作者からの紹介文を読後に目にした。
これぞ、新川帆立さん!
弁護士ネタはリアリティが凄い!
架空の法律や世界観のはずなのに
なぜかスッと入ってきてしまうのは
弁護士である新川帆立さんだからこそ書ける作品。
そして毎回新たな作風を出してくれるので毎回ワクワク!
新発想の連続で、まさにアイディアの宝庫である新川帆立さん!
動物、労働、通貨と幅広いジャンルから新しい法律が次々と飛び出してきます。
様々な“レイワ”が登場する中で特に興味が湧いたのは、麗和六年での通称 どぶろく通達となる「自家醸造の女」。
醸造にチャレンジする2人の女性はお互い友人のように思っていたが心中は・・・というところ。
お姑さんを含めた女性の心理を見事に映し出している内容でした。
痛烈な風刺小説だ。
フランスの新聞のひとコマ痛烈風刺漫画のような読後感。
見事の一言に尽きる。
鼻持ちならない批評や後出しジャンケンみたいな批判が蔓延する昨今、明らかに一線を画すプロフェッショナルの仕事に惚れ惚れした。
礼、麗、冷、隷、零、例。内容とリンクするレイワ。秀逸なのは前半の特殊設定3編。後半の3編の題材は現在と同じ舞台だが設定に一捻りアリ。いずれもミステリー仕立てで料理されていて、個人的には2章と6章が面白かった。著者はどんなジャンルも隙がない印象。星3.5
「ここでは私が法律だ!」なんて、昔々にはこんな発言をする人もいた。
これは「私が言うことは絶対だ!」と言う意味であり「法律=絶対」という共通認識があるからこそ意味が伝わる言葉だろう。
ところが本書の中の6つのパラレル「レイワ」はこの「絶対」が異なる世界。
そんな世界は全くもって受け入れ難い!とはならずに「いやこれはあり得るぞ…」とニヤニヤしてしまうのは、ある日世界を一変させたコロナ禍を私たちが体験してしまったからに他ならない。
この先私たちの世界はどう変化していくのだろう?
シンギュラリティはきっといつか起きるだろうし、日本国がデジテル通貨を発行する日だって遠からず来るだろう。
その時私たちが思っている「絶対」は今とは全く違う形をしているはずだ。
法と価値観に対する毒と憂いとユーモアのスパイスを効かせた6つの物語りは、巧妙かつ繊細。それぞれに風味が異なり、手放しに面白かった。
しかしこの本から顔を上げた途端、私は問われた気がしたのだ。
法律=絶対ではないと気づいてしまった今、私たちは何を信じ何を基準に生きていくのか。
「正しさ」は時代によって変わる。
それでは…
「自分で考えろ。人の言いなりになるな。」吾郎の言葉が、沁みた。
「令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法」
???
題名を読んだだけではいまいちピンとこない本作の内容でしたが、そういうことでしたか。
発想が面白い。
それぞれの「レイワ」の時代で起こるSF、ファンタジーのような架空法律が面白い。
なんだか現実世界がつまらなく思えてしまうほど。
弁護士というお堅い肩書を持つ新川さんが描くことで尚更このパラレルワールド的な物語が
さも現実のように見えてくるのでしょうか。
とても面白かったです。
今をときめく新川帆立さんの新刊なのでワクワクしながら読み進めた。短編集の一作目は「動物裁判」。やはり著書専門の司法モノと思いきや内容は何とSF。2作目も、3作目も最後までSF。新境地だわ、しかもいつもながらに一気に読ませる筆力、恐るべし。あと幾つ引き出しがあるのだろうと、今から次作も楽しみになる。しかし、本作のドラマ化は難しいだろうなぁ…。あるとしたらアニメだろうか。
2021年デビューにして精力的に活動中の荒川帆立先生のSF短編集。
デビュー作は設定・題材の面白さと登場人物のクセの強さが非常に面白くバツグンに印象に残っていました。本作もユニークな設定の作品ばかりで6作のSF短編が収められています。
現代の日本なんだけれどもどこかが少し今と違う世の中の設定が多く、どこかが少し違う世界でどんな事が起きてゆくのかワクワクして読み進めました。
自分は「自家醸造の女」が一番好きでした。先生の人物描写が結構好きでクセある人物や登場人物の人となりがよく描かれている作品が好きなのでそういった作品はやはり読んでいて楽しいです。
あと酒造りのシーンがやたら細かいのも好きwデビュー作の時もポトラッチが出てきてかなり驚いたのですが先生は一般にはよく知られていないテーマの詳しい解説と魅せ方が上手いなぁと思います。個人的には先生の詳しく知ってるネタを遠慮なくガンガン使う作品なんてのも読み応えあって楽しそうだなーって思ったりしてます。とても面白かったです。
読み終わった後の何とも言えない不安感。中学生の時に星新一さんの作品を読んだ時の気持ちに似ていた。
今現在の私達の世界と似ているけど異なるパラレルワールドのような世界の話で、違う世界にいるからこそ、私達読者は、初めはよりよい社会になるようにとそれなりに目的や意義を持って作られた法律が、運用される過程で更なる苦しみや無用な争い生み出すことに眉をひそめることもできるし、その滑稽さを指摘することもできる。
けれど、本当にそれは別世界の話なのか。私達が生真面目にこれが常識、これが守らねばならないモラルであり正義であると思っているものだって、傍から見たら残酷で滑稽なものなのかもしれない。
だから、読んでいて不安にならずにはいられないのだと思う。
『このような中で、解散総選挙をも見越した国民投票を経て、現金廃止が決定したのだった。・・新たに「通貨の単位及び電子決済等に関する法律(通称「電子通貨法」)」が制定された。(p181)』なんでも閣議決定の我が国からするとうらやましいパラレルワールド・・。閑話休題、「元彼の遺言状」「競争の番人」はTVで入ってしまった新川帆立さん、#Netgalley で新刊を読ませて貰う。さすがは元プロ雀士にしてお仕事小説巧者、接待麻雀Girl(あえてGirl)が魅力的だけど「回りをよく見ろ」と言われるのが痛々しい。
『令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法』
タイトルだけではまったく想像がつかず、読み始めたがとても面白かった。
六つのレイワにおける六つの架空法律が登場する短編6篇。
パラレルワールドを描いているのに、どれも現代社会へのちょっと皮肉めいたところが効いていて、思わずふふふと笑ってしまう。六篇とも終わり方がどれも好きだった。
特に好きなのは第四話の「健康なまま死んでくれ」人間の奥底にある薄暗い感情の描き方が好きだった。
新川さんの作品はすべて読んできたが、リーガルSFを描く今作もとても面白かった。
これからも新川さんの新作を楽しみにしたい。
架空の6つの法律をテーマに、法律に関わる人々の悲喜こもごもをシャープに、アイロニックに描き出す1冊。どれも読後感が強烈で、丁寧に重ねられたミステリのロジックとイヤミス的な不穏な雰囲気、世の中を強烈に皮肉り倒す法律の設定に感嘆させられる。好きなのはいくつものどんでん返しを仕込みつつ、最後に快哉をあげたくなる「動物裁判」。ポリコレへの皮肉を真正面からぶつけに行くスタイルも大好き。「労働者保護法」もロジックと、法律の厳格さ故に現実との落差が余りにも不穏な雰囲気を作り出していくさまにドッキドキされられました。コロナ禍の制度設定にグサグサ刺さる名編です。オススメ!
6つの世界線、どれも全く違う話で引き出しの多さに驚かされた。それぞれレイワのレイの字が違うのだが、その一文字からしてこだわりを感じる。一番面白かったと感じた、「シレーナの大冒険」はファンタジーのような一風変わった始まり方でワクワクした!こんな世界があってもおかしくないと思わされるようなお話ばかり。
新川帆立さんの勢いが凄い。経歴が活かされた今作の縦横無尽な発想にまたしても圧倒された。そしてこの長いタイトルの意味が、読み終えてやっとわかった気がする。今起きている社会問題が根底に据えられた6つの短編は、現時点では架空でも、いつか本当にこうなるかも?という真に迫る空恐ろしさを感じた。どの章の時代も"レイワ"であることがその感覚に輪をかける。拍動高鳴るダイナミックな展開も秀逸。価値観の逆転やあり得ないことがあり得る世界で、弱い立場の者たちは果たして生きやすくなったのか?絶妙に切なく心に響く6編だった。
架空の法律があるパラレルワールドで繰り広げられる世界観。
「動物裁判」のラストはもしかしたらこうなるかもと思ってたらやっぱり…
「健康なまま死んでくれ」は実際に起きそうな話だなぁ…と。
どのストーリーも最初にどういう世界なのかを知るのに少し説明を読まなきゃなのが少し不便に感じたかも。
異なるレイワ時空を舞台にした独立した6つの短編。架空の法律だが、ありえないとは言えない程度にどこかリアリティのある設定で面白かった。個人的には1話の動物裁判、3話シレーナの大冒険が好み。新川帆立の他作品も読んでみようと思う。
こういう新川さんも面白い!
今までの作品は弁護士や検事もの、探偵ものなど現実的な題材が多い印象。
こちらはSF要素のあるパラレルワールドでの法律短編集。
次はどんな世界かな?どんな内容なのかな?
とワクワクしながら読みました。
現実世界ではあり得ない設定でも何故だかリアリティがあるのは新川さんの説得力のある文章の為せる技なのかも。時々ツッコみたくなるおかしな設定もコミカルで面白い。
もっともっとこの方の創る物語を読んでみたくなりました。
不穏。不穏にして妙にリアルで、荒唐無稽なパラレルワールドと思いきや、現実世界となんら変わりない妬み、嫉み、絶望と焦燥…ひたひたと迫る恐ろしさ!
友達と感想を語り合いたくなる小説です。読ませていただき、ありがとうございました。
無さそうで実際にあったとしても不思議ではないような、やっぱりなさそうな法律の話と説明すればいいのでしょうか。
法律って面白いな!?
こんなに法律を面白く感じたのは初めてです。
まさか小説を読んで、法律って面白い!という感想を述べることになるとは、読む前には想像もしていませんでした。
新川帆立先生の作品は、見つけたら読むようにしているので、迷わずリクエストさせていただきました。
「令和」の世にはない架空法律の下、動物裁判専門の弁護士、接待麻雀士など、架空の職業や、自家醸造などの架空の風習が登場する物語は、これまでに読んだことのない世界観で、意表を突かれました。
大真面目だけれど、ちょっぴりおかしい。ちょっぴりおかしいけれど大真面目、どこかで聞いたようなフレーズも、少し違った文脈で語られていたりして、ウィットに富んでいて楽しめました。
承認ありがとうございました。
6つのレイワの中に制定されている6つの法律に基づくSF短編集。面白かった。どの話も近い将来起こりうることのようで、ちょっと怖さも感じた。「レシーナの冒険」は、バーチャルな世界の進化の先をみたような感じを持ったし、「最後のYUKICHI」は、まさにキャッシュレス時代に起こりそうな話だった。「接待麻雀士」は、作者の新川さんが元プロ雀士だったこともあり、麻雀の描写はとてもリアルだった。新川さんの新しい一面がまた見えたようで、今後どんな作品を生み出していくのか、期待して待っています。
6編から成る短編集。この全ての物語がパラレルワールドになっていて、異なる6つのレイワでの架空の法律を元に出来上がっている。SFが苦手な私でもあまりSF感を意識する事なく楽しく読めた。最後の『接待麻雀士』については私自身がギャンブルは全くしないのであまり感じなかったが、他の5編に関しては実際にあったら嫌な法律だなぁと思う。『最後のYUKICHI』なんて実現化しそうな感じがする。いずれにしても、法律が出来た時とはかなり変化した時代になっているのだから、今の時代に合った法律に変える必要もあるのかもしれない。
これまで読んだ作品は、気持ちよくサクッと読めて、人物にもすんなりと感情移入できて、リーダビリティ抜群の作品ばかりだった。
今作は突飛な設定が連続し、引っ掛かるところ続出。
だから逆にどんどん惹かれていく。さすが令和のミステリー女王。
才能が溢れているとはまさにこの事、をひしひしと感じました。
著者は"法律"という強固なカードを手に、その世界が私たちにとって縁遠くない、如何に身近なものなのかを次から次へと切ってこられます。
どの短篇もそれぞれ違う味わいながら、根幹は同じ。
架空のレイワの時代は、一歩踏み外したところにある現代のパラレルワールド。
普通とか当たり前だと思い込まされている現在(いま)を疑って、反逆の芽が出る土壌(こころ)を育てておかないとあっというまに日常がすり替えられる警鐘の物語だと感じました。
令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法 新川帆立 著
データから復元された人が、元の人と「心のかたちが一緒」という言葉に居心地の悪い救い。おもしろい話だなぁ、麹はどこで買おうかと読んでいたけど、これ架空で済むか?こんな時代が来るかも、いやそうなりかけてるかもと、そら恐ろしくなる6篇
新川帆立さんの今までの作品とは一味違った短編集。6話それぞれがちょっと違ったテイストでブラックなストーリーで楽しめました。こんな作風のものも書かれるなんて、ますますこれから新川さんの本を読むのが楽しみになりました。
タイトルの、令和その他のレイワ、架空六法で近未来の法律?ファンタジー?と思ったけど、さすがは新川さん一気に読ませてくれました。
6つの短編集で、自家酒造の話と宅配ピックアップ会社の話、現金禁止の話が特に面白かったです。新川さんの引き出しの多さを感じました。
架空の法律...とは言え、それほど遠くない将来ありそうで興味をそそられた。著者の他の弁護士ものより楽しい。
年号が様々な「レイワ」になっている所が、現代への軽い風刺か?
現金大好きなオバサンは禁止になったらどーしよーと真面目に思った。
近未来なのかパラレルワールドなのか…という世界ながら現実にあり得そうな世界を描いているのがじわじわ怖い。
「健全な反逆」の示すところが何なのか。私たちはこのような世界を迎えてよいのか。一見楽しく読めても立ち止まって考えたい作品。新川帆立さんの守備範囲の広さには脱帽です。
ラノベ好きの若い読者にとってはちょっと難しいかな。
六つのレイワ、六つの架空法律の短編集。面白かったです!
これらの架空法律が、今後、本当にあり得そうでした。
一話目の「動物裁判」がなかなかリアルで、初っ端から引き込まれました。
「健康なまま死んでくれ」は、会社の利益のみを追求した結果、とんでもない行動に出るなんて、震えました。でも現実にそういうこと起こってそうなリアリティがありました。
一作ごとに新たな世界観を見せつつ、リーガルミステリの軸はぶれない。
しかも今回はSF要素も満載で六つのレイワの時代をつなぐパラレルワールドを開陳。
今わたしたちが生きる令和の時代を、新川さんが痛烈に批判し、こうありたい世界を垣間見せる手腕に唸らされる。独特な法律の縛りをみごとに作り上げ、にやりとせざるを得ない世界を構築する。
こと新川帆立さんに関しては、天は二物を与えずは通用しないと、再確認だ。
タイトルだけ読むと難しそうな印象を受けるかもしれませんが、全くそんなことはありません。
架空の法律によって統制された6つのレイワの世界が舞台になったリーガルSF短篇集です。
今まで読んできた新川さんの作品とはまたガラリとイメージが変わっていて、とても驚かされました。ミステリもエンタメもSFも書けてしまうなんてすごい!まさに新境地です。
自家醸造の女、動物裁判、健康なまま死んでくれが特に好きでした。
6つのパラレル・レイワ、6つの架空法律によって巻き起こる、愉快で奇妙でブラックな6つの”反逆“の物語。デビュー以来次々と本が出版され、立て続けにドラマ化されたりと勢いのある新川さんの新たな一面が垣間見れる1冊だった。でも法律が絡んでいたり、麻雀が出てきたりするから、元弁護士、元プロ雀士しという経歴を存分に発揮しているってことか。SFって触れ込みだけど、現在どこかで起こっている問題のような気がしてならなかった。6つのレイワで起こっている設定って事自体が皮肉ってて面白い。好みだったのは第一話の動物裁判。ボノボの賢さの使い方が巧い👏
新川さんの作品は毎回楽しく読ませていただいていたので今作も読むのが楽しみでした。
タイトルだけ見ると難しそうなイメージがありそうに感じて初めて読もうと思う読者は避けてしまいそうかなと思いました。
もう少しタイトルが分かりやすかったらいいのかなと個人的には思いました。
内容がとっても良かったので勿体ないと思いました。
新川さんの作品は中盤あたりからラストまでの読書スピードが猛ダッシュするほどの面白さがあるので今作も友人にオススメしたいと思います。
架空の法律が施行された近未来で起きる事件の短編集。
制定される時点での社会情勢を反映する「法」が、性質上その時点の曖昧なラインをはっきりさせることを逆手にとっているようだ。本来そのラインをはっきりさせることで、円滑な社会生活を営めるよう導くはずが、逆に混乱を引き起こすことがなんとも皮肉で小気味いい。
現時点での世相をうまく皮肉ったディストピア短編集。
タイトルだけ見ると何それ?となったけど、
六篇それぞれ違った設定のレイワ世界での架空の法律が絡んだ短編集。
どれも結構皮肉を含んだメッセージ性のある話で、
妙に納得しながら読んだ。
健康なまま死んでくれ、が特に印象に残った。
親の介護、
便利さの裏にある過酷さ、
健康に働いてくださいの裏側、
想像できてしまうことにゾッとした。
6篇とも世界観が違って、
幅を感じる一冊で面白かった。
法律を知り尽くした新川さんならではのSF短編集。
六つの礼麗冷隷零例で構成されています。現代の世の中ではない話ですが、これからはどうなるのか‥
動物福祉法も人と同じ権利、財産権まで保有する様になったら?とか。
酒税法においては、女性の社会的立場について考えさせられたり。
映画アバターのような設定もありながら、地球規模の問題にまで広がるものもあります。
「最後のYUKICHI 」のように、そのうち現金は消えてしまうでしょうし、今の政財界の重鎮たちが消えたら接待のカタチも変わるに違いありません。
個人的には労働者保護法を扱った、まるで有名通販サイトの倉庫での殺人事件が1番印象的でした。
法律とは何か、私たちの常識、揺るがないものとは何かを考えさせられる作品でした。でもこれは読後感。こんな考えもあったのか、今度はこんなレイワ⁉︎と面白く読みすすめました。
令和反逆六法。六つのパラレル・レイワで成立した六つの架空法律が成立したことで、社会のありようは大きく変わって、けれどそんな急激な変化についていけず困惑してうまく適合できない不器用な人たちもいて、他に選択肢もなく抗うしかない立場に追い込まれてゆく姿と皮肉にも思えるそれぞれの結末が、これからの未来を暗示しているような気がしました。
世の中が変わっていく。
年号が変わると、平成ではこうだったが、令和の今はこうだ、みたいに断じられることもよくある。
どうやらこれはそれを逆手に取った、世の中への挑戦状のようである。
どこかの世界の様々な「レイワ」における価値観と新法。それによる人々の狂想曲。
一歩間違えば現実の世界になりうるように見えるのは、どのレイワワールドでも人の心は変わらないから。
感情、人の心の動きの根本は変わらない、変わるのはそれを取り巻く価値観だけ、それに対して私たちがどう振る舞うのか、冷徹に描き出され、それは時に滑稽なほど哀しい。
その滑稽な哀しみの世界を体験すると、戻ってきた自分の今いる世界がこれまた、少しばかりおかしな感じに思えるから不思議だ。そんな体験を味わえる一冊。
「お総菜もお米もお酒も全部家で(だれが?)作った方がいいに決まってる」
麗和がショウワ(昭倭)に逆戻りの第2話『自家醸造の女』が特に面白かった。
身体にいい 家庭の味母の味…刷込みと呪縛から解放されたラスト、笑えて清々しい。
礼和麗和冷和隷和零和。
現金廃止の零和、賭け麻雀合法化の例和、命権の礼和などなど、
ありえないと笑っている場合ではないと思ったのは私だけだろうか?
ifに溢れた法律のあれこれ。上質なSF短編作品だ。ショートショート作品集と行っても過言ではない。法律のスペシャリストである著者だからこそ描けた世界である。。いくつもの「レイワ」が存在し、それぞれの法律が設定されているのが面白い。新川帆立さんの新境地的作品集だ。
新川帆立さんの本はこれまで全部読んでいるのですが、かなり毛色の違う異色作でした。ちょっとディストピアっぽく、ちょっと嫌ミスっぽく、ちょっとダークな感じ。個人的には「最後のYUKICHI」が好きで、めちゃくちゃくだらなくて面白かったです。
令和のこの世界がちょっとずれたら。作品では現代から少し進んだあるいは行き過ぎた世界が描かれていて面白く読んだ。そのズレのせいで今の常識や基準がゆらいで不穏な作品になっている。ただもう少し現実世界の理不尽なところを衝いた新法にすれば、もっと皮肉のきいた毒ある作品になった気がする。
6つの並行世界を舞台に据えた奇想の短編集。
SF寄りの作品もあるが、amazonのピッキング作業ほか、各編の主軸となる分野への取材は綿密だ。
女性心理の描写がエグい「自家醸造の女」と「接待麻雀士」がやはり双璧。
物語は全て架空の法律が基になっています。著者初のSFということですが、SF色はあまり強く感じられず、読みやすい物語になっています。
近未来には実際にこのような法律が出来るかも?と思いながら想像しながら読み進めるとまた楽しいと思います。
架空の法律が存在する近未来社会の6話の短編。
ありそうでなさそうな微妙な法律が面白い。
動物愛護や労働者保護、キャッシュレスの法律はユーモアありのややブラックな展開で楽しめた。
麻雀のコアな話はさすが経験者なだけあって笑えました。
読み始めは、すごく難しい話なのか?と身構えたが、そうではないとわかり安堵。
でもいつもの新川さんと違うなと思いつつ読み進める。
そしてこれはSFなんだと気付く。
どの話も人間って怖いなと思わされる。ブラック感が強い作品。
最後の話は、麻雀のことがわかっていればもっと楽しめたのかなと感じた。
デビュー作から応援している新川帆立さん。今回は6つの短編が収められているが、動物がMeTuberとして活躍する世界や、リアルとバーチャルが融合した世界といったSFのような作品も含まれており、バラエティ豊か。これまでの弁護士や公正取引委員の主人公が問題を解決してスッキリ終わる作品も好きだが、こちらはブラックなオチにゾワッとなる作品もあり、著者の新境地にも感じた。どの作品にも架空の法律が登場するところも面白い。これからもいろんな作風を見せてほしい。
これは…
預言書じゃないですかっっ!!(笑)
現実の日本で、新しい法律が沢山出来たり、出来ようとしてる事を、一体どれほどの人達が知っているのでしょう?
その法律によって、どうなっていくのだろう…という疑問を、具体的にストーリーにして、体験させられてしまったような、気がしました。
『こういう法律が出来たの、知ってる?』
『こういう法律が決まろうとしてるの、知ってる?』
と、周りに聞いても、ほとんどの人達が知らないんですよね。
こんなにも知らない人が多い事は、現実に起きていても、まるで、パラレルワールドのように、自分とは重なり合うことのない世界で、起きている事のようだな、と思っているところでした。
そんなところも、この小説に重なってるように感じました。
これって、あの法律っぽいね。
これって、あの事っぽいね。
そんな風に思いながら、夢中になって読みました。
どうして、こんなに、おもしろおかしく、書けるんでしょう。
「こんな話なんですよ…」
と、話すと、みんな、この本にも法律にも興味を持ってくれます。
売り場から『六法全書』持ってきたり、ネットで新法を調べたりして、話が広がります。
今、多くの人達に読んで欲しい、一冊です。
新川帆立さんがこれまでの作品を一度ぶっ壊して新たな領域に挑んだと思える斬新な作品集ですね。タイトルはまるで落語の「寿限無」みたいで読者にわざと覚えさせないようにしているかのようでインパクトがありユニークですね。近未来のパラレルワールド(平行世界)の日本のさまざまな漢字のレイワ時代で6人の男女が巻き込まれる常軌を逸した架空六法の物語。未来への警鐘と痛烈な社会風刺の精神が流れていますが教訓的ではなくそれぞれの主人公達にまるで自分自身が体験しているかの様に感情移入して一喜一憂しながらスイスイと読み進められます。男性が主人公の話も初めてで、現代版「生類憐みの令」の話、家庭の主婦受難の話、SFファンタジー、サラリーマンの辛い話、万札を巡る筒井康隆風ハチャメチャ騒動、プロ麻雀師の試練の話とヴァラエティーに富んだ内容で、読み終えて「一寸先は闇」「明日は我が身」と思いましたね。まあ程度の差こそあれ今の世知辛い世の中にこれからも負けずに強く生きなければと思わせられるハードな物語を読んで身が引き締まる良い意味で刺激的な一冊でしたね。
よくぞこれほどまでに多種多様な世界を創り上げることができるものだと脱帽してしまった。
空恐ろしくなる結末も胸が痛くなる展開も、終始心をざわつかせるものだった。
それでもページを捲る手は止まらず、それは著者の筆力に他ならない。
著者のこれまでの作品とは一線を画している。短編集とはいえ渾身の力作だ!
もしもこんな法律があったら…というお話。わりとすんなり設定を理解し、もし本当にこんな法律があったらこの話のような現実があるかもと思わされそうな妙な説得力を感じた。どれも読み終わりに心にチクッと引っ掻き傷を残す印象。皮肉が効いてて面白い。