ここでは誰もが嘘をつく
嶋中 潤
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刊行日 2022/12/05 | 掲載終了日 2022/12/04
ハッシュタグ:#ここでは誰もが嘘をつく #NetGalleyJP
内容紹介
目の前にいる患者は、犯罪者。罪を償わせるために、命を救う医師がいる。
この仕事は、誰かがやらなければいけない。
目の前の患者を救うことを、分け隔てなく。
函館にある医療刑務所分院に努める金子由衣(かねこゆい)は、2年目の矯正医官。医療刑務所では、患者である受刑者の平均年齢も高く、凶悪な罪を犯した者も基礎疾患などを抱え医師の助けを必要としている。一方で不調を訴え刑務作業逃れをしようとするものも多い。受刑者の過去の罪と患者としての現在の状況を毎日のように目の当たりにし、贖罪とは何かを考える由衣だったが、当直の晩、糖尿病を患っていた前科四犯の受刑者が亡くなった。これは医療事故か、あるいは殺人事件なのかーー。
著者・嶋中 潤(なかじま じゅん)
1961年、 千葉県生まれ。東北大学理学部卒業、東京工業大学大学院修了。国際宇宙ステーション利用業務に従事。2013年、『代理処罰』で第17回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。
著書に、無戸籍者の苦悩を描いた『貌なし』、国際宇宙ステーションでの国際テロを描いた『天穹のテロリズム』、死刑制度に翻弄される者の悲哀を描いた『死刑狂騒曲』など。
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出版情報
ISBN | 9784065292822 |
本体価格 | ¥1,800 (JPY) |
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疲弊するのは、仕事の意味がわからなくなったときだ。働いていれば、大なり小なり直面する。その極端な形がここに描かれている。だから自分とはかけ離れた職場環境が舞台にもかかわらず、引き込まれる。
社会の多数派が求める正義には、圧がある。圧は正義の顔をして、悪を唆す。
この小説のどこに怖さを感じるか、そのときの自分の人生のリトマス試験紙になるかもしれない。
京アニの事件でも話題になっていた、犯罪者をなぜ助けるのか。
非常に難しい問題だと思う。
この本を読んで「誰かがやらなきゃいけない仕事」だとは分かっても、複雑な心境になった。
当事者たちもそんな想いで迷いながらも葛藤しながらも真摯に仕事に向き合っている姿に頭が下がる。
高齢化が進んでいるのは、刑務所内でも同じこと。生死の自由もない、塀の中での暮らし。だけど、貧しい暮らしをしている人よりは、税金で手厚く生活ができる。全てが社会問題で闇が深くて、かなり考えさせられた作品でした。
医療刑務所で矯正医官として働く若手女医が、老いや病から助けを必要としている受刑者と向き合い、医師としての正しさに思いを巡らす医療ミステリー。
どんなに理不尽でも「誰かがやらなくてはならない事」が世の中には溢れていて、その憤りをどう受け入れるか、正解のない問題に悩まされた。医師・看護師・刑務官、同じ所で働く仲間でも、役割の違いから生じる「責任」に関する描写が凄く印象に残った。
生きていく為には必要な物がたくさんあって、当たり前にそれは加害者にも言える事だけど、被害者への乏しい支援から鑑みると、不自由な受刑者の方がよほど恵まれている様に思えて、やるせない気持ちになった。不自由すら生きてる証。
矯正医官の役割をこの本で初めて知った。刑務所という限られた空間ても、人と人が交わるその場所には必ず闇がある。その闇を必死で掻き分けていると、見なくていいものが見えてきてしまう。そのときに、迎合していくのか、それとも、、。壁に向かって一心不乱に被害者への詫びを請う受刑者、「じゃあまた」と出所時にすぐに戻ってくる=また罪を犯すことを悪びれない受刑者、後者のほうが多い気がするのはこの本を読んだならなのか。栄養満点な食事、費用を気にせず受けられる医療、加害者がここまで守られる日本という国はやはりどこかおかしいとの念が消えない。
刑務所の診療所で働く新人医師。
医師として救える命に全力で向き合おうとするが、被害者のことを考えると果たして正しいことなのか。
高齢化する受刑者たち。塀の中では刺激がすくなく、認知症もすすむ。
ここにも、日本の抱えるさまざまな問題が同じように現れるのだ。
矯正医官二年目として働く金子由衣は悩んでも答えの出ない気持ちを抱えながら日々任務を全うしようと患者たちに向き合う。
救うべき患者は罪を犯し服役中の人たち。自分がなんの為に働いているのか、医者としてどのように患者たちへ接するべきなのか。罪を償うとは。死とはなんなのか。
自分も仕事に対して悩むことはあるけど、ここまでのやるせなさを感じたことはない、のは幸せなのかもしれない。
最後の告白は予想できた事とはいえ、“静謐とも呼べる笑み”という表現にガンっと殴られたような気持ちになりました。
矯正医官という仕事があることは知っていたが、それについて書かれているものを読んだことはなかった。
主人公の由衣は、法務省から出ている奨学金制度で医師になり、法務省が定める医療刑務所分院で三年間働くことになった。患者はすべて何らかの罪を犯した、いわゆる悪人。毎日誰かが透析治療も受けている。
ものすごく葛藤のある難しい仕事だと思った。
この、殺人を犯した人を自分は助けるべきなのか。もしかしたら出所したら罪を犯すかもしれないのに。
誰かがやらなければいけない仕事であることはわかっている。しかし、本当に難しい。
法務省の奨学金のページを見てみた。「矯正医官修学資金貸与制度」と呼ばれる奨学金だ。
年収1400万円。宿舎あり。
少年院や少年鑑別所などならまだ未来がある、矯正の余地がある子供たちへのためにと考えれば、やりがいもあるのかもしれない。もちろん罪を犯した人でも、同情の余地がある人もいる。この物語に出てきた平田さんがそうだ。毎日般若心経を唱え、日々反省して過ごしている。この平田さんと奥さんのエピソードに関しては涙腺が緩んだ。
でも基本的に難しい仕事なので、この仕事をしている人には本当に尊敬しかない。だからこういう奨学金制度もあるのだろう。
これを読み終わった後死刑囚のリストも見た。「ピアノ騒音殺人事件」の人は90もとっくに過ぎている。
精神疾患もあるような人なので、きっとそういった医療機関にもかかって生きているのだろう。
そうすると、死刑とは・・・という違う疑念もわいてくる。
税金で賄われるこうした医療機関は、いったい何のためなのか。犯罪者の治療はどこまでするべきなのか。
ものすごく考えさせられる物語でした。
特に医師、医療系を目指す高校生の人に是非読んでもらいたいと思った。