こうしてイギリスから熊がいなくなりました
ミック・ジャクソン
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刊行日 2022/11/18 | 掲載終了日 2022/11/18
ハッシュタグ:#こうしてイギリスから熊がいなくなりました #NetGalleyJP
内容紹介
電灯もオイル・ランプもない時代、森を忍び歩く悪魔として恐れられた「精霊熊」。死者への供物を食べさせられ、故人の罪を押しつけられた「罪食い熊」。スポットライトの下、人間の服装で綱渡りをさせられた「サーカスの熊」──彼らはなぜ、どのようにしていなくなったのでしょう。『10の奇妙な話』の著者であるブッカー賞最終候補作家が皮肉とユーモアを交えて紡ぐ8つの物語。
電灯もオイル・ランプもない時代、森を忍び歩く悪魔として恐れられた「精霊熊」。死者への供物を食べさせられ、故人の罪を押しつけられた「罪食い熊」。スポットライトの下、人間の服装で綱渡りをさせられた「サーカスの熊」──彼らはなぜ、どのようにしていなくなったのでしょう。『10の奇妙な話』の著者であるブッカー賞最終候補作家が皮肉とユーモアを交えて紡ぐ8つの物語。
出版社からの備考・コメント
・多くのレビューをお待ちしておりますが、物語の核心をつくような、所謂「ネタバレ」はお控えください。
・ネタバレ行為はネットギャリーのみならず、読書メーター、ブクログ、Twitter 等の多くの方が目にする場でも同様にお控えいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
・本作は校了前の大切なゲラデータを著訳者よりご提供いただいた上で公開をしています。本作の刊行を楽しみにお待ちいただいている、多くの読者のためにも、ご理解、ご協力のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
出版情報
発行形態 | 文庫・新書 |
ISBN | 9784488594046 |
本体価格 | ¥840 (JPY) |
ページ数 | 206 |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
「こうしてイギリスから熊がいなくなりました」一度聞いたら忘れられないタイトル。ずっと気になってました。
コレは訳者のあとがきを先に読んだ方が作品に入り込みやすいですね。
イギリスに野生の熊が絶滅した過程を、熊を擬人化し寓話のように語られる物語。森の精霊として畏怖される熊、少しのパンとビールと引き換えに死者の罪を食う役割をする熊、熊いじめという見世物にされる熊、サーカスで芸をさせられる熊、下水の掃除をさせられる熊、潜水士をする熊、イギリスを出ていく熊たち。
最終話は熊に見限られたイギリス人みたいな印象を持ちました。
皮肉と風刺が効いてます。
とても不思議な8つの物語。
おとぎ話のような、昔話のような。
創作であろうと感じる中に妙なリアリティがあるのはイギリスの本当の歴史が背景にあるから。
訥々と語り聞かせるような文体で素直に読むことができるが、考えさせられる内容だ。
本作はイギリスで起こったことを背景に書かれた物語だが、それは決してイギリスだけの話ではない。
日本における汚れ仕事やキツイ仕事、社会のストレスをぶつけられながら差別されてきた人々と重なる。
何らかの形で現在も起こっていることだと、読者は気づくのだ。
熊を題材にした海外特有のクスッと笑えるジョークと、顔を顰めてしまいそうな皮肉とが詰め込まれた寓話集の文庫化。
闇に多くスポットが当たった内容にピッタリの、独特でちょっと不気味な挿絵が引き立っていた。「精霊熊」「罪食い熊」と序盤はお子さんでも楽しめる教訓めいた内容で、中盤はブラッド・スポーツなど闇が深くなり、終盤は全体を通し「人との距離感」を悟った熊たちの集大成。
自分の解釈で楽しみたいからあとがきは読まない事が多いけれど、今回は文化の違いから生じるものがとても気になり最後まで拝読し、イギリス人と熊との関係性を踏まえて再読してみると更に見え方が変わる気がして興味がわいた。
熊と人の集団心理的なものと、日頃の鬱憤を残虐性の中で発散しようとする感覚、慣れと群れによるエスカレートの精神に、残念な事に共感を覚えてしまった。イギリス人と熊の歴史を皮肉ったとても深い作品でした。