ウクライナ戦争
小泉悠
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刊行日 2022/12/06 | 掲載終了日 2023/01/04
ハッシュタグ:#ウクライナ戦争 #NetGalleyJP
内容紹介
メディアに多数出演中のロシア軍事専門家・小泉悠がウクライナ戦争について書いた、初の本格的論考。待望の書き下ろし単著!
戦場でいま何が起きているのか?核兵器使用の可能性はあるのか?第三次世界大戦はあり得るのか?抜群の人気と信頼を誇るロシア軍事研究者である小泉悠がこの歴史的事件を徹底解説し、その全貌を読み解く。
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【著者プロフィール】
小泉 悠(こいずみ・ゆう)
1982年千葉県生まれ。早稲田大学社会科学部、同大学院政治学研究科修了。政治学修士。民間企業勤務、外務省専門分析員、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所(IMEMO RAN)客員研究員、公益財団法人未来工学研究所客員研究員を経て、現在は東京大学先端科学技術研究センター(グローバルセキュリティ・宗教分野)専任講師。専門はロシアの軍事・安全保障。著書に『「帝国」ロシアの地政学──「勢力圏」で読むユーラシア戦略』(東京堂出版、2019年、サントリー学芸賞受賞)、『現代ロシアの軍事戦略』(ちくま新書、2021年)、『ロシア点描』(PHP研究所、2022年)、『ウクライナ戦争の200日』(文春新書、2022年)等。
【目次】
地図
略語表
はじめに
「世界の終わり」を待っていた場所で/舞い戻ってきた大戦争/本書の問いと構成/一当事者としての視点/若干の補足
第1章 2021年春の軍事的危機【2021年1月〜5月】
1 バイデン政権成立後の米露関係
集結するロシア軍/あっけない幕切れ/トランプ退場に神経を尖らせるロシア/牽制は効いたか?/ウクライナ・ゲート/ナヴァリヌィ・ファクター
2 ゼレンシキー政権との関係
コメディアンvsスパイ/シュタインマイヤー方式をめぐって/窮地に立たされるゼレンシキー/メドヴェチュークの政界復帰/ゼレンシキーの焦り
第2章 開戦前夜【2021年9月〜2022年2月21日】
1 終わり、そして続き
ロシア軍の再集結/高まる緊張/米国の「情報攻勢」とロシアの「外交攻勢」
2 プーチンの野望
グラデーション状の勢力圏/「ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について」/歴史、主権、「パートナーシップ」/プーチン論文をどう読むか
3 整った侵攻準備
公開情報が暴くロシア軍の動き/ベラルーシが前線基地に/非核と中立も放棄
4 プーチンのジェットコースター
迷う二人の筆者/プーチンの「ハラショー」/「虐殺」発言と膨れあがるロシア軍/針の筵に座らされるラヴロフ/パワハラ会議
第3章「特別軍事作戦」【2022年2月24日〜7月】
1 失敗した短期決戦の目論見
斬首作戦/ロシアが張り巡らせた秘密ネットワーク/「特別軍事作戦」とは何なのか/逃げ出す内通者たち/高慢と偏見/「死ななかった」ゼレンシキー
2 ウクライナの抵抗
持ち堪えるウクライナ軍/「聖ジャヴェリン」の加護の下で/ウクライナの「三位一体」/全力を出せないロシア軍
3 撤退と停戦
ロシア軍のキーウ撤退/会議は踊る/西側の大規模軍事援助/振り出しに戻った停戦交渉/ブチャ
4 東部をめぐる攻防
ロシアによる核の威嚇/「武器が足りない!」/マリウポリの陥落とルハンシクの完全制圧/ロシア軍の成功要因
第4章 転機を迎える第二次ロシア・ウクライナ戦争【2022年8月〜】
1 綻びるロシアの戦争指導
軍への不信を強めるプーチン/将軍たちの失脚/情報機関との軋轢
2 ウクライナの巻き返し
HIMARSがもたらしたロシアの攻勢限界/ウクライナが与えられるものと与えられないもの/主導権はついにウクライナへ
3 動員をめぐって
「我々はまだ何一つ本気を出していない」/プーチンの「ヴァイ……」/ロシアの動員態勢/総動員は本当にできるのか/それでも総動員を発令できないプーチン/部分動員へ
4 核使用の可能性
核兵器の使用という賭け/エスカレーション抑止は機能するか/核のメッセージング/効かなかった非核エスカレーション抑止
第5章 この戦争をどう理解するか
1 新しい戦争?
テクノロジーが変えるもの、変えないもの/ Enabler とEnabled /ハイブリッド戦争―「戦場の外部」をめぐる戦い/ロシアの「ハイブリッドな戦争」とウクライナの「ハイブリッド戦争」
2 ロシアの軍事理論から見た今次戦争
「新型戦争」/「新世代戦争」/プーチン少年の破れた夢/限定全体戦争?
3 プーチンの主張を検証する
ウクライナは「ネオナチ国家」か/根拠の薄い大量破壊兵器開発説/ロシアはなぜ北欧を攻撃しないのか/プーチンの野望説とその限界
おわりに
「古い戦争」としての第二次ロシア・ウクライナ戦争/逃れられない核の呪縛/主体的な議論の必要性
あとがき―小さな名前のために
参考文献
出版社からの備考・コメント
今回アップしたデータは、校了前のものです。刊行時には内容が異なる場合があります。ご了承ください。
出版情報
発行形態 | 文庫・新書 |
ISBN | 9784480075284 |
本体価格 | ¥860 (JPY) |
ページ数 | 256 |
NetGalley会員レビュー
メディアでも人気のロシア軍事専門家による、長年のロシア・ウクライナ間の国際的対立を、日本人向けにわかり易く解説した政治本。
センセーショナルな部分ばかり扱うテレビでは省かれてしまう、過去の水面下での交渉や画策が時系列に沿って詳しく書かれていて、現状の確執に合点がいく面が多かった。
軍事面はロシア・ウクライナ間に限らず、過去の歴史的な戦争との比較などがとても興味深い内容だった。専門用語はリストがあるものの、他にも装備などカタカナ英語が多く、その点はちょっと苦戦した。
長年研究してきた著者の少しアイロニカルな視点が、この特別軍事作戦の異様さを物語っていて、自国の防衛について花畑な自分の脳を刺激された。
戦争の推移が時系列でまとめられ、ポイントを押さえるのに有意義な内容だった。
岩波新書の『独ソ戦』や中公新書の『物語ウクライナの歴史』を読んで、この侵略の歴史的背景に触れることができた。今なお続いている戦争をこれからも注視するために、「現在」の正しい知識を持たなければならないと感じている。ニュースを追っていても、その背景まではなかなか分からない。この本では現時点での推論や評価が、根拠に基づいて語られている。
戦争が起きなければ知らないままだったことは多い。ウクライナの大統領の名前、エネルギーや小麦がどこから来ているか、ゴーゴリの出身、NATO加盟の意味、などなどキリがない。やれることなどほとんどないが、無関心ではいたくない。世界はつながっているのだから。
筆者は、という断り付きで書かれた文章も多かったし、現在進行形の問題なので書きにくい部分も多かったと思いますが、いま可能な範囲で検証できた事実をできる限り提示し、それができない部分はそう記してくれているので、詳しく知らずだからこそ知りたい人の多い問題に一定の見通しを立たせてくれる内容だと思いました。
ウクライナ戦争について、テレビを見ているだけではなかなか知り得ない、水面下の部分を知ることができる。どうしても「なぜこんな戦争を?」と思ってしまうが、プーチンの発言やこれまでの経緯がわかりやすく解説してあって、戦争に至るまでの流れ、そして始まってから執筆時点までの流れを少し飲み込めたように思う。こういうことだったのか、と今まで見えていなかった側面を見せてくれた。
毎日のように伝えられるウクライナの状況に心痛めていたものの、恥ずかしながら、何がどうなっているのか、どうしてこうなったのかは、あまり理解しておらず、ただ「ロシアが悪い、プーチン酷い」と思っているだけだった。本書を読んで、もちろん全てが明らかになったわけではないが、今何が起こっているのか、そこに至るまでの流れや背景を知ることができたように思う。
後半に書かれていた日本も他人事ではないということ、名前が表に出ていないたくさんの人々が亡くなっていることを忘れずに、解決への道を諦めずに探っていきたい。
巻頭の地図や略語表が私のような知識のない人には分かりやすかった。そんな新書は見たことないので、無理かもしれませんが、あの部分が取り外せて、本文を読みながら横で見ることができたら便利だなと感じました。
ウクライナ という言葉は、国の名前だが私にとって現在聞くだけで複雑な気持ちを想起させる言葉となっている。
それは今回の戦争が、自分にとって理解できないレベルの出来事だからだ。
その気持ちを整理出来るかもしれないとこの本にのなかに救いはあるかと読み進めてしまう。
この戦争に対しての理解できない部分、報道ではわからない、そして人ばかりが命を落としている現状の根底にあるものについてこの本は多角的に解像してくれる。
時に専門的で、時にそのような背景が実はあったのか!と驚くことも多い。
普段の報道ではわからないことが、いかに多かったか。私たちはどちらかの立場に立ってしか理解できないのか、ともどかしさも感じていたが、この本はそこを開いてくれた。
両国の資料を読み取れる著者ならではの視点や分析に触れることは、私たちができるこの戦争への考えを整理するための手助けとなろう。
ロシアについて、ウクライナについて理解が深まればと思い、リクエストさせていただきましたが、開戦前からの緊張状態や、その背景にある歴史的、民族的事情、プーチン大統領の主張と目指すところ、それに対する周辺および西側諸国の動きや姿勢、開戦からの侵攻の詳細など、知らなかったこと、知りたかったことが丁寧に説明されていて、勉強になりました。
知識不足の私には分かりにくいところもありましたので、関連書籍などを探して読んでみたいも思います。承認ありがとうございました。
我が家にはテレビがないので、ウクライナ問題についてメディアに多数出演中、ということで、あの人ね!と反応できなかったのでありますが。テレビを見ていれば、人物像や語り口についてすぐ思い浮かぶかもしれない。
戦争はある日突然始まるものではなく、それまでの長いあれこれの結果、着火する、ようなものなので、専門家である本書の著者すらが研究熟慮を重ねても、この点はわからない、とか理屈や想像で説明がつかない、という点が多々出てくる。ある意味門外漢の我々が、専門家でもなく特にこれまでの経緯に疎いものが、分析評論は無理な話だなという思いがあらたになった。
日本にもたらされる報道は数が少なく、たいていが翻訳である印象を受けている。北海道沿岸から(実質)ロシア領は見えるのだけれど、この戦争は実質遠い。日本は難民受け入れをしないので、身近に迫る危機感は薄い。一番大きいものが物価上昇だろう。
論評は多数存在するが「ロシア語の文献にあたって論ずる」ことができる人は少ない。その意味でこういう論客は貴重である。本書では今起きていることは「第二次ロシア・ウクライナ戦争」と呼ばれている。2014年以降のクリミア半島事変と東部ドンバス地方の紛争が一次。
概して、すべて一人の悪魔のような人間が悪い、という論になりがちで、それに異を唱える気はないのだが、それだけでは論評にならない。。。
(公平を期すために)ロシア側の主張や文献にも当たって分析する、のが新鮮だった。
現在は執筆時から時間がすぎているので、少し状況が変わりつつある。著者は十分それを承知しているので、その時点での論評ということになる。現在は長い逡巡の末、欧米勢からの戦車供与の話がまとまりつつある。
アップデートするためには続編を待たねばならない。。