刑罰
フェルディナント・フォン・シーラッハ
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刊行日 2022/10/19 | 掲載終了日 2022/10/19
ハッシュタグ:#刑罰 #NetGalleyJP
内容紹介
赤ん坊を死なせた夫の罪を肩代わりし、3年後に出所の日を迎えた母親。静寂の中で余生を暮らし、夏の終わりに小銃に弾を込めた湖畔の住人──唐突に訪れる犯罪の瞬間には、彼ら彼女らの人生が異様な迫力をもってあふれだす。刑事専門の弁護士であり、デビュー作『犯罪』で本屋大賞「翻訳小説部門」第1位に輝いた当代随一の短篇の名手が、罪と罰の在り方を鮮烈に問う12の物語。
目次
「参審員」
「逆さ」
「青く晴れた日」
「リュディア」
「隣人」
「小男」
「ダイバー」
「臭い魚」
「湖畔邸」
「奉仕活動(スボートニク)」
「テニス」
「友人」
出版社からの備考・コメント
・多くのレビューをお待ちしておりますが、物語の核心をつくような、所謂「ネタバレ」はお控えください。
・ネタバレ行為はネットギャリーのみならず、読書メーター、ブクログ、Twitter 等の多くの方が目にする場でも同様にお控えいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
・本作は校了前の大切なゲラデータを著訳者よりご提供いただいた上で公開をしています。本作の刊行を楽しみにお待ちいただいている、多くの読者のためにも、ご理解、ご協力のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
出版情報
発行形態 | 文庫・新書 |
ISBN | 9784488186067 |
本体価格 | ¥720 (JPY) |
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NetGalley会員レビュー
シーラッハの著作は初読。『犯罪』のときから興味は持っていたが、ずっと読み損ねていた。
全体の感想は、静か。
クリスティーの『検察側の証人』が好きで、法廷物全般も好きなほうだが、ドラマチックな逆転劇が繰り広げられるものとはひと味違う。
派手さがない分、人の罪や心理がじわじわと重みを持って迫ってくる。そこに駆け引きも加わり、短いのに読み応えがある。文体は淡々と事実を述べる感じなのだが、登場人物の心理が読み取れるのはなぜなのだろう?表現が上手いとしか言えない。
12の話は一つ一つが短いのですきま時間に読めますが、すっきりさっぱり!という結末ではありません。
信じた人に裏切られた人、安らかに過ごしたいという願いを踏みにじられた人、困難を共に乗り越えてきた夫婦を襲った悲劇、悪虐の限りを尽くして平気な人間を弁護しなければならない弁護士…理不尽さを感じる話です。
ただ、別の人(第三者または被害者)の視点で見ると違った捉え方になるだろうなと思う話もあるので、人が人を法で裁くというのはとても難しいと感じました。
テーマは重いのに語り口が淡々としているので、不思議な読後感のある作品です。
人に刑罰を与えることを生業にしている人、刑罰を与えられるような行為(=犯罪)をしてしまった人など、”刑罰”と様々な形で関わっている人を主人公に据えた短編集。
翻訳ものなので元々はどうなのかが分からないのですが、淡々とした少し冷たさを感じるような筆致が作品の雰囲気にとても合っていました。罪を犯すこと、罪を裁くことは人間にとって重い行為なのだなということがどの短編からも感じられました。
淡々とした語り口だからか、ノンフィクションのような印象を受けました。また、著者は刑事事件弁護士とのことで、リアリティを感じられます。だからこその怖さ、やり切れなさのようなものが後からじわじわやってきました。「奉仕活動」の胸糞悪さが強烈で、一番印象に残っています。
『犯罪』は未読なので、そちらも読んでみたいと思いました。
ずっと気になっていたシーラッハ、初めて読むことができた。まず、ごりごりと削ぎ落としたスケルトンのような文体が新鮮でお寺で断食体験でもしたような(実際にはしたことはないけれど)感覚。グロテスクな描写も多いのにある種の清々しさを覚える。
前半は人生の不条理を思い知らされ、自分だっていつその深い淵に落ちてしまうかわからないと思いながら読んだが、後半は法や裁きについて考えさせられた。公的な裁きはあくまでも法律に拠るものだから、どんなに多くの人がひどい行動だと感じても法的に白なら白なのだ。逆もまた然り。精緻なような人間くさいような、法の不思議を感じた。