はぐれんぼう
青山七恵
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刊行日 2022/09/20 | 掲載終了日 2022/09/19
ハッシュタグ:#はぐれんぼう #NetGalleyJP
内容紹介
誰もが生き難さを抱えたこの世界の片隅にまるで光が溢れでるように紡がれた言葉たち。
不可思議で切なく瑞々しい、救済と癒しの物語。
あさりクリーニング店で働く優子は、持ち主が長く引き取りに来ない衣服「はぐれんぼちゃん」たちを自宅に持ち帰る。
翌朝目覚めると、それら衣服が体全体を覆っていた。
不思議な感情に襲われた優子は衣服の持ち主のもとを訪れるが、次々に受け取りを拒絶される。道中に出会ったトレンチコートの謎の男ユザさんに導かれるまま、「はぐれんぼちゃん」を身に纏ったちぐはぐな姿で、優子は帰るべき場所を求めて再び歩き始める。
出版社からの備考・コメント
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出版情報
ISBN | 9784065290972 |
本体価格 | ¥1,900 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
初めて読んだ作家さんなので、ただ楽しみに読み始めたが、ちょっぴり不思議なことばかりが矢継ぎ早に起こる筋立てがとても興味深く、先が気になってどんどん読み進んでしまう。
クリーニング店に預けてそのまま忘れられてしまう衣類のことを「はぐれんぼちゃん」という呼び方にも寂しさ、物悲しさだけでなく親しみがこもっていて素敵だと思う。
ただ、ダウンロードされた原稿の順番が(私だけかも知れないが)おかしくて、次のページを探して読むのがとても難しかったので、出版されたら、一から読み直したい。
その後正しい順番でダウンロードさせていただきありがとうございました。
同じクリーニング店で働く馬宵さんに「誰も乗せていない回送電車みたいなひと」と言われた優子。意地悪な例えだなと最初は思いました。
持ち主が引き取りに来ない衣服「はぐれんぼちゃん」たちを身に付け歩き始めた優子は、何度もその言われた言葉を思い返します。単に意地悪な例えではなく、私も優子さんと一緒にその言葉の意味を考えながら読みました。私も感じたことがあるのに、言語化できない感情を素敵な言葉で表現されているので、物語の世界にすっと入り込み感情移入できました。
表紙は「はぐれんぼちゃん」が体全体を覆っている姿です。
「はぐれんぼちゃん」たちとどこへ向かうのか、どうなってしまうのか。
とても不思議で、自分自身が「はぐれんぼちゃん」を投影された姿にも思えて切なかったりもします。
読み終えて吸う空気はちょっと重くて、でも深呼吸したくなるような気持ちになる素敵な作品です。
孤独の沼の底をともに歩いてくれる本だ。一緒に歩く煩わしさをわかっている者の距離感を保ちながら、旅は道連れ、と気配だけが届くような本だった。
結末は……どうなんだろう。どうなんだろうと思うことがそのまま、自分はどうありたいんだろうという考えに繋がっていく。
久しぶりに純文学を読んだと感じた。
「はぐれんぼう」というタイトルに惹かれて読み始めましたが、クリーニング店の倉庫から戻される衣類から続く内容にあっと驚かされました。
<なんだかよくわからない思い出が体中からよみがえってくる>という一文がありますが、捨てることのできない思い出は誰しもあり、その思い出の品が手元に残すか否かということと現代社会のモノの流れを考えさせられます。
また、何かにはぐれたとしても結局のところ、私たちの居場所は “人”ではないかと思いました。
あらすじから、ほのぼのしたファンタジーなのかと思いきや、読み進めていくうちにディストピアものだと気づいた。
優子が「はぐれんぼちゃん」たちをまとって辿り着いたのは、現実世界で上手く生きられない人たちが、自分の得意なことだけを仕事として生きていける施設。でも、その動力源は…真相に近づくにつれて、背筋に冷たいものが突きつけられる。
誰かの救いになることは、誰かを傷つけることでもある。誰も悪くはないけれど、一番悪いのは、想像力を働かせない普通の人たちなのかもしれない。自分の仕事だけを見てこなすことは、楽ちんかもしれないけど、全体を俯瞰して見た時にどんな役割をしているのか。それを知ろうともせずにただこなすだけの人たち。もちろん想像するためには、それをするだけの余裕が必要だけれども。
真実を知った優子がどんな行動を取るのか。ぜひ、最後まで読み届けてほしい。
色々と考えさせられるお話でした。
少しずつクリーニングに出せばいいのに、ためるだけためてからドサッと持ち込む人とか、毎週決まった枚数の服を持ち込む人とか、クリーニング店へやってくる人たちを、優子さんは静かに観察していました。そして、大事にされない服のことをかわいそうだと感じています。だからこそ、かわいそうな服たちを何とかしてあげたいと思っていたのに。
なんだか不思議な物語なんですけど、洋服に代表されるモノに対する執着のことを考えさせられました。買ったときは気に入っていたのに、いつの間にか着なくなってしまった服があったり、もう着られないない服なのに捨てられなかったり。断捨離が流行っているようでいて、そう割り切れない人がやっぱり多いのですね。
物語はとんでもない方向へ展開するのですが、最後はハッピーエンドだったのかしら?
馬宵さんが言うように、この世に存在するほとんどの「商売」は「商売」という名の、他人の不始末の尻拭いののでしょう。妙に納得してしまった。
クリーニングの店に服を持ち込むときの、以前の自分の無防備さが恥ずかしくなった。
たぶん、全てきちんと引き取りに行ったと思うけど、いつの間にか「はぐれんぼう」を倉庫に送り出していたかもしれない。
「いつまでも取りに来ないってことは、どうせあってもなくてもかまわない服」そんなのあまりにも哀しいよ。はぐれんぼちゃんたちに再生の道を。
先の見えない運びに掴まれ、どこへ辿り着くのかとはらはら。読みながら、青山七恵さんの初期の頃の匂いがすると感じた。クリーニングに出されたまま引き取り手のないはぐれんぼうの衣類たちに、限りない責任と愛着でもって接する優子さん。雇い主の馬宵さんから「誰も乗ってない回送電車みたいな人」とあまりありがたくない喩えをされた優子の存在感の薄さが窺える。
居場所のない頼りなさ。「出発」の章の不穏で不可解な場面の連続から、「倉庫」の章での怒涛のような展開。この対比が生むおもしろさは、答え合わせを超えて、人間の尊厳と自分らしさの個人的追求の果て、大きなものに飲み込まれていては視野狭窄に陥るという不安を掻き立てられた。帰るべき場所はきっとあるはず。優子の掴んだものは皆に敷衍できることだったとわかるラストに大きな安堵をもらいました。
表紙イラストにタイトルに、勝手に児童文学やYAあたりかと想像しましたが群像連載作なのですね。
序盤からばっちりに引き込まれて読者を離さないインパクトの強さです。
仕事なのにお客さまのこと相手に「電話だってただじゃないんだから」と言っていた人が主人公の疲れや不安を気にかけてくれる様が印象的です。
ほのぼのとした表紙。「出発」の章は不思議ながらもほのぼのとしているのですが、後半「倉庫」の章から想像できない展開に。そしてラストへ…
主人公の優子は「あさりクリーニング」で働いています。このお店では仕上がっても引き取りに来ないお洗濯物がどんどん溜まっていっています。そんなお洗濯物のことを「はぐれんぼちゃん」と呼んでいます。ある日優子の身体にはぐれんぼちゃんたちがまとわりついて脱げなくなりました。そこでこれらはぐれんぼちゃんたちを持ち主に返す旅に出ますが…
後半、作者からのメッセージ(と思われる)が強くて頭フル回転でした。これはこういうことを意図しているの?とか。何も考えずに、居心地よく過ごしていてはいけないのね。想像力を働かせないと!という具合に。「違和感」も意識して磨かないと鈍ってしまうようです。
ただただこの本の世界に没頭すれば良かったのかな。でも、表紙や前半の感じと違って「このお話どこいくの?」と思っていたら色々考えてしまいました。
クリーニング店で働く優子さん、ある日、破棄処分になる預かりものの服にまとわりつかれる。そして、持ち主に返しに行くが拒絶され、それらの服をまとったまま倉庫に向かう。その倉庫が異世界というのかへんてこな世界という話し。とにかく長く感じた。この破棄処分の衣服を優子さんは自分と重ね合わせたのかもしれません。つまり、自分も誰からも必要がないと。たどりついた倉庫では、そんな彼女にも役割があり充実していたのですが、仕事ができなくなった人は、衣服はどうやら施設の燃料にされているようでという話し。ゾッとする。
クリーニング店で受け取られずに忘れられた洋服たちが預けられている倉庫をひょんなことから目指すことになった主人公がやっと辿り着いた目的地は極楽に変わっていた。倉庫にたどり着いてから「はぐれんぼう」の言葉が重く感じてきて私も温泉に癒されに行きたくなりました。社会のストレスに壊されそうな心にそっと自分を肯定してくれたり自分の役割を与えてくれたりしてそれが幸せに感じたらハマるのも解るなと思ってしまったけど傍から見たらちょっと不気味だろうなと感じたり平成育ちで不信感がまだあるのでまだ宗教には近づかないのが一番だなと思いました。
クリーニングに出された後、引き取られない衣服たち「はぐれんぼ」。クリーニング店で働く優子は、はぐれんぼを持ち主に返そうとするが、持ち主達は受け取ってくれない。はぐれんぼの行方が気になる優子は、保管されている倉庫を目指して旅に出る。倉庫編に入って強まる不穏な雰囲気。一見天国のように見えた倉庫の正体に驚愕。誰かの快楽の裏には誰かの犠牲が隠れている。そんな恐ろしいことを子どもにさせるの?という場面もあり。ファンタジーっぽい感じかと思って読み始めたら、全然違う方向に誘われる。不思議な世界観に引き込まれる作品。
日常の中にあるふとした疑問からこんな物語を展開できるなんて驚き。青山さん初読みだったので、他の作品も読んでみようと思う。