老人ホテル
原田ひ香
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刊行日 2022/10/19 | 掲載終了日 2022/10/19
ハッシュタグ:#老人ホテル #NetGalleyJP
内容紹介
埼玉県の大家族で育った日村天使(ひむらえんじぇる)(19)は、生活保護を受け自堕落な生活を送ってきた。大家族ファミリーとしてテレビにも出ていたが、親に利用されることに傷つき16歳で家を出て、大宮のキャバクラ「マヤカシ」に勤める。そこでビルのオーナー綾小路光子(73)と知り合った。キャバクラの関係者は皆、光子に頭があがらない。そんなかっこよく生きる光子に憧れていた。
五年後、古びたビジネスホテルにひっそりと暮らす光子と再会する。そのホテルには、訳あり老人たちが長逗留し、それぞれが何かを背負って生きていた。あのきらびやかに輝いていた光子の最晩年は、どんな人生を歩んできたのだろうか。
暮らしに切羽詰まった天使は、自分で稼いで生きる女になりたいと、不動産投資家だという光子の指南で金儲けをしようと目論む。何も知らず、何もできないまま生きてきた天使が、ホテルの清掃員となって光子に近づき、ゼロからの投資で生きるノウハウを学ぶことになるが……。
出版社からの備考・コメント
※書影はダミーです。実際の表紙とは異なります。
おすすめコメント
食や節約をテーマとした作品で話題の著者が、ビジネスホテルに5年半滞在し,大金を遺して亡くなった身元不明の高齢女性の実事件をもとに描く「投資版マイフェアレディ」。「生きる」ことに寄り添う著者ならではの視点が熱い。
食や節約をテーマとした作品で話題の著者が、ビジネスホテルに5年半滞在し,大金を遺して亡くなった身元不明の高齢女性の実事件をもとに描く「投資版マイフェアレディ」。「生きる」ことに寄り添う著者ならではの視点が熱い。
販促プラン
書店の皆さま
初回指定のご希望がございましたら、
光文社書籍販売部 近藤、川原田までご連絡ください!(☎03-5395-8112)
もしくは、初回指定用紙に希望数をご記入のうえ、
ご返送ください。
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出版情報
ISBN | 9784334914929 |
本体価格 | ¥0 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
2020年に大分のビジネスホテルで長期滞在老人(女性)が多額の現金(750万円)を残して客室で死亡した事件が、実際、あったそうで、5年4か月の宿泊費用推定700万円もきちんと払っていたというので、驚きだ。
原田ひ香さん、目の付け所と設定がすばらしいです。
生活保護スパイラルというか、3世代で生活保護受給。
そんな家庭で育った日村天使(えんじぇる!)が「今の人生から抜け出す手を教えてもらいたい」と綾小路光子に近づく。
終盤、明るい兆しが出てきたのに、それが一気に暗転しそうなところで終わっている。
えんじぇる、思い止まるんだ、山田さんを裏切ってはいけない。
この先、一体どうなるのでしょう。
久しぶりにゾクゾクした。
冒頭から何か起りそうな予感があり、老人ホテルの世界に入り込んでいく。
思い出したくもない過去を持ち、極貧から脱したいという強い意思でかつてオーナーであった老女を見つけた天使(“えんじぇる”という女性の名前)。そこに、天使の過去を掘り出そうとするもう1人の老女が現れる。
両者とそれぞれ関わる中で天使が今まで知り得なかったことを吸収して、新しく生まれ変われるかが見どころ。
毒親の母親がどこまでも追いかけてくるが、お金の価値を老女から学び、押し込んでいた思いを吐き出した天使が選ぶ道は・・・
お金がなくては生活できない。しかしながら、お金があることで失うことがある。
希望を見出して変わることができるか、"天使”を見て!
流石は原田ひ香さん!と拍手喝采したくなるような展開でした。
場末のビジネスホテルに住み着いた老人達と若い清掃係の交流から始まるお金と人生のお話。
主人公の不幸な生い立ちにフラフラと絆されそうになる読み手の目を覚ますような、老女光子の言葉の数々。
確かに不幸で、知識や常識が無いのは学ぶ機会を失っていたから仕方ない。でも、そこを補っていくのは自分の力しかなく、貪欲に誠実に身につけていくしかないのだと気付かせてくれる光子の厳しさはとても心地良いものでした。
少しずつまともな暮らしを手に入れ、ささやかな自信を身につけた主人公にホッとしたところに向かえるラストは「そんな簡単には済まないぞ」と、ひ香さんから警告されているようで少しハラハラしました。面白くて気が引き締まるお話でした。
書店に本が並ぶと、迷いなく手に取る作家が何人かいる。その作家リストは、時々入れ替わる。最近新しく入った作家が原田ひ香だ。名前のインパクトでなんとなく記憶していて、作品を読んでみたら滅法面白い。好き嫌いはあるかもしれないが、私はものすごく波長が合う。前に読んだ「古本食堂」という作品も、どこが特にということではないのだが、全体の雰囲気や人物がすごく良かった。
この作品も、主人公の「天使(えんじぇる)」というキラキラネームでまず掴まれる。姉は「大天使(みかえる)」「我天使(がぶりえる)」「衣歩(いぶ)」で、兄は「堕天使(るしふああ)「羅天使(らふあえる)」「亜太夢(あだむ)」。これもなかなかだ。
ビジネスホテルで大金を持ちつつなくなった老女の実話ベースで、そこに大きく創作を加えている。元の事件も興味深いが、それを上手に料理する腕前に感心させられる。すれっからしで世渡りしてきた老女と、生きることに不器用な主人公の交流がなかなか良い。
テレビドラマ原作としても絶好の一冊。
前半は、今まで読んだ原田ひ香さんらしいテンポがいい明るい感じではなく、少し不穏。
少しずつ主人公が過去に向き合っていく過程は、胸が痛くなることもあるけど少し光も見えてよかった。
途中からは原田ひ香さん節炸裂!お金についてのアレコレは、初心者向けなことばかりで読みやすい。「極楽市場」「極楽カード」…とかある中で、1箇所だけ「楽天市場」となっていたのは誤植?笑
ラストは愕然としました。それぞれのキャラに思い入れがあった分切なく、悲しく、怖さも孕んでいて、続きがすごく気になります。
285ページ。
確かに話は終わっているのに何度もページをめっくていた。
「えっ?!」
きっと天使は大丈夫。やり直せた。
どうしようもない親の元に産まれ、”育ててもらった”
なんて言えるような環境ではなく、常識も身につかなかった天使。
その場その場をやり過ごし、何となく生きてきた天使が変わって
いく姿とお金の稼ぎ方を指南する光子のやり取りが見所。
思わず私もメモを取ってしまう。
血の繋がりほど面倒なことはない。
生きることは孤独なのか。
お金があればしあわせなのか。
「生きる=お金」確かにそうですが、「幸せ≠お金」ではないと信じたい。
いろいろ考えさせられた。
原田ひ香さんといえば私の中で「食」のイメージが強かったので
新たな発見でこれからの作品も楽しみです。
天使の根性はすごいと思うが、考えが捻くれていてすんなり同情できないと思っていた。でもそれは知識がないから、教えてくれる人がいなかったからとわかった時には愕然とした。知識があることで防ぐことが出来ることがたくさんある。わたし自身、子どもたちにそれを伝えられているだろうか。わたしも知らないことが多すぎる。途中からは天使と同じように少しでも学んでいかなければと思った。
天使がホテルを通じて出会った人々から学びとって人生を前向きに進んでいけますように願っている。
天使(エンジェル)!なんてキラキラネームと思ったら、兄弟たち全員キラキラ!
そんな名前をつけてくれた親は自分の子どもをしつけず、利用するだけ利用する毒親。
そんな内容に心が痛みましたが、天使がホテルで働き始めてから新しい展開になり、
人と接することが苦手だったのに同僚の山田さんと飲みに行くようになったり、
ホテルに長期滞在する老人たちから、さまざまな影響を受け変わっていく様子に
天使を応援したくなりました。
ラスト、その残酷な選択をしないで、明るい未来を歩いて欲しいと願わずにはいられません。
天使は世間一般の常識や知識がない。
それを家庭環境や境遇のせいにはしたくはないが、抜け出すためになりふり構わず画策する辺りは強かだ。
ビジネスホテルに住み続けている老人の光子とのやりとりでお金の使い方、増やし方、節約して生活する術を身につけ彼女が生まれ変わる流れかと投資のくだりでは興味をそそり前のめりで読んでいたら、流石ひ香さん!そうは問屋が卸さなかった。
子が親を選べないように、親も子を選べない。
お金がないと生きてはいけない。
しかし、それに囚われる怖さが描かれゾクッとした。
天使どうするの?どうなるのよーー!
ホテル暮らしの老女から不動産投資の手ほどきを受ける女の子の物語です。
後半では不動産投資や株取引の話がポンポン飛び出すけれど、どれも初歩的な内容で書かれていて無理なく読めるところが良かったです。途中で住宅ローンや団信の話も少しですが出てきます。
主人公だけでなく、ホテルの住人(?)や従業員にもお金や家族関係で苦労した過去があり、それぞれの登場人物から語られる苦労話にも引き込まれました。通帳を取り返す場面でスカッとしたのに、ラストでまた天使の行動にハラハラし、不穏な空気を残しているところも何とも言えず好きだなと思う終わり方でした。
個人的にはこれまで読んだ原田さんのお話の中で、この『老人ホテル』が一番好みでした。発売が楽しみです。
朝から読み始めて、途中昼ご飯の間は閉じたものの、その後一気に読む終えた。単純にストーリーが面白かったからだろう。
私とはなんの共通点もない主人公、天使、そして登場してくるホテルの従業も住人も。ただ共通しているのは「女」であるということ。
社会的立場の弱い女性たちは、パートナーや家族に振り回される人生を過ごすことになる。天使も、山田さんも、幸子さんも、そして光子さんも。
いろんな経験から強くなって、自分の人生を掴み取る。そんな自立した女性に、天使にはなってもらいたい。せっかく光子さんが知恵を授けてくれたのだから。
天使(えんじぇる)は老人たちが住み着いたビジネスホテルの清掃係。
天使が老人を「家族に捨てていかれた」というところでは、家族の事情もあるのにと思ってしまい、読みはじめは共感できないところもあった。
天使は、三世代生活保護を受けてきた家庭で育ち、その負のループから抜け出そうとする。若さを消費するような仕事をしていた彼女が清掃係として働き、ホテルの住人に金儲けのノウハウを教えてもらおうとする。教えてもらい実行していく姿は応援したくなる。天使が老人たちから学んだのはお金のことだけではなかったと思いたい。
母親との関係では胸がつまるところもあり泣いてしまった。
ちょっと明るい未来を感じていたら、訪れたラストに一気に現実に引き戻されたようだった。まあ、現実ってそうだよなとも頷く展開でとても面白かったです。
お金とは、お金を稼ぐとはと読み終えても考えてしまうそんな作品でした。
生活保護を代々受けてきたという天使(えんじぇる)という最初の滑り出しだけで不穏な匂いしかしない。
負の連鎖の話なのか?と思いきや綾小路光子に教えられるお金の基本。
コンビニで買う3食はやはり不経済だし、投資するからこそリターンがある。
金がないと言ってる人に節約というか見直し(知ってる人が勝つというのが世の真実)、これをやる本気度を試されているということ。めんどくさいなぁ…と放置するのが1番ダメなんだと当たり前のことを改めて感じる。
ラストはまた不穏な感じもするのでこの後が気になる…。
望まない状況に生まれてしまった主人公、天使がどう生きてゆくか。少しのお金と知識があれば自分の人生を切り開いてゆく事ができると教えてくれる。ただそれには実家へ行き母親に「あたしに近づかないで、お金も渡さない」と自分の口から言える強い気持ちが必要。様々なことを教えてくれる光子の人生も波乱万丈だ。ホテルで暮らし、お金がなくなる前にそろそろ死にたい、という切実な思いが伝わって来る。天使の判断は正しかったのか、正解は見つからない。それゆえにいつまでも心に残る。
天使(えんじぇる)なんて名前なのに、壮絶な生い立ちの22歳。
ホテルの清掃員のパートを始めた理由は?
そのホテルの一階には老人ばかり長期滞在していて、天使はそこの清掃担当の先輩山田から担当を奪いたかった〜なぜ?
と次々に明らかになる天使の人生。
それを原稿にしたい幸子もホテルの住人。
天使がどうしても話たかった綾小路光子。
生活保護で生きてきた大家族の天使は、まともな躾も、食事も、教育も与えられず、高校中退と共に半ば強制的に、家を放り出される。
キャバクラで稼ぎ、一人暮らしを始めても、社会生活を営むことは知らない。
社会の仕組みを知らないばかりか、わからないことははなから諦めている。
それはとても怖いことだと思った。
知識がないことで思考も止まり、行動にも移せない。
しかし天使は、救世主になるであろう人物にたどり着き、教えに従い、少しずつ、人生を切り開く。
面白くて一気読みだった。
若い人にも読んでもらいたい一冊。
大家族にスポットを当てたテレビ番組、現在でも時々放映されるところをみると、世の中の関心はどこにあるのだろうと思う。
親の大変さ?上の子が下の子の世話をする必然性?収入はどうしているのか?
テレビの取材を受けることによって、いわゆるギャラはもらえるのだろうか?と、思考は低次元に向かっていく。
だが原田ひ香の視点は、もちろんそれでは終わらない。
その大家族から逃げ出したいと考えている天使と一緒に、生活のノウハウ、お金のやりくり、困らない人生の送り方など、人生経験豊富な光子から学んでいく。
定年を過ぎ、働けなくなってもお金は必要だ。
昨今の、高齢者の学びの姿勢は目を見張るものもある。
パソコンや、投資、お金を得るにはまだまだ勉強が必要なのだ。
ふるさと納税の仕組みなど、私には全くわからない。
悠々自適を決め込もうとしていた自分が、情けなくなった。
『三千円の使い方』で著者の名ストーリーテラーぶりは遺憾なく発揮されたが、本作も同様280ページを一気読みしてしまいました。とりわけ中盤くらいからの主人公•天使がホテルの住人のなかでも最もクセの強そうな光子さんに貯蓄を指南され、家族との訣別を経て成長していくくだりは物語にグイグイ引き込まれました。新しい型の経済小説ですね。
原田ひ香さんは、昔から色々読んでました。最近はお金にまつわる話が有名かと思いますが、この作品もお金を貯めるに当たり、非常に役に立ちます。初歩的だけどウッカリしてしまうことも会話の中で注意されてて、メカラウロコでした。続きが気になるので続編あれば読みたいと思ってます。
ビジネスホテルに住む老女の実話をもとにされていると聞いても、最初はこういう生活をされている方もおられるんだとびっくり。
大家族に生まれ、生まれたときからテレビで紹介される生活にいた天使(えんじぇる)は、兄弟皆驚きの名前。
生活保護の生活から、お金持ちになりたいと元ビルのオーナー光子さんに近づき、清掃員として同僚をも陥れようとする姿はハラハラしましたが、自分で考え進んでいこうとする姿、周りの良き人たちの指南で知らなかったお金や社会のことを理解していくのは良かったです。途中、母の出現で、また突き落とされた感じになる中、光子さんがいて本当に良かった。
最後の終わり方で今後どう生きるのか気になるところです。
実話がヒントになって生まれた作品と聞いてそんな話があったことを見聞きしたことがあったようななかったような・・・という自分の記憶の曖昧さにもまた考えさせられる。そのときは大きく報道されたりしても、それが衝撃的だったりしても、情報の海の中で、なんとなく忘れて行ってしまうこと。
タイトルもなんとなく不気味な感じがしませんか。表紙はダミーでしか見ていないのでどんな衝撃的なものになるのか、楽しみ。
人生の最後を、しらがみのないホテルで過ごそう、とする高齢者たち。住みつかれると迷惑、という微妙な空気が、経営者やホテル従業員にはあるけれど、そこはいわゆる「訳あり」のひとたちが集まってきて、例えばそのフロアはそういう高齢者たちばかりが住む場所になっている、という光景。こんな小説を他にも読んだ記憶はある。もしかして、世界中でいろんなところで、ある光景なのかもしれない。
日村天使(ひむらえんじぇる)、という、この子も生きづらさに繋がる過去を背負った19歳。天使という彼女の名前を、目に入るたびにエンジェルという音に変換するのはなかなか困難な作業だった。
しかし・・・・このおわりかたは!
設定は非日常ながら、もしかしたらどこかでこんな光景が繰り広げられているのかもと思わせる面白だけれど、私には「え、これは、第一部?続きあるの?」という衝撃でした。続きが読みたいです。きっと皆さんそう思うのではないでしょうか(私だけ?)
知らないだけで、現実こんなホテルがあるのかもしれない、というリアル感。
いろんな事情でホテルに"住む"老人たちは、少し色褪せて見える。
そして、産まれた環境から抜け出そうとしながらも、出口の見えない天使。
名前も今は少し懐かしさを感じるキラキラネーム。わずかな抵抗もそのうち諦めて、親兄弟のようになるしかないんだろうな、この話の着地点はどうなるんだろう、と思ってた。
一発逆転あるのか!これが着地点か!と少し興奮気味になったけど、人生そんなにうまくいかない。
さぁ、ここで彼女は選択を迫られる。
ここで人生立て直すのか、逆行するのか。
…スパッとした答えを出さずに終えたところにもやもやしながらも、過去を越えられるのか、そんな簡単なことではないよな、と、これもまたリアル。
もやもや度100%ながら、なんだか胸に残るラストでした。
3世代にわたる生活保護受給で、働いて生活する方法を知らない天使(えんじぇる)。その境遇の不幸さは可哀想だと思うが、どこか投げやりに生きている天使には共感できなかった。ところが、老人ホテルに滞在する光子に近づくことで、生きる術を学んでいく姿は好感が持てたし、応援したくなる。まずは生活費の節約方法、そして不動産運用、投資の方法…正社員としても採用されて、貯金も増えて、順風満帆に転換するかと思いきや…
なかなか安心させてくれないストーリーの展開に、ハラハラして一気読み。不穏さを残すラストには、「え、これで終わり?!」と思ってしまった。でも、これがリアルなのかも。いくら生活が立て直りかけても、それからの選択によって幸せにも不幸にもなる。天使には幸せになれる選択をしてほしいと願わずにはいられない。
どこか3000円の使い方を思い出させるひ香さんの作品、お金があること、ないことだけでなく、家族の在り方についても考えさせられる。なんと寂しい世の中なのか、薄暗い部分がフォーカスされて、暗い気持ちになる。が、新たな一歩を踏み出そうとする瞬間でもあり、少しでも幸せになってほしいと思った。
天使の家族の話は、以前TVで見た大家族の話と被った。実際にTVで見た家族の背景とは全く違うものかもしれないけれど‥。ただ、あのTVに出ていたうちの誰かが、天使の様な生き方をしていたらと想像しながら読んだ。光子が天使に教える貯蓄の方法は最も基本的な事から不動産転がしの事まで、興味深く読んだ。今の世の中、老人が若者に何かを教えるって、しかも生きる術を教えるって酷く少なくなっていると思うが、なんだか良いなと思った。結果的には最後に光子から200万盗んだ形だったけど、それで、光子の様に不動産で成功した天使も読みたかった。
原田ひ香さんの小説を数冊読んだことしかなかったので、「こんな小説も書く方なんだ!」と、いい意味で裏切られた読後感だった。貯め込んでいる高齢者も多いと聞くので、なるほどこんな余生もお金があればいいかも〜!と思ったら、なんと実話ベースだったとは。気ままなプライベート空間もありつつ、清掃や、人とのコミュニケーション、そして大事なことは孤独死にならず、誰かに気づいてもらえる事。途中、主人公が開眼していく様も未来への希望が見えてくるような気がして、こちらまで力が湧いた。お金をいかに増やすか、そちら方面も疎かったので為になった。
そのホテルの1階には、長期滞在の老人ばかりが住み着いていた。まだ介護の必要はなく、金に困ってもいないが、それでも行く場所のない人々だ。子供7人の大家族の末っ子・日村天使は、顔見知りの綾小路光子がそのホテルに住んでいることを知り、清掃員として潜り込み彼女に接近するが……。
酷薄な環境に生まれ育った天使のピカレスク小説かと思って読み進めていたが、だんだんと違う方向にずれていった。原田さんの犯罪小説も読んでみたい気がするが、これはこれでありかな。おもしろかった。
【転がるように一気読み!】
原田ひ香さんの小説は初めて読んだのですが、とても面白かったです。
最初に提示される「天使」という名前への違和感、それから天使が老女に会おうと必死になる理由に「?」、
そして……という感じで、提示される微妙な違和感や疑問から読み進めて、
それが説得力のある展開へ繋がっていって「そういうことか!」と納得し、
その展開から、さらに続きが気になって……と、ページをめくる手が止まらなくなりました。
主人公の生きてきた人生のディティールが現実にある事柄を想起させるため、とてもリアルに感じられ、
「親ガチャ」の一言では片付けられない現代社会の深い病理について考えさせられると同時に、
主人公が徐々に生きる力を体得していく姿に、人間の持つ底力のようなものを感じました。
なるほど、こういう使い方もあるのか。と思った。施設に入るには意外と費用がかかる。介護認定3以上受けてないと老健入所も難しいし、地域によっては月30万以上かかるところもある。
自宅で過ごすにしても固定資産税や光熱費を考えるとホテル暮らしの方が案外安く済むのかもしれない。ただ、亡くなってしまった場合ホテル側からすればとても迷惑だろうと思う。
ひ香さんのお金シリーズ。今回も大変勉強になった。正社員は社保等で引かれてる分補償がある。なんでこんなにって毎回思うのだけれどそれが社会に属しているという安心材料にもなるのだ。管理業で生活できる人の仕組みは考えたこともなかった。職業柄(医療介護業界)色々な人を見ている。生前から揉めている家族や亡くなったあと故人の思い通りに遺族がやってくれないケースも多々。
あと、小さな頃近所の家族が大家族でテレビに出ていたことを思い出した。複雑な家庭状況でヤンチャなきょうだいも多く警察沙汰になることも少なくなかったし、私も自転車を盗まれたことがあった。あのときは子どもながらに悲しかったりイライラしたけどそれぞれの事情もあったのかなとも思ったり。
年齢を重ねると話を聞いてくれる人が貴重になってくる。知らないことは怖い。
ラストは読者に委ねられる。皆さんの脳内ではどんな結末になるのか。聞いてみたくなった。
ものすごく勉強になったというか、心に刺さりました。生活保護を受けるというのはこういうことかと思いながら、一人の女の子が節約してそれなりに生きていく過程とか、おばあさんの過去、子供がたくさんいてもそうなるのか、相続と言うのは怖いなあ。そうそう家族はたくさんいるといいかなと思っていましたが、いてもこうなるといない方がいいのか、本当に考えますね。子供もいればいいのか、でもこんなふうになったら、どうなるのだろう。原田先生の描く小説は、リアルに近い。限りなく近い。そして節約には、必ず登場するもやしととろみには、少し笑えました。最後にホテルで暮らすのもいいのだかわるいのだか。けれどもやはりそこには寂しさがこびりついてくるものです。世の中、お金だなあとつくづく感じるとともに、人の人生というのは本当に最後までわからないものです。一生、幸せに豊かに暮らすなんていうことは、むづかしいのでしょうか。タイトルだけだと、年をとった人が残りのお金でホテルで優雅に暮らしているというようにとれますが、それだけではなかったです。深い。
原田ひ香さんは本当に目の付け所がすごい。
現実世界で起こりつつあるが、目をそらされている社会的な問題(生活保護の連鎖、教育の格差、高齢者の場所)に注目し、リアルな感度で物語りを紡がれている。
お金に関する考え方も変わる1冊
本当に原田ひ香さんの作品?前半は確認したくなる内容でした。
大家族で育っているものの、家族からの愛を感じたことはなく、ギリギリの生活をしていた主人公の天使。そんな彼女はある老女との出会いにより貧困スパイラルから抜け出そうとします。
後半のお金の教育はお得意分野といったところでしょうか。でもこの本はとても現実的で「お金は人を変える」というのが怖いほど伝わりました。
老人ホテル 原田ひ香 著
主人公の成長を温かい目で見守りながら読む小説は数多くあるが、彼女の成長はゼロかマイナスから始まる激動のもの。それでもホテルで暮らす老人たちから、金銭的自立と自活する手ほどきを受けて、逃げ場がなかった場所から解放される。「いろんなことを始める前に諦めてるよね。どうせダメだからって」そう決めつけず、動いてみて。かつての自分を見てるように思う老人が助け舟を出してくれることもある。終盤はけっこうドキドキします。
生活保護で暮らす天使(えんじぇると読む!)の両親、常識的なことを全く教わることもなく働ける年齢になると家から出される子どもたち。ひどい設定だなとと思いつつ、強烈に個性的な子どもたちの名前や生活ぶりが妙にリアルで、ホテルに住みついている老人たちも今現在の日本のどこかにいるように感じられました。いい加減で最初から何もかもをあきらめたような天使が基本的な生活や経済について老人から教えられ生き方が変わっていく場面がとても面白かった。なのにこれから良くないことが待ち受けているかのようなラストが衝撃。天使のこれからや天使に教えを与えた光子の来し方がとても気になり読後もなかなか物語の世界から抜け出せずにいます。食べ物の描写控えめなブラック原田ひ香さんも最高でした!
原田ひ香さんらしいお金に関するためになる事がたくさん書かれていた。
働かずに生活保護で生きてきた親に育てられた天使(エンジェル)は、高校中退後に家を出てからアルバイトでギリギリの生活をしてきた。人と接するのが苦手で非常識なところのある彼女は清掃員として働いているホテルの宿泊客である老女によって、少しずつお金や一般常識など知識を得ていく。非常識で無知なのは誰も教えてくれなかったから。代々生保受給者として生きてきた家族の中で育ちながら、自分はそうなりたくないと思うところがすばらしいと思う。そしてそのまま人に恥じない生き方をして欲しいと思う。最後がとても気になった。
天使と書いてエンジェル。ミカエルにラファエル、まぁ、キラキラネームオンパレードで、生活保護。
身近に似た家族がいて、その家がモデルかなと思うほどに。
生活保護を受けている親の子どももそうなるっていう統計があるとか。
この本を、読んで納得。親から、働くことを教わってこなかった子どもの悲劇。
主人公は、キャバクラでの出会いで、自分でもお金持ちになれると夢を抱く。働いてお金を稼ぎ、貯蓄し、投資して資産を増やす。当たり前に思っていたが、これも親の生き方次第なのだ。
自分の生き方が、こどもの手本になる。当たり前のことだが、責任を感じる
改めて、人との出会いを大事にしないと。
キャバクラの同僚からもごみのように扱われるキラキラネームの主人公にどうにも感情移入できないでいたのだが、話が動き出すとこれがもう、驚くべき生命力でがぜん面白くなってくる。そのうえ、想像を絶する毒親との関係がまたやるせなく、でもたとえ「家族ガチャ」ではずれを引いても、知識とお金があれば生きていける。指南役が見つかってよかったね、めでたしめでたし…かと思いきや、不穏な余韻を残したままのエンディングにびっくり!
しかし老人ホームならぬ老人ホテルだからこそのこの展開。引退されたお年寄りがお持ちの人生を生きる知恵や知識をもっと生かす方法はないものかと思ったりもした。
生活保護を受ける大家族の中で育った天使。キャバクラで働いてるときに出会った、そのビルの持ち主で投資家の光子と、現在掃除人として働いてる老人向けの長逗留できるビジネスホテルで出会う。そこで天使は、光子の指南でお金を稼いで、貧しさから抜け出す方法を学んでいく。天使の両親は、いわゆる毒親で自分たちで地道に働くこともせず、またメディアを利用して「仲よし家族」という、日常とは真逆の家庭を演出して世間の注目を浴びたりする。学校教育もきちんと受けれず、社会常識を教えてくれる人もなく成人した天使が、光子によって正社員の身分となり、毒親とも縁が切れてスッキリした。光子の秘密がわかったとき、なぜ天使にこうも肩入れしてくれたかを納得した。
老人が一部住居にしてる通称「老人ホテル」の清掃係・天使(えんじぇる)。
毒親から離れお金を稼ぐ術を知りたい。片や血の繋がりは懲り懲りの老人・光子。
大金を持つことが果たして幸せなのかを問われている。
いくらあっても邪魔にならない知識を身に付け、価値のあるお金と将来であって欲しいラストだった。
いきなり主人公が天使(エンジェル)なんて言われるからファンタジーかと思ったら、薄幸で無知な女性のキラキラネームだった。大家族でテレビに取材されてきた少女時代、その後キャバクラに勤め、ホテルの清掃員となる。そのホテルには老人たちが暮らしていて、その老人からお金の指南を受けたりする。といった具合に、話がどこに行くのか分からない。自己を持たない女性の自立ストーリーとも読めるし、老人たちの最後の夢を追いかける話とも読める。なんとも不思議な小説だが、この天使の将来には波乱が潜んでいそうだ。
知らないということは損をするということ。
生活保護を受ける大家族の中で育ち、何の知識も与えられずに育った天使。
身勝手な親に振り回されてきた彼女が、今の状況から抜け出すためにはお金が必要。
どうやったら自分の力で稼いで生きていけるのか。それを光子から学んでいく。
あきらめて、ただ生きていくこともできる。だけど変わりたいと思った彼女のがんばりがすごかった。
それなのに・・・・・・彼女はどこへ向かおうとしているのか。
(ここで終わりなの?この先どうなるの?)
「老人ホテル」-原田ひ香さんの作品という事で「お金」や「生活」に関わる
紆余曲折ありながらも前向きな話かと勝手に想像していましたが
想像以上にはるか深く、心の奥底にズシンと暗く重いものが残る話でした。
主な登場人物はホテルに宿泊して(住んで)いる老女と
親にさんざん利用されてきた家出少女、名前は天使(えんじぇる)。
世間を知らない天使が生きていくうえで必要な事(家計のやりくりなど)を
老女に教えてもらう場面などは、さすが原田さん!とうなりました。
ただ普通の生活をしていれば自然と身につく事もわからず生きてきた天使には
現実でもひとりの大人として、親として何か力になりたいと強く思いました。
色んな人と関わり、天使の成長が見られて、いい話の感じになってきた-と思ったら・・・
最後の結末にはこう叫んでしまいました。
「ちょっとまって天使、どうするの!どういうことになるの!」
街中で偶然見かけた顔見知りの老婆を追ってビジネスホテルに清掃員として潜入する女が主人公一日村天使(エンジェル)。天使とは名ばかりで無知で幸薄な彼女。徐々に明らかになる幼少期の話と、将来に向けての努力が同時進行してゆく。働かない親しか知らないと働き方も分からないなんて驚くと同時に気の毒になってくる。物語は面白くてページもドンドン進むのに、読み進めていくうちに何故かザワザワしてきて落ち着かない気持ちになってくる。毒親の影響か、非情な子供達の態度のせいか。読了後も何となく嫌な読後感が残る一冊だった。
お金の匂いがする小説ってどうしてこんなにワクワクしてしまうのだうなぁと、下品な考えも抱えながら読み進めました。
人それぞれ、お金に対する考え方も働き方も人生の過ごし方も違うけれど、こんな考え方があるんだなと小説と分かっていても現実と比べてしまいました。
生活保護をもらうために働かず、子供をたくさん産んで、子どもが家を出て働き始めてもむしり取ろうとする鬼母。そんな家庭で育てば良心など育まれる術もない。しかし母のような人間にはなるまいと、懸命に勤務先のホテルに常駐する老人からお金の貯め方を教わる主人公。底辺に追いやられた人の考え方、心情を描くのが上手い原田さん。まともな感覚の人たちと関わり、お金を貯めるとともに、良心も身につけたと信じたい。祈りとともに読み終えた。
『三千円の使い方』『財布は踊る』などの流れのお金に纏わるシリーズでもあり、親子の赤裸々な隔絶や老後の生き方指南とも理解できる物語。
生活保護で暮らし、親が働く姿を見たことのない日村天使。キャバクラ上がりで今は老人ばかりが一階に長期滞在するホテルで清掃のバイトをしながら、かつかつの生活だ。
過去に見知った金持ちの老女がいることを知り、どうにか近づいて稼ぎ方を教えてもらいたいと切望する。
謎の老女光子との接触が叶ったあたりから本格的なお金の貯め方、節約法、運用法のレクチャーが始まる。
這い上がり、生きるためのお金の使い方を懇々と諭す光子。死に様を見据えてみごとな人生の総仕上げをする光子の姿には鬼気迫るものがあった。
ラストの天使の逡巡は続きがあるのをにおわせたものか?天使の成長?変化?をできれば見せて欲しいと思います。
貧困、孤独死。扱う問題は重いが辛くはならない。不思議な読み心地。正しさを振りかざしていないからだろうか。自分の状況を受け入れ淡々と生きる登場人物たち。ほんの少しの関わりを持つことで小さな化学反応が起こる。少しの変化が積み重なることで、人生が変わって行く。それが良い変化か悪い変化かなど誰にも決められない。後半からラストにかけて、主人公は大きく変わる。私は勝手に自分なりのラストを想像して読み進んだが、思いがけないラストにモヤモヤした。彼女はこれからどうなるのか。どう生きて行くのか。お金と幸せの関係は?スッキリしないラストのお陰で、いろいろ考えた。当然答えは出ない。自分はどうなのか考え、周りの人話したくなる作品だ。
最近お気に入りの著者の原田ひ香さんの本。
三千円の使い方だったかその前かは、忘れましたが私みたいな高学歴ではないものにも判る言葉で書かれているので
原田さんの伝えたいことが判ります。1階に住んでいる方のお年までは少しありますが住人の気持ちも判るし天使さんの気持ちも判る。次回作も期待しています。
そのホテルの一階には、お金はあるが行く宛のない老人たちが長期滞在していた。そこに清掃員として働く無知で幸薄な女性と、ある老婆が出会い運命が変わっていく。物語はどこに向かうのかと思ったが、なかなか面白かった。人との関わりで人生が変わるんだね。光子さんの最後はよいと思う。
はじめはキラキラネームに読みにくさを感じたけど、いかにもあの母親なら付けそうな名前だなあと納得。そんなところにも設定のリアルさがあります。
あんまりいい印象がなかった天使ですが、過去の回想や、ゼロから(イチですらなかった)お金のやりくりを指導してもらうのを読んでいると、だんだん気の毒に思うように。
当たり前に持っているような知識がない、そのことに気付いてすらいない。
家庭環境でこんなことになってしまうとはおそろしい。貧困の連鎖とはこういうところから始まるのかなと感じました。
めんどくさい老人と思っていた人たちのおせっかいが、重くなりがちなテーマを軽くサラッと読ませています。読みながら応援する気持ちになっていたから不思議です。
ただ、最後はあっけなくてちょっと物足りなかった…。天使がどうやってさらにお金を稼ぐようになるのか、読みたかった。あと、幸子さん。いったい彼女は何者なのか気になります…。
老人ホームには入りたくない、入るほどでもないが、一人で暮らすのもちょっと……というお年寄りたちが長期滞在するビジネスホテルのお話です。
主人公はホテルの清掃の仕事をするキラキラネームの天使。家庭環境の設定が面白く、あっという間に読めました。
彼女が他人に心を開くきっかけが各所にありつつ、人はそう簡単には変われないという部分も表現されているところが現実的でした。
貯金のない天使にお金を貯めさせる方法の指南もあり、今作も読むとお金を大事に使わないといけないという気持ちにさせてくれます。
主人公の天使のような子って、自分は頭が悪いって、本人も周りも思っているようなんだけど、実際はそうじゃないんですよね。ちゃんと育てられてない。経験が足りない。大事にされてこなかった。要するに親や学校や、周りの人に恵まれなかっただけなんです。
銀行口座の作り方も、自分のお金の使い方を見直すということも、金利のことも、税金のことも、社会保険も、ごはんの作り方も、箸の持ち方も、なにもかも、知らないまま大人になってしまっただけなんです。
こういう人って、きっと大勢いるのでしょうね。わからないことだらけの世の中で、相談する相手もいなくて、自己評価は低いままで、それじゃ人生なんてつまらないとしか思えないだろうなぁ。
原田ひ香さんは、実話を元にこの本を書かれたとのことですけど、これが日本の現実だ!と言う感じですね。天使は光子さんというメンターを見つけることができたけど、そういうこともなく、ズルズル生きて行くしかない人たちのことを考ええると悲しいです。
ラストはあんな形になってしまったけど、天使にはしっかりとした人生を歩んで欲しいなと願っています。
いわゆる大家族で育った日村天使は、働いていたキャバクラでビルのオーナー光子と出会う。キャバクラを首になった天使はある目的で光子を探すのだが・・。
「幸せの尺度は人それぞれ」などという綺麗ごとではないお金のことが、生活保護、貧困、独居老人、毒親といろいろな問題を絡めてつらつらと差し迫ってくるようだ。
また幼い時、若い時、壮年時、老いた時とそれぞれの時期でのお金の意味を問いかけてきているようにも感じる。
振り回されないためにも知ることの大切さを教えてくれるかのような物語。
「天使」と書いて「えんじぇる」と読む。それだけで育ちがわかる名前だ。その天使が会いたい一心で探しだした女性光子。お年寄りが多く住んでいる、通称老人ホテルに住む光子。彼女と会うきっかけが欲しく清掃員として働きだす。
天使の生い立ちと、光子に会いたい理由がわかってからは一気読み。財布は躍るを思い出します。
ラストにジーンとくると思いきや、どゆこと???
ネグレクトや貧困家庭を描いた小説は多く出版されてきたが、生き方を学んでこなかった子が大人になったら?という視点の小説は初めて読んだ。なぜかそんな家庭に育ったのに名前は妙にキラキラネームなところもリアル。取り組む前から諦めてしまう、教えてもらわなくてもわかることが本当にイチからわからない。そんな主人公にホテル住まいの老人たちが生活の仕方、お金のため方を叩き込む!痛快・お役立ち情報満載なのに…まさかのひとひねりがあるひ香さん作品、唸っちゃいました!
生活保護を受けながら生活する大家族の中で育った日村天使(えんじぇる)が、元不動産投資家の光子と出会い、極貧生活から抜け出すノウハウを学ぶ物語。
投資というジャンルをここまで分かりやすく書かれるなんて、さすが原田ひ香さん!こんなに楽しく学べる1冊はなかなかないと思います。まだ投資をしたことがない方や、興味はあるけど知識がないという方にもおすすめです。
ラストの展開には驚かされました。
天使の行く末がとても気になるので、ぜひ続編をお願いします。
最後まで目が離せない展開でした。
最後のページも「ここで終わり?どうなるの?」と気になる。変な気だけは起こさないで欲しい。
光がさしたと思ってからのラストだったので後味が悪い。
主人公の壮絶な人生。無知すぎるのも怖いが、周りは皆いい人が多くて、何かと面倒を見てもらえてよかった。
母親はいつまでたっても嫌なやつ。その対比も重要だった。
どういうお話か分からず読み始めたが、一気に引き込まれ、気が付いたら終わっていた。
子供の貧困という言葉を昨今よく聞くが、このお話に出て来る主人公は子供の貧困という言葉では言い表せない境遇にある。
生活保護受給者に対して世間の目が冷た過ぎるとか、本当に必要な人が申請しても断られたり、遠慮してしまって申請できずにいるとか、その背景には、何かといえば「自己責任」という風潮がある、とか言われているが、作中に出て来るような家族が身近にいたら、私だって「自己責任」と言いたくなるかも知れない。
子供は親の所有物ではない。誰しも自立するために親と「戦う」場面はあるだろう。だが、この主人公のように絶縁しなくては健全に生きていけないのはとても悲しいことだ。
目下子育て中ということもあり、身につまされるところが多かった。
途中で誰が誰だかわからなくなったりもしましたが、文字だけでも老人って似がちなのでしょうか。(わたしの読解力が足りないだけなのか)
おばあちゃんの知恵、というのはいつの時代も確かなものだと思いました。生きていくには自分の感覚や概念を取り払わないと。
タイトルから想像した話とは全然違った。生活保護を受給する大家族で育った天使が、訳あり老人たちが長逗留するビジネスホテルにひっそりと暮らすキャバ嬢時代に知り合った投資家・綾小路光子に再会し、頼み込んで独りでも生きていけるノウハウを授けてもらう物語。最近お金に纏わる話が続いてる印象の原田さん。今作も世相を取り込み、現代社会に蔓延る問題を踏まえながら、最底辺にいた天使が節約&貯金の仕方、社会的な常識、投資等を学び成長していく姿を描いていた。前向きな話のようで、内容は結構重ため。最初は天使を相手にしなかった光子が教える気になったのは、同じではないけれどお互い持つ家族に振り回された過去の苦しみが重なったからだろうか?個人的には光子の家族の話には胸が締め付けられた。光子の希望通りでありながら心がヒヤッとする幕切れ。天使は幸せになれたのだろうか?
働かない親の元で育った主人公の天使。親元を離れその場しのぎで適当に生きてきたが限界を感じて自ら行動を起こすことに。天使は困窮のどん底生活から這い上がることができるのか!訳ありそうな老人たちと触れ合ううちに、生き抜く力を身につけて行く天使と一緒に、私もいろいろと学ばせてもらえた。どこまでいけるか頑張れ天使!とワクワクしながら応援したくなってきたところで、えっ?どうなるの?彼女の選択が気になるが他にも気になることが残る不穏で不思議なラスト。どうか、どうかと願いながらも心がざわつく。
あっという間に読んでしまいました。
原田ひ香さんの作品は実は初めてでしたが、とても引き込まれました。
お金の使い方はもちろんですが、光子と天使のそれぞれの家族との関係性がなんとも言えず心苦しかった。
家族って、絶対に切れない関係で、天使のことをとてもひとごととは思えず、
つい感情移入しながら読んでしまいました。
原田さんのほかの話題作も読んでみようと思いました。
面白かったです。
家庭に恵まれない貧乏な少女が不動産資産家である老女と出会うお話。
中盤、お金の話が出てきますが、難しいものではなく、全体的に読み易いです。
少女が成功を手に入れるシンデレラ・ストーリーかと思っていましたが、終盤ひとひねりあり、読み物としての満足度も高めです。
すべての方、特に女性にオススメです。
家族全員ヤンキーで、生活保護家庭で育った天使。
一方で、老人ホームにも入らず、安いビジネスホテルに長期滞在する訳有りの老人たち。
救いがないような環境から、ふらふらと老婆の光子に近寄った、末っ子の天使は、行動を起こしただけ希望があった。
危ういながらも、光子に出会った天使の未来に期待し、はらはらしながら夢中で読みました。
貧乏のままか、そこから這い上がれるかって、結局、知識と努力の差。最初のほんの少しの知識を得られるかどうかで、人生は変わる。
ビジネスホテルに5年半滞在し、大金を遺して亡くなった身元不明の高齢女性の実事件を元にして描かれた物語。
あのニュースから、こんな物語に仕上げられたのは、ひ香さんらしい。
いつもの美味しいごはんは、今回は60円でできるラーメンが美味しそうだった。それで、十分。
大家族には、それらしいキラキラネームがついてたけど、作者の知的さが出ちゃってるような🤭
堕天使(るしふぁあ)と
我天使(がぶりえる)はちょっと好き😂
ラストはえー!ここで終わるー!!
と、電子書籍なのに何度も次を捲ろうとしてしまった。
えんじぇるのその後の人生も想像させる、余韻が残りました。
高齢者に関わる仕事をしているので、まずはタイトルに惹かれて読む事にしました。
生き方を教えられずに生きてきた主人公を、本人の意図した事とは全く違う方法で正していくプロセスは面白い。
教えられた通りに生活するというのは中々難しいので、本人が余程素直でなければできないだろう。
ただ、コツコツと積み上げていった結果がこのラストなのは、正直残念だった。
古いビジネスホテルに捨て去られた老人たちの話…だと思ったら、物語は奇妙なキラキラネームをつけられた生活保護世帯で育った9人家族の話が延々続く。どう転がるんだ?この話?って思っていると、キャバ嬢になった末娘天使とホテルに隠れて暮らす綾小路光子の出会いのエピソード。なるほど~、だから追いかけてこのホテルの清掃員に収まったんだ!とようやく納得。不動産投資で儲けるための生活費の切り詰め方から始まり、NISAにiDeCo、不動産物件の見分け方にまで話は広がり、フムフムと面白く読み進む。そして、段々とストーリー展開に最初のエピソードが効いてくる。そしてまた、なるほど~(笑) 後半は相続で家族を切り捨てざるを得なかった状況や娘の僅かな貯金を盗みに来る親…お金を持つ事=幸せでは決してないという事実を突き付けられ、その挙句のなんとも重苦しい気持ちになるラスト。人生って、幸せって何なんだろうと自問自答してしまう、なかなかに面白い作品
夏に、『三千円の使い方』を読んだ。
家族小説だったが、少しお金に関しての学びがある本だった。
原田ひ香さんはそういった本を書かれるのが得意なのか、この本にも間違いなく学びがあった。
主人公の天使(えんじぇる)が全く無知なので、何の知識がなくてもすごくわかりやすい。
天使が光子にお金の増やし方をレクチャーされるのだが、ものすごく面白かった。
あと、投資に詳しい人が教えてくれた、少ないお金からできる投資についても、ふるさと納税についても、本当にわかりやすくとても良かった。お金について知らない人は、それだけで損をしている。
普段何気なく何も値段を気にせずに適当に使っている人は、それを少し見直せば貯金を増やすことができる。
小説を読みながらお金について学べる、一石二鳥な本でした。
大家族の番組か懐かしいなと思いつつ見てるときは面白かったけど、生まれた時から自分の意思とは関係なく自分の顔と個人情報、エピソードが親戚でもない顔も知らない不特定多数の人に知られている恐怖と学歴と資格がないばかりに職業の選択が限られて貧乏から抜け出せない恐怖は切実でリアルだった。少し希望の光が見えたところで消える絶望は更に深くなるだろうけど主人公には顔が知られていることを利用してでも何が何でも幸せになってもらいたいと思った。
いわゆる老人ホームをここでは老人ホテルと呼ぶのだな。
清掃係の人は敬意を示してここでは天使と呼ぶのだな。
と完全に思い込みとても親切でフェアな小説だと思いました。思っていたより早めにがらがらとネタあかしをされて驚きの連続です。
お金を人生を、悩まない人などいないのでしょうか。
かつて大家族としてメディアでもてはやされた家族は離散し、今はホテルの清掃員として働く天使。祖父母の代から生活保護を受け続ける家庭で育ち、貧困状態から何とか抜け出したいともがく不器用な天使に、光子をはじめとするホテル長期滞在者の訳あり老人たちが知恵を授けていく。お金をどう作り、どう増やしていけばいいのか。初心者にもわかりやすく書かれているので、参考にしてチャレンジ出来そうなものから始めるのもいいかも。生きていく中でお金は必要だが、お金持ち=幸せとは限らない。お金の切れ目が縁の切れ目となることもある。天使は、毒親から逃げ切り、経済的に自立できるのか。綺麗事ばかりでなく、お金にまつわる様々なエピソードが散りばめられているので、不穏な雰囲気が漂う場面も。ラストは好き嫌いが分かれそうだけど、ダークな雰囲気を残しつつ読者に委ねる終わり方、私は好きです!!
原田ひ香さんなので、
お金にまつわる学びが大いにあるだろう、
と、思って読ませて頂きましたが、
想像とは少し違いました。
生活保護を受給して生きるのが
当たり前になってしまっている
天使の家族たち。
そこから抜け出そうとする天使。
大変面白いストーリーでした。
ラストは、ちょっと考えてしまいましたが…
それは自分が平和ボケしているからなのかもしれません。