遠い指先が触れて
島口大樹
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刊行日 2022/08/09 | 掲載終了日 2022/08/08
ハッシュタグ:#遠い指先が触れて #NetGalleyJP
内容紹介
群像新人文学賞受賞作 『鳥がぼくらは祈り、』、芥川賞候補作 『オン・ザ・プラネット』 で注目の新星が描く、〈愛と記憶〉をめぐる冒険!
「一緒に、失くした記憶を探しにいこう」
両親を知らずに育ち、就職した僕〈一志〉のもとに、見知らぬ女性が訪れる。
〈杏〉と名乗る彼女との「再会」が、僕の凡庸で退屈な日常を変えていく。
過去を奪うものたちに抗い、ままならない現在を超えて、境界を踏み越える恋人たちの行方は――?
「文体が映像として浮かび上がる二人の視点の入れ替わりは、痛みを等価交換するように再生する、発明だ。」
映画監督・内山拓也さん(「佐々木、イン、マイマイン」)推薦!
【プロフィール】
島口大樹(しまぐち・だいき)
1998年埼玉県生まれ。横浜国立大学経営学部卒業。
2021年、「鳥がぼくらは祈り、」で第64回群像新人文学賞を受賞しデビュー。同作が第43回野間文芸新人賞候補となる。2022年、第二作「オン・ザ・プラネット」が第166回芥川賞候補となる。
いま最も注目される新人作家のひとり。
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出版情報
ISBN | 9784065288436 |
本体価格 | ¥1,600 (JPY) |
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NetGalley会員レビュー
境界と、失われてなお在るものの物語だった。途中から主語と述語が一致しなくなる文が見られるようになって語り手の境界があやふやになり、時に身体と周囲の物理的境界も曖昧になっていく。細胞が常に入れ替わり続けているということは、同じ私は一瞬たりとも存在しない。記憶が不確かである可能性を突きつけられた途端に自己のアイデンティティも朦朧としてくる。記憶の欠落した自分は本当の私?では、欠落した部分に存在している彼/彼女は誰?失われた指先が触れた彼女は誰?
そのようなことを、これほど美しく悲しく書けるとは。