嘘の木

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刊行日 2022/05/18 | 掲載終了日 2022/05/18

ハッシュタグ:#嘘の木 #NetGalleyJP


内容紹介

翼世紀の発見、翼ある人類の化石が捏造だとの噂が流れ、発見者である博物学者サンダリー一家は世間の目を逃れて島へ移住する。だがサンダリーが不審死を遂げ、殺人を疑った娘のフェイスは密かに真相を調べ始める。遺された手記。?を養分に育ち真実を見せる実をつける不思議な木。19世紀英国を舞台に、時代に反発し真実を追う少女を描く、コスタ賞大賞・児童書部門W受賞の傑作。訳者あとがき=児玉敦子

翼世紀の発見、翼ある人類の化石が捏造だとの噂が流れ、発見者である博物学者サンダリー一家は世間の目を逃れて島へ移住する。だがサンダリーが不審死を遂げ、殺人を疑った娘のフェイスは密かに真相を調べ始める。遺された手記。?を養分に育ち真実を見せる実をつける不思議な木。19世紀英国を舞台に、時代に反発し真実を追う少女を描く、コスタ賞大賞・児童書部門W受賞の傑作。訳者あとがき=児玉敦子


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出版情報

発行形態 文庫・新書
ISBN 9784488151072
本体価格 ¥1,200 (JPY)

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NetGalley会員レビュー

イギリスのファンタジー作家であるフランシス・ハーディングの作品。先に『ガラスの顔』を読んでいて、設定は全く違うのに、作品から感じる雰囲気が似ていたので、「もしかして」と思ったら、やはり同じ著者でした。
イギリス、ヴィクトリア朝のロンドンから離れたある島が舞台。この時代、自殺は犯罪だし、女性(少女も含む)の不自由さは驚く限り。そんな中で、不名誉な嫌疑をかけられた父の汚名を注ぐため、主人公の少女・フェイスは、ひとり謎を解くために奮闘します。
フェイスが父親・母親それぞれに抱く想いは、読んでいてちょっと可哀想になりました。
誰が善人で、誰が悪人か、そんな割り切れるような役割は出てきませんが、だからこそ、登場人物には全てがんばって生きていってほしいと最後に思ってしまいました。

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女性の社会的地位が低かった19世紀後半の英国が舞台で
主人公は14歳の少女フェイス。
もう子供ではないけれど、まだ大人でもない
狭間の不安定な立ち位置にいる彼女。
尊敬する父親や美しい母親に愛されたい、認められたいと願い
本来の自分を押し殺して、聞き分けのいい子のように振る舞うものの
なかなか思うようにいかない。
そんな葛藤が伝わってきます。
全体を通して少女の成長が描かれ
父親を取り巻く事情、その謎の死、『嘘の木』という不思議な植物など
ミステリーやダークファンタジー要素もたっぷり。
大人の思惑に翻弄される中、複雑な思いを抱えながらも
同年代の少年と協力し父親の真相を探っていく過程は
ホッとさせられたり、ハラハラドキドキさせられたり。
子供って、大人が思っているより色々見て考えているものです。
カテゴリー的にはYAのようですが、読み応えたっぷりの本なので
さらに上の年齢層の方にもおすすめできると思います。

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嘘を養分に育つ奇怪な木に魅せられた少女フェイス。父の死の真相を追う一方で、嘘をうまく利用して人々を翻弄していく様は徐々に恐ろしさを感じてしまう。
サスペンスとミステリ、幾重にも問題が重なり読み応え充分。
この時代の女性の息苦しさ、そして強かさをフェイスにも母親マートルにも感じる。
女であることがこんなにも生き方を狭められるかと思うと歯痒さを感じる。
これが児童文学とは、正直驚いた。
19世紀の英国のあの島へと一歩踏み入れると、もう抜け出すことができなかった。

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『嘘の木』は、まるで現代の情報社会そのものですね。
” 真実 ” と自称するものが響き渡るが、それは、本当に真実であるとは限らない、真実である必要はない・・・
噂の種を、故意にでも、悪意なしにも、ぽとりと落とせば、それは現代の『嘘の木』、ネットやらマスメディアやらに吸い込まれ、やがて、不気味な果実をもたらす。その果実は、多くの人の、あるいは力の強い者の「真実であってほしいイメージ」「都合のよいイメージ」を増大させ、あたかも ” 真実 ” であるが如く振る舞い始める・・・
さて、この物語は、19世紀、イギリスが舞台。現代日本とは、少し社会のルールが変わったというだけ。投げ込まれた世界で与えられたルールの下では、自分の努力と関係なく、はじめから強者と弱者がある。強者はルールにあぐらをかき、そのルールを信奉する。弱者である者ほど、不本意なルールに言われなく虐げらる。だからこそ、考える・・・この世界とはなにか? 自分は何者か? そして、なにが自分にとって大切にすべき 「真実」なのか?
物語に登場する女性たちの生き様が、熱く胸をつきます。フェイス、マートル、ハンター、アガサ。自分だけの真実を見つけようと全霊で戦う彼女らの潔い姿。皆、誇り高く生きている。生きようとしている。
この物語が、わたしたちに問いかけている。自らの魂で、頭で、心で、考え、戦い、自分を生き抜いていますか?
あぐらをかいたひとよ、目をつぶっているひとよ! それで、「真実」に生きたといえますか?
物語は、約500ページに及ぶ長編。心の深部が揺さぶられる彷徨うような旅でした。ありがとうございました。

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読み始めた時には、父の言動に傷つき、母の態度に失望と嫌悪を覚え、弟は鬱陶しく思っていたけれど。まさかこんなにハラハラする展開になろうとは!こんなに胸が熱くなる結末を迎えようとは!
終盤、周囲の女性たちの内面がどんどん溢れてきて圧巻でした。

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再読。#Me too 運動で私も影響を受けていたことにこの作品で気づきました。明らかに以前と違った読後感。
 ヴィクトリア時代の英国が舞台。主人公のフェイスはとても賢い少女。父のスキャンダルから一家が逃げて住むことになった島で、父は謎の死をとげる。死の真相を探るうちに人の嘘を養分にして成長し、その実を食べた者に真実を見せるという不思議な木の存在を知る…
 この時代の女性の立場の厳しさに驚きました。家庭の中でも厳しい。いわばフェイスの未来に希望はありません。それでも彼女は戦っていきます。勇気と知恵を持って。本の帯にもありますが、宮部みゆきさん同様母娘の会話に私も救われました。

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現実とファンタジーの絶妙なバランスによって成り立つ物語。
ダーウィンの「種の起源」発表直後という時代背景。
当時の英国での女性の地位。
偏見によって虐げられる状況に不満と閉塞感を感じる14歳のヒロイン・フェイスが見つけた”嘘の木”
父親の汚名と死の謎を探るなか、彼女が見つけ出す”真実”とは?
泥沼のような状況からもがき、道を見つけ出そうとするフェイスにはエールを送りたくなります。
”嘘の木”という人が発する嘘を養分にして成長する植物も妙なリアリティをもって描かれています。
こういう作品を読むと当時の歴史や社会情勢など知りたくなりますね。
そういった興味の幅を拡げてくれるのもこの作品の魅力かと思います。
他のハーディング作品も読みたくなりました!
大人もですが、中高生に読んで欲しい物語です。

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不思議な植物が人間たちに世界に生じさせた歪みは、嘘だけではなかった。珍しいものにたかりたくなる精神、ひと1人が亡くなることへの痛みの変化。
親子が互いを守るためには。
国の文化も時代もあるとは思いますが、フェイスたちの世界に比べいまのわたしたちは喪に服すの意味がとても軽くなってしまっていると感じました。

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歴史的な事実へのファンタジーの重ね方が絶妙。キリスト教と進化論の関係、この時代のイギリスにおける男女差、財産のあり方、階級による暮らしの差…。そのあたりがしっかり書き込まれているからこそ、本当は存在しない「噓の木」の存在が「突然現れた異物」というフェイスにとっての感覚と重なって「そこにあるかのよう」になっていき、伸びた枝に巻き込まれるように続くページを開いていました。フェイスは、この時代の少女としては個としての自覚も芽生えた自立心の強さの目立つ観察力のある子ではあるものの、恵まれた環境にある故の鈍感さを持ち合わせていることも描かれている(使用人部屋の様子などサラリと書かれているだけですが、そのサラリと通り過ぎられるあたりがお嬢様の傲慢さでもある)のがより人物を立体的に見せていると思いました。
ランバント氏は嘘の木を所有することはなく、下院議員にもなっていませんでしたが、お持ちな方がこの国にはいるのでは…?とゾワリともしました。

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以前からタイトル気になりながら読めてなかったが、今回読了することができた。博物学者で牧師のサンダリー師の世紀の大発見は、今まで見たことがなかった人類の化石。しかしこれが捏造されたものだといううわが流れ、一家はケントからヴェイン島へ移住することになる。しかしそこでサンダリー師は、謎の死をとげる。この物語の主人公てある娘のフェイスは、父の死の真相を解明するために動き出す。ダーウィンの進化論が発表された19世紀後半、女性の地位は低く行動も制限されている中で、自分の意志を貫くフェイスは、とても強い女性だった。

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