マイスモールランド
川和田恵真
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刊行日 2022/04/25 | 掲載終了日 2022/04/24
ハッシュタグ:#マイスモールランド #NetGalleyJP
内容紹介
ベルリン国際映画祭でアムネスティ国際映画賞・特別表彰を受けた注目映画を監督自ら小説化!
在日クルド人少女の願いと闘いの物語
ここにいたい。願うことも罪ですか?日本で暮らすクルド人少女の願いと闘いの物語。
幼いころから日本で育ち、埼玉の高校に通うクルド人の少女サーリャは、バイト先で東京の高校生・聡太と出会う。県境を流れる荒川の岸辺で、少しずつ心を通わせていく二人。しかしある日突然、在留資格を失ったサーリャの家族は、就労を禁じられ、自由に移動することもできなくなる……。
現代社会の不条理を、居場所を求めて闘う一人の少女の視点で描き、ベルリン映画祭で高く評価された映画「マイスモールランド」(2022年5月6日公開・嵐莉菜、奥平大兼出演)を監督自ら小説化した注目作。
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出版情報
ISBN | 9784065276174 |
本体価格 | ¥1,500 (JPY) |
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同名映画の小説化作品。
幼い頃に家族で来日し、難民申請が通ることを待ち侘びる少女が主人公。ある日、難民申請が却下され、在留資格を失ったことで、これからの将来は元より、今ある生活まで脅かされてしまう。
来日した難民のことも、クルド人のことも、詳しく知らないまま生きてきたが、主人公の少女の視点から読んでしまうと、どうして良いか分からなくなる。少女は日本に来てからの良い思い出を元に、大学進学を望むけど、そのためにアルバイトも必死にしているけれど、彼女を取り巻く状況はそれを許してくれるには、かなり厳しいものになっている。
単純に、難民はかわいそう、日本の制度はひどい、と言って済むことではないので、少女に寄り添いたい感情を、どこに持っていけば良いのかなと色々考えながら、読み終えた小説だった。
少女を理解しようとする日本人が少なからず登場したことが救いかもしれない。
今、ウクライナから避難してくる人びとを受け入れることは当然のこと。去年は、アフガニスタンから逃れてきた人達もいた。その人達は、これから何年も、母国に帰ることはできないかも知れない。私達は、この人達を本当に受け入れ、支えていけるのだろうか?
今まできちんと、難民を受け入れてこなかった日本。それが、どんなに理不尽なことか、思い知らされた。今こそ、変わる時だと切実に思う。
でも、この小説は、声高に叫んではいない。ただ、気づかなくてはいけないと静かに訴えている。
以前、中島京子さんの『やさしい猫』を読んだ時に、入管や在日外国人についての自分の知識の無さや認識の甘さを実感して泣きそうになった。その時は日本国内からの目線であり、退去させられる人をいかに守るのか?その闘いに心を砕くものでした。そこでは入管の理不尽な振る舞い、入管法のままならなさをヒシヒシと感じました。
今作もまた主人公は10代の若者であり、入管問題を扱うものですが、主人公本人がクルド難民でビザを失い多くの不便を強いられることで、『やさしい猫』とは違った厳しさを浮き彫りにしています。幼少期から日本で暮らし、さらに弟妹は日本生まれであり、もはや故郷の国の記憶も無い。自分の地元は埼玉の川口だと言う彼女たちに「帰れ!」とはどこに帰れというのでしょうか。また、日本で育った彼女たちは親や親族の大人達と違って民族の意識が確立されず、心の拠り所となる土地も信仰もあやふやで、友達にも自分が何人であるかを言い出せない。アイデンティティの不確かさに苛立ち揺れる様が、若い難民の大人とは違った困難もはっきりと描かれていて、淡い恋模様と相まって痛々しく切なく感じました。
今この時期に読んでよかったと思える一冊だった。思えば我々日本人で正確にクルド人の歴史や文化を語れる者がいるだろうか。クルド人だけに有らず、他の国の方々の歴史や因果関係も島国故に無知な人が多いのでは?難民というワードは他国に比べてあまりに絶対数が少なく、触れ合うこともないのが事実だが、これから日本はどんどん移民も増えてくるはずなので、彼らなりのアイデンティティを少しでも理解し共生して日本を支えるべきだと思った。
難民として故郷を逃れ、日本で暮らすクルド人の少女・サーニャが主人公。
日本の高校生と変わらない暮らし描いた前半と、在留資格を失った後の暮らしを描く後半の対比に胸が苦しくなった。そして何よりも辛いのが、この話が完全なフィクションではないということ。
「サーニャの家族と同じように苦しい日々を送る人が、今この瞬間日本にいる」という事実を私たちは知らないといけない。
読み終えてから、タイトルの”マイスモールランド”が何を指すのかをずっと考えています。
在留資格を失い、自由に移動することができなくなった自分が過ごせる狭い世界を指した言葉なのか、日本人と同じように育ったはずなのに様々な面で日本人より狭い選択肢しか与えてもらえない自分の境遇を指した言葉なのか、それとももっと違う何かなのか。
読んでから、誰かと感想を話し合ったり、関連する本を読んだりしたくなる作品でした。
映画の情報を知り、公開を心待ちにしているところで本のことを知ったので先に読ませていただきました。『東京クルド』や『やさしい猫』のほかにも、『ふるさとって呼んでもいいですか』や『この川のむこうに君がいる』などいろいろな作品が過りながら読み進めました。名前やあだ名の扱いや、母国をドイツといってしまうあたりのディテールが丁寧に描かれているので主人公の心の揺れがより伝わった気がします。映画で映像で表現されたものを見るのももたのしみです。
幼い頃にトルコから日本に逃げてきたクルド人家族のお話。高校生のサーリャの生活が描かれています。自転車に乗って好きなところに行きたい。好きな人とアルバイトをしたい、そんな当たり前のことを「しょうがない」で諦めていく日々。そんな難民問題を中心として、ヤングケアラー、貧困家庭、ジェンダー問題にまで発展していきます。
入管の問題は日本に住む者として知らなくてはいけないことだと思っています。日本人が何をしているのか、自分の中の偏見と向き合うためにも。映画を観る前に読了。私、難民問題に対する考えが浅はかだったと改めて思いしらされました。悪い人ってそうはいない。でも良い人もそうはいません。綺麗事だけれど、希望は捨てずにいたいと思えた本でした。
クルド人、難民、ニュースでよく聞くけれど、実はよく知らない。
最近はウクライナ人難民が目立っていて、ほかにもたくさん難民はいるのに、まったく声は聞こえてこない。
そんな、難民の立場、しかも小さいときに両親に連れてこられて日本に住むごく普通の女の子の話。
ウクライナ人難民が欧州にもたくさんいます。誰かが助けてあげなければとホームステイを受け入れている家庭もあります。しかし、やはり家族を養うのはどの家庭も難しい。補助金が出ているのか知らないですが、やはりどちらの立場でも苦しく、ホームステイを受け入れた家庭が、受け入れた人たちをやはりどこか違う場所へ・・・と願っている人もたくさんいるとニュースでやっていました。
親切にしたいけれど、難しいというのはあると思います。日本という国もそうなんでしょう。難民を受け入れる数は日本はとても少ないと聞いています。でも、ある日突然難民申請が取り消されて、県境を越えてはいけないなど、あらたにボーダーができるなど、私は知りませんでした。名古屋の入管で亡くなってしまった人もいます。
せめて、ソーシャルワーカーさんがついて、行き先が決まるまでのお世話をしてあげるとか、その間は働けるようにしてあげるとか、待遇がよくなればいいなと思います。
読みはじめた当初、ルポルタージュなのだと思っていた。
後から同タイトルの映画を撮影した監督が書籍化したのだと知り、そのリアルさに驚いた。
生まれた時から当たり前のように日本国籍を持つ私達は、他国から難を逃れてこの国にたどり着いた人達に対して、あまりにも無関心である意味無頓着過ぎではないだろうか。
今や学年に数人、外国にルーツがある生徒がいることも珍しくない。
隣に座っているそのクラスメートが、どんな困難を抱えているのか、本人が特に感じていなくとも、絶対的に日本国籍を持つ自分にはない負荷を負っているのだ、ということを知って欲しい。
この本にも出てくるが、日本は国籍において血統主義をとっている。この「血統主義」という言葉が、あの超有名魔法ファンタジーに出てくる名前を言ってはいけないあの人を彷彿とさせる。
この本を読む若い世代が同じように感じたなら、そこから何かを変えられる希望もある。