みるならなるみ／シラナイカナコ

この表紙にとても合っているなぁというのが読んだ後に感じた直観のようなものです。たまーにこの作品ならばこの表紙は合わないだろというような感覚に襲われる時もありますが、ただの女性バンドでは無い。ボロボロのバンド感、テンポ感というのが表現されていて物語を越えてすてきな一冊だと思います。

青春小説と言うには、あまりにドロドロしており、どん底で、心の闇や世間の冷たさが描かれています。
バンドしかない少女と、宗教のなか他に目を向けることを許されない世界で生きてきた少女……どちらの少女から見る世界も、なんだか狭くて生きにくい。それでも、そんな世界の中に一筋の光は必ずあり、それを求めて探すことが私達の生きる意味のひとつなのかもしれない、と思いました。

荒削りながらものすごくパワーと魅力に溢れた一作。全く知らない作家だし、表紙も好みではない。たまたま読み始めたらやめられなくて一気に読んでしまった。
前半はガールズバンドの話。後半は新興宗教の家に生まれた少女の話。どうしてこの組み合わせを考えたのか。僅かに交差する接点もあり、小説として巧いとは全く思えないけれども、なんだか離れられない魅力がある。わずか17歳でこれだけ光る作品を描ける才能には驚嘆させられる。
理屈抜きで大好きな小説。とにかく「好き」としか言えない感じ。

青春と宗教、交わらないようで交わった時のマッチ感がすごい！ストンと物語の中に染み込んで、良い味出してます！
みるならなるみは、キラキラした青春バンドストーリーかと思いきやほのかに宗教の闇が見えて、でも青春は貫き通していてかっこいいストーリーでした。
シラナイカナコはがっつり宗教から入って、その内側と主人公の成長が描かれていて面白かったです。宗教も何も関係なく、主人公の人間っぽさがよかったです。
２つのストーリーが微かに交わっているのも、陰と陽という感じがして面白かったです！
そしてこの作品を生み出した方が17歳ということにも驚きました！なるほど、だからこんなにもエネルギッシュな作品なんだなと。
今っぽさもあり、斬新で新鮮な作品でした！読んでいて苦しかったり悲しかったりと感情が揺さぶられる楽しい作品でした！
ありがとうございました！

前半は高校生ガールズバンドの光と影を、後半は新興宗教を軸に友達関係の崩壊とその後を描く。2編は互いに関わりがあり動と静のイメージ。中高生たちのキラキラしたノリや不安定さ、表層と内面とのギャップなどと、水面下で身近に蔓延る問題とを絡めて、17歳の作者が思いをイマココにぶつけながら、繊細に大胆に描き出した等身大の小説、という感じがした。素直な気持ちを上手く伝えられず、でも言いたくないこともあり、昂る感情を素知らぬ冷静で隠していたり、複雑でままならない青春を生きる人たちの様々な揺れが、かつて青春を生きた自分を新鮮に圧倒する。今後にも期待！

進路を理由にしたメンバーの突然の脱退から、ガールズバンドの「女子限定」が条件の欠員募集に応募してきた胡散臭くてキーボードが上手い青年の存在。新興宗教の救いの象徴として崇められた少女の逃亡と、彼女が忘れられないある小さな罪。新興宗教という意外な形で繋がっていた二つの物語で描かれる、突然突きつけられたままならない状況にどう足掻くのか。オレンジ文庫の中でも強烈なインパクトを残す異色の作品という印象でしたが、登場人物たちの生々しい葛藤とその結末がなかなか鮮烈な物語でした。

「みるならなるみ」ガールズバンドに青春を進路をささげる少女の物語。
バンドを辞めた少女の代わりに入ってきたのは大学生の青年だった。
「シラナイカナコ」新興宗教の家に生まれ世間とは信者と共同生活するという違う常識の中で育った少女。友人だった少女との掛け違えたボタンをそのままに大人になっていく。
どちらにも共通しているのは新宗教。
多数派ではないかもしれない少女たちの青春物語。

みるならなるみ　は、高校1年生が入学してすぐガールズバンドを結成。作者の荒削りな文章も、題材とマッチして青春ぽくて良かった。仲間が離脱して、新たに募集したメンバーが怪しくてドキドキ。
シラナイカナコ　は、先がわからず夢中で読んだ。え？そんなことして、その後どうなったの？と思っていたら…
とても17歳が書いたとは思えない。ビックリしました。
読ませていただき、ありがとうございました。