エンドロール

すごく面白かったです。今のこの時代だからこそ作品の面白さが爆発していますね！
前作の時空犯が大好きでして、こちらのエンドロールも見付けた瞬間からわくわくしていました。
そして読ませていただきましたが、全く期待を裏切らない面白さ！
キャラクター達も魅力的で、主人公と一緒になって違和感や謎に振り回されました。
もしも現実世界で影橋冬のような人が現れてしまったら、この物語と同じように自律しようとする人がたくさん現れてくるかもしれないと思ってしまうほど、リアルな世の中とリアルな思想が書かれて、物語とは思えない程のリアルに、作品の中にぐんぐん入り込んでしまいました。
そして人間の中にある愛情や優しさなど温かい部分も描かれていたのもすごくよかったです。残酷な世界の中にある愛情や優しさで、エンドロールは救いのある悲しくも優しい作品だなと感じました。
めちゃくちゃ面白かったです。ステキな作品をありがとうございました！

先が気になる話の展開で、ページをめくる手が（＝画面をスクロールする手が）止まりませんでした！
物語の舞台となる世界がコロナ禍後の世界で、そこではコロナ禍で不利益を被った若者たちによる自殺が増えているという設定でした。ちょっと先の未来であり、本当にそんな世の中になってしまいそうなそんな不安もあり、どうなるのだろうとドキドキしながら読みました。
エピローグが、私にとっては一番の驚きで、まさに最後まで気が抜けない作品です。

数年後の世界を見ているようで、怖い気持ちを抱えつつ、一気に読みました。人との関わりがなくなると自分という存在を認識するのが難しくなります。それでなくても自己肯定感の低い若者が増えているとも聞きます。そんな彼らに甘く囁く死を止めようと、悩みながら必死に立ち向かう主人公たちに心を奪われました。でもどこかで悲しい思いが拭えません。話の展開や文章が私は好きです。なので、飛び切り青春している主人公の話も読んでみたいです。

若くして亡くなった人気作家だった姉の名誉を守るため、若者達の間で急増している模倣自殺阻止すべく奔走する駆け出しの作家・葉が知ることになる彼らの思いに時には苦悩しながらも辿り着いた真相はなかなか印象的で、謎を見事解き明かしてみせた彼にもたらされる思ってもみなかった結末に救われる思いでした。

最初から最後までずっと失速せず面白かったです。
コロナ禍と自殺を結び付けた、なかなかの傑作だと思います。
自殺をしていく若い人たち、若くない人たちもそうですが、こういった理由での自殺はなかなか考えさせられるものがある。「生命自律主義」はなかなか読者に響くものだと思います。
キャラクターもとてもよく、私は嵐さんがとても好きです。「生命自律主義」との答弁での嵐さんもとてもよかったし、最後「サッカーしよう」の時の嵐さんもとてもかっこよかったです。
先が全然見えないお話だったので、とても楽しめました。

はじめて読んだ作家さんです。
自分と同じところに目を付けているような視点に心が共鳴しました。
自分が主人公になったようでした。この作家さんの頭の中をもっと読んでみたいです。

コロナ禍の脅威を実際に体験している現代読者は、討論のどちら側について読むことになるのでしょうか。