かたつむり
キム・ミヌ 作
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刊行日 2022/03/20 | 掲載終了日 2022/03/14
ハッシュタグ:#かたつむり #NetGalleyJP
内容紹介
この世界の主人公である「キミ」におくる励ましの絵本!
ペダルがない幼児用の自転車に乗る少年は、必死になって兄の自転車についていこうとしますが、速く走りたい兄に「遅い」と言われ置いてきぼりになります。
しょんぼりしてとぼとぼと歩いていると、目の前の木を「かたつむり」がのぼっていることに気づきます。もちろんゆっくりと。
その姿に引きつけられた少年は、いっしょに木をのぼっていきました。
少年は、そこで遭遇した体験から、一つの壁を乗り越えていきます。
きみが まだ きいたことのない はなしを
そらや かぜや くさや きが
きかせてくれる ことがある。
そんなときは ふしぎがらないで
「わあ!」と よろこんで いいんだ。
きみが せかいの しゅじんこうだってことだから。
(本文より)
出版情報
ISBN | 9784751530696 |
本体価格 | ¥1,400 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
モノクロの世界の中で男の子のヘルメットだけがぽつんと赤い。
お兄ちゃんたちの自転車には到底追いつけず、ずっと引きの絵面で描かれる男の子。それは世界の中の従属的存在、小さな存在であることを示すものか。
アクシデントが気づかせる「自分」と「孤独」。そして吐き出した自分の気持ち。場景が変わり始める。世界が色づき始める。小さなかたつむりと見た世界はなんて美しいのだろう。男の子にもたらされた確信が彼の心の扉をこじ開けた。
最小限のテキストは含蓄に満ちて、読み手にも勇気をくれるものでした。ありがとうございました。
自分らしくある、ってどういうことなんだろう。
個性が大切、人と比べなくてもいい、きみはきみのままでいい、って言われるし、それは耳ざわりがいいし、誰も否定しない。
でもわたしたちの毎日はそうなっているだろうか。
みんな心からそう思えているんだろうか。
悔しい思いをした赤い帽子の男の子がゆっくり木を登るカタツムリを見つけて、そこでせかいが色づく様が見事。
このせかいのしゅじんこうであるきみへ
と著者からのメッセージ
焦っちゃだめなんですよね。
ちっちゃい時はそんなことわかんないから、毎日、転んで、かすり傷だらけ。自分で、コントロールできない焦り、悔しさ、自分へのいらだちで、い~っぱい。くちをついてでる「みんな、だいきらいだ!」
たしかに、この感情は自分を見つけ出すための大切な糸口なんでしょう。成長のためにとても大事な経験です。
ただ、今できないことにあまりに心が囚われたり、今持ってないものを無理に手に入れようと躍起になるのはどうでしょう?生傷がまた一つ増えるだけかも・・・とはいえ、この焦る気持ちは、何もちっちゃい少年だけの問題じゃないですよね。
わたしもそう。自分が不甲斐ないのに、「みんな、だいきらいだ!」・・・ホントは自分がなさけないんです。
一方、かたつむりさんは、あせらない。ゆっくりとしか進めない。でも、進む限りは、やがては木にだって登ることができる。そんなかたつむりさんを追いかけて、少年がのぼった木。決しておっきな木じゃない。なのに、そこから見える風景は、自分がさっきまで見てた風景とは全く違っていました・・・光が違う、広さが違う、空気が違う・・・焦った時は、前方に向かってジタバタしないで、ひょいと「木」に登ろう!そこは、ちょこっと遠くが見えるところ。ちょこっと未来が見えるところ。自分のいる世界がまんざら悪こないことを立ち止まって感じよう。聞く気になれば、世界はとてもおしゃべりで、いろんなことを教えてくれる・・・この声はきっと焦ってちゃ聞こえない声。わたしには、大人にとってこそのお話に感じました。かたつむりさん、ありがとう。
絵がとてもいい。
描かれている景色もどこか日本と似ていて、親しみがわく。
鉛筆の細やかで優しいモノトーンの線の中に、主人公の赤いヘルメットが活きている。
この世界の主人公はキミだよ、というメッセージと、彼が見た景色の色合いがとても印象に残る作品。
子供の頃、神社の階段をゆっくりゆっくり登ってくるかたつむりを、飽きずに眺めていた日のことを思い出しました。
仕事やプライベートの学びの場で、周りのすごい人たちと自分を比べて励みにしたり、自分はまだまだだと落ち込んだり。
でも、人それぞれのペースがあり、見える景色は違うけれど、そのどれもが素晴らしいんだと思えました。