可制御の殺人
松城明
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刊行日 2022/03/17 | 掲載終了日 2022/04/17
ハッシュタグ:#可制御の殺人 #NetGalleyJP
内容紹介
『教場』『傍聞き』の長岡弘樹さん推薦!
「この不気味さは癖になる!
読了後すぐ、また鬼界に会いたくなった。」
第42回小説推理新人賞最終選考で選考委員から高く評価された著者によるデビュー作。
【内容紹介】
人間を意のままに操る新たなる「ダークヒーロー」現る!
女子大学院生が自宅の浴室で死亡しているのが発見された。警察は自殺と判断したが、その裏には人間も機械と同様、適切な入力(情報)を与えれば、思い通りの出力(行動)をすると主張する謎の男・鬼界が関わっていた・・・・・・。
【著者プロフィール】
松城明(まつしろ・あきら)
1996年、福岡県出身。九州大学大学院工学府卒業。2020年、短編「可制御の殺人」が第42回小説推理新人賞最終候補に残る。本作を表題作とした連作短編集『可制御の殺人』でデビュー。
出版社からの備考・コメント
※こちらのカバーは(仮)画像です
販促プラン
発売前作品のため、ネタバレや、読書メーターやブクログなど外部書評サイトで発売前にレビューを投稿することはお控えください。
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出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784575245004 |
本体価格 | ¥1,600 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
「可制御」という聞きなれない言葉と、怪しげな表紙に興味を持って手に取りました。
完成度が高く、これがデビュー作であることに驚きました。
主人公が次々に変わっていく、ミステリの連作短編集。
表題作「可制御の殺人」は、病的に負けず嫌いな大学院生が主人公の倒叙もの。
理系の大学院生に通う彼女はとある理由から同級生の殺害を目論み、自らの知識を駆使して密室殺人を企てます。
しかしあと少しで完璧な犯行が完成するという場面で、予想だにしなかった事態が起こり・・・。
犯人目線で語られるストーリーにドキドキしっぱなしでした。そしてまさかの結末に驚愕!
「この結末からどう次の話とつながっていくのかな?」と思っていたら、2話目からは主人公や場所がチェンジ。
でもどの話にもチラつくキーパーソン・鬼界の影。最終話でこれまでの話がグッとまとまって、疾走していく感じはお見事でした。続きが気になる・・・。
小説推理新人賞最終候補作品、殺人、長岡弘樹さん推薦。この3つが読みたいと思ったポイント。会話調に進むので読書初心者の方にも読みやすいと感じた。舞台は大学工学部なのでその点に興味のある人なら更に楽しめると思う。出来ればこの煩わしい人間界から逃避して生きたいと願う私だが、無機質な世の中を想像するのも寒くなる。最後の最後にふっと頬が緩むのを感じた良い作品。
スリル感制御不可。
優秀な院生の遺体が発見される。自殺と目されているがその真相とは・・
大きな謎が提示されつつも、独立したような謎がいくつも提示されて進む連作推理だが、繋がりゆく爽快感とは裏腹に、迫りくるスリル感も楽しめる。
人の意志を根底から拒否する言動に忌避感を憶えながらも、一方腑に落ちた感覚に陥るのは自分の底をみつめられているようでうすら寒い。
近未来を暗示させつつ、菌糸やニューロンのような広がりをみせるミステリ。
短編集とありましたが、全部で一つの話ですね。人間のシステム同定、他人の行動を予測して制御して誘導して、整った世界を作る。モリアーティのような、ラプラスの魔のような、そんな印象。人間を理解しないと同定出来ないわけだから、一人ひとりを深く知らないといけない、それを全世界でやってみたかったわけ?鬼界くんは本当はずいぶん情が深いんじゃないかな。ただ、このシステムの虚弱さは、もう最初に語られてた。人間のシステム自体がいい加減で、コロコロ変わっちゃう、と。それでも鬼界くんの試みはクセになります。この先が見てみたいと思いました。
うわー、なんだこりゃ。
初めての読書体験だった。
物質になんらかの力が加わり作用する現象において人間にも同じように法則が適応できるか、
っていう彼が課した崇高な(?)実験を各章で解いていく感じ。
おー、ふむふむ。(納得)
ん?えぇー!!(混乱)
の繰り返し。
各章ごとにも全体としても二度読み必須。
張り巡らされた伏線が回収されていく様が気持ち良かった。
まさかのデビュー作とは驚き。
また鬼界くんに会いたくなりました。
<人間も機械と同様、適切な入力(情報)を与えれば、思い通りの出力(行動)をする>と考える、謎の存在・鬼界を中心とした連作短編集。謎に包まれた鬼界が不気味で仕方がない。鬼界の正体が知りたくて次へ次へと頁をめくるも、表れてみると「お前誰だ……」と混乱。システム同定された人間を他人が制御できるのか。社会システム全体を制御することはできるのか。考えると空恐ろしくなる。一話一話の事件の謎解きも面白く、理系が苦手な私でも読みやすい。続編が出るなら読みたい。
人間の思考回路を収集してその人間のシステムを同定すれば、行動が予測でき、生かすも殺すも制御できる。そんな神の視点を持つ鬼界に翻弄される登場人物たち。しかし人間はそれほど単純ではなく、システムの予測した出力通りにはならない。鬼界のシステムを狂わす特異性を持った登場人物たちが殺人事件を犯したり、解いていったりする。鬼界は捕まっていない。次作に続いてほしい。
鬼界という存在そのものが、蜘蛛の糸のように張り巡らされたネットワークのようで、その不気味さにゾッとします。
この話の探偵という役割を割り振られた一真は、頭がいい普通の青年。鬼界の思惑に巻き込まれながらも、考え行動する一真に複雑な人間構造を見出します。
鬼界の線が張り巡らされた世界に対抗していく一真たちにドキドキが止まらず、読む手を止められなくなってしまう、そういう本でした。
「可制御」字面通り、制御可能ということ。人間を周囲の環境からの入力とそれに対する反応の出力と考えたとき、出力は理性や本能によって制御される。Q大学工学部の女性二人の間でそんなわかるようなわからないような会話で始まったストーリーは、密室殺人へと進んでいく。完全な密室を作り上げる寸前、邪魔が入って…!少しずつ関係者や場所が重なっている連作短編。必ず出てくる「鬼界」という得体のしれない人物にざらっとしたものを残しながら読み進めたのだが、人物が繋がってくる後半はページをめくるのがもどかしいほど一気だった。短編それぞれがミステリとしてきちんと落ちているのに、一冊としての伏線回収も凄い。これがデビュー作とのこと、今後の作品が楽しみだ。