黒牢城
米澤穂信
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刊行日 2021/06/02 | 掲載終了日 2022/02/28
ハッシュタグ:#黒牢城 #NetGalleyJP
内容紹介
\\第166回直木三十五賞 & 第12回山田風太郎賞 W受賞//
信長に叛逆した荒木村重と 囚われの黒田官兵衛
二人の推理が歴史を動かす
本能寺の変より四年前、天正六年の冬。織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の軍師・黒田官兵衛に謎を解くよう求めた。事件の裏には何が潜むのか。戦と推理の果てに村重は、官兵衛は何を企む。
【受賞・ランクイン歴】
・2022年本屋大賞ノミネート
・第166 回直木三十五賞
・第12 回山田風太郎賞
・「ミステリが読みたい! 2022 年版」(ハヤカワミステリマガジン2022 年1 月号)国内篇 第1位
・週刊文春ミステリーベスト10(週刊文春2021 年12 月9 日号)国内部門 第1位
・『このミステリーがすごい! 2022 年版』(宝島社)国内編 第1位
・『2022 本格ミステリ・ベスト10』(原書房)国内ランキング 第1位
・週刊朝日「歴史・時代小説ベスト3」(週刊朝日 2022 年1 月7・14 日号)第1 位
・『この時代小説がすごい! 2022 年版』(宝島社)単行本 第3位
※ランキングは発行日順です
おすすめコメント
弊社刊行の「古典部」シリーズをはじめ『折れた竜骨』(東京創元社)『満願』(新潮社)『王とサーカス』(東京創元社)など数多くの傑作を世に送り出してきた米澤氏の約2年ぶりの単行本最新作は、戦国時代を舞台にした一押しのミステリ小説です。史上初、4大ミステリランキングすべてで第1 位を獲得し、完全制覇の快挙を成し遂げ注目を集めました。
2021年に作家生活20周年を迎えた米澤穂信さんの集大成ともいえる1冊です。戦と推理、劇的人間ドラマをお楽しみください!
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784041113936 |
本体価格 | ¥1,600 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
牢の中の黒田官兵衛が安楽椅子探偵となって謎を解いていく。官兵衛はレクターのような天才さとおぞましさがある。言葉で人を操る人心掌握術に長けた恐ろしさ。一つ一つの謎におけるトリックがすごいというよりは、全体を通して事件の裏に隠された各々の目論見が面白く見どころ。誰が何を想い、どういう気持ちで行動していたのか、これがわかった時、驚きと哀しさと人の強さや信念に圧倒される。
歴史が苦手で、正直時代小説はハードルが高いと思っていました。しかしながらいざ読み始めるととても読みやすく、最後まで一気に読み終えました。途中でややこしくて頭の中でごちゃ混ぜになりそうな『人名』については都度丁寧でしつこくない説明が施されてあり、前のページに遡る事なく読み進めることができました。また、時代背景についても同様で、分かりやすい表現ですんなり頭へ入って来ました。もちろん地下牢の黒田官兵衛の知恵を借りるという形での謎解きもおもしろかったです。エンタメ小説でありながら、最後はきれいにきちんと史実へ繋がっていて、気持ちよく読み終える事ができました。
読ませていただき、ありがとうございました。
時代小説を読み慣れていないので、難しくて物語に入り込むまで時間がかかりました。
ですが、読み進めていくと難しいよりも面白い!に変わっていって、ぐんぐんと物語にのめり込んでいきました。謎が解かれていき、なるほど〜。と思っていたら、まさかまさかの!!本当に驚きました。
壮大な仕掛けといいますかなんというか、それが最後に回収されて全てが腑に落ちました。面白い。
むごい場面もありましたが、最後の最後に心が安らぎました。時代小説でミステリーって、こんな感じなんですね。難しいけどおもしろい。これを機に他の時代小説にもチャレンジしたいなと思いました。
面白い作品をありがとうございました!
自分で思う自分自身は果たして他人から見たらどう映るのか。
織田信長が着々と天下統一に向かう戦国の世、
ひとりの城主が信長を裏切り、その遣いで城を訪れた黒田官兵衛を地下牢に幽閉してしまう。
その後、城の安寧を守るために、身辺で起きた不可解な事件の解決を官兵衛に求めます。
私は本を読むと無意識に「良い人」「悪い人」とカテゴリーしてしまうのですが、
それが揺れに揺れた作品でした。
人の二面性ではなく見る角度でこんなにも違ってしまうのかと。
そしてラストではパァーっと視界が開けたように爽快に。
時代物が苦手なんて言わないで若い方にも読んでほしい1冊です。
最高に楽しい1冊でした。エンタメ作品として完璧だと思った。
歴史小説の胸が熱くなる部分と、ミステリーの謎解きのワクワク感、それらが完璧に組み合わされてさらに登場人物の魅力もふんだんにあるのですっかりのめり込んでしまいました。
ぜひ米澤穂信さんに歴史ミステリーをもっと書いてほしい。
歴史の知識は皆無、せいぜいミステリを好むくらいの人間だが一気読みだった。捕えた者と捕われた者、城の内と外の人々のさまざまな思惑、綾なす人間模様の魅力。史実に基づいたラストに向かって駆け抜けていく圧倒的な物語の厚みに、幾度となく頬を叩かれた。どうか何一つ前評判を知らずに、この最高傑作に撃たれてほしい。
間違いなく傑作。
時代小説は普段ほとんど読まないのですが、この作品はその時代に生きる人々の考え方や生き方の描写が丁寧で、スッと小説世界に入り込んでいけました。
連作短編集のような構成ですが、それぞれの物語に仕掛けられた伏線が最後に意外な結末へとより合わさっていくところなどは本当にスリリングでミステリーとしての醍醐味もしっかり備わっています。
さらに主人公の村重や、探偵役をつとめる官兵衛をはじめ登場人物がどれも魅力的。
一分の隙もない素晴らしいエンターテイメント作品でした。
村重の大将として力強く揺るぎない人物像が物語がすすんでいく程に、迷い惑う人間くささが増していき、戦乱の恐ろしさに呑み込まれてしまう儚さと、それに抗う強さを感じました。
それぞれの立場があり、思惑があり、決断があって、ミステリアスに描かれていた千代保ですら、両足で踏ん張っていたのはぐっとくる。
正統派の時代小説のようで、牢に囚われた官兵衛との謎解きは安楽椅子探偵のようなミステリーテイストで、普段、時代小説はちょっと…という人にも◎。
時は戦国、織田信長に反旗を翻し鉄壁の防御で固めた有明城に籠城する荒木村重。
村重を悩ませる城内の難事件を推理するのは安楽椅子ならぬ牢獄に捉えられた黒田官兵衛。
米澤先生の新境地と言える歴史ミステリ!!直木賞おめでとうございます!!
時代小説にミステリーが見事に融合されていて、なんともすごい作品。それでいて、歴史としても辻褄が合うし、なんと言っても面白い。黒田官兵衛のこんな使い方(?)があったとは驚きです。時代小説だからと敬遠しないで、試しに序章を読んでみてください。
「地下の牢屋」「幽閉」「一年近く生存し、救出」…この歴史的史実を初めて知った時、いろんな想像か膨らんだのを覚えています。素人の到底及ばない本格ミステリーで存分に楽しませていただき感謝しかありません。他に歴史ネタを探したくなる衝動を押さえきれません!
ミステリーとしても歴史小説としても文句なく楽しめる。荒木村重と黒田官兵衛の駆け引きや、村重が少しずつ追い詰められて周りを信じられなくなっていく様子に惹きつけられ、恐怖を感じた。今まで知らなかった武士の手柄を検めるための「首実検」や、足軽に甲冑を貸し出す「御貸具足」という仕組みなどの豆知識が散りばめられていて興味深かった。歴史的にはあまり評判の良くない(らしい)村重だが、それも官兵衛の思惑なのかもしれないと考えると、同情する気持ちにもなる。読み終えた後も、村重や、官兵衛のことを調べて余韻に浸り楽しい読書時間となった。が、村重の側室千代保の存在がどうにも心に引っかかる。より大きな城を求めて自身の力を試したい村重。死にゆく弱き民たちの心を救いたい千代保。戦いは哀しいものだ。
時代小説とミステリーがこうも違和感なく融合するのか。
学生時代にこの本を読んでいたら、歴史の授業はもっと面白くなったんじゃないかと、
自分の知識のなさが悔やまれる。
村重の苦悩を共感できるのは、会社で管理職に就く中高年の世代なのかな。
一城の主でありながら孤独な村重の統率力と苦悩。すべてがかっこいい!
各章ごとの中で見せられる世界は、無関係な顔をして、それでも徐々に城の輪郭が浮かび上がって来る如く最後には一つの城となり目の前に顕れる。
小説の舞台が何処にあろうとも、それは正に米澤先生の魅せる世界でした。
籠城という、時と共に重苦しくなる空気に猶予がない中での推理。
まさに、カウントダウンの音が聞こえる中での天才軍師とのやり取りは緊張感と高揚感でこれぞミステリー!
最初は余裕があった主人公も時間の経過と周りの変化によりどんどんと追い詰められてゆく、それとは反対に囚われの黒田官兵衛の不気味なまでの余裕。
現代ミステリーに通ずるような展開は、時代小説に慣れ親しんでいない読者にもおすすめしたい。
そして畳み掛けるようなラストへの流れは怒涛の展開を繰り広げ、気づいた時には、もう手遅れで話の渦に巻き込まれていました。戦と言う熱のなかでしか起きえない史実ミステリーの面白さを存分に味わいました
史実に向かって時が流れる中に安楽椅子探偵もののミステリが絶妙にハマっていて、乱世の無慈悲さを時代小説として憂うべきか、謎解きミステリとしての興奮に身を委ねるべきか、最後まで心揺れ動く作品でした。
官兵衛が勤めたかにみえる探偵がいたとして、犯人たるものは果たして何であったのか。
この作品自体が、歴史の謎といわれる「なぜ、どうして」の部分に著者が斬り込んだ壮大な謎解きであったと感じます。
村重が信長に叛旗を翻してまで守りたいものが「民」であったなら…と思いもしましたが、そこでご都合やエンタメに流されず《歴史》を守り抜いたところに作品の力を感じました。