ドライブインまほろば
遠田潤子
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刊行日 2022/01/11 | 掲載終了日 2022/01/27
ハッシュタグ:#ドライブインまほろば #NetGalleyJP
内容紹介
生きるのに理由なんかいらへん。
誰の許可もいらへんから――
幼い娘を亡くした女、義父を殺めた少年、親に捨てられた男。
もし、十年に一度現れる“奇跡の池”を見ることができたなら……。
家族の崩壊と人間の再生を描き切る感動長編、待望の文庫化!
#あらすじ
山深い秘境を走る旧道沿いにぽつんと佇む「ドライブインまほろば」。店主の比奈子が一人で切り盛りする寂れた食堂に、突然男の子が幼い妹を連れて現われた。憂と名乗る少年は「夏休みが終わるまでここに置いてください」と必死に懇願する。困惑する比奈子だが、事故で亡くした愛娘の記憶が蘇り、逡巡しながらも二人を受け入れてしまう。その夜更け、比奈子は月明かりの下で激しく震え慟哭する憂に気づいた。憂は、義父を殺し逃げてきたことを告白し――。「生きる意味」を問い、過酷な人生に光を灯す感動長編。
#著者略歴
1966年大阪府生まれ。関西大学文学部独逸文学科卒。2009年『月桃夜』で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。12年『アンチェルの蝶』が第15回大藪春彦賞候補。16年『雪の鉄樹』が「本の雑誌が選ぶ2016年度文庫ベストテン」第1位となりベストセラーに。17年『オブリヴィオン』が「本の雑誌が選ぶ2017年度ベストテン」第1位。同年『冬雷』が第1回未来屋小説大賞受賞。18年同作が第71回日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門候補。19年『ドライブインまほろば』が第22回大藪春彦賞候補。20年『銀花の蔵』が第163回直木三十五賞候補。他の著書に『蓮の数式』『廃墟の白墨』『紅蓮の雪』『緑陰深きところ』などがある。
出版社からの備考・コメント
発売前作品のため、ネタバレや、読書メーターやブクログなど外部書評サイトで発売前にレビューを投稿することはお控えください。
出版情報
発行形態 | 文庫・新書 |
ISBN | 9784575525304 |
本体価格 | ¥730 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
憂の気持ちになると、途中途中で読み進めるのが苦しくなったのですが、兄妹のことが気になって絶対投げ出せませんでした。
最後には救いが残されていて本当に良かった。極端な話、殺人者にだって理由がある。世の中の人たちにはみんなそれぞれにその行動の理由があるんだと思った。
自分にとって正しいことも、角度を変えるみたらそうじゃなくなることもたくさんあるんだ。それを理解できるともっと優しい世界になるのに。そう思いました。
息が詰まる状況と展開に苦しくてたまらない。なぜこんなに幼い子が…。また一方は子を亡くした母親。ただ亡くすだけではなく、そこには消すことのできない事実もあり…。人里離れたところでの暮らしが運命を交差させる。傷ついたものが寄り添い、守る強さを持った。切なく悲しくもあたたかい。
自分も傷ついているのに他人を思いやる強さ。
自分が傷ついていても他人を思いやれない弱さ。自分を守ることしか出来ない弱さ。
やりきれないなぁ。
現実にも似たような事件を見聞きして、その後どうなったかなんて知る由もないんだけれど何年も私は引きずってしまう。
その場にいたら助ける事が出来るのか、力になる事が出来るのか、と考えてしまった。誰が1番許せないかは人それぞれだと思う。今、自分が子供なのか、男なのか女なのか、親なのか。私はやっぱり許せないのは母親で嫌悪するのも母親。
あの人はどうなったの?と、気になった人もいた。
生きる理由がわからなくなるほど登場人物は皆、闇を抱えている。
全体的に重い話だったけど、第4章でタイトル通り光が射した気がして少し救われた。
「いろんな親がいて、いろんな子供がいる」
当たり前の事だけど改めて気付かされました。
良い話を読ませていただきました。ありがとうございました。
どうなることかとハラハラしましたが、池のおかげか、希望が見えてきて安堵しました。親になってはいけない人がいる。罪を犯しても更生の余地がある人と、自分以外のことを全く考えられない人がいる。そういう人にも不運があって、同情の余地はある。信じられるまわりの人がいるかどうかが大きい。どうか困難に負けないで。無関係な人たちも無神経に晒したり傷つけたりしないで。
比奈子の悲しみ、憂の苦しみに心が張り裂けそうなくらいの辛さに襲われながらも読むのを止められませんでした。
どんなに苦しくてもそれを乗り越えられる時は必ず来る、人は誰しも再生する力を持っている、と教えてくれる作品だと思います。
生まれ変わる奇跡。
ネグレクトを受けていた小学生・憂は義父を撲殺してしまう。ある目的を持って妹と逃げ出した憂が辿り着いたのは鄙びたドライブイン「まほろば」であった・・
ネグレクトを受けてた少年、一人娘を事故で亡くした母親、双子の弟を殺された兄の過去はどれも辛く耐えがたいもので息苦しい。さらにそれぞれ三様に過去にケリをつけようともがき苦しむ姿には苦痛が伴う。だが導かれるように最後に出会う風景は全てを清算してくれるようで、静かな様子と相まって深い余韻を残すようだ。
深い絶望の中にも、再生のきっかけを見つけうる感動作。
これでもかと、悲しい境遇の人たちばかり。でも心底腐ってはいない。憂に至っては、何故、幼いうちにこんな酷い目に遭っても、妹思いの強い子どもなんだろうと思う。小説の中の登場人物ではあるけれど、自分の現状の幸せ度合いと比べて反省してしまった。些細なことで、落ち込んで、怒って、心を乱している自分が情けない。
10年池に行くことができたなら、やはり今の自分から変わりたいと思う。でも、変わりたいという気持ちがあるのなら、そうだ、努力して変われば良いのだと改めて思った。
どの親子にも、それぞれ抱える問題や闇が深すぎて読んでいて胸が苦しくなった。
虐待、ネグレクト、心に負った傷を誰かに気付いて欲しいのに、見て見ぬふりをする大人達。そして続いていく負の連鎖。
「生きる意味」とは一体どうやって見つけたらいいのでしょう。
どこかにある、私の十年池が見つけられた時、私にも光が灯るのもしれないと、読み進めて時に苦しいけれど希望が持て心に残る作品だった。
義父を殴り殺し、幼い妹を連れて逃げ出した小学生の憂は、山の中の「ドライブインまほろば」にたどり着く。良い殺人なんてあるわけが無いけれど、憂の犯した罪を咎めることはできない。虐待は連鎖するというが、登場人物皆が不幸を背負って生きているようで苦しくなる。憂と来海で連鎖を止めて欲しい、光のある未来を生きて欲しいと思う。現実に辛い思いをしている子どもたちにもそれぞれの「まほろば」生きやすい場所を見つけて欲しいと切に願う。
ひどい虐待を受けた子どもが父親を金属バットで殴り殺す衝撃的な冒頭。さびれたドライブインに辿り着くヘンゼルとグレーテル、ガラス越しの幸せな場面を冷たいベランダから見つめるマッチ売りの少女、そして幻の池。母と娘、男と女、如何ともし難い関係を拗らせ深い悲しみを背負う主人公たちが、もがきながら、連鎖する不幸を断ち切ろうと山道を進む場面が圧巻。
読み始めから衝撃的な展開に引き込まれた。
愛情と憎悪が入り乱れ、よくよく考えたら親の愛が根底にあるのかなと思う。
だからといって許せるものではない。
子供が辛い話はやはり苦しいな。
ハッピーエンドにはならないだろうと思いながらも希望が持てる終わり方に安堵した。
遠田さんは雪の鉄樹以来。
やっぱりどうしたって重いことは分かってた。
けれども読む手を止められない。
表に出さなくとも全ての人が辛い想いを抱えていていて、それが肯定できるものではないにしろ自分の正義を通す力強さ、優しさを感じた。
無条件に愛して肯定してくれる関係。
生きる糧になる。
そんな親子ならどんなにいいことか。
良くも悪くも自分がされたのと同じように
育ててしまうことだってある。
悲しいことにその方法しか知らないからだ。
外を知ることで殻を破るか閉じ籠るか。
さらに翼を広げられるのか。
"色んな親がいて、色んな子がいる"
"生きるのに理由なんか要らない。誰の許可も要らない"
やはりこの部分が心に強く残った。
みんなに希望がありますように。
そう祈らずにはいられない。
ドライブインまほろば-タイトルから想像するほのぼのとしたイメージからはかけ離れた衝撃的な物語の始まりだった。義父を殺害した憂、娘を身内の事故で亡くした比奈子、親から捨てられ子を愛せない銀河、そんな3人が歩んできた過酷な境遇を軸に話は展開する。
親は子を思い、子は親を思う。こんな当たり前と思える関係が崩れたら…いや本当に当たり前の関係なんだろうか。昨今続発している親子がかかわるネグレクトや虐待、暴力といった当たり前とは思えない事件は何を意味しているのだろうか。親子の感情や心の奥底には深い愛情と同じくらいの憎悪が同時に宿っているのではないかと思えるほどだ。
そんな3人が最後にめざすのが十年に一度現れるという十年池だ。その池で一夜を明かすと人は生まれ変われることができると言われている池だ。苦労してたどり着いたその池で、はたして3人は何を見たのか感じたのか。
読み終えてタイトルに隠された深い意味が解けたように思えた。
#ドライブインまほろば #NetGalleyJP
絶望と希望の小説です。暖房のきいた部屋で読んでいると居心地の悪さを感じます。でも読むことをやめられなくて。虐待の話は辛いです。しかも想像を超えて。悪い人にもそうなってしまう理由があリます。だから仕方がない、というわけではありませんが。「どこから歯車が狂ったのか」とグルグル考えてしまう者。生まれた時からだと諦める者。どうなるの⁉︎と思いましたが、読後感は良かったです。
あ〜みんな幸せになって欲しい。
単行本では読んでなかったのでこれが初読みです。タイトルだけ見て、田舎のドライブインで起こる楽しそうな短編集かしらん?と勝手に想像。いざ読み始めてみたら、正直後悔がつきまとった。虐待、DV、、、目を逸らしたい苦手な分野だ。にもかかわらず先が気になり、一気に読み終えた。読みながら、中の人物たちと一緒に希望の光を探していたんだと思う。親から見捨てられた、虐待を受けていた、子どもを実の母に殺された、つらすぎる人生だ。特に、小学6年生の憂にとっては。血の繋がりは時に残酷だ。切れるものではないのだから。でも生きていれば、光が見えてくる。たとえ淡い光でも、道行を照らしてくれる。憂も銀河も比奈子もより良い方向へ向かってくれることを祈ろう。初めから最後まで心を掴まれて離してもらえなかった。私も見てみたい、見ると生まれ変わる十年池を。
「ごめんね。自分の思い込みで勝手なことを言って。そう、いろんな親がいるね」「うん。いろんな親といろんな子供がいる」p262の会話が突き刺さってくる物語だったけれど、何もこの本の中だけじゃなくて毎日の日常生活がそうなのだと心に縫いつけました。
すごく重く辛い話で読んでいるのがとてもきつかった。
虐待をする父親と離婚し、再婚後義理の父親からも虐待を受ける少年。
あまりにも辛すぎる現実が、少年を凶行に走らせてしまった。
少年は妹を連れ「十年池」へと向かう。
途中でお腹がすいてよった「ドライブインまほろば」のオーナーと出会うがそのオーナーも辛い過去を背負っていた。登場人物全員がしんどい。
でもその中でも嫌悪感を抱いてしまうのは芽衣という少年の母親。
育児放棄して男に依存してしまうこの母親も、辛い過去を背負っていたが、それでも彼女のしていることは許されない。
けれど最後は希望が持てる終わり方だったので、そこは救われた。
虐待、ネグレクト、児童買春、児童ポルノ‥‥
目を覆いたくなるような出来事が
たくさん起きるのに、ラストまで
頁を捲る手が止められませんでした。
世の中には傷つけて苦しめる人もいれば
救ってくれる人もたしかにいるのだと、
そう信じさせてくれるような物語です。
すごくすごく読むのが辛かった💦
あまりにも辛い現実…。
まだ小学6年生の憂のことを思うと胸が痛んで涙が滲む。
だけどどうしても読む手が止められなかった。
健気で優しく賢い憂にどうしても逃げてほしくて、幸せを強く願い、救いを求めながら読み進めた。
私が既読の遠田さんの作品は『銀花の蔵』『雨の中の涙のように』なので遠田さんの作品の中では軽めの作品だったと思う。
今作は重い作品だったけど他の遠田さんのずっしり重い作品は未読だから今作がそれと比べてどうかはわからない。
虐待、DV、ネグレクト、売春、児童ポルノ、殺人…など負の連鎖がすごくて本当に辛くなる。
親子の関係についても考えさせられる。
本当に色んな親がいる。
登場人物達の深い傷、悲しみ…。
こんなに辛い思いをする子供がいない世の中になるといいな。
かなり苦しいのに読む手が止まらなくて一気読みだったのは遠田さんの筆力だと思う。
救いのあるラストで本当に良かった。
どうか幸せになってもらいたい。
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