灰色の評決
犬塚 理人
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刊行日 2021/12/20 | 掲載終了日 2021/12/27
ハッシュタグ:#灰色の評決 #NetGalleyJP
内容紹介
狛江市の、とあるマンションの一室で姉妹が惨殺される痛ましい事件があった。犯人として逮捕され、裁判員裁判にかけられたのは、五十嵐和馬。現場で慌てている姿を見たという目撃証言、妹と金銭トラブルがあったという事実により有罪――それも、死刑判決になるだろうと目されていた。二ノ宮智樹はこの公判の裁判員に選ばれていた。審理が進む中、裁判員のうち有罪に慎重な姿勢をみせる八木麻衣子だったが、一転、有罪派になって結審。時をおき、智樹は麻衣子と付き合うようになるが、これは冤罪だったのではないかと疑い始めた麻衣子が姿を消してしまう――。
社会派ミステリ作家が挑む渾身のリーガルミステリ!
【著者紹介】
犬塚理人(いぬづか・りひと)
1974年大阪府生まれ。早稲田大学卒業。2018年に「人間狩り」で第38回横溝正史ミステリ大賞・優秀賞を受賞し、同年デビュー。2020年に『眠りの神』などがある。
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784576212142 |
本体価格 | ¥1,800 (JPY) |
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NetGalley会員レビュー
複雑な言い回しもなく、非常に読みやすい文章でした。陪審員の在り方を深く考えさせられ、極限の人間の心理下の影響で人の生死が分かれる恐ろしさを疑似体験できました。陪審員は絶対にやりたくないと思ってしまった問題作でした。
冤罪ほど恐ろしいことはない。しかし、無実を訴えている人が嘘をついている可能性も捨てきれない。誰が真実を話しているのか、物語を読んでいくと明らかになっていきますが、後半は驚きでしかなかったです。「あの人が、、、最低だ。許せない」と私は犯人に憎しみしかありませんでした。地位も名誉も女も全て手に入れようなんて甘いです。
行方不明だった麻衣子の人間性、行方不明の謎など分かってくる辺りからホッとした私がいました。幸せになってほしい。
実際にはこの小説のように、劇的な状況となることはほとんどないのでしょうが、改めて人が人を裁くことの難しさを感じます。中田が裁判員の意見を翻意させた手法は考えも及ばないほど凶悪で、衝撃を感じました。救いは、智樹が時折不安にかられながらも、麻衣子の失踪に真摯に向き合う姿に好感が持てたことでした。
感想ではありませんが、322ページの後ろから3行目の描写が?でした。
痛ましい事件の裁判員裁判。個人の感情なしに、公平な判断が下せるのだろうか。冤罪かもしれないと真実を求めようとする麻衣子の強さを感じました。
麻衣子が姿を消し、智樹が行方を追う中で、読みながら身震いし、怒りが止まらなかったです。
私なら麻衣子の立場ならどうしただろうと考えさせられました。
もし自分が陪審員になったら、はたして公正な判断ができるのかと怖くなりました。
真実を見極め、感情を抑えて人を裁くことの責任や難しさを思い知らされました。
冤罪というあってはならない判決ですが、人が裁く以上いつ起こってもおかしくはないし、自分の判断に絶対的自信があったとしても、誰かの人生に責任を持つのは難しい。
真実を突き止めようとする麻衣子と失踪した彼女を探す智樹。
真実に近づくにつれスピード感があり一気読みでした。
真犯人の動機と卑劣さには嫌悪感しかないです。
麻衣子と智樹には幸せになってもらいたい。
藤巻君もgood job!
裁判員に選ばれ、有罪と判断した事件が、実は冤罪だったとしたら。。。控訴審の傍聴後、冤罪の可能性が見え、真相を解明している最中に行方不明になった麻衣子。麻衣子の行方を捜しながら事件の真実に迫っていく智樹の姿に、一体何が真実で、誰を信じていいのかわからなくなり、先へ先へとページを繰る手が止まらなかった。狡猾で私利私欲にまみれた動機には嫌悪感や怒りしかないが、麻衣子の責任感と正義感、そして智樹の行動力によって明かされた真実が、2人の重荷を軽くできたようで少し安心した。裁判員に選ばれたことはないが、裁判員として人が人を裁くことの難しさと怖さを突きつけられた気がした。
栽培員制度が始まって12年も経つんですね。
制度を知りつつも自分が栽培員に選ばれるかもしれないと思った事は一度もなかったので報道で事件のことを知った後で裁判に臨むことや今まで起訴されたら有罪率99.9%になること、自分の判断で他人の人生が変わることが渦を巻いて、自分の思考を公平に律する難しさを改めて感じましたしこの事件がフィクションで良かったと心から思いました。
裁判員裁判で出会った男女。タイトルからリーガルサスペンスを想像したが、あくまでも舞台装置に過ぎず、婚約者が失踪する中盤以降は主人公の真相を追う姿が描かれる。
真相の意外さは良かった。惜しむらくは終盤の展開の単調さだが主人公が素人探偵故にやむをえないところか。
倫理観が覆されるような感覚。
彼女の努力と彼の一途な思いはどこに行っても
きっと味方してくれると思う。
荒削りな部分はあれど、
とても楽しめました。
「人間狩り」では、犯罪者視点が、多かった。
今回は逆の視点で描かれている。
ありそうであんまりない裁判員裁判の裁判員を題材とした小説。
物語序盤の何も見えない部分から、少しずつ見えてくる悪意と、中盤にわかってくる裁判員裁判を題材とした意味が非常に恐ろしい。
正直なところ裁判員制度でこの辺りの悪意に対する対策がどのように立てられているのかがわからないので下手なことは言えないけれど、確かにこの悪意は発生しうるなと思わせるリアリティがあって非常に考えさせられた。
終盤の収まるべきところに収まりすぎた内容のせいで、その問題提起のみに終始してしまっている印象があるものの、全体としてはまとまりのある面白い作品だった。