塞王の楯
今村翔吾
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刊行日 2021/10/26 | 掲載終了日 2021/10/31
ハッシュタグ:#塞王の楯 #NetGalleyJP
内容紹介
どんな攻めをも、はね返す石垣。
どんな守りをも、打ち破る鉄砲。
「最強の楯」と「至高の矛」の対決を描く、究極の戦国小説!
越前・一乗谷城は織田信長に落とされた。
幼き匡介(きょうすけ)はその際に父母と妹を喪い、逃げる途中に石垣職人の源斎(げんさい)に助けられる。
匡介は源斎を頭目とする穴太衆(あのうしゅう)(=石垣作りの職人集団)の飛田屋で育てられ、やがて後継者と目されるようになる。匡介は絶対に破られない「最強の楯」である石垣を作れば、戦を無くせると考えていた。両親や妹のような人をこれ以上出したくないと願い、石積みの技を磨き続ける。
秀吉が病死し、戦乱の気配が近づく中、匡介は京極高次(きょうごくたかつぐ)より琵琶湖畔にある大津城の石垣の改修を任される。
一方、そこを攻めようとしている毛利元康は、国友衆(くにともしゅう)に鉄砲作りを依頼した。「至高の矛」たる鉄砲を作って皆に恐怖を植え付けることこそ、戦の抑止力になると信じる国友衆の次期頭目・彦九郎(げんくろう)は、「飛田屋を叩き潰す」と宣言する。
大軍に囲まれ絶体絶命の大津城を舞台に、宿命の対決が幕を開ける――。
【プロフィール】
今村翔吾(いまむら・しょうご)
1984年京都府生まれ。2017年『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』でデビューし、同作で第7回歴史時代作家クラブ賞・文庫書き下ろし新人賞を受賞。2018年「童神」(刊行時『童の神』に改題)で第10回角川春樹小説賞を受賞、同作は第160回直木賞候補となった。『八本目の槍』で第41回吉川英治文学新人賞を受賞。2020年『じんかん』で第11回山田風太郎賞を受賞、第163回直木賞候補となった。2021年、「羽州ぼろ鳶組」シリーズで第6回吉川英治文庫賞を受賞。他の文庫書き下ろしシリーズに「くらまし屋稼業」がある。
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784087717310 |
本体価格 | ¥2,000 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
冒頭、主人公の哀しすぎる別れにいきなり唇を噛み締める。
これが戦国、これが戦乱の時代。
石垣に思いを込め、男たちは“命”を守るために積む。最強の楯を築きあげんとする。
それを崩さんとする側にも思いはある。矛と盾。その心が次世代に引き継がれていく熱さ。そして双方の意志がぶつかり合う戦の描写。
これもまた戦国時代小説なのだとふるえた。
私の出身は讃岐の丸亀です。京極家には思いがあるので、京極高次&初夫婦率いる京極家描写には、愛おしい人達に描かれていたことが、なんとも嬉しくなってしまいました。
まず、メチャクチャ面白かった。
まだまだ読んでいる半ばなのに、「これ、面白いよ!」も周囲に薦めるくらいに夢中になって読みました。
乱世に生きる男達のそれぞれの矜持がぶつかり、それぞれの「守る」考え方にはそれぞれに正しさがあって、勝敗が決する以上のドキドキ感がありました。
職人の意地と、全ての責を負う者の覚悟と生き様に堪らない昂まりがあり、ずっと鳥肌が治りませんでした。
本当に本当に面白かった。
石垣職人VS鉄砲職人。戦国時代に手法は違えど泰平の世を目指す彼らの熱き闘いが大津城を舞台に繰り広げられる。プロ意識の高さ、仲間との絆、戦国の戦いの迫力と正に今村さんの真骨頂。京極高次とお初夫婦の人柄が物語の固さを和らげ、560pもの大作を一気に読ませる。楯と矛。攻め守りつつの闘いは手に汗握る。大砲の玉が飛ぶ中で壊れた石垣を積み直す場面は圧巻だ。両者の想いは理解できるが犠牲者ありきの彦九郎より匡介に加担してしまう。人を殺める兵器はない方がいい。