文豪中学生日記
小手鞠るい
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刊行日 2021/10/11 | 掲載終了日 2021/12/26
ハッシュタグ:#文豪中学生日記 #NetGalleyJP
内容紹介
中学校3年生の女子ハルキは、「文芸クラブ」の部長で、三度のゴハンより文章を書くことが好きだった。周囲の信頼も厚く、中学生活を楽しんでいた。
ハルキは、ある詩の投稿サイトに自作詩を投稿し始めた。
ハルキの詩は、高い評価を受け、入選して「ベスト1」に選ばれる。
だが、喜びもつかの間、数回目に投稿した詩に対して、読者コメントから批判をあびて、それが瞬く間にサイト上での誹謗中傷の嵐となる。
ハルキは、ショックを受け、引きこもるようになるが、運命は思いもかけない方向へ……。
文章を書くことの楽しさと厳しさをとおして、多感な少女の葛藤を描く青春小説。
〔ハルキの文豪日記のきまり〕
1 ノートに手書きする。
2 悪口、うらみ、つらみ、そねみは書かない。
3 「ヤバイ」「マジ」「チョー」は使わない。
4 いつか、どこかで、だれかに読まれることを意識して書く。
5 書きたいと思った日に書く。
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784751530733 |
本体価格 | ¥1,400 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
主人公ハルキは、三度のゴハンより文章を書く事が好き。
そのハルキの日記形式で物語は綴られる。
日記のように今の思いを、SNSなどで発信している中学生もいると思うが、この本をぜひ読んでほしい。怒りの感情に任せて悪意ある言葉を綴らず、一回深呼吸して発信できるようにるかもしれない。
もちろん中学生だけでなく、匿名だからと感情のまま発信したことのある大人にも「ものを書く」ということを考えるきっかけになる一冊となると思う。
児童書ではあるが大人にもぜひすすめたい。
多感な年頃の友達関係、ネットいじめなどの問題も描かれている。
親子で読み、感想など言い合えたら理想的かもしれないが、中学生くらいなら恥ずかしさや、抵抗感もあるから難しいかな。
でも親子で同じ本を読み、感想を共有できる一冊になると思う。
ハルキのバイブルとして登場する
『作家になりたい君たちへー十代のための文章作法』
がいつか本当に書籍化されたらいいな。そうしたらこの本と合わせてまた読んでみたい。
主人公春希の日記という形で書かれた作品なので、悩みや喜び、彼女の思考がストレートに伝わってくるようでした。春希は身動きがとれなくなるくらい心を痛めてしまいますが、彼女らしいやり方で乗り越えることができました。それは、ちょっと強かな感じもしますが、生きることには強かさが必要だと思います。彼女をさりげなく支える家族が素敵です。
何者にもなれる、と思う強さと何もできないと思う弱さ。その混沌とした感じがないまぜになって、鬱々と、でも自分を諦められない感じ。そういう青さがいっぱいで、甘酸っぱい。もがいたらいいんだよと言ってくれているような気がする。
読めば詩や言葉の魅力に気が付き、文章が書きたくなるような、そんなお話でした。
多感な中学生が、誹謗中傷の飛び交うネットを使うのはハイリスクな部分もありますが、今を生きる=ネットを使うことになった現在、きっと春希みたいな子はたくさんいるし、出てくることでしょう。
言葉によって傷つくこともあれば、言葉で癒やされることもある。使用者によって形を変えるそれはまるで包丁のよう。そんな言葉の使い方を優しく教えてくれる……これはそういう物語日記だと思いました。
ところで、もしかしてこちら作者さんの体験も混ざっていたりするのでしょうか……?
中学3年生の女の子ハルヒが新しいことを始めようとして日記を書くところから始まる。
日記帳さん、と始まることもあるので読者に向かって話しかけられているかのよう。
初めは読みにくいかな?と思ったけれど、ハルヒの実生活や心情がどんどん現れるようになると一気に読みやすくなった。
中学女子って色々ある。何もないのに急に無視されたりとか、それが周り巡ったりとか、勘違いからのすれ違いとか。
何かが起こることに対して自分をつい責めてしまうけれど、自分が悪く無くても起きることもある。
嫌なことも楽しいことも自分が経験したことは財産である。そう思える日が全ての子に来るといいな。そう思った。
ハルヒがネット上に投稿した詩は、とても瑞々しく銀色夏生さんを思い出した。
最後の仕掛けも面白かった。
文章を書くことが好きな中学生の春希は、新年の初めに手書きの日記を書こうと決める。ネガティブな内容は極力避け、毎日ではなく書けるときに…等自分ルールの元、始まった自分語りは、やがて好きな"詩の創作"や友達関係の悩みから不登校になる経緯、そこから回復してゆく過程などが素直にリアルに綴られてゆく…。
"中学生の瑞々しい等身大の文章"は、喜怒哀楽の感受性が弾けていて、かつて少女だった自分の時より格段に複雑な現状に、ヒリヒリ、ハラハラしながらも、あるあるな出来事やその年代ならではの感性に眩しさも感じた。手書きの目次も素敵!
日記とはなっていますが、軽快な文章でエッセイや物語を読み進めるような感覚で読めます。
中学生が主人公。小説家を目指す主人公が将来に向けて、文章を書く修行みたいな感じで日記を書いています。
家族の話、学校の出来事、友だちのこと、ネットの誹謗中傷の怖さ、ひきこもりなど。
小説家を目指すだけあり、書く際には、文章の書き方、言葉の重みなど、自分の気持ちの表現の仕方を勉強しながら書いています。サクサク読める文章ですが、読んでいる私自身、文章を書くことの難しさに、何度ハッとさせられたことでしょうか。
主人公がサイトや雑誌社に投稿する様々な「詩」も素敵です。どんな思いがあってどんな体験があったからこんな詩が作れたんだなぁと詩が生まれる背景を知っていたので、私は初めて「詩」っていいなぁと思え「詩」の世界が面白く感じました。
中学生の目線ですが、とても、内容は深く、そして軽快な文章で読みやすく良いお話です。小学生から幅広い年代層にいける作品と思います。
私は中高生の子どもがおり、一緒に読みたい作品だと思いました。
読んだ後、「詩」を書いてみたくなったり、日記を書いてみたくなりますね。文章の書き方も変わる気がします。
小手毬さんの他作品も読みたいと思いました。
岡山出身とのことで偶然にも私も岡山出身。
一期一会、この本に出合えて良かったです。
一年の計は元旦にあり。三度のごはんより文章を書くのが好き。そんな中学生2年生の春希は1年間日記を付ける決心をする。文芸クラブ部長の彼女らしいアイデアで、紀貫之の真似をして男のフリをして。
タイトルの『文豪中学生日記』の通り、序章から春希の日記として構成されるこの作品。著者の小手鞠さんは勿論中学生ではありませんが、瑞々しい文章に引き込まれてページをめくる手が止まりませんでした。
自分の詩が投稿サイトで認められて喜んだのも束の間、成功と同時に誹謗中傷の嵐に身を投じる事となった春希。ひきこもっていく精神状態が痛々しく、浮上する行程を見届けたくなります。そして読書中は早く生徒たちに読ませたくて読ませたくて、生徒たちの顔が何度もチラチラ浮かんできて困りました。
一つ気になったのは春希のバイブルとも言える愛読書『作家になりたい君たちへー十代のための文章作法』です。まるでこれは『君たちはどう生きるか』のように、作家希望の若者に留まらず、悩み多き十代へ贈る名著のように思えます。ぜひ、現実に出版化されては如何でしょうか。
言葉は栄養にもなり凶器にもなり得る。ぜひとも本を読み、感じて、経験して成長して欲しい。とにかく早く生徒たちに手渡したい作品です。
文豪”中学生”日記という堅めの?タイトルと、柔らかい印象のかわいい表紙のバランスが良いと思いました。
もう少し短いスパンでの日記を想像していたので、どんどん成長していく姿に驚きました。良い意味で裏切られた展開でした。もう少しゆっくり成長していくのを見たかったです。
15歳の春希は言葉を書くことにした。サイバーいじめにあった。大人や周りからのあたたかい声に励まされた。だから「文字はあたしの命のことばであり、生きているあたし自身の声なのだ。」と信じる事ができ、過去を肯定できるまでになった。10年後、彼女は小説家になり、今日もだれかに生きた言葉を届けている。言葉の力、詩の美しさ、普段当たり前の言葉を感じられる本でした。今、私は10年前の自分を思い出しながら『文豪中学生日記』を執筆中です。私の生きた言葉があなたに届きますように。
とにかく文章を書くことが大好きな中学生の西城春希は、元旦に、1年を通して日記を書くことを決意する。自分で決めたある前提といくつかのルールに沿って、思春期特有の葛藤や心の機微を始め、瑞々しい自作詩が日記に書き綴られ、まるで実際に中学生が書いた文章を読んでいるような気持ちになる。また、現代ならではのSNSの問題も描かれており、言葉がもつ重み、伝えることの難しさ、そしてSNSの持つ影響力の大きさを改めて感じた。決して綺麗事ばかりが綴られているわけではないが、いい時も悪い時も、彼女のそばにはいつでも言葉が寄り添い、生きて行く力を与えてくれる。とても読みやすく、大人でも楽しめる一冊。作中に登場する春希の座右の書を実際に発売してもらえるならば、ぜひ読んでみたい。
言葉を他の人に伝える。自分が届けたい「想い」を深い選別のすえに書き上げた文章や、詩。
それが、相手へしっかり届いたときの喜びは、プロや文豪でなくても、みんな知ってること。
でも、その、造り手の想いがちゃんと、伝わることもあれば、思いもよらない反応をされることもある。
春希は、言葉で、まさに、天国と地獄を味わったことになりますね。誤解され、ネットいじめのような状況になってしまう。それを跳ね返すだけの心の力も経験も、中学生という年頃では、まだまだ、練上がっていない。相手は、不特定多数の歯止めのない言葉。離れればいい?見なければいい?そんな、簡単なことじゃないものです。息がしづらいくらいの空気の重さで、光が昼間でも薄暗い気がするほど、どんよりとした心で、まともな判断はできない。春希の繊細な感性は、自分を切るナイフになってしまう・・・
わたしも、ものづくりに携わっているので、想いをどうのせることができるか、いつも、いつも、考えています。大概は、伝わりきらないものです。「ここを見てほしい」、「この思いを贈りたい」そう思って生み出したものが、ぜんぜん違う受け止め方をされて、人の手に渡っていくことはすくなからずあるものです。怖いです。
でも、いいわけしない。文句を言わない。悪意を持たない。悪意からはいいものは生まれない。悪意で人を傷つける=自分も傷つくことになる。それより、それを経験知に変え、次はより良いものを作る・・・
文豪への道も、他の道も、まず、「優しくて強い心、美しい人間」になること。心します。
ありがとうございました。
文章を書くのが大好きで文芸クラブの部長を務める春希は、新年を迎えて日記を書き始める。友人や部活動内での人間関係、詩の投稿サイトでの賞賛や批判等、子どもから大人になっていく途上の中学生ならではの、揺れ動く様々な想いが春希の日記と詩を通じて感じられる。春希の成長を親のような気持ちで応援していました。
中学生の主人公が綴る日記を通して、読者の文学の知識が増えていく素晴らしい作品。中学校の図書館にはぜひ置いておきたい。想いを言葉にする中で出合う素敵な出来事、想いを言葉にしただけで起きてしまったトラブル、改めて言葉の力はすごいと気づかされた。ただ、この本を読んだ後のレビューは緊張する。いやはや、言葉というのは、一語たりとも、あなどれない。
インターネット、そしてSNSという手段を手に入れたことで、人は良くも悪くも誰かと繋がりやすくなった。
そして言葉は、人を歓ばせ、慰め、励まし、温もりも伝えるけれど、傷つけ、貶め、悲しませもする。
どちらの良さも悪さも両方映し出した作品。そして、言葉にすることで得られるものについても示してくれている。
惑いがちな世代の子たちにも、自分の言葉を持つことの力を信じさせてくれると思う。
逆・紀貫之という発想が新鮮で面白かったです!また、「3度のゴハン(ハンバーグは例外)よりも読書が好き」という表現に共感しました笑 作者さんのプロフィールにも同じことが書いてあり、自伝なのかな?と感じさせる仕掛けもとても面白いと感じました。アンパンマンの時計をもらって喜んでいるアキ坊が可愛らしく、印象に残りました。
改めて表現することの素晴らしさを感じた。中学生のあの頃に戻って表現することはもう出来ないので、今からでも作品(という大袈裟なものではなくてもなにか)を残しておきたいと思った。きっと数年後、数十年後に見返したとき、昔を思い出して微笑ましくなるだろうと思う。主人公と同世代の学生にはもちろん、学生時代をとうに過ぎた大人が読んでも響くものがあるのでおすすめ。
読後、不思議な気持ちになった。フィクションだと思いながら読み進めていたはずなのに、なぜか最後数ページで、作者の自伝のような印象を持った。作品の中では「誰かの真似事(二番煎じ)」とあったが、それでも楽しんで読むことができた。彼女が日記を書くことを通して成長したり気づきを得たラストシーンが良かった。
春希の感情がそのまま詩になって表現されていて、その月ごとに少しずつ成長していることがわかるお話でした。
お話の中に有名な文豪を入れながら書いてあり、どんな人なのかな、どんな作品があるのかとさらに読んでみたいと感じる本でした。
あるルールを決め書き進められた日記。瑞々しい感性が見え隠れする。
春希の詩。→君がこの世に生まれた日。海はどんな色していただろう…
素敵に詩が織り込まれていて、ハッと気づかせてくれること間違いなし!!